鬼とでりかしー
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総悟のやつが見たこともない姿になって帰って来た
万事屋に連れていかれた時雨を連れ戻しに行った際、豊臣派と戦うために時雨の血を飲んだ結果こうなったのだと近藤さんと俺、同じく事情を知っている山崎は総悟から説明を受けたが、今のこいつにはなかなか慣れない
元々赤い瞳は時雨のように瞳孔が縦に開いて猫のように見える
髪は完全な白ではなく、クリーム色に近い白というのが俺の感覚だ
が、何より変化が大きいのは見た目ではなかった
「い、一本!!沖田隊長の勝ちです!」
いつもならほぼ互角、調子の良さで勝敗が分かれる、俺と総悟、一対一での打ち合い
が、正直今の総悟に勝てる気がしないほど、総悟は強くなって帰ってきた
単純に力が強くなったのもあるが、速さ、技のキレ、全てが洗練されている
元々人より頭一つ飛び出した剣の才能のあるこいつは頭一つどころではないほどの強さを身につけた
「いつまで座り込んでるんですかィ」
総悟が俺を立たせようと手を差し出す
「うるせぇ」
総悟の手を掴むとグッと引き上げられ、軽々と立たせられてしまった
「慣れねぇな、その髪」
「そうですねィ……」
「?」
どうもあまり元気のない総悟に俺は違和感を覚える
「ん?なんかあったのか?」
「……あっても土方さんには言いやせん」
総悟はそう言うと「汗流してきまさァ」と言って風呂場へ行ってしまった
「は?総悟の様子がおかしい?」
「なんか元気がないというか、その証拠に前よりも襲撃の回数が減ってる気がする」
「総悟の元気をなにで判断してるのトシ
だがまぁ確かに様子は変だなてっきり時雨ちゃんとこのままうまいこといってこの連載終わりかなって思ったんだけど」
「いきなりそういうこと言うのはやめてくれ
時雨とうまくいってないのが原因なのか?」
土方と近藤がそんなことを話している頃、沖田と時雨は帰ってきてから1週間ぶりに2人で見廻りに出ていた
万事屋から帰って次の日には時雨の腹の傷は完治していたのだが、心配性の近藤によってここ1週間書類整理ばかりしていた
「……………」
「……………」
時雨が勝手に帰った日から、2人は全く会話をしていない
沖田は時雨に何度も話しかけようとしていたが、時雨はここのところ沖田から逃げるような生活を送っていた
沖田自身、白鬼の子孫という肩書きを持っていた坂田銀時から時雨を取り返したにもかかわらず、縮まるどころかむしろ広がった時雨との距離に、この1週間でかなりのストレスを溜めていた
「時雨」
「な、ななななんだ?総悟?」
明らかに動揺し、こちらと目も合わせようともしない時雨に、人の困った顔が大好物のはずの沖田は険しい顔をする
「時雨ーいい子だからこっち向きなせェ」
まるで子供に言い聞かせるようなその態度に時雨が反応してこちらを向く
「な、なんだ」
「もっとちゃんと見なせェよ
ザキに聞きやしたぜ?今の俺は白鬼に瓜二つらしいじゃねぇか
もっとよーく見たらどうなんでィ」
自分の言葉に顔を赤くすると思っていた沖田だが、時雨の表情は何故か深刻だった
「………時雨?」
「いや、その……」
時雨は万事屋からの帰り、白鬼の生まれ変わりの俺が好きか、そうじゃなかったとしても俺が好きかという沖田の問いに答えることなく走って帰ってしまった
正直、沖田は少し、時雨が沖田総悟という人間が好きだと答えてくれるのではないかと期待していた
銀時に連れて行かれる時に沖田の方を振り向いたその表情は白鬼に向けた表情と同じだったからだ
ましてやあの時は沖田が白鬼の生まれ変わりだなんて話は全く出ていなかった
(あの顔は、俺に向けた顔だと思ったんですけどねィ)
時雨は一体何を悩んでいるのだろうか?
口づけすることも拒まず、好きだと伝えた時は戸惑いつつも嬉しそうな表情をしていた
「じ、時間が欲しいんだ
僕の気持ちを自分で理解するために……」
「?」
不思議そうな顔をする沖田に時雨は、言葉を続ける
「きっと好きなんだ
それは分かるが、生まれ変わりでなくても僕が好きだと言ってくれる沖田ほど、僕は、自分の気持ちに自信が持てないんだ
だから、時間が欲しい」
久々にこちらを真っ直ぐ見つめてそう言い切った時雨に沖田は頷くしかなかった
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