泡沫に口付けを
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しばらくして、ハクを腕から解放し、今の状況を確認する
ハクは入院着に裸足という出立ちだ
「………おいハク、足の裏見せてみろ」
『足?』
ハクが上げた足の裏を見ると、ろくに舗装もされていない坂道を全力疾走してきたせいで、所々血が滲んでいる
「ったく、病室で待ってりゃ良かったのに……」
意識を取り戻してすぐに自分を探して飛び出してきてくれたハクに喜びを感じていると言うのに、足の裏に出来た傷をみれば病室で待っててくれれば良かったのにという都合のいい考えがよぎる
俺はハクの前に背中を向けてしゃがみ込んで声をかける
「ほら、乗れよ」
『十四郎、私歩ける』
「いいからさっさと乗れ」
ハクはおずおずと俺の肩に手を置き、俺におぶさり、俺はハクをしっかりと背負ってから、ゆっくり坂道を登る
『十四郎』
「ん?」
『ありがとう』
「………あぁ」
ハクは1週間ぶりに目覚めたばかりだと言うのに、また俺の背中で寝息をたてはじめる
額をグリグリと俺の背に擦り付けるハクの仕草に、頬が緩む
眠ったことにより少し重たくなったハクの重みと、じんわり背中から伝わるハクの体温が愛おしくてたまらない
近藤さん、真選組、黒縄島に置いてきてしまったと思っていた仲間たち、その全てを俺に取り戻してくれたハクがようやく俺の元に戻ってきてくれた
そう実感するとハクのせいですっかり緩くなってしまった涙腺が夜空の月を滲ませる
「……ったく、嬉しくても悲しくても、泣かせやがって」
すやすやと眠るハクの寝息を聞きながら、俺は出来るだけハクが揺れないよう、ゆっくりゆっくり月の光が照らす坂を登って行った
、