鬼と生まれ変わり
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「うぅん……あれ、ここは……」
「あ、時雨!目を覚ましたアルか!
何か欲しいものがあったらエンリョなくいうネ!」
「……神楽?……すまない、水を一杯くれないか」
襲撃のあった翌日の夕方、ようやく目を覚ました時雨は貧血で頭がクラクラするのか、起き上がっただけで頭を押さえた
「水アルか!わかったアル!」
神楽はさっと立ち上がりバタバタと部屋を出て行った
ふと、布団の上を見ると、自分の隊服の上着が被せてあった
「!!
そういえば総悟が来たんだったな……
神楽の様子から見るに、銀時殿も総悟も大した傷は負わなかったか……よかっ………」
そう言いながら、時雨は沖田が自分の血を飲んだ時のことを思い出してしまい、顔を真っ赤にして布団を頭まですっぽりとかぶった
(あ、ああああれはあの緊急時に素早く血を得る為の総悟にとっては苦肉の策であって……!!決して口づけなどでは、決して!!!!)
そんなことを考えているうちに、部屋に誰かが入って来た
「あぁ神楽か、ありが……」
「チャイナじゃねェですぜィ」
が、入って来たのは神楽ではなく沖田だった
しかも総悟の髪は月の色に染まっていて、髪が短いだけで白鬼の生き写しと言っていいほど白鬼にソックリだった
「ほら、水」
沖田が時雨の隣に座り、水を時雨に手渡す
「お前、その、髪……」
「あぁ、お前の血飲んだらこうなっちまいやしてね
ほら、瞳も時雨みたいになってまさァ」
瞳を見せるために沖田はグッと時雨に顔を寄せる
が、時雨はそれから逃れるように顔を沖田から背ける
「あ、あぁそうだな、僕みたいだな
わ、わかった、わかったから」
顔を背ける時雨に沖田はさらにグイグイと近づいていく
「~~~っ!!」
顔を赤くする時雨に沖田はニヤリとした顔を浮かべる
「時雨、鬼ってのは生まれ変わるそうですねィ?」
「え?あ、あぁ…………え?」
ニヤリとした表情のままそう質問してくる沖田に、時雨は返事をしながら、何かに気づいたように沖田を見る
「俺が、その生まれ変わりらしいって言ったら、どうしやす?」
「!!」
「昨日の晩、お前の血は飲んでないのに、お前の記憶を見たんでさァ
……正確には白鬼の記憶と言うべきですがねィ」
「僕の記憶を見ていたんじゃないのか?」
「時雨の記憶を見ているなら時雨の視点からの記憶になるはずだろ?だが、俺が見てきた記憶は全て白鬼の視点からだったんでさ
お前が記憶の中に出てるうちはそんなに気にしてなかったんですが、昨日のはお前が知り得ない記憶のはずでさァ」
「僕が知らないシロの記憶……?」
そこで沖田はふっと息をつき、時雨の目を真っ直ぐ見つめる
「時雨、お前は白鬼が白姫と結婚して、ガキ作って、寿命で死んだと思ってるんじゃねぇんですかィ
そのガキから続いてきて旦那が白鬼の子孫だって」
「そ、そうだ、だってシロは白姫様と結婚することになっていたのだから……」
「白鬼は、白姫に殺されたんでさァ
殺される記憶を、俺は見やした」
「なっ!!?白姫様がそんな事っ!!?」
「嘘じゃありやせんだって………っ……」
ここから先は話すべきかと沖田が言葉を詰まらせる
白姫が豊臣派に血を与え、同族殺しをしていた事、それを話してしまえば、時雨の両親を殺すのを命じたのが白姫であることも分かってしまう
だが、時雨には伝えなくてはならない
「豊臣派に血を与えていたのは白姫なんでさァ」
「……え……?」
「鬼が人間に脅やかされれば、白鬼が自分と結婚せざるを得なくなると思ってたんでさァ」
「そ、れで、同族殺しをしたと言うのか……?僕の父上と母上もっ!?」
「……」
沖田は静かに頷き、呆然としている時雨を自分の方へ引き寄せ、まだ完全に完治していない傷を痛めないように優しく抱きしめた
「こんな話して悪ィ」
沖田は時雨に深く懺悔するようにそう呟く
「………ぼ……は……」
「?」
「僕は、白鬼様を、シロを守れなかった役立たずだ
最下級身分の緑鬼のくせに、白鬼様の世話係でただの護衛のくせに、シロを好いてしまった!白姫にもどれほど嫉妬したか分からない、あげくシロが殺されると言う時に刀に封印された役立たずなのに僕が、僕なんかがっ………」
「時雨?」
「……僕なんかが、生きていてもいいのだろうか……?」
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