short(gnsn)
クレー/単発
お相手というよりコンビ感が強い。
草元素実装前に書いた産物のため、実際の草元素キャラとはイメージが違う可能性があります。
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【燃焼系猫耳男子】
全ては、あのやりとりから始まった。
「ねこちゃんのおにいちゃん、困ってるの? クレーが助けてあげる!」
「誰がねこちゃんだ!」
あの反論は今思い返すと大人気なかったかもしれない。だが生まれてこの方、故郷を飛び出してからと言うものの何度も呼ばれてきたその愛称――もとい蔑称に、俺はうんざりしていたのだ。だから、自分よりも一回りも小さい少女に怒鳴ってしまった。
が、俺の杞憂もどこ吹く風で、少女は「ええ?」とおかしな顔をして首を捻っていた。
「ご、ごめんねえ。クレー、おにいちゃんのその耳、ねこちゃんだと思ったの。えーっと……長靴のおにいちゃん?」
先程から繰り返している「クレー」というのが、どうやら彼女の名前らしい。赤い大きな帽子で目立ってはいないものの、そう言う彼女の耳こそ、他の人間のものとは異なった形をしていた。平たいものではなくもっと鋭く長い耳。おそらくは長寿で知られる種族、エルフのそれだろう。
彼女がエルフだと気が付いたところで、俺はとある噂を思い出した。モンド城が誇る西風騎士団の中でも称号持ちの騎士――その中に「火花騎士」という風変わりな騎士がいる、と。
たしかその騎士の名がクレーと言った気がしたのだ。
自由の国、モンド。
その象徴たる城の外。風神バルバトスを形取った七天神像の足元で、湖面を見つめていた時だった。
徐に現れた少女が、魚を片っ端から爆破していった。つい数秒前まで泳いでいた魚達はあっという間にこんがり焼かれた魚肉になり、あわせて爆破の際の風圧で湖面が大きく揺れ飛沫が上がった。当然、近くにいた俺はずぶ濡れの湿潤状態である。
特に悪びれた様子もなく――というより魚を爆破出来たことに喜ぶだけで俺のずぶ濡れ具合には全く関心がないようだ――少女はこちらへ駆け寄ってきた。そして上から下まで俺を眺めると、一点を指差して声を上げた。
「神の目! クレーとおんなじ!」
溜息を飲み込んだのは、少女があまりにも目を輝かせていたからだ。
「でもおにいちゃんの神の目はジン団長よりも緑色だ」
「……お前も」
「うん! クレーのは赤色だよ」
くるりと軽やかな足取りで体を反転させ、背負っていた大きめの鞄を見せた。確かにその鞄には炎元素を表す印が刻まれた赤い宝玉が、モンドを表す装飾に嵌め込まれている。
どうやら火花騎士とは、神の目所有者の子どもだったようだ。それがまさか爆弾魔だとは思わなかったが、大の大人に怒鳴られても動じない根性と、一人で城の外を出歩ける強さを持ち合わせていることは間違いない。
くるりと尻尾が無意識に揺れた。気が付いたのは、彼女がそちらへ目を輝かせたためだ。俺はわざとらしく咳払いをすると尻尾を仕舞い込み、彼女――クレーへと尋ねた。
「一体何の用だ」
「ここでずっと立ってたから困ってるのかなって。クレーは西風騎士団の一員だから、困ってるひとを助けるのがお仕事なんだ。クレーは今お仕事中なんだよ!」
あんなにはしゃいで魚を爆破していたのに?
そう言いかけたところで、俺は慌てて口を閉じた。どうせ面倒くさい問答が始まってしまうのだろう。
(なんでこんなガキの相手をしなきゃならないんだ)
俺は苛ついていた。この騎士さまも仕事中なら、俺も仕事中なのだ。冒険者協会からの依頼で支援に行ってみると、不運と名高い冒険者のフォローを任された。様々な偶然の出来事に見舞われたが、一番の不運は「彼と俺の神の目の相性」だった。……その不運の冒険者も、このクレーと同じ炎の神の目の持ち主なのだ。何とか冒険者の依頼は達成されたものの、戦闘が起きた辺り一面は元素的に大炎上を起こした。元々燃えやすい草原に加え、俺の草元素が着火および燃焼材になった。彼には相当謝られ晩飯の奢りも譲歩されたが、丁重にお断りさせてもらったところである。この不運なヤツには相当の幸運の女神を連れてこないと相殺できない、そう肝が冷やされた。
炎の奴とはもう金輪際付き合わん――そう心に決めた矢先のこの出会い。俺は我慢の限界だった。
近くにあったラズベリーの枝に触れる。神の目を使って元素の流れを掴むと、その流れに沿ってやる形で触れた指を流した。枝は急速に成長し――否、ラズベリーの枝を幹にしてひと回り太い枝が伸び、湖を突っ切って橋を作り上げた。橋の完成を見届ける前に荷物を瞬時にまとめ上げると、その場にクレーを置いて走り出す。
が、
「うわあ! すごーい!」
どたばたとご機嫌な騎士さまも追いかけてきた。
「なんで追いかけてくるんだ! お前の相手をするほど暇じゃない、仕事をしろ!」
「遊んでないよ、お仕事中だもん! 長靴のおにいちゃん、ドカーンしたお魚でバター焼き作ろう? アルベドおにいちゃんが美味しいって言ってたの。クレー、お腹空いたよぅ」
「ひとりで食ってろ!」
道中の炎スライムなんて眼中にも入らない。それよりももっとおそろしいものが追いかけてきていた。
お相手というよりコンビ感が強い。
