鬼と記憶
名前変更
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豊臣派の屯所への襲撃から3日が経った
3人のうち先行して突入してきた鬼の血を飲んだと思われる1人は傷こそ完全に治癒したものの、間も無く息絶えた
他の2人は途中で姿を消したらしく、捕まえることは出来なかった
そして俺は、また新しい夢を見るようになっていた
「白鬼様、今日は白姫様とのお食事すっぽかすような事はしないでくだされ」
「時雨ー何度言ったら分かるのさ
白鬼様じゃなくてシロだって言ってんだろ?
第一俺嫌なんだよねーあのお姫様と会うの俺の鼻がいいの分かっててあんなキツイ薔薇の香水つけてくるんだか?嫌がらせだろ」
白鬼の奴は俺と違って時雨に名前で呼ばせるのが下手らしいということに若干の優越感を覚える
「それに引き換え時雨はほんっといい匂いだよな」
白鬼はそう言いながら時雨を俺の方……といっても白鬼の目線で見ている夢だから正確には白鬼自身へ引きつけた
「なっ!!?白鬼様!!?」
「シロだって言ってんだろー
あーほんと落ち着く」
俺……じゃない白鬼は引き寄せた時雨を後ろから抱きしめ、ふわふわの髪に顔を埋めるようにして時雨にじゃれだした
当然夢だからいい匂いはせず、無臭だが、時雨が屯所に来て間もない頃一緒に寝たときにはうっすらと心地よい梅の匂いがしたことを覚えている
「なっななな何をしているのですか白鬼様っ!!?
今日こそ白姫様とのお食事に行っていただかなくては!」
「うるさいなーちょっと黙ってろよ
充電中~」
後ろから抱きしめられているがバタバタと暴れる時雨の耳は真っ赤に染まっている
「時雨、本当に俺があの白姫の所に行ってもいいのか?
あの女、隙あらば婚姻の話に持っていくような女だぞ?
……嫉妬、しないのか?」
その言葉に腕の中で暴れていた時雨が止まる
しばらく黙っていた時雨はゆっくりと口を開いた
「白鬼様は代々、その高貴な血を汚さんが為に白鬼の一族としか婚姻を結んでおりませぬ
白鬼様が抵抗なさったとしても、いずれはそうなるのがしきたりでございまする
お戯れとはいえ、最下級身分であるこの緑鬼の女など相手にするのはおやめくだされ
……まして僕が嫉妬するなんてことはあり得ませぬ」
その言葉に一瞬腕の力が抜ける
その隙を逃さぬように時雨が俺の腕から抜け出し、部屋から走って出て行った
俺は見逃さなかった
時雨の辛そうで、なんとも言えない切ない表情をしていたのを
。