鬼と名前
名前変更
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あの日、猿の面を被った男の1人と戦った時に、俺は時雨の血を飲んだらしい
記憶はおぼろげにしかなく、あいつが俺の目の前に庇うように立った所くらいまでしか覚えていない
時雨の話によると俺は人間とは思えない速度で相手を斬りつけたらしい
「総悟、身体の調子はどうだ」
「土方さんが来たせいで悪くなりやした」
俺と同じように猿の面の男も時雨の血を飲んだらしいのだが、そいつは死んでしまったらしい
そのせいか、俺はあの日から3日も経っているのに近藤さんや土方さんが妙に過保護で部屋の中で大人しくするように言われている
「時雨に聞いたんだが、300年前豊臣派が血を集めてたのは鬼を探すためだったらしい
鬼ってのは時雨がそうだが人間では到底敵わないようなやつばかりらしいからな
そいつらを自分達の仲間に取り入れるのが目的だと言っていた」
「いや、たしかに鬼を探すってのは合ってると思うんですが、鬼の血には単純にもっと別の力がありまさァ」
「別の力?
あぁ、時雨の血を舐めたお前が人間とは思えない速さだったって話か加えてかなり深い傷も治ったとか
だが、同じように血を舐めた豊臣派の1人は外傷もないのに死んじまったぞ?」
「俺だから大丈夫だったってことはないですかねィ」
「お前だからって……まさか」
「鬼の子孫なら鬼の血でパワーアップしても死なないんじゃねぇんですかねィ」
「鬼の子孫を探すのと鬼の血を探すのに”採血”がうってつけって事か」
俺は黙って土方さんの言葉に頷く
「ただ、時間が経てば普通の人間は死んじまうとしても、時雨の血を飲んだ後の奴には全く歯が立ちやせんでした
まずあいつの血を敵に触れさせねぇようにするのが第一でさァ」
豊臣派が鬼の血と鬼の子孫を使って鬼の軍を作ろうとしている
俺たちの考えはそこで完結したが、それはまだ豊臣派の計画の一部だった
「おーきた!ヨモギ団子買ってきたぞ!一緒に食べないか!」
時雨が見廻りを終え、沖田の部屋に入ってきた
「時雨、お前見廻り行くたびにサボってたら土方さんにどやされますぜィ?」
「沖田に言われたくないな
第一、僕にサボりを教えたのは沖田だ
あ、今日は途中で銀時殿に会ってな……」
時雨は今日万事屋の旦那に会った事を楽しげに話しているが、俺の頭には全く入ってこない
ただただあいつが”銀時殿”と言う声だけがどうもハッキリ聞こえる
「それで、神楽が銀時殿に……って聞いてるか沖田?」
「総悟」
「沖田?」
「そーご」
「そ、そーご?」
「総悟」
「うん?総悟?」
「で、なんの話でしたかィ?」
「そうそう沖田、それでな!」
「総悟!!」
「ん?うん総悟だな
……へ?」
どうも様子のおかしい沖田に、時雨は首を傾げる
「あ、総悟?」
「なんでさァ」
そっぽを向いているものの返事をする沖田に時雨はこれが正解だったのだと納得する
「おき……総悟、お前結構可愛いところがあるんだな」
時雨はニヤニヤしながら反対を向く沖田の顔を覗き込む
が、覗き込んだ沖田の顔はほんのり赤くなっていて……
「へ、いや、なんでそんな顔してるんだ沖田」
「だから総悟だっていってんでさ!」
沖田が時雨の方へ振り向くと時雨の顔が間近にあった
「なっ!!!?」
「え、どうしたんだ?顔が赤……」
「なんにもねェでさ!!
団子食べるんで出てってくだせェ!」
「団子なら一緒に食べれば……」
「1人で食べまさァ」
「怒ってるのか?」
「怒ってやせん!」
「分かった、よく噛んで食べろよ?」
時雨が部屋を出て行き、沖田が呟く
「俺はジジィですかィ」
。