鬼と白い鬼
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「グルルルルル……」
「ん?定春どうしたアルか?」
真夜中、普段朝までぐっすり眠っている定春が何かを警戒するように唸り声をあげ、神楽が目を覚まして尋ねる
襖を開けると、どうやら同じ部屋で寝ていた時雨は目を覚ましていたらしく、何故か起きて真選組の隊服を身につけていた
持っていない上着以外の隊服を着終わり刀を腰にさすと、時雨は神楽に気がついたように振り返る
「悪い神楽、起こしたか」
「………時雨……?」
謝罪をする時雨の声は穏やかなのに、暗い部屋の中で金の瞳とツノが鋭く輝く
「神楽、定春と押入れの中に入っておれ」
「な、どうしたアルか?時雨、どこに……っ……」
自分には向けられてはいないものの、ギラギラとした殺気を放つ時雨を神楽は引き止めることが出来ず、時雨は部屋を出て行き、少しして玄関の扉が開く音がした
「時雨!?」
その音に反応したのか銀時も続いて万事屋を出て行った
銀時が玄関を出ると、時雨が万事屋の前の道の真ん中に1人で立っていた
「時雨、おい、どうした?」
「銀時殿、中に入っていて下され
昨日の昼間の連中がまた来る、しかもこの前より多い」
「ふざけんな、俺も一緒に戦うんだよ
なんの為に守れないあいつらのところから連れ出したと思ってんだ」
「なら、僕の血を飲んでくれないか」
「血は飲まねぇ
たとえあいつらが血を飲まなければ戦えない相手だとしても俺は俺の力で……」
「ならば中に入っていて下され
やつらを相手に銀時殿を護りながら戦うことは僕には出来ない」
真っ直ぐ前を見据える時雨のその言葉に、銀時は言葉を失う
血を飲まないのであれば、足手まといだ
時雨はそう言っているのだ
だが、銀時も譲るわけにはいかない時雨が自らを傷つけて得た力で時雨を守っても意味がないと、時雨には自分が本気であることを示さなくてはいけない
時雨の心の中にいるのは自分ではない
それがわかったからこそ、時雨に足手まといだと言われようと引き下がるつもりはない
「お前には俺に命令する権利はないぜ
俺は俺で勝手にやらせてもらう」
そう言いながら木刀を構えた銀時を時雨は険しい目でチラリと見ると、バッと上を向いた
「…………来た」
時雨は刀を抜き、万事屋の前の建物の屋根から飛び降りて来た豊臣派に飛びかかり、1人を斬りつけた
普通ならば確実に死に至る致命傷にも関わらずその1人の傷はすぐに塞がりまたもや時雨におそいかかる
反撃に備え体勢を整えていた時雨の目に邪魔者を消してしまおうという考えか、一斉に豊臣派に飛びかかられている銀時がうつった
銀時はあまりのスピードのせいか防御すら出来ていない
グサグサグサッ!!
「……つっ……」
攻撃されると思った瞬間に銀時の身体は突き飛ばされ、倒された
銀時が目を開けると時雨が自分の頭の横に両手をつくようにして覆い被さっている
「大丈夫か、銀時殿」
そう尋ねる時雨に答えようとするが、自分の胸や腹の辺りが生暖かい
視線をそちらにやると、おびただしいほどの血が時雨の腹から自分へと落ちていた
豊臣派の刀が三本、時雨の腹を貫通している
「時雨、お前っ!!!」
「大丈夫だ、これくらいの傷なら一日あれば塞がるっ……ゲホッゴボッ
だから、銀時殿、血を飲んでくれ
そうすればこいつらなんて銀時殿の敵ではない」
吐血しつつも必死に訴える時雨の頭の上に追撃を仕掛けようとする豊臣派の姿が見えた
銀時はくやしそうな表情を浮かべながら、時雨の口から流れる血を指でぬぐい、自分の口に含んだ
「っらぁ!!」
銀時は時雨を腕に抱えて立ち上がり、木刀を真横に振る
10人ほどの豊臣派の人間は銀時の攻撃で吹っ飛ばされて倒れたが、ゾンビのようにフラフラと立ち上がる
「っくそ、前の奴らより頑丈になってねぇか!!?」
立ち上がった豊臣派はまた一斉に銀時へと攻撃を仕掛ける
銀時はすぐさま防御しようとするが、豊臣派が以前戦ったものよりも早く、2人の攻撃を受けきれずに、右腕と右肩を怪我してしまった
木刀を持つ腕をやられたことで銀時はすぐ反撃をすることが出来ない
傷が治癒するまで時雨を守れるか、と思った時、声が響いた
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