石の言葉は誰の声
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宝石店での会計を済ませ、外に出るともうすっかり夜になっていた
俺はタバコに火をつけてフーッと一息つく
「ほら」
『え?』
俺が差し出した小さな紙袋に、ハクはコテンと首を傾げる
「お前が隊士になった祝いだ」
『私……に?』
ハクがゆっくりと手を伸ばし、紙袋を受け取る
「着けねぇのか?」
『……どうやって着けるの?』
「どうやってって……金具を開いて耳たぶ挟んで……」
それを聞いてハクが袋の中の小箱を開き、そのうちの片方を左耳に着けようとする
が、イヤリングなどしたことがないのか、上手く着けられる様子がない
「ったく、貸してみろ」
ハクは俺の前で大人しく横を向き、少し目を伏せる
昔の俺のように高く結い上げた髪のお陰で耳はよく見え、イヤリングは難なく着けることができた
「っし、着いたぞ」
俺の言葉にハクが伏せていた目を開き、こちらを向く金と緑の瞳。そして中の金の粒を煌めかせながら揺れる青い宝石
宝石店から出てきたばかりだと言うのに、宝石では無い瞳の煌めきに俺はつい息を呑む
『ありがとう』
「お、おう」
『大事にする』
ハクはそう言うと耳から丁寧にイヤリングを外し、丁寧に箱の中に戻す
「なんだ、着けて帰らねぇのか?」
『傷、ついたらダメだから』
「……そうか」
自分が勝手に押し付けただけに近いプレゼントだが、大事そうに袋を胸に抱えるハクに、タバコを咥える口元が緩む
「帰るか」
『うん』
歌舞伎町の夜のネオンの中、俺とハクはゆっくりと屯所への道を歩いていった