草元素実装前に書いた産物のため、実際の草元素キャラとはイメージが違う可能性があります。
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【燃焼系猫耳男子】
全ては、あのやりとりから始まった。
「ねこちゃんのおにいちゃん、困ってるの? クレーが助けてあげる!」
「誰がねこちゃんだ!」
あの反論は今思い返すと大人気なかったかもしれない。だが生まれてこの方、故郷を飛び出してからと言うものの何度も呼ばれてきたその愛称――もとい蔑称に、俺はうんざりしていたのだ。だから、自分よりも一回りも小さい少女に怒鳴ってしまった。
が、俺の杞憂もどこ吹く風で、少女は「ええ?」とおかしな顔をして首を捻っていた。
「ご、ごめんねえ。クレー、おにいちゃんのその耳、ねこちゃんだと思ったの。えーっと……長靴のおにいちゃん?」
先程から繰り返している「クレー」というのが、どうやら彼女の名前らしい。赤い大きな帽子で目立ってはいないものの、そう言う彼女の耳こそ、他の人間のものとは異なった形をしていた。平たいものではなくもっと鋭く長い耳。おそらくは長寿で知られる種族、エルフのそれだろう。
彼女がエルフだと気が付いたところで、俺はとある噂を思い出した。モンド城が誇る西風騎士団の中でも称号持ちの騎士――その中に「火花騎士」という風変わりな騎士がいる、と。
たしかその騎士の名がクレーと言った気がしたのだ。
自由の国、モンド。
その象徴たる城の外。風神バルバトスを形取った七天神像の足元で、湖面を見つめていた時だった。
徐に現れた少女が、魚を片っ端から爆破していった。つい数秒前まで泳いでいた魚達はあっという間にこんがり焼かれた魚肉になり、あわせて爆破の際の風圧で湖面が大きく揺れ飛沫が上がった。当然、近くにいた俺はずぶ濡れの湿潤状態である。
特に悪びれた様子もなく――というより魚を爆破出来たことに喜ぶだけで俺のずぶ濡れ具合には全く関心がないようだ――少女はこちらへ駆け寄ってきた。そして上から下まで俺を眺めると、一点を指差して声を上げた。
「神の目! クレーとおんなじ!」
溜息を飲み込んだのは、少女があまりにも目を輝かせていたからだ。
「でもおにいちゃんの神の目はジン団長よりも緑色だ」
「……お前も」
「うん! クレーのは赤色だよ」
くるりと軽やかな足取りで体を反転させ、背負っていた大きめの鞄を見せた。確かにその鞄には炎元素を表す印が刻まれた赤い宝玉が、モンドを表す装飾に嵌め込まれている。
どうやら火花騎士とは、神の目所有者の子どもだったようだ。それがまさか爆弾魔だとは思わなかったが、大の大人に怒鳴られても動じない根性と、一人で城の外を出歩ける強さを持ち合わせていることは間違いない。
くるりと尻尾が無意識に揺れた。気が付いたのは、彼女がそちらへ目を輝かせたためだ。俺はわざとらしく咳払いをすると尻尾を仕舞い込み、彼女――クレーへと尋ねた。
「一体何の用だ」
「ここでずっと立ってたから困ってるのかなって。クレーは西風騎士団の一員だから、困ってるひとを助けるのがお仕事なんだ。クレーは今お仕事中なんだよ!」
あんなにはしゃいで魚を爆破していたのに?
そう言いかけたところで、俺は慌てて口を閉じた。どうせ面倒くさい問答が始まってしまうのだろう。
(なんでこんなガキの相手をしなきゃならないんだ)
俺は苛ついていた。この騎士さまも仕事中なら、俺も仕事中なのだ。冒険者協会からの依頼で支援に行ってみると、不運と名高い冒険者のフォローを任された。様々な偶然の出来事に見舞われたが、一番の不運は「彼と俺の神の目の相性」だった。……その不運の冒険者も、このクレーと同じ炎の神の目の持ち主なのだ。何とか冒険者の依頼は達成されたものの、戦闘が起きた辺り一面は元素的に大炎上を起こした。元々燃えやすい草原に加え、俺の草元素が着火および燃焼材になった。彼には相当謝られ晩飯の奢りも譲歩されたが、丁重にお断りさせてもらったところである。この不運なヤツには相当の幸運の女神を連れてこないと相殺できない、そう肝が冷やされた。
炎の奴とはもう金輪際付き合わん――そう心に決めた矢先のこの出会い。俺は我慢の限界だった。
近くにあったラズベリーの枝に触れる。神の目を使って元素の流れを掴むと、その流れに沿ってやる形で触れた指を流した。枝は急速に成長し――否、ラズベリーの枝を幹にしてひと回り太い枝が伸び、湖を突っ切って橋を作り上げた。橋の完成を見届ける前に荷物を瞬時にまとめ上げると、その場にクレーを置いて走り出す。
が、
「うわあ! すごーい!」
どたばたとご機嫌な騎士さまも追いかけてきた。
「なんで追いかけてくるんだ! お前の相手をするほど暇じゃない、仕事をしろ!」
「遊んでないよ、お仕事中だもん! 長靴のおにいちゃん、ドカーンしたお魚でバター焼き作ろう? アルベドおにいちゃんが美味しいって言ってたの。クレー、お腹空いたよぅ」
「ひとりで食ってろ!」
道中の炎スライムなんて眼中にも入らない。それよりももっとおそろしいものが追いかけてきていた。
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