サークル 紫×黄×赤
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控え室のドアを開けるとそこには玉井がいた。
すすり泣く声がわずかに聞こえる。
「玉井?」
慌てて涙を拭く。
「っ!…なんだ、れにちゃんかー。」
「泣いてるの?」
玉井は恋をしている。
「いや、あくびしたら涙が出ただけだよ!」
私も恋をしている。
「皆遅いね!」
玉井は夏菜子ちゃんに、私は玉井に。
「そうだね。」
「なんかあった?」
「…。」
「言いたくなかったらいいよ。けど思ってること吐き出すとすっきりする、かも。」
本当は聞きたくない…けど辛そうな玉井は見たくない。自分でも損な性格だなと思う。
少しの沈黙の後、詩織が無理に笑顔を作りながらぽつりと話し始めた。
「昨日夏菜子ちゃんと電話してたら、夏菜子ちゃん好きな人いるみたいなんだ!」
「それって。」
「私だったらいいなって思ったんだけどね…話を聞いていくうちに私じゃないって気付いちゃったんだよね!」
「まだ分かんないじゃん。好きな人の名前聞いたわけじゃないんでしょ?」
「言われたの!玉井は友達だから、だから言えるって。」
「…。」
「本当、うちのアホリーダーはデリカシーがないよねー。こんなに好き好きアピールしてんのに気付かないで他の人の話してくるなんてw」
「そ、そうだね!」
玉井…あなたも今私に夏菜子ちゃんと同じことをと思わず。
まぁそれは置いといて。
好きな人に振り向いてもらえない気持ちは痛いほど分かる。
「でも私諦めないよ!いつかぜったい振り向かせてみせる!」
「玉井は強いね。」
「戦う前から負けること考えるバカいるかー!えへへ。」
すべてにおいての切り替えの速さには毎回驚かされるけどこれでこそ私の好きになった人だ。
「れにちゃんは?」
「ん?」
「れにちゃんは好きな人とかいないの?」
「…いる…かな。」
「え!?マジ!?誰だれ?教えてよー。」
「言えるときが来たら言うね。」
「そっか、お互い頑張ろうね!」
「うん!」
私の恋はたぶん…実らない。
玉井の笑顔が見たい。でも夏菜子ちゃんと仲良くしている姿は見たくない。今は何が最善かなんて分からないけど私も頑張ってみようかな!
よし、戦ってみよう!
控え室のドアが少し開いていた。何の気なしに耳を澄ますと微かにれにと玉井の声が聞こえてきた。
「れにちゃんは?」
「ん?」
「れにちゃんは好きな人とかいないの?」
「…いる…かな。」
「え!?マジ!?誰だれ?教えてよー。」
「言えるときが来たら言うね。」
「そっか、お互い頑張ろうね!」
「うん!」
れに、好きな人いるんだ。
誰なんだろう。
控え室に入るタイミングをはかりながらドアを開ける。
「おはよー!」
「あ、おはよ!遅いよ!夏菜子ー。」
「え!あーりんと杏果まだじゃんw」
「そうだけどさー。」
そう言いながらいつものように夏菜子に抱きつく玉井。
「おはよ、れに。」
「おはよ。」
「…、そういえばなんの話してたの?」
「「ないしょー。ねーーー♪」」
ニヤニヤしながら口を揃えて言う二人にちょっと嫉妬してみたり。
「なんだよ…。」
「あれ?拗ねてんの?」
「はぁー!?拗ねてないし!!」
「またまたー!しょうがないなぁ、よーしよしよし♪」
イロ君をあやすように夏菜子ちゃんをなでなでする玉井。そう、いつもの光景…だけど、さっきあんな会話をしたからか今日はなんとなく心がざわつく。
見ていたくなくて逃げるようにいつの間にか来ていたあーりんにちょっかいをかけにその場を離れた。
夏菜子視点
「ちょ、ちょっと玉井!もういいから!」
玉井の抱きつき攻撃からやっと抜け出す。近くにいる高城に「助けろよ!」と怒ろうと思ったら近くにいない!
