人魚姫の声
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「は?大切なものを盗まれただ?」
タバコをくわえ、今回の捕り物で新たに増えた沖田による破壊活動の請求書を睨みつけながら土方が目の前の沖田とその隣に座る真選組唯一の女隊士である紅葉に話しかける
「報告書には何も書いてねぇじゃねぇか」
「だから言ってんじゃねェですか土方さん
紅葉の大切なものが奪われたんでさ」
「大切なものだと?だからそれはな……はっ!!?」
深刻な顔で土方を見つめる沖田に土方の中であるものが浮かんだらしく、紅葉の方を見て口を開く
「紅葉、お前まさかっ女として大切なものを奪われたとかじゃっ!!?」
土方のその発言に、沖田の隣に正座していた紅葉は土方へ白けた目線を送る
が、パニックでその目線に気付かない土方は更に言葉を続ける
「なんだ!?ベタにハートか!!?まっまさか接吻だとか、は、ははは初めてだとか、ぶべらっ!!?」
ヒートアップした土方を紅葉は真っ赤になりながら鞘に入ったままの刀でぶん殴った
部屋の壁まで飛んでいった土方を沖田は呆れた顔で見る
「土方さんムッツリもいいところでさァ何想像してんでィ」
「……」
紅葉は沖田の隣でまったくだという様子で腕を組んで頷いている
「いてぇだろが紅葉!!
何を盗まれたんだよ!?」
「声でさァ」
人差し指でトントンと、自分の喉仏を叩く沖田に、土方は紅葉へと視線を向ける
「こ……え……?」
紅葉は沖田の隣で頷きながら土方を見つめる
「俺の名前は?」
まだ信じていないらしい土方は紅葉に問いかける
が、紅葉の口は『ト、シ』と動くだけで
紅葉は口を動かした後で喉を手で覆い、首を横に振った
「嘘だろ……」
「捕まえた犯人によれば、紅葉に天人から買い付けたという薬品を塗った針を撃ち込んだらしいんでさァ
死に至ることはねェですが、なんでも見つけられた時に相手の声を一時的に声を出せなくするのに使っていて、その時は1時間程で効果が切れるらしいんですが、俺たちが突入した時に焦って、いつも薄めている薬を原液のまま針に大量に塗ったらしいんでさァ」
「ならそのうち効果は切れるんじゃねぇのか?
その間は多少面倒臭いかもしれねぇが……」
「俺もそう思ったんですがねィ
この薬を作ったって天人に話を聞いた所、本来はある天人のカゼ薬らしいんでさァ
ただ、人間の身体には合わないらしく、薄めてなら声を一時的に出なくするだけなんですが、原液のまま人間に使用した場合はずっとそのままらしいんでさァ」
「なっ!!?」
土方が紅葉の方を振り返り、紅葉は不安げな顔で土方を見つめる
「今、その天人の医師に解毒剤を頼んでるんですが、元々カゼ薬なんで、解毒剤なんてものはどう作るべきか分からないらしく、分かったとしても薬を一から作らないといけないから時間がかかるそうでさァ」
「じゃあ……」
「現時点では解決方法は無いでさァ」
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