解れ 黄×桃×紫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「女の子とのキスってどんな感じ?」
「はい?」
「だってしおりんとれにちゃんって、そのぉ付き合ってるんだよね?」
「まぁ」
そういうこと
視線を落とし少し棘のある口調でなんとなく察した
女の子ってよりれにちゃんとでしょ?
「んーやわらかい。良い匂いもするし」
私も自分のつま先を見つめながら少しずつ自分の底から湧きあがるモヤモヤをなんとか押し返そうとする
「ふーん」
自分から聞いておきながら不機嫌な彼女の反応が気に食わない
「てか、あーりんだって高城とチューしてんじゃん、私の立場ないんだけど(苦笑」
「あれは!…本当のじゃないもん」
最後は独り言みたいに小さな声
本当、じゃないねー分かってんじゃん
気づけば…
「知りたい?こんな感じだよ」
「いやっ、ちょっと!」
隣で今だに手持ち無沙汰な指先を見つめる彼女の顔を覗き込むようにして近づくとバッと顔を上げて信じられないというような表情をされた
「何?してみたいんじゃないの?」
「そんなこと言ってない!」
抗議の目で見てくる彼女の襟元を掴んで引き寄せて本当のキスというものをしてやる
――ちゅ
「れにちゃんには秘密ね♪」
「最低…」
「じゃあ私先行くから」
固まるあーりんを置いてその場をあとにする
やりすぎた
もっと冷静になれると思ったのに
移動中
「私トイレ行っとこうかな」
「じゃあ私も行くー」
―――――
「最近ホント秋だね、夏終わっちゃう~」
「自分で秋って言ってんじゃんw夏終わってるよw」
「たしかにw」
何も知らないれにちゃんのいつもの感じに
少しホッとする
手を洗って横からお腹に腕を回し頬にキスを落とす
「ちょ、いきなり何!?」
自分からは誰彼構わずwグイグイ行くくせに二人きりだといまだに照れるのが可愛い
「ん?なんとなく。今日うちに泊まりおいでよ」
「いきなりどうしたの?いいの?」
「うん、夜何食べたい?」
「やきにく~」
「いいね♪ママに頼んでみる。てか私肉食べてばっかだ」
「いいじゃん、夏バテ防止だよ」
「だから夏終わってんだって」
「じゃあ食欲の秋だよ」
「それだ」
「いきなりすみません(汗」
「いいよー一人増えても変わらないし♪あ、ビール飲む?」
「いやいや大丈夫ですw」
「私は呑も~」
―――――
「「ごちそうさま」でした」
「部屋行く?」
「うん。ホント美味しかった♪ありがとうございます」
「明日は早いの?」
「何時だっけ?」
「何時だっけ?w」
「起こす?」
「起きれるってw大丈夫、ありがと」
「そう?お風呂沸いてるから早く入りなね」
「「はーい」」
-――――
「いやー至れり尽くせり♪」
お風呂も入ってあとは寝るだけとなった
ベットに潜り込んで二人で天井を見つめながら他愛もない話をする
「そういえば今日あーりんなんか変じゃなかった?」
「え、そう?」
「喧嘩した?」
「してない」
「あんまいじめちゃダメだよー?」
「だからしてないって!」
「ごめん」
あーりんの肩を持つようなことを言われイラッとして感情に任せて強く言ってしまった
「いや、私こそ…」
なんとなく気まずい雰囲気になってしまってしばらく沈黙が流れる
なんとかこの空気を変えたくてれにちゃんに身体を向けて抱きつく
そうすればホッとしたようにいつもの笑顔を見せてくれたから今度は顔を抱きしめてほっぺにキス攻撃
「ふふw」
やっとこっちを向いたから口にも可愛いキスを何度も
「ねぇ私のこと好き?」
「うん」
「うん、じゃなくてちゃんと言ってよー」
「すき」
「私も」
その言葉を皮切りにれにちゃんに覆いかぶさる
「なんかもう落ち着いた色のほうが違和感、というか新鮮だね」
「そう?どっちが好き?」
「うーん、どっちもいいよ」
私の髪を梳く手を捕まえてベットに縫いとめて、おでこ、ほっぺた、鼻、口と次々キスを落とす
首すじに顔を埋めると艶のある息が漏れた