「あれ?れには?」
「ん?れにちゃんならあーりんのとこいったよ!」
「あーりん?」
見渡してみるとれにはあーりんといちゃいちゃしている。もしかして、
「れにの好きな人って…あーりん?」
「なんか言った?」
「ううん!なんでもない!!」
確信はない。けどホテルも同室だし、この前の出張ラジオでも同じペアだったし、私の気付かないうちに二人は…。
マイナスな想像はどんどん大きくなっていき自然とため息が出てしまう。
「はぁ。」
引っ付き虫な玉井をいなす元気もなくしてしまい近くの椅子に腰をおろす。
「あれ?テンション低くない?どうした?」
「いや、ちょっと心の整理が…。」
「ん?」
詩織視点
夏菜子の様子がおかしい。「どうした?」と聞いてみても「心の整理が。」と言うだけで詳しいことは言ってくれない。
いつもそう。
悩んでても自分で抱え込んでしまう。頼られたいのに…側にいて支えてあげたいのに…。
「私じゃダメなの?」
夏菜子の背中に向かって聞こえないように呟く。
「ん?なに?」
こういう時ばっかりちゃんと聞いてるんだから!
「なーんでもないよ♪」
なんとなく顔を見られたくなくて、夏菜子の椅子に後ろから抱きつくように座る。
なんの会話もないまま時間は過ぎる。
ふと夏菜子の顔を覗くと思い詰めたように誰かを見ていた。その視線を辿っていくと、れにちゃんとあーりんの姿が。
なんだろう…嫌な予感がする。
こういうことは大抵当たってしまう。
夏菜子はれにちゃんが好きなのかもしれない。
高城視線
あーあ、一つの椅子に二人で座ってるよ。今日は何を見てもダメな日なんだろうな。
ちょっと距離を置きたい気分。
「はぁーーーー。」
「ん?なになに?悩み事?」
「うーん。」
「聞こうか?」
「うーん。」
「…w。言いたくなったらいつでも聞くよ!」
「はーい。」
テーブルに突っ伏してると頭を撫でられる。
ほんと、これじゃあ皆の言う通りどっちが年上か分からないやwでもなんか眠くなってきてしまった。
「ちょっと寝ていい?」
「いいよ。」
「……。あーりんって叶わない恋したことある?」
「あれ?寝ないの?」
「…、もういい!」
「ごめんごめん!うーん、叶わない恋ねー、ないかなー!」
「そっかwwwお子ちゃまだね。」
「うるさい!よーーし!今日の夜は恋バナだね♪」
「ちょ!!声大きいから!!」
夏菜子視点
いやな言葉が耳に入ってきた。
「れにちゃんとあーりん、今夜恋バナするんだって。」
「…。」
「夏菜子?」
「え?あ、なんか言ってるね!」
「…夏菜子、今日私たちも恋バナしない?」
「へ?なんで?」
「ちょっと確認したいこともあるし!」
「何?」
「それは夜 の お た の し み ♪」
「なんか怖いんだけど。」
「まぁまぁまぁ。」
詩織視点
気付いちゃったよ、夏菜子。
思い返してみれば楽しいとき、辛いとき、夏菜子の隣にはいつもれにちゃんがいた。
私の好きな夏菜子はれにちゃんのおかげだったんだ。
夏菜子も好きだしれにちゃんも好きだ。二人には幸せになってほしいな。
でも、その前に自分の恋を終わらせてあげよう。
今夜好きだ!って言おう。そして夏菜子の恋を応援しよう。
詩織&夏菜子の部屋
「んー!今日も疲れたー!」
「詩織!すぐ寝ちゃうんだから先お風呂入ってきなよー。」
「はーい。」
「あー、良いお風呂だった♪」
「じゃあ、私入って来よう!」
「ね、ねぇ!。」
「何?」
「…、あ!お風呂入ってきなよ!」
「自分から話しかけといてなんだよw」
「まぁまぁまぁwいってらっしゃーい♪」
