周回遅れ 黄×紫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ずっと相談されていた片想いがほんの些細なことで無事成就した
「あっけなかったなー」
一人お風呂に浸かりながら昼間の出来ごとを思い出して呟く
『玉さん!なんか…付き合えることになった』
照れ隠しなのかヘラヘラと笑いながら、でも嬉しそうにそう報告してくれた時は私も本当に嬉しかった。
「良かったじゃん。これでわたしもれにちゃんから解放されるぅ」
『ちょっと!でも、本当ありがと』
「いや、私何もしてないから」
『ううん 玉さんにしかこんなこと話せないから。聞いてくれてありがとう』
「―どういたしまして」
『また何かあったらよろしくね』
「まだ頼る気?」
『うちら親友みたいなもんじゃん?』
「調子良いやつめ」
『じゃあ帰るね、お疲れ様』
「お疲れー」
帰る時の二人の初々しい姿を思い浮かべながら、これからあんまり私からベタベタしちゃダメだよなぁとかオフの日は遊びに誘わない方がいいかとか私たちの関係も否が応でも変わってしまうのかもしれないと今さら不安になってきた
「やだな」
嫌って…何が?ポツリと呟いた自分の言葉に驚いた。
友達を取られたことが?
次の日現場に行くと案の定二人は仲よさそうに話をしていた。
それは昨日となにも変わりのない日常なはずなのに
「おはよー」
「「おはよー」」
いつもならそのまま二人の輪の中に入っていくんだけど、なんとなく気を遣って少し離れたところに荷物を置いて座った。
暇だな~
話し相手がいないわけでもないけど、
れにちゃんだから話せるくだらない話があるのに
れにちゃんに聞いてほしい相談があるのに
友達を取られたと思ってしまうことは恋なのかただの独占欲なのか
でも確かなのは確実に昨日より祝福出来ないと思ってしまっていること。
結局スタッフさんと世間話をして時間を潰した
『玉さん、行くよー』
スタジオに行くために私を呼んだれにちゃんはいつものように手を繋ごうとしてくる
私は思わず手を伸ばそうとしてしまうけど我慢した
「はーい」
さりげなく手を避けて隣を歩く私にれにちゃんは少し寂しそうに伸ばした手を下ろした
『なんか今日の玉さん変だよ?』
「どこが」
『冷たい』
「別に冷たくしてるつもりないけど」
『なんかあった?』
「なにもないって、うるさいなぁ」
『なんでそんなに不機嫌なの?』
子どもをなだめるように抱きしめてくるから本当に機嫌が悪くなるのが自分で分かって突き放した
「不機嫌じゃない。ほら、向こう帰る支度終わってるよ?早くしなよ」
『え?うーん』
自分で行けって言ったくせに、いざ本当に背を向けられると寂しくて―
『っ、なに?玉さん』
「あー…」
無意識に服の裾を掴んでいた
―やっと自分の気持ちに気付いた
遅い恋心
バカだよなぁ
『なんか悩んでるなら聞くよ』
「ううん」
『しおりん』
「ごめん本当、今日は帰る」
これ以上一緒にいたら自分が何を口走るか分からない
おまけになんか、泣きそうだし
無理矢理笑ってみせ自分の荷物を掴んで部屋を出ようとしたけどれにちゃんに腕を掴まれた
『今までたくさん聞いてもらったから今度は私が聞いてあげたいんだけど、駄目?』
言ってどうすんの
言えるわけないじゃん
「聞いたら後悔するよ?」
冗談めかして言っても笑ってはくれなくて、反対に真剣な表情にあぁ逃げられないやって思った
こんな負け戦は初めてだ
観念したと思ったのかちょっと待っててと言って私の元を離れていく
ポジティブに考えればこれで良いのかも…私の気持ちを知れば今までみたいな近すぎるスキンシップもなくなるだろうし
―そう思っていないと、もしかしたら揺らす事が出来るかもしれないなんてわがままな自分が顔を出す
一つ溜め息を吐いたところでれにちゃんが戻ってきた
『帰ろっか』
「帰るって…いいの?」