その声にゾクっとする
「れにちゃんは私のだよ」
薄暗がりの中れにちゃんの頬に手を当てて私に酔っているその顔を見つめる
「な、なに?」
「もう少し警戒心があったらね」
「警戒心?」
れにちゃんは優しいから周りを勘違いさせる
で、本人も押しに弱いからなおさら心配になる
それならばれにちゃんへの恋心を私に向かせれば…
頬を撫でる手を首の後ろへ移動し深い口付けをする
「―っ、ねぇやっぱなんかあったでしょ」
「なんで?」
「なんでって、いつもこんな…」
「こんな?w」
「もういい!」
無理矢理身体をくねらせ私に背を向けるから後ろから抱きすくめる
「どっちがいい?」
「もう本当いいから」
「大事なことだよ、れにちゃんを喜ばせたいんだもん」
服を捲く上げて背中を晒してそこにキスを落としていく
「いたっ」
「付いた。背中なら大丈夫」
「もー」
今日何度目かの欲望を込めてれにちゃんに触れる
「ねぇ、ちょっと…もう」
「ごめん、疲れた?」
「さすがに(汗」
肩を押し返してくる手を握って抱きしめようとすると汗かいてるからと抵抗される
「大丈夫」
この感触は私にか味わえないからと言ったら引かれるかな
指先で触れるか触れないかのところで身体を撫でていると
「ねぇさっき警戒心はあったらって言ってたけどなんかあるの?」
「ん?うーん、あるけど…私が守るから大丈夫」
「そういうこと?w」
「れにちゃんは今まで通りでいいの、私だけ見てて」
「なんか、玉さんって酔うと大胆だよね」
「はいはい。明日、というかもう数時間後か、起きれるかな~」
「目覚まし最大音にするから。寝よっか」
れにちゃんは私が寄ってたからだと思ってるけど本当のところはれにちゃんに恋しているあーりんに嫉妬していた
「おっはよ~」「はよぉ」
楽屋に入ると既に三人が来ていた
着いて早々テーブルに突っ伏して寝始めるれにちゃんに真っ先に近づくあーりん
「何?高さん眠いの?」
「うー寝不足」
「また夜更かししたんだ、ダメじゃん!」
「あーりん、高城寝かせてあげて」
二人の会話に割ってはいると明らかに昨日のキスが影響してるんだろう、動揺する彼女に自然と口角が上がる
「昨日、うちに泊まって夜更かししちゃったんだ」
察知したのか睨むように見つめられるから優越感に浸る
「どこ行くの?」
いきなり立ち上がって私の脇を通りすぎようとする腕を捕まえる
「トイレ」
私の手を振り払う
「どした?」
私とあーりんの不穏な空気を察知してか夏菜子は話しかけてきた
「大丈夫♪ちょっとトイレ行ってくる」
あーりんの手を掴んで部屋をあとにした
「離して!」
「あーごめんw」
人のこなそうなところまで連れてきて解放してやる
「何怒ってんの?」
あーりんが怒りをぶつけてくればくるほど私には余裕が生まれる
しばらく沈黙が流れる
「どういうつもり」
「どういうつもりって?」
あーりんへにじり寄って腰を抱く
「れにちゃんのこと好きなんでしょ?」
「好きだよ」
「じゃあ昨日なんであんなことしたの」
「なんでだと思う?」
軽蔑するような目で見てきたって私には効かないよ
「れにちゃんと別れてよ」
「それって…私のことが気になりだしたってこと?」
「んなわけない」
分かってるよ、それぐらい
「れにちゃんのこと好きでしょ」
「…」
無言の肯定ってやつ?
悪いけどれにちゃんを渡すつもりなんてさらさらないから
腰に回してる腕で一気に抱き寄せて頬を合わせる
「れにちゃんがどんな風に感じてるか教えてあげようか?」
一気に体が硬直するのが分かった
肩を思いっきり押されて後ろへ怯む
「何やってんの?」
「え?」
不覚だった
足音に全く気づかなくてれにちゃんの声にハッとする
「いま」
「何もしてないよ」
冷静に
「何もしてないわけなよね」
れにちゃんに近づき手を取ろうとしたらさっとかわされた
冷静になれ、わたし
ちょっと待ってよ
楽屋ならまだしもこんな人気のないところで何抱き合ってんの?