「行ってきます。」
--------------------
「はぁーーー、言えなかった。今日で終わるんだ、私の恋。」
うつぶせになって心の準備をしていたら、あっという間に出てきてしまった。
「あー気持ちよかった♪詩織?寝ちゃったの?髪乾かさないとダメだよ!」
「優しくしないで…。」
「ん?どうした?」
「…、好きだよ。」
「え?いきなり何?w」
ベットから起き上がり、ちゃんと伝わるように向かい合う。
「好きだよ。」
「え…。あ、え、本当?」
「本当だよ。でも…夏菜子、好きな人いるよね。」
「あ、うん。」
「応援するよ。」
「なんで?」
「夏菜子の好きな人って、れにちゃんでしょ?」
「何でそれを。」
「好きだから、見てれば分かるよ。」
「詩織…。ごめんね、ありがとう。」
「ごめんねは聞かなかったことにする。ありがとうだけ受け取る!私、夏菜子のこと好きだしれにちゃんも好きだから二人には幸せになってほしいんだ!」
「頼もしい妹になったね。」
「でしょ♪」
「でも…我が儘だと思うけど、変わらないでね?」
「当たり前!これからもずっと夏菜子のこと大好きだよ。諦めきれないと思う。」
「もー詩織!大好き!」
そう言って抱きついてくる夏菜子。
「えへへ。」
-------------------------
「さて♪今かられにちゃんのとこ行く?」
「え!?いきなり!?」
高城&あーりんの部屋
「で?誰なの?」
「ん?」
「ん?じゃないよー!れにちゃんの好きな人はだーれ?」
「いきなり聞く?w」
「聞く!」
「えーっと…、たま…い。」
「しおりん!?」
「まぁ。」
「意外…。いつもわちゃわちゃしてて男兄弟みたいって思ってた。」
「ちょっと!」
「ごめんごめんwで、なんで昼間『叶わない恋』って言ってたの?」
「だって…、玉井は夏菜子ちゃんが好きだから。」
「それで自分の恋諦めるの?諦められるの?」
「がんばる。告白して今の関係が壊れるのやだし、玉井に気を使わせたくない。」
「高さん良い人すぎるよ。少しは自分の気持ち大事にしてあげようよ。」
「…。」
「高さんが告白してもしおりんは今まで通りに接してくれると思うけどな。もしかしたら告白がきっかけで高さんのこと考えてくれるかもよ!」
「あーりん、めっちゃプラス思考。」
「よく言われるwでもさ、このまま何もしないで自分の気持ちに蓋をするのは良くないと思う。絶対後悔するよ。」
「分かってはいるんだけどね、心の準備が。」
詩織&夏菜子(高城&あーりん部屋前にて)
「いきなりはまずいでしょ!!」
「今この勢いで言わなきゃもう言えないよ!!いつ言うの!?」
「今…で…しょ。」
「分かってんじゃん♪」
「今言わされた、絶対言わされた!!しかももう古いよ。」
「いいから!ドア開けたらすぐ自分の気持ち言うんだよ?」
「おかしくない?」
「おかしくない、おかしくない♪」
「しんぐr」
「シッ!高城にはストレートに言わなきゃ伝わらないし、その方が嬉しいって!」
「ちょっと練習しない?」
「ここで練習するほうがおかしいでしょ。」
「んぐ。」
「押すよ?」
「わ、分かった。当たったらそれまでだ!」
「当たって砕けろのこと?」
「…うん!」
―――――――――――――――――――――
高城&あーりんの部屋
「高さんがしおりんのこと好きなことちっとも知らないんだよね?」
「だと思う。私に話してくるくらいだから。」
「そっか。じゃあ回りくどいことしないで告白しちゃった方が良いんじゃない?」
「もう!?」
