鬼と白姫と鬼の子孫
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「時雨!時雨!沖田くんいる!?」
「時雨!いるアルか!!」
ドンドンドンと屯所の門を叩くのは万事屋のメンバー
しばらくそうして騒いでいると、門が開き、土方がタバコを咥えながら五月蝿えと言わんばかりに仁王立ちで立っている
「時雨は今自分の部屋だ
総悟は用事があるとか言って町外れのビルへ行ったが?」
「町外れのビルだと!?じゃああいつ……」
「白姫のところに行ったアルな」
銀時と神楽から出て来た白姫という言葉に土方が反応する
「な、おい白姫って」
「奴が親玉なんだよ、豊臣派の
豊臣派なんて名乗っちゃいるが、もう豊臣なんて存在してすらねぇーんだよ
豊臣派は白姫の手駒だ」
桂から得た情報で豊臣派の事やアジトを突き止めた銀時は土方にそう伝える
「それだけじゃねェ
あの女、仲間に何人か鬼の子孫がいるらしいんだが、どいつもこいつも身寄りがないのを白姫に引き取られてやがる」
「な、」
「身寄りがなくなった原因は白姫による暗殺、全部白姫の自作自演ネ
でも、白姫は月光鬼の仕業だって言って子孫達に時雨を殺させようとしてるアル」
「真実が分かれば、白姫の所にいる人達は居なくなるはずです!」
まくしたてるように口々に言う万事屋の面々に、土方はチッと舌打ちをするとパトカーを手配し、万事屋、そして、近藤、山崎と共に町外れのビルへ向かって走り出した
「あぁ本当にあの方と瓜二つなんですのね
短い髪も素敵ですわ」
白姫のその言葉に沖田は眉間にシワを寄せる
「テメェ、生まれ変わりじゃねェな」
「えぇ、あなたが生まれ変わるのを何百年もこうして待っておりましたのよ」
ふふ、と声を出して笑う白姫に沖田は更に目つきを鋭くする
「月光鬼について知ってる事を全て教えろ」
沖田がそう言うと、御簾から漂う白姫の空気が一気に冷たいものにかわる
「あぁ、あなたは生まれ変わってもあの鬼に囚われてしまっているのね
あなたを解放するために、私の血をそこのヒノトや他の鬼の子孫、それから馬鹿な人間風情にもあたえたのですけれど、やはり月光鬼は殺せない
白鬼様?貴方があの小鬼をここに連れて来てさえ下されば私がとどめを刺して差し上げますわ」
「勘違いしねェでくだせェ
俺は殺しを頼みに来たんじゃねぇ」
「……馬鹿な人、あんな害獣を生かすすべなんてありませんのよ」
冷ややかな声でそう告げる白姫に沖田はグッと拳を握りしめる
「テメェに聞きに来たのが間違いだった」
沖田が踵を返して帰ろうとすると、ヒノトが入り口を塞ぐ
「白鬼様、いえ沖田さん
どうして貴方は月光鬼を殺して下さらないのですか
10年前、僕や仲間達の家族を皆殺しにしたあの鬼を!!」
ふるふると震えるヒノトに沖田は冷静に答える
「時雨の封印を俺が解いたのはつい最近だ
少なくとも、お前や仲間達の親を殺したのは時雨じゃありやせん」
ヒノトは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに元の顔に戻った
「そ、そんなわけない
月光鬼はずっと白姫様から逃げてるんだ
それを見つける為に僕は、僕らはずっと……」
ヒノトは腰に差していた小刀を二本抜き去り沖田に突進していく
沖田も刀を抜き、ヒノトの刀を受け止める
「お前はおかしいと思わないのか
偶然、鬼の子孫ばかりが殺されて、白姫がお前らを匿ってるのが!」
「それは、月光鬼の後を白姫様が追って来ていたからだ!」
「じゃあお前は白姫から白鬼の事をどう聞いた?
白姫の婚約者で、昔に月光鬼に殺されたとでも聞かされてるんじゃないのか!」
「そうだ!沖田さんだって、白鬼様の記憶があるなら、あの鬼に殺された記憶が……」
「あぁ、記憶ならハッキリある白鬼を殺したのは白姫でさァ
生まれ変わるのをいい事に殺しやがったんでさァ!」
沖田のその言葉に、ヒノトの力が弱まる
ヒノトが白姫の方へ視線を向けると、御簾の中から小刀が飛び、ヒノトの腹へと刺さった
「ぐふっ……なっ、白姫っ、様……?」
「白姫テメェ!」
「そこまで聞いてはもう前のように私に忠誠は誓えないでしょう」
沖田はその場に倒れこんだヒノトを支える
「あ、なた、だったんですか、僕の、僕らの家族を殺したのはっ!!」
「おい喋るな!血が、」
ヒノトの朱い瞳は復讐の色に染まり、獣のように低く唸る
「その傷では助かることもないでしょう
ヒノト、お前は1番忠実な犬だったのに、残念ですわ」
ヒノトが自分を支えている沖田の腕を爪が食い込むほどに強く握りしめる
「全部、全部、白鬼様が悪いのよ!
いつまで経っても私と結婚せずにあんな化け物に心を奪われているから!!
だから私は豊臣に血を捧げ、禁忌とされている同族殺しにまで協力した!!それでも結婚して下さらないから!だからあの化け物のいない時代で貴方を探そうとしたのに!貴方を見つけたときにはまたあの化け物がいたのよ!!」
急にヒステリックを起こした白姫が、御簾の中で立ち上がるのが見える
ブチブチと何かが千切れるような音がして、御簾から青白い腕が覗く
現れた白姫は、夢で見た時とはまるで違う見た目だった
頬はこけ、髪は痛み、角にはヒビが入っている
着物からは何年も歩いてないような足が見え、所々皮膚がただれている
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