親指姫の願い事
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「チ、久々に真面目に見廻りでもしようと思ったら雨が降ってまさァ
残念、見廻りは中止にしやすかね」
「ふざけんなテメェ
真面目に行く気になったなら雨だろうがなんだろうがさっさと行ってこい!」
屯所の縁側から厚い雲に覆われた空を見ていた沖田は土方に言われ仕方なく屯所を出た
「ったく、なんでこんな日に限って車が全部出払ってるんでさァ」
沖田はそうぼやきながら、江戸の町を番傘を回して雨粒を飛ばしながら、のらりくらりと歩いていた
すると、路地から男の声が聞こえた
沖田は声のする路地の陰から聞き耳をたてる
「このサイズでこれだけ綺麗な顔のやつは闇市でもなかなか手にはいらねぇんだ
観賞用にもペットにもピッタリだぜ?」
”闇市”という言葉にこいつはクロだと判断した沖田は路地で話している2人の男の前に姿を現した
「ペット飼うのもいいですが、その前にケーサツに飼われるのはどうですかィ?」
売人らしい男は布で包まれた手のひらサイズの小瓶を持っていて、その向かいに立つ身なりのいい男は懐から金を出そうとしていた
「な、し、真選組だとっ!!?」
突然の沖田の登場に驚いた男達は慌てて立ち去ろうとするが、沖田は素早く2人を拘束する
売人の手を縛る瞬間、手から小瓶が滑り落ちる
先程の会話からして闇市で取り引きされるような珍しい生き物が入っているのならばこの男達を牢屋にブチ込む為の証拠になるだろうと
地面に落ちる寸前に片手でキャッチする
「話は詳しく、屯所で聞かせてもらいやすぜ?」
屯所に着き、沖田は捕まえた2人を土方に差し出した
続いて証拠の小瓶を渡そうとしたのだが
建物を破壊することなく、犯人を逮捕してきた沖田に土方はかなり上機嫌でさっさと2人を取調室へと連れて行ってしまった
沖田は後でいいかと、渡しそびれた小瓶を持ったまま自室へと向かった
部屋に戻った沖田は、自分の机の上に小瓶を置き、隊服の上着を脱ぎスカーフを少し緩めた
小瓶の中にはどんな動物がいるのだろうか?
布に覆われて中の見えないその小瓶の中身に、なんとなく興味のわいた沖田は小瓶の蓋を捻る
「な、」
沖田は瓶の中身を見て驚く
中には片手に余裕で乗ってしまうであろうサイズで見た目が人間の小人が入っていた
中の小人は服を着ていないようだが、小人の身体をすっぽりと覆ってしまうほど長い艶々とした黒髪のおかげで身体はほとんど隠れている
小人は青白い顔で魘されているようだった
沖田はスカーフをといて、起こさないようにゆっくりと瓶の中から出した小人を包むようにして寝かせてやった
そうしてから沖田は改めて小人の顔を見る
身体の大きさは手のひらサイズだが、身体のバランスは大人の人間とさして変わらない
顔は少し幼い感じはするが、十分美人の部類に入るほど整っている
「天人……ですかねィ
闇市で取り引きされるのも分からなくはねぇでさァ」
小人はスカーフに包まれて少し暖まったのか、スヤスヤと心地いい寝息を立てだした
そんな小人を見ながら、朝になって逃げていてはいけないと思った沖田は食堂のおばさんに大きめで底の深い瓶を貰い、その中にスカーフに包んだまま小人を入れてやった
、
1/7ページ