「うん!高さん小細工しても墓穴掘るだけっぽいじゃんww」
「ちょっと!そうだけどさー。」
「明日言ってみたら?善は急げ!だよ♪」
「あーりんってすごいね!わ、分かった。当たって砕けろだ!」
夏菜子と詩織は意を決してチャイムに手をかける。
(ピンポーン)
「こんな時間に誰だろ、ふるちゃんかな?」
「明日の確認かな?私行くね。」
「お願いー。」
あーりんが確認のためにドアを開けに行く。
(がちゃ)
「「こ、こんばんはー。」」
そこには、ぎこちない笑顔のしおりんと夏菜子ちゃんが立っていた。
「あれ…、グットタイミング…かも。」
「?。あーりん、れにちゃんいる?夏菜子がちょっと話したいことあるんだって♪」
「OK♪今呼んでくる。高さん、しおりんに言いたいことあるって!」
「お、おう。」
――――――――――――――――
「れにちゃん!グットタイミングだよ!」
「何だった?ふるちゃん。」
「違うって!しおりんと夏菜子ちゃんが遊びに来たよ!」
「なんで!?」
「分かんない。夏菜子ちゃんが高さんに言いたいことがあるらしいけど…。とにかく、ここで言っちゃいなよ!」
「え!今!?」
「いつ言うの?」
「今…で…しょ。」
「そう♪行くよ。」
「えぇぇぇぇ。」
――――――――――――――――――――
「おまたせ♪はい、れにちゃんどうぞ♪」
あーりんの後ろで隠れてるれにちゃんを二人の前に差し出す。
「こんばんはー…。えっと、何?夏菜子ちゃん。」
「あのー…、た、高城!」
「はい!」
「好き!」
「はい!…はぃ?」
「だから、私はれにが好き。」
「あ、え…へ!?わ、私は…詩織が好きです。」
「「え?」」
夏菜子と詩織は開いた口が塞がらない。
これはどういうことだ?
皆の思考が停止してしまったので、とりあえず部屋に入ることにした。
「あーりん、どういうこと?」
泣きそうな顔で見てくる最年長を宥めながら整理する。
「えっと、高さんはしおりんが好き。」
「う、うん。」
「でもしおりんは夏菜子ちゃんが好き。」
「うん。」
「その夏菜子ちゃんは高さんが好き、と。」
「はい。」
「綺麗な三角関係だねーwww」
「「「笑い事!?」」」
「ももクロらしいよ!面白い♪」
「他人事なんだから…。」
そう言って高さんが肩を落とす。
「ある意味平和じゃんwww」
「「「「ま、まぁ。」」」
そういうと、三人は目を見合わせる。
「「「「ぷっ、あははははは」」」
「確かにももクロらしいかも!」
「まさか、私たちが普段やってた茶番が実際起こるなんてねw」
「ほんとだよw」
この恋は誰も実らなかった。けど、一番幸せな形なんだと思う。
お わ り
緑(今回、私一回も出てきてないけど…)
赤紫黄桃/管(ご、ごめんない)
すすり泣く声がわずかに聞こえる。
「玉井?」
慌てて涙を拭く。
「っ!…なんだ、れにちゃんかー。」
「泣いてるの?」
玉井は恋をしている。
「いや、あくびしたら涙が出ただけだよ!」
私も恋をしている。
「皆遅いね!」
玉井は夏菜子ちゃんに、私は玉井に。
「そうだね。」
「なんかあった?」
「…。」
「言いたくなかったらいいよ。けど思ってること吐き出すとすっきりする、かも。」
本当は聞きたくない…けど辛そうな玉井は見たくない。自分でも損な性格だなと思う。
少しの沈黙の後、詩織が無理に笑顔を作りながらぽつりと話し始めた。
「昨日夏菜子ちゃんと電話してたら、夏菜子ちゃん好きな人いるみたいなんだ!」
「それって。」
「私だったらいいなって思ったんだけどね…話を聞いていくうちに私じゃないって気付いちゃったんだよね!」