ちらっとあの子に視線を投げると『大丈夫、詩織と女子会してくるって言ってあるから』
女子会か…ニコッとほほ笑みながら言われた一言にいちいち傷付くからもう末期だ
早くこんな感情から解放されたくていっそのこと思いっきり振ってほしくなった
『うち泊まってかない?部屋の方が気兼ねなく話せるじゃん』
「え…」
『どうせ明日も朝早いしさ』
「…」
断る理由を見つけられずにいる私はれにちゃんの後を着いていくしかなかった
慣れているはずのれにちゃんの部屋が今日は居心地が悪い
『はい』
「ありがと」
手渡してくれた紅茶はまだ少し肌寒い夜に丁度良く、僅かに心が落ち着いた
『…悩んでるのって仕事のこと?』
「ううん」
『じゃあ友達?』
「…」
無理に聞き出すことはせず私が話しだすのを待ってくれるれにちゃんはとことん優しい
「…ヤなの」
『何が?』
「…」
『…』
少し困ったように微笑む顔が視界の端に入る。
あんなに一緒にいたのになんで分かんないんだよ…ってすごい自己中だな私
こんなこと言ったってれにちゃんを困らせるだけだって分かってるけど―
『…私のせい?』
ハッとして顔を上げると悲しそうな眸とぶつかる
そんな顔させたいわけじゃない
目の奥からじわりと涙がこみ上げる
『なんか、私に言いづらそうだし』
「違うよ。…ごめん」
『無理矢理聞き出そうとしてごめんね、もうこの話やめよっか』
「れにちゃんが」
『ん?』
「二人が、楽しそうにしてるの見るのが嫌だったの」
周回遅れの恋は隣にいたって一緒にゴールすることは出来ないんだ
『どういう、こと』
「二人が上手くいったって聞いた時はほんとに嬉しかったよ。でも、」
気持ちばかりが先走って上手く声にならない
「でも、うちらは?」
『何も変わらないよ?』
「変わるって!」
『大丈夫?どうした?』
落ち着かせようとしてくれる声が余計に私の気持ちを波立たせる
「大丈夫じゃない。……好きなんだもん」
どれだけ時間が経ったのか分からない
クッションに顔を埋めている私の視界は真っ暗でいっそこのままこの闇に溶けてしまいたくなる
『ありがと』
「…」
『ごめんね』
「、っ」
聞きたくなかった一言にクッションが濡れていく
さすがにこれ以上汚すのも悪いと思い顔をあげ近くにあったティッシュを手にする
『どうしたらいいかな』
「どうしたらって…」
『今までみたいに接さない方がいい?』
そんなの私だって分からない
『私は…こんなことで玉さんとの関係は変わらないって思いたい』
こんなこと…れにちゃんにとってはこんなことなんだ
「そうだね」
力なく返すことしかできない私に微笑むれにちゃんの笑顔は無垢で私を傷付ける。
私の方が先に好きだったのに
ちゃんと行動にうつせばよかった、なんてたらればばかりが頭の中を過る
最後に抱きしめられたその腕は残酷なほど優しかった
私は耐えるように目を瞑る
「あっけなかったなー」
一人お風呂に浸かりながら昼間の出来ごとを思い出して呟く
『玉さん!なんか…付き合えることになった』
照れ隠しなのかヘラヘラと笑いながら、でも嬉しそうにそう報告してくれた時は私も本当に嬉しかった。
「良かったじゃん。これでわたしもれにちゃんから解放されるぅ」
『ちょっと!でも、本当ありがと』
「いや、私何もしてないから」
『ううん 玉さんにしかこんなこと話せないから。聞いてくれてありがとう』
「―どういたしまして」
『また何かあったらよろしくね』
「まだ頼る気?」
『うちら親友みたいなもんじゃん?』
「調子良いやつめ」
『じゃあ帰るね、お疲れ様』
「お疲れー」
帰る時の二人の初々しい姿を思い浮かべながら、これからあんまり私からベタベタしちゃダメだよなぁとかオフの日は遊びに誘わない方がいいかとか私たちの関係も否が応でも変わってしまうのかもしれないと今さら不安になってきた
「やだな」
嫌って…何が?ポツリと呟いた自分の言葉に驚いた。
友達を取られたことが?