差し伸べられたその手を私はとることが出来なかった
「ごめん、ちょっと混乱してるw戻ってるね」
私は悪くないのにその射抜かれるような眸に耐えられなくて背を向けた
楽屋に戻るとまだ時間があると言われたから「ちょっと散歩してくる~」と怪しまれないようにまた部屋をあとにする
てか追いかけてこないし…
必死に謝ってきたりすれば気持ちをぶつけることも出来るのに
そもそも追いかけてこないってことは私のこともう好きじゃなくなったのか
非常階段に続く扉を開けて階段に座り込むと一気に涙が溢れてきた
必死に止めようとすればするほどダメだった
「追いかけないの?」
あーりんの声にハッとする
思考が停止してれにちゃんが去った方をずっと見つめていた
「あのさ、わたし優しくないから」
そういうと私を横目に彼女を探しに去っていく
信じてるとかそんなんじゃない、
怖くて動けなかった
でもとにかくあーりんには渡したくない、その一心で自分の体に鞭を打って一歩踏み出す
扉の開く音がして体がビクッとする
まだ涙は止まらなくて膝を抱えて見られないようにする
「となり、いい?」
何も言わずにいると隣に座る気配を感じる
あーりんはわたしが落ち着くまで静かに隣にいた
別れてくれって言われるかもしれない、そう思うと顔を上げられなかった
「ごめんね」
思ってもいなかった一言に驚いてあーりんの顔を見つめると、とても悲しそうな顔をするから訳が分からなくなる
「なんで?」
「好き」
そんなこと言われなくてもあんな所見ちゃったんだから分かる
わたしの何がいけなかったのかな…
「好きだよ、れにちゃんが」
「え?」
「やっぱり勘違いしてた」
あーりんの苦笑いで空気が揺れた
「だって二人抱き合ってたよね」
自分で言っておきながら心を締め付けられてまた涙がじんわり溢れてきて俯いてしまう
涙を見たら私の付け入る隙なんてないって分かった
そんなにしおりんのこと好きなんだね
その涙はたぶんしおりんのためだよね?れにちゃんのことだからきっと自分を責めてんのかもしれない
私だってこんなにれにちゃんのこと分かるのにな
「しおりんは器用って言われてるけどれにちゃんのこととなると不器用なのかも」
「え?」
「れにちゃんのこと好きでたまらないんだと思うよ」
「わかんない」
「今は分かんないかもしれないけどたぶんここを出たら分かるんじゃない?」
「どういうこと?」
「今必死で探してると思う」
「うそだよ」
「もうちょっと焦らしてみてもいいけど、流石に可哀相だから…とりあえず顔洗いに行く?」
私の不安を他所にあーりんは楽しそうに立ち上がるからつられて私も素直に立つ
非常階段を出て歩いていると遠くから走る音がして次に姿が見えた
私は怖くて立ち止まっているとしおりんはスピードをあげて走ってくる
最後は突進するように抱きついてきた
抱きとめた身体は息が荒くて暑い
「ごめんね」
「…」
「れにちゃんが好き」
もう出ないと思ってた涙がまた溢れ出す
「さいてい」
「うん」
「なんですぐきてくんないの?」
「ごめん」
「ゆるさない」
「うん」
「キラい」
「それはヤダ」
身体を離すとぐちゃぐちゃ顔のれにちゃん
こんなに泣かせたことに心が痛む
回るくどいことしないでただれにちゃんが好きという気持ちを素直に伝えていれば良かったんだ
「ごめん(苦笑」
「なんでれにちゃんが謝るの?」
指された肩を見ると涙なんだか鼻水なんだか結構塗れていた
「あw」
「じゃあ高さんは私と一緒に顔洗いに行こう!」
「しおりんは着替えでもしてきなよ」
口を挟む隙もなくあーりんはれにちゃんを連れ去っていく
彼女の横顔もまた濡れていた