愛しい名前
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1
佐々木異三郎に貰ったドーナツの箱も空になり、その頃にはすっかり陽も落ちていた
ハクはそろそろ戻らなければと思いながらも、その足は河岸から一向に動かないでいた
私は、いつから欲張りになっていたのだろう
“ずっと、そばにいて欲しい。土方ハクになってくれないか”
十四郎のそばにずっと居たい
それは間違いなく私の願いで、希望
なのに私はそれでは嫌だと言ってしまった
『土方、ハク』
真選組に来てすぐの頃、私にはない“苗字”は親からもらうものだと聞いた
それを、十四郎がくれるという
私を、土方ハクにしてるくれると言う
それの何が不満だというのか
信女は、“今井信女”と言う名前を異三郎から貰ったと言っていた
信女がくれたハクという名前、それに十四郎が土方という名前をくれるという
なのに私はそれを嫌だと言った
“親”から貰うと聞いたそれを、十四郎から貰いたくないと
きっと、真選組に来たばかりの私なら、土方ハクを名乗るということになってもなんの疑問もなんの感情も抱かなかっただろう
『十四郎のせいだ』
十四郎が優しすぎるから、私は贅沢になってしまった
十四郎の側にずっといられたら、いられるなら、私は………
「ハク!!!」
後ろから聞こえた声にハクが振り向くと、そこには肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す土方の姿、手には小さな紙袋が提げられている
『十四郎』
土方はズンズンとハクの方へやって来ると、ドカリとハクの側に座って息を整える
「ふー………、さっきは悪かった、嫌だったよないきなり」
土方のその一言に、ハクは着物の裾をギュッと握り締める
『嫌じゃ………なくて、その……』
「………」
土方も言いたいことはあるようだったが、グッと堪えてハクの言葉を待つ
『嫌だなんて言ってごめん、私もう嫌だなんて言わないから』
「………え?」
『十四郎の側に、私もずっと一緒にいたい。
………それが、たとえ娘としてでも私……』
「ちょ、ちょっと、ちょっと待て!!!」
ハクの言葉を辛抱強く待つつもりだった土方だが、予期していなかった理由に我慢出来ずに口を開く
「娘って………あ」
土方の頭の中で、ハクが来たばかりの頃言った言葉が蘇る
「そうだよな、苗字は親から貰う名前だって俺が言ったんだった」
土方は手に持っていた小さな紙袋をチラリと見てから、ハクの瞳を真っ直ぐに見つめる
、
佐々木異三郎に貰ったドーナツの箱も空になり、その頃にはすっかり陽も落ちていた
ハクはそろそろ戻らなければと思いながらも、その足は河岸から一向に動かないでいた
私は、いつから欲張りになっていたのだろう
“ずっと、そばにいて欲しい。土方ハクになってくれないか”
十四郎のそばにずっと居たい
それは間違いなく私の願いで、希望
なのに私はそれでは嫌だと言ってしまった
『土方、ハク』
真選組に来てすぐの頃、私にはない“苗字”は親からもらうものだと聞いた
それを、十四郎がくれるという
私を、土方ハクにしてるくれると言う
それの何が不満だというのか
信女は、“今井信女”と言う名前を異三郎から貰ったと言っていた
信女がくれたハクという名前、それに十四郎が土方という名前をくれるという
なのに私はそれを嫌だと言った
“親”から貰うと聞いたそれを、十四郎から貰いたくないと
きっと、真選組に来たばかりの私なら、土方ハクを名乗るということになってもなんの疑問もなんの感情も抱かなかっただろう
『十四郎のせいだ』
十四郎が優しすぎるから、私は贅沢になってしまった
十四郎の側にずっといられたら、いられるなら、私は………
「ハク!!!」
後ろから聞こえた声にハクが振り向くと、そこには肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す土方の姿、手には小さな紙袋が提げられている
『十四郎』
土方はズンズンとハクの方へやって来ると、ドカリとハクの側に座って息を整える
「ふー………、さっきは悪かった、嫌だったよないきなり」
土方のその一言に、ハクは着物の裾をギュッと握り締める
『嫌じゃ………なくて、その……』
「………」
土方も言いたいことはあるようだったが、グッと堪えてハクの言葉を待つ
『嫌だなんて言ってごめん、私もう嫌だなんて言わないから』
「………え?」
『十四郎の側に、私もずっと一緒にいたい。
………それが、たとえ娘としてでも私……』
「ちょ、ちょっと、ちょっと待て!!!」
ハクの言葉を辛抱強く待つつもりだった土方だが、予期していなかった理由に我慢出来ずに口を開く
「娘って………あ」
土方の頭の中で、ハクが来たばかりの頃言った言葉が蘇る
「そうだよな、苗字は親から貰う名前だって俺が言ったんだった」
土方は手に持っていた小さな紙袋をチラリと見てから、ハクの瞳を真っ直ぐに見つめる
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