愛しい名前
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「お前は俺の側にはいたいけど、娘になるのは嫌だって思ってくれてるって事でいいんだよな?」
『……うん』
土方はハクのその言葉を聞き、ホッとしたように息を吐くと、紙袋の中から小さな箱を取り出してハクに手渡す
『……これは?』
「開けてみてくれ」
土方の言葉に促されるままハクが箱を開けると、中にはシルバーのリング、そのリングに控えめに埋められた小さな宝石は深い青に金の粒が煌めいている
『泡沫石の………指輪?』
土方はハクが開いた箱から右手で指輪を取り、ハクに左手を差し出す
「ん」
手を出せと催促する様子の土方に、ハクは少し迷ってから右手を差し出すが、土方はその右手を取ることなく、ハクの膝の上に置かれたままだった左手を取り薬指に指輪をはめる
『…………っ!!!』
「グスグスだな、もっと細くて良かったのか」
ハクの薬指に対してまだ余裕のある指輪のサイズが気に入らないらしい土方に対して、ハクは指にはまった指輪を見て固まっている
「ハク?」
『……まっ……て、え…………?』
佐々木異三郎に言われてから、ハク自身、何度も何度も自分で消してきた可能性
ただ左手の薬指にはまる指輪の意味をハクは理解していた
それ故に、自分が消してきた可能性、願いつつもあり得ないと消していた可能性がある状況に理解が追いついていない
先程のプロポーズとは明らかに違う戸惑いを見せるハクを見て、土方は指輪のはまったハクの左手を優しく握ったまま柔らかい笑みを浮かべる
「ハク」
『………っ』
ハクの瞳にあるのは戸惑いと、少しの期待
「ハク、結婚してくれ」
『っ………!』
「土方ハクとして、ずっと側にいて欲しい、お願いだ」
土方の言葉に口をぱくぱくとさせるハクの瞳には涙の膜が張っていて、今にも雫がこぼれ落ちそうになっている
『そのお願い、私が叶えて……いいの?』
「お前が、叶えたいと思ってくれるなら」
『………っ』
「俺は、ハク以外にこんなことを願うつもりは無い」
土方のその言葉を聞いたハクの目から、ポタポタと涙が落ちる
『私、十四郎のせいで欲張りになってしまった』
「え?」
『私以外に十四郎のお願いを叶えて欲しくない』
それは、ハクが初めて見せた独占欲
土方は握ったままだったハクの左手を引いて自らの胸に閉じ込める
『苦しい、十四郎』
そう言いながらも自分の背中に手を回すハクに、土方は頬が自然と緩む
「指輪、ピッタリにしないとな」
『じゃあ十四郎の分はその時、私が買う』
「あぁ、頼む」
『うん』
優しい声でそう呟く土方の肩に頭を預けながら、ハクは幸せそうに笑った
、