[夢]ほろ酔い (DRIVE続き)
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「やっぱ居たんだ、ただいまー。」
『おかえりなさい。やっぱってなんですか。』
「外から見たら部屋の電気点いてたからもしかして点けっぱなしで出ちゃったかと思って。良かったー。」
『今日忘年会なんですよね?辞めたんですか?』
「すごい嬉しそうに言うねw残念だけど行くよ。お店が最寄り駅前でさ仕事終わりで行くには早いから一旦帰ろうかなーって。」
『なんだ。』
「れにいるかもしないから残業しないで帰ってきてあげたんだよ。」
『――名前さーん!』
嬉しすぎてさっきまでの落ち込みはどこへやらソファから勢いよく立ちあがって名前さんに抱きつく。
✭
「今日ずっと家にいたの?」
『いや、友達と遊んでました。』
インスタ映え画像をどんどん見せていくと「若いねー」なんてしみじみ言ってくる。
『そんなに歳変わらないじゃないですか。』
「だよね。なんでだろ、たまにれにが高校生に見えるときがある。」
なにそれ、
『名前さんは高校生とこんなことするんですか?』
膝枕をしてもらってる私は名前さんの首の後ろに手を回して引き寄せる。
「んっ、」
『ねぇ。』
「―っん、はぁ。いきなり激しすぎるから。」
『名前さんが子ども扱いするからです。』
「してない、と思う…。あ、そろそろ行かなきゃ。」
『えー。』
せっかく良い雰囲気だったのに無理矢理体を起こされてそそくさと支度をしだす。
『メール送るんでちゃんと返して下さいね。』
「気付いたらね。」
『はぁ。』
他部署の同期に久しぶりに会えると何日も前から楽しみにしてたのは知ってるから気持ちよく送り出してあげたいけど私の寂しさも分かってほしい。
「じゃあ行くね、良い子で待ってるんだよ。」
やっぱり子ども扱いしてる。
『はーい。』
テンション高く出て行った扉を見つめながら、あーお留守番をさせられる動物はこんな気持ちなのかとペットの気持ちが分かった気がした。
しつこいのを嫌う名前さんだから絶妙な加減でメールを送って私の存在をアピールした。
(ご飯自分で作りましたよ♪)
(あんまり面白い番組やってなくてつまんないです。)
(楽しんでますか?)
「偉いね!」「楽しいよー♪」とか短いけどちゃんと返信をくれて嬉しくて、早く会いたくなった。
(何時に終わりますか?)
そこからしばらく返信が来なくなった。
『んー、暇だ。』
何回も液晶を見ては名前さんからメールが来てないか確認する。
何度目かの着信音に反応するとやっとあの人からのメール。
(そろそろお開きかな。もう少ししたら帰るね。)
ここから駅まで歩いて15分弱。二次会があっても行かないよう頼んであるし、今出ればちょうどかな。
分かりました。とだけ返して急いでコートと帽子を身につけて部屋を出た。
✭
気付かないうちに早歩きになっていたのか思っていたよりも早く駅に着いた。
一応人目も気になるから名前さんがいるお店が見える暗がりに身を潜めた。
『寒い…早く来てよ。』
そりゃあ迎えに行くなんて言ってないからタイミングよく出てくるとは思っていないけど、この寒さじゃ我慢の限界はそう遠くない。
それから5分、一旦コンビニにでも行って温かい飲み物でも買ってこようかと思っていたらお店からわらわらと人が出てきて、その中に名前さんもいた。
外の、仕事仲間といる名前さんを見るのは初めてだからなんか新たな一面を知れたみたいで嬉しい。
『あ。』
しばらくそんな姿を見て楽しんでたんだけど、名前さんと話していた同期なのか後輩なのか、その人が名前さんに抱きついた。
『ちょっと。』
そしてあろうことかそのまま頬にキスをした。名前さんも名前さんで満更でもなさそうだし!私は急いでポケットから携帯を取り出しかじかむ指でメールを打つ。
(チューされて嬉しそうですね。)
