鬼と本能
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「………」
沖田とのデートが終わり、屯所へ帰ってきた時雨は、沖田が見立てた着物を着たまま、自分の部屋にある鏡の前に立っていた
時雨は何度かくるくると鏡の前で回ると、満足気にヘニャっと笑う
沖田が時雨の為に選んだ着物は、クリーム色っぽい白地に黄色や橙色の細かい花柄が施されたもので、かなり値打ちのあるものだろうというのが素人目にもわかる着物だった
白鬼の護衛としていた時は、仕事上こんな綺麗な着物は着せてもらえず、いつも白鬼の元に求婚に来る女鬼達の着物を見ては羨ましいと思っていた
それを見た白鬼が着物をくれたこともあったが、すぐに白鬼の知らない所で世話係に燃やされたり、捨てられてしまったりと1度も袖を通せたことはなかった
そんなこともあってかなりご機嫌な時雨はその気分のまま風呂へ行こうと部屋を出て廊下に出る
今日は少し雲が出ているが、月は綺麗に見える
時雨は無意識に廊下から見る月を見るのが癖になっていた
もう少しで満月になろうかという月が放つ淡く優しい光は、今日水族館でみたクラゲと同じく時雨に沖田の事を思い出させる
時雨は穏やかな顔で微笑んだ
少しの間月を見つめた後、廊下の方に目を戻すと、風呂上がりらしい沖田が立っていた
が、どうも沖田の様子がおかしい
何かに驚いているような、困惑しているようなそんな表情で時雨の方を見て固まっている
「総悟?どうしたんだ?」
時雨の声に反応した沖田はハッとしたようになると、
「……なんでもありやせん
時雨もさっさと風呂入って寝なせェよ」
「あ、あぁ」
きっと、今日は遊んで疲れたのだろうと時雨は深く考えずにすれ違った沖田の背中を見送った
廊下の角を曲がり、沖田の姿が見えなくなったのを確認してから、時雨は風呂へと向かった
、