[夢]小夜時雨
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「ただいまぁ」
誰もいないことは分かってるけどついつい声に出る
本格的に降る前に無事家に着いて傘立てに傘を戻すと見慣れたもう一本の傘
「はぁ」
今朝雨降るよって言ったのに、
こりゃお迎え確定かな。
晩御飯を済ませ、ソファでゴロゴロしていると電話がかかってきた
画面を見れば案の定あーちゃんから
「もしもし」
『あ、名前さん?私だけど』
「オレオレ詐欺ですかー?」
『え?いやいや、佐々木です』
「分かってるよ、なに?」
『…。今駅にいるんだけどね、傘忘れちゃって。だから…迎えに来てくれませんか?』
「今日雨降るって言ったよね?」
『はい』
「なのに傘持っていかなかったの?」
『ごめんなさい』
「…もぉ、今から行くから待ってて」
『ありがと!大好き!』
「安い大好きだなー、じゃあね」
『待ってまーす』
通話を切ってその場で大きく伸びをすると身体のどこかからポキッと音がした
「はぁ整体行きたい。今度連れてってもらお」
さっきから窓に打ち付ける雨の音が強い
確認のためにカーテンを開けて外を見ると結構な大雨。
「うわぁ傘意味なさそ」
少しげんなりしたところで今年の梅雨に合わせてレインコートとブーツを新調したんだったと思い出してクローゼットからショッパー袋を引っ張りだした。
「あ、いた」
電車が来たばかりらしい駅には大勢の人がいた。
その中で手を振っているあーちゃん
周りの人は当たり前のように自分の傘を差してそそくさとその場を去っていく。
『ありがとうございます♪』
「あーちゃんくらいだよ、こんな日に傘忘れて迎えに来てもらう人なんて」
『ワンチャンいけるかなーって思ったんですけどね』
「いやいや、雨女なうえに梅雨なんだからないって。はい、傘」
『ありがとうございます』
差した傘にパラパラと音が跳ねる
この音好きだなぁと音に集中していたら『ニヤニヤしてる』って笑われた。
『そういえば完全防備ですね』
「家出るとき雨凄かったじゃん?でも来る間で小雨になっちゃって…ちょっと恥ずかしいね」
『なんか雨大好きな子みたいで可愛いですよ』
「うるさいなぁ」
やっぱバカにしてくると思ったよ、
ニコニコ顔を睨んでも何も効果はなかった。
『あれ?そういえば見たことないコート』
「あ、気付いた?この前買っちゃった。色明るすぎかなーとも思ったんだけど思いきってね。見て、ブーツも♪」
『可愛いー、私のは?』
「ないよ」
『え、なんでですか?名前さんとお揃いで着たいのに』
「やだよ恥ずかしい」
『恥ずかしいって!』
『ショックです』
『名前さんがそんな冷たい人だなんて思わなかった』
『私は少しでも名前さんを近くに感じてたいだけなのに』
『せめてもうちょっと優しく言ってくれても』
『今年の梅雨は私びしょびしょかな』
『風邪引いたらどうしよ』
「―分かったよ。怖いなぁもう」
『やった♪』
「あ!じゃあコンビニでアイス買って」
暗い夜道に煌々と明るいコンビニを発見して指さす
『こんな時間に食べるんですか?』
「何、文句?なら買ってあげないよ?」
『よーし私も食べよー』
「あーちゃんは駄目だよ」
『え?なんで?』
「この前追い込み期間だって言ってなかった?」
『…』
「ライブ終わったら豪華にお祝いしよ」
『…分かりました』
「うん、頑張れ!」
『じゃあ名前さんも付き合って下さい』
「はい?」
『一緒に頑張りましょ』
「え、いやっ私…関係なくない?」
『あります。目の前でアイス食べられるこっちの身にもなってください。はい、行きますよ』
あーちゃんはコンビニへと足が向いていた私の手を掴んでぐいぐいと家路へ向かう