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メソポタミア組短編集

「アナタはとってもキレイだわ。天使様みたいね」
黒いドレスを纏った桃色の瞳の少女はそう言ったが神々によって遣わされながら彼らに背き、彼らによって死に至ったワタシに天使などという言葉は、況してや白い翼など似合わない。
ところで最近のことだがボディピアスというものを知った。人理修復後のカルデアに支給された物資のなかに娯楽用として入っていた書物に写真とともに紹介されていたものだ。体に穴を開け金属の飾りを通すらしい。耳をはじめ、唇やうなじ、鎖骨に至るまで様々な箇所に通された金属はこの時代のものではないワタシには新鮮に、かつ魅力的に映った。兵器であるワタシにとって装飾など必要ない。だがあり得ないことも起こりうるカルデアという環境にほだされただろうか、少しぐらいなら霊基に手を加えてもいい、そんな気分になっていた。泥の体のワタシには人間のように痛みを伴ってまで体に穴を開ける必要はない。ただ泥と魔力の流れに多少手を加えるだけで穴は開けることができる。左右対称列に開けた穴に新宿の怪しげな白ひげの彼から融通を受けたピアスリングを着け、白いリボンを通す。コルセットと呼ばれるらしいこのピアスは折れた翼の根元のように見え、ワタシには似合いのものだった。
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