視線を名前さんに戻すと都合良く携帯を手に持っていたらしくそのままメールを確認してくれた。
『あはっ探してる。』
驚いた顔をして辺りをきょろきょろとしている姿が可愛い。
私を不機嫌にさせた同僚の人は相変わらず名前さんに抱きついているけど。そしてその人を名前さんは腰に腕を回して支えてるけど。
いまだ私を見つけられずにいる名前さんは何やらまた携帯を弄っている、と思えば今度は私の携帯が震えた。
『もしもし。』
「何処にいるの?」
『いつまで抱き合ってるんですか。』
「これは介抱って言うの。」
『へーー。チューさせるのも介抱のうちなんですか?』
「あ、見ちゃった?」
電話の向こうでは名前さんを二次会に誘う声が聞こえて、行かないと約束してもらったものの本当に断ってくれるか少し不安になった。
『早く見つけて下さい、寒いです。』
「なんで拗ねてんの。」
私の少しの変化にちゃんと気付いてくれただけで私の不機嫌は治まってしまう。
もう、本当どこ?って言いながらその場でぐるっと一周した名前さんとパっと目が合う。
その瞬間嬉しそうに笑うから今すぐにでも駆け寄って抱きしめたくなった。
電話が切られ、遠くでわずかに聞こえた声はじゃあ、お疲れさまでしたーと離脱しようとするものだった。
抱きついていた同僚さんは最後までごねているみたいで隣にいた人に無理矢理引き剥がされていた。
そんな彼女に何か言いながら頭をポンポンしていて、された本人は嬉しそう。
まったく、もうちょっと私の気持ちも考えてほしい。
「ごめんねー、お待たs。」
暗がりにいるのをいいことに私の元に帰ってきた名前さんを抱きしめた。
お酒、煙草、知らない人の匂いが一気に身体に入り込む。
体を離して両手で顔を包みこむとへらへらと笑いだす。
『だいぶ酔ってますね。』
「うん、いつもより飲んじゃった。れにが迎えに来てくれなかったらヤバかったなぁ。ありがと。」
同僚さんたちと居る時は酔ってないように見えたけど気が抜けたのか一気にふにゃふにゃになっていつもより幼く見えた。
『どういたしまして。早く帰りましょ、本当に寒い。』
軽くキスをしてそのまま手を取ってゆっくり歩き出す。
名前さんはその手を子どもみたいにぶんぶん振って歩くから正直手がどんどん冷えてくる。
落ち着かせようと繋いでいる手を私のポケットにいれ―
『あれ、入んない。なんで。』
焦る私をよそに隣で機嫌よく鼻歌をうたっていた名前さん。
「そういう時は―。」
こうするんだよーって言いながら恋人繋ぎへと繋ぎ直してすっとポケットに入ってくる。
「ほらっ、暖かいー♪」
『―なんかヤダ。』
「え?」
『なんか、過去の恋人の存在匂わせてくる感じ。』
「ふふっ、また拗ねてんの?可愛いなぁ。」
握っている手にきゅっと力が込められた。
こっちは気分が悪いというのにそれだけでほだされそうになる。
「今はれにが好きだよ。」
『からかってますよね。今の名前さん嫌いです。』
「えーどうしたら好きになってくれる?」
至近距離で下から覗きこまれて、いつも外ではこんなに大胆な行動をとらないから思わずドキッとしたけど顔には出さず自分で考えてください。と突き放した。
「あ、そういえばさっきね!」なんて今までの話なんてなかったかのように忘年会の出来事を話しだす名前さん。
私の気持ちに敏感だったり鈍感だったりー振り舞われっぱなしだなー私。
名前さんの忘年会話を聞いていたらマンションが見えてきて早くあの暖かい部屋に入りたいなんて暢気に考えていたらいきなりコートの襟をグイっと引っ張られ、あっという間に名前さんとの距離がゼロになった。
顔を離す直前ペロッと上唇を舐められて一気に体温が上がる。
「機嫌治った?」
『まだ。早く帰りましょう。』
思っていたより必死な声になっていたと思う。
でも名前さんだって嬉しそうに笑うから期待してもいいですよね?
ポケットの中はさっきよりも熱くなったお互い手が絡み合う。