口付けと名前の意味
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「ハク、狭くない?やっぱり布団もう一組貰ってこようか?」
『大丈夫、早く寝よう信女』
京にある拠点は部屋数が少なく、ハクは今井信女と同室となることになった
ハクが既に横になっている布団に信女も向かい合うようにして入ると、否が応でもハクが手に持っている物が目に入る
「……………ハク」
『なに?』
「それなに?」
信女が指を指すそれは、明らかに男物の着流しで、ハクはそれを抱き枕にするようにして寝転んでいる
『十四郎にもらった、これがあると横になって眠れるから』
「…………」
『信女?』
正直、聞きたくは無いが聞いておかなければいけない
信女は意を決してハクに問いかける
「真選組の副長と、どういう関係なの」
『私は十四郎の小姓』
「そういう意味じゃなくて……付き合ってるの?」
『付き合って……?ない』
信女はさらに質問を重ねる
「好きなの?あの人のこと男として」
『好き』
お互いにまともな家で育った訳でも寺子屋で惚れたはれたの恋バナに花を咲かせたこともないため、まるで取り調べのような会話が続く
ただ、迷いなく好きだと答えたハクに、信女はやっぱりなと納得する
『でも、好きなのは私だけ……だから』
「え?」
土方が真選組にどれほど身を捧げているのか、信女自身もわかっていた
その土方が、京へ向かう近藤たちについていくことよりもハクを探しにいくことを優先した
それだけで土方がハクに向ける感情は並々ならぬものを感じるのだが、ハク自身は全くそうとは思っていないらしい
「あの人も、ハクが好きなんじゃ……」
『十四郎は……優しいから』
自分に向けられている好意を、ハクは土方が優しいからという理由で納得してしまっている
信女がさらに問い詰めようと口を開きかけるが、ハクは京へ向かう長旅で疲れていたのか、すっかり眠りに落ちていた
信女はモヤモヤとした気持ちを抱えながらも、穏やかな寝息を立てて眠るハクにくっつくようにして眠りに落ちた