ドSな生徒様
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み、見られた
生徒に見られてしまった
私は自分の手帳を開き、中にある写真を見る
それは自分に教師への道を示してくれた恩師であり、初恋の人でもある銀八先生に卒業する前に一緒に撮ってもらった写真……
『で、でもこんな写真だけなら別に大丈夫だよね。うん、大丈夫、大丈夫』
教師として初めて勤務する事になったのは母校である銀魂高校
それも銀八先生が担任をしている3年Z組の副担任だ
3年Z組は変わり者が多いクラスで、一年生から一度もクラス替えのないクラスだ
ここ1週間程、銀八先生から副担任の仕事を教えてもらう為に春休みの学校を訪れていたのだが、先日、転んだ拍子に1人の生徒に手帳の中の銀八先生の写真を見られてしまった
袴を着ていたので、おそらく剣道部員だろう
その生徒は手帳のことを特に追求するでもなく、にこっと笑って手帳を返してくれた
そう、彼はきっといい子で、別に私が銀八先生の写真をもっていた事なんて言わないだろうし、なんとも思わないだろう
それに、変わり者ばかりだという3年Z組にあんな爽やかそうな生徒はいないだろう
と、思っていたのに
『3年Z組、沖田総悟………』
銀八先生から生徒の顔と名前は軽く覚えとけと言われ、渡された名簿にはあの爽やか少年の顔写真の隣に3年Z組という文字が書かれていた
『どうか写真の事を言われませんようにっ!!』
始業式の前夜、
私は名簿にある彼の写真を必死に拝んだ
『初めまして!
今日から卒業までの1年間、3年Z組の副担任としてお世話になることになりました月島紅葉です
よろしくお願いします!』
始業式の後、教室で自己紹介をする
私がぺこりと頭を下げると拍手で歓迎された
「お前相変わらず元気いいな。じゃ、出席取るぞー」
私の大きな声に銀八先生はそうつっこむと、1人の生徒がガタリと立ち上がった
『まってヨ先生!
先生は月島先生のこと知ってるアルか?』
あの子は確か、留学生の神楽さんだったよね
「あーまぁな
知ってるも何も、こいつ俺の元教え子だし、3年Z組の生徒だったからお前らの先輩だぞ」
「え、3年Z組からこんなまともな人が出たんですか!!?」
何やら失礼なことを言っているのは確か志村新八くんだ
「先生どうでしょうか!
新任教師の月島先生が早く僕たちと打ち明けられるように紅葉先生とお呼びするのは!!」
大声をあげてそう提案したのは1、2年生と学級委員長をしている桂小太郎くんだ
『え、下の名前で?』
「まぁ好きにしろよ
てか俺だって下の名前だし」
戸惑う私に銀八先生はそう言うとさっさと出席をとって教室を出て行く
私は銀八先生の後ろをついて行くように教室を出る
一瞬、視線を感じて教室の奥の方を見ると1人の生徒と目があった
あ、沖田総悟……くん
私をじっと見つめる表情は、手帳を拾ってくれた時と同じ優しそうな笑みだった
「どうだった生徒との初対面は」
『き、緊張しました』
「にしてもお前声がデケェよ
流石体育祭で銀魂高校初の女応援団長やっただけあるぜ」
『懐かしいですね〜
ちゃんと自分をもっている子がたくさんいるクラスで楽しそうです
神楽さんは元気がいいし、志村くんもしっかりしてるし、桂くんも私に気を使ってくれて、学級委員長にとても合ってると思いました』
私の言葉に、銀八先生はぺろぺろキャンディーをくわえたまま目を丸くしてこちらを見ている
『先生?』
「お前昨日渡した書類でもうそこまで覚えたのか」
『みんなと会うまでに少しでも覚えられたらいいなーと思って読んでたら自然と頭に入っちゃって……
昔からやろうとした事しかできないの知ってるじゃないですか』
「……やろうとした事を完璧に出来るのがすごいんだけどな」
『何か言いました?』
「いや別に?
じゃ、お前は担当教科数学だろ?
初授業頑張れよ」
『はい!』
「紅葉先生、分からなかったとこがあるんですが」
『ごめん分かりにくかった?どこかな?』
3年Z組での数学の授業の後、沖田くんが質問に来た
『ここの所なんですがねィ』
「う、うん」
(ち、近いな)
沖田くんは教卓に立っている私のすぐ隣に立ち、ノートを広げる
『あぁここはね、ここの答えをここに代入して……』
「紅葉先生、俺、風紀委員なんでさァ」
『………え?』
突然耳元に聞こえた声に私は横を見る
「あの写真のこと、どうしやすか?
バレたらマズイですよねィ?」
沖田くんは教卓に頬杖をつきながら、至極楽しそうな黒い笑みを浮かべて私にそう問いかけた
『…………!!!?』
いい子だと思っていた爽やかな生徒君は、
ドSな生徒様でした
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