髪長姫の悩み事
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「ねぇねぇ総悟!総悟は髪の長い子と短い子、どっちが好き?」
「何言ってんだよ近藤さん
こんなガキに好みなんかあるかよ」
「うるせー土方!
近藤さん、俺は長い方が好きですぜ」
武州にある道場で同じく修行の身であった私はこの日から……
「紅葉ちゃん!Aセット2人前!」
「はい!」
武州から幼馴染みのみんなについて来た私は、真選組の女中として働いている
仕事は掃除洗濯炊事……
そして、私には1つ、他の女中にはない仕事があった
「総悟、起きて」
「んん~」
この寝起きの悪い1番隊隊長、沖田総悟を起こすことである
声をかけようとも、肩を揺すろうとも、布団を剥ごうとも決して素直に起きない総悟にトシくんが手を焼いて、私が起こすということになった
「ったく、もう」
もぞもぞと布団の中で身体を動かすだけで全く起きる気配のない総悟に、部屋の窓を先に開けようと、私は総悟の頭の近くを歩く
「どうせなら跨いでくれりゃ下着の1つでも見れるんですがねィ」
足下から聞こえたその声に、私はビシリと固まる
「起きてんならさっさと起きろ!!」
寝起きが悪く、その上セクハラをかますこの男には私も毎朝手を焼いている
「ほら、もう朝御飯だよ」
「なにが”だよ”なんでィ
さっきみたいに昔みてぇな荒っぽい喋り方すりゃいいじゃねぇか
紅葉、起こして」
総悟はそう言いつつ両手を真っ直ぐ上に伸ばして停止している
「私ももう18なの!女の子なんですー」
と言いながら総悟の両手を掴み起き上がらせる
「軽々と起こしといてよく言いやすぜチンパンジーが」
「誰かさんが毎日毎日起き上がらせるから力がついたんでしょうが!」
そういって部屋を出ようとすると私の後ろに立っていた総悟が私の髪紐を解いた
「ちょっと!」
いつも握りこぶしくらいの大きさのお団子を頭の高い位置に作り、そこに入りきらない髪はポニーテールのように後ろに垂らしていた
「いい加減切っちまえばいいのに」
私の黒い髪は下ろすと膝の少し下くらいまであって、確かに長すぎるとは思う
手入れだって大変だし
でも、願掛けでもあり、意地でもあるから切りたいとは思わない
「これでいいの!」
「まぁよくここまで伸ばしても綺麗な髪でさァ」
「へっ!?」
総悟の一言に顔にじわっと熱が集まるのを感じる
「なに照れてんでィさっさと行きやすぜ」
しれっとなにごともなかったかのよう私を追い越していく総悟に対し、私はその場からしばらく動けずにいた
私は勲ちゃんの家がやっていた道場の近くの林で見つけられた孤児だ
勲ちゃんもトシくんもお兄さんのような存在で、総悟とは男兄弟のように育った
暗い林の中で私を見つけてくれたのは総悟だった
総悟は小さな身体で私をおんぶして道場まで連れて行ってくれたらしい
ロクに食べていなかったから痩せていたとはいえ、身体が出来上がっていない子供からすれば十分重かったんじゃないかと思う
これは勲ちゃんに聞いた話だけど、総悟は私を連れ帰った時、疲れ切って倒れてしまったのだとか
総悟は私にいじわるをするけど、私が泣いているときは黙ってとなりにいてくれる
総悟は私の命の恩人で、
ーー私の好きな人
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