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メソポタミア組短編集

9月24日、カルデアにて。
今日はなにやらカルデア中が、特に日本出身のサーヴァントや ナーサリー・ライムをはじめとした子どものサーヴァントが騒がしく、だが楽しそうにしていた。キッチンではエミヤを中心とした料理上手な面々が一心不乱に粉を練っているようだがなにを作っているのだろうか。エルキドゥは隅の方のテーブルから一人彼ら彼女らを見つめていた。一体なにを作っているのか、そもそも今日はどんな日なのかを尋ねたいが彼らの邪魔になるだろうか。迷う彼に一つの聴きなれた声がかかった。
「そんなところでなにをしている」
「ギル」
いつの間にか近くに来ていたギルガメッシュは脚のついた木箱のようなものを持っていた。その箱も今日に関係あるのだろうか。
「ギル、今日はみんな楽しそうだけどなんの日なんだい?」
珍しく端に座るエルキドゥを心配して声をかけたギルガメッシュだったがその質問を聞いて得心いった顔をした。
「ああ、おまえはここに来て日が浅かったな。今日は中秋の名月といって月見をする日だそうだ。」
「つきみ」
ギルガメッシュの言葉はエルキドゥにとって聞き慣れない単語のオンパレードだった。
「月を見ながら団子や酒を飲む行事で日本特有のものなんだと」
へえ、とは相槌を打ったエルキドゥ、視線をキッチンの方へ向けた。それを察したギルガメッシュはこの後の予定をそっと教える。
「あの粉を練り終わったらお子様サーヴァントの手を借りて団子作りだ。入りたければ入ってこい。いーれーて、とでも言えばよかろう」
団子という見知らぬ食べ物にエルキドゥの好奇心が疼く。
「そら、粉が練り終わったようだぞ。今だ、行ってこい」
「ギルは行かないの?」
「我がそのようなことをすると思うか?王は常に民から献上を受ける身。そのようなものが」
「でもギル、子どもは好きでしょ。ほらほら」
キッチンには頃を見計らったジャック・ザ・リッパーやポール・バニヤンなどの子どもサーヴァントが集まり始めた。こっそりと混ざっている細身の男はアントニオ・サリエリか。このあとも続々とサーヴァントがやってくることだろう。本格的に団子作り大会が始まる前にあの輪に混ざらなくては。エルキドゥは半ば強引にギルガメッシュの手を引っ張った。だが抵抗の様子はない。ギル、声を合わせてせーので行こうと囁いた。せーの

「「いーれーて!」」
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