次の日現場に行くと案の定二人は仲よさそうに話をしていた。
それは昨日となにも変わりのない日常なはずなのに
「おはよー」
「「おはよー」」
いつもならそのまま二人の輪の中に入っていくんだけど、なんとなく気を遣って少し離れたところに荷物を置いて座った。
暇だな~
話し相手がいないわけでもないけど、
れにちゃんだから話せるくだらない話があるのに
れにちゃんに聞いてほしい相談があるのに
友達を取られたと思ってしまうことは恋なのかただの独占欲なのか
でも確かなのは確実に昨日より祝福出来ないと思ってしまっていること。
結局スタッフさんと世間話をして時間を潰した
『玉さん、行くよー』
スタジオに行くために私を呼んだれにちゃんはいつものように手を繋ごうとしてくる
私は思わず手を伸ばそうとしてしまうけど我慢した
「はーい」
さりげなく手を避けて隣を歩く私にれにちゃんは少し寂しそうに伸ばした手を下ろした
『なんか今日の玉さん変だよ?』
「どこが」
『冷たい』
「別に冷たくしてるつもりないけど」
『なんかあった?』
「なにもないって、うるさいなぁ」
『なんでそんなに不機嫌なの?』
子どもをなだめるように抱きしめてくるから本当に機嫌が悪くなるのが自分で分かって突き放した
「不機嫌じゃない。ほら、向こう帰る支度終わってるよ?早くしなよ」
『え?うーん』
自分で行けって言ったくせに、いざ本当に背を向けられると寂しくて―
『っ、なに?玉さん』
「あー…」
無意識に服の裾を掴んでいた
―やっと自分の気持ちに気付いた
遅い恋心
バカだよなぁ
『なんか悩んでるなら聞くよ』
「ううん」
『しおりん』
「ごめん本当、今日は帰る」
これ以上一緒にいたら自分が何を口走るか分からない
おまけになんか、泣きそうだし
無理矢理笑ってみせ自分の荷物を掴んで部屋を出ようとしたけどれにちゃんに腕を掴まれた
『今までたくさん聞いてもらったから今度は私が聞いてあげたいんだけど、駄目?』
言ってどうすんの
言えるわけないじゃん
「聞いたら後悔するよ?」
冗談めかして言っても笑ってはくれなくて、反対に真剣な表情にあぁ逃げられないやって思った
こんな負け戦は初めてだ
観念したと思ったのかちょっと待っててと言って私の元を離れていく
ポジティブに考えればこれで良いのかも…私の気持ちを知れば今までみたいな近すぎるスキンシップもなくなるだろうし
―そう思っていないと、もしかしたら揺らす事が出来るかもしれないなんてわがままな自分が顔を出す
一つ溜め息を吐いたところでれにちゃんが戻ってきた
『帰ろっか』
「帰るって…いいの?」
ちらっとあの子に視線を投げると『大丈夫、詩織と女子会してくるって言ってあるから』
女子会か…ニコッとほほ笑みながら言われた一言にいちいち傷付くからもう末期だ
早くこんな感情から解放されたくていっそのこと思いっきり振ってほしくなった
『うち泊まってかない?部屋の方が気兼ねなく話せるじゃん』
「え…」
『どうせ明日も朝早いしさ』
「…」
断る理由を見つけられずにいる私はれにちゃんの後を着いていくしかなかった
慣れているはずのれにちゃんの部屋が今日は居心地が悪い
『はい』
「ありがと」
手渡してくれた紅茶はまだ少し肌寒い夜に丁度良く、僅かに心が落ち着いた
『…悩んでるのって仕事のこと?』
「ううん」
『じゃあ友達?』
「…」
無理に聞き出すことはせず私が話しだすのを待ってくれるれにちゃんはとことん優しい
「…ヤなの」
『何が?』
「…」
『…』
少し困ったように微笑む顔が視界の端に入る。
あんなに一緒にいたのになんで分かんないんだよ…ってすごい自己中だな私
こんなこと言ったってれにちゃんを困らせるだけだって分かってるけど―
『…私のせい?』
ハッとして顔を上げると悲しそうな眸とぶつかる
そんな顔させたいわけじゃない
目の奥からじわりと涙がこみ上げる
『なんか、私に言いづらそうだし』
「違うよ。…ごめん」
『無理矢理聞き出そうとしてごめんね、もうこの話やめよっか』
「れにちゃんが」
『ん?』
「二人が、楽しそうにしてるの見るのが嫌だったの」
周回遅れの恋は隣にいたって一緒にゴールすることは出来ないんだ
『どういう、こと』
「二人が上手くいったって聞いた時はほんとに嬉しかったよ。でも、」
気持ちばかりが先走って上手く声にならない
「でも、うちらは?」
『何も変わらないよ?』
「変わるって!」
『大丈夫?どうした?』
落ち着かせようとしてくれる声が余計に私の気持ちを波立たせる
「大丈夫じゃない。……好きなんだもん」
どれだけ時間が経ったのか分からない
クッションに顔を埋めている私の視界は真っ暗でいっそこのままこの闇に溶けてしまいたくなる
『ありがと』
「…」
『ごめんね』
「、っ」
聞きたくなかった一言にクッションが濡れていく
さすがにこれ以上汚すのも悪いと思い顔をあげ近くにあったティッシュを手にする
『どうしたらいいかな』
「どうしたらって…」
『今までみたいに接さない方がいい?』
そんなの私だって分からない
『私は…こんなことで玉さんとの関係は変わらないって思いたい』
こんなこと…れにちゃんにとってはこんなことなんだ
「そうだね」
力なく返すことしかできない私に微笑むれにちゃんの笑顔は無垢で私を傷付ける。
私の方が先に好きだったのに
ちゃんと行動にうつせばよかった、なんてたらればばかりが頭の中を過る
最後に抱きしめられたその腕は残酷なほど優しかった
私は耐えるように目を瞑る