「まだ分かんないじゃん。好きな人の名前聞いたわけじゃないんでしょ?」
「言われたの!玉井は友達だから、だから言えるって。」
「…。」
「本当、うちのアホリーダーはデリカシーがないよねー。こんなに好き好きアピールしてんのに気付かないで他の人の話してくるなんてw」
「そ、そうだね!」
玉井…あなたも今私に夏菜子ちゃんと同じことをと思わず。
まぁそれは置いといて。
好きな人に振り向いてもらえない気持ちは痛いほど分かる。
「でも私諦めないよ!いつかぜったい振り向かせてみせる!」
「玉井は強いね。」
「戦う前から負けること考えるバカいるかー!えへへ。」
すべてにおいての切り替えの速さには毎回驚かされるけどこれでこそ私の好きになった人だ。
「れにちゃんは?」
「ん?」
「れにちゃんは好きな人とかいないの?」
「…いる…かな。」
「え!?マジ!?誰だれ?教えてよー。」
「言えるときが来たら言うね。」
「そっか、お互い頑張ろうね!」
「うん!」
私の恋はたぶん…実らない。
玉井の笑顔が見たい。でも夏菜子ちゃんと仲良くしている姿は見たくない。今は何が最善かなんて分からないけど私も頑張ってみようかな!
よし、戦ってみよう!
控え室のドアが少し開いていた。何の気なしに耳を澄ますと微かにれにと玉井の声が聞こえてきた。
「れにちゃんは?」
「ん?」
「れにちゃんは好きな人とかいないの?」
「…いる…かな。」
「え!?マジ!?誰だれ?教えてよー。」
「言えるときが来たら言うね。」
「そっか、お互い頑張ろうね!」
「うん!」
れに、好きな人いるんだ。
誰なんだろう。
控え室に入るタイミングをはかりながらドアを開ける。
「おはよー!」
「あ、おはよ!遅いよ!夏菜子ー。」
「え!あーりんと杏果まだじゃんw」
「そうだけどさー。」
そう言いながらいつものように夏菜子に抱きつく玉井。
「おはよ、れに。」
「おはよ。」
「…、そういえばなんの話してたの?」
「「ないしょー。ねーーー♪」」
ニヤニヤしながら口を揃えて言う二人にちょっと嫉妬してみたり。
「なんだよ…。」
「あれ?拗ねてんの?」
「はぁー!?拗ねてないし!!」
「またまたー!しょうがないなぁ、よーしよしよし♪」
イロ君をあやすように夏菜子ちゃんをなでなでする玉井。そう、いつもの光景…だけど、さっきあんな会話をしたからか今日はなんとなく心がざわつく。
見ていたくなくて逃げるようにいつの間にか来ていたあーりんにちょっかいをかけにその場を離れた。
夏菜子視点
「ちょ、ちょっと玉井!もういいから!」
玉井の抱きつき攻撃からやっと抜け出す。近くにいる高城に「助けろよ!」と怒ろうと思ったら近くにいない!
「あれ?れには?」
「ん?れにちゃんならあーりんのとこいったよ!」
「あーりん?」
見渡してみるとれにはあーりんといちゃいちゃしている。もしかして、
「れにの好きな人って…あーりん?」
「なんか言った?」
「ううん!なんでもない!!」
確信はない。けどホテルも同室だし、この前の出張ラジオでも同じペアだったし、私の気付かないうちに二人は…。
マイナスな想像はどんどん大きくなっていき自然とため息が出てしまう。
「はぁ。」
引っ付き虫な玉井をいなす元気もなくしてしまい近くの椅子に腰をおろす。
「あれ?テンション低くない?どうした?」
「いや、ちょっと心の整理が…。」
「ん?」
詩織視点
夏菜子の様子がおかしい。「どうした?」と聞いてみても「心の整理が。」と言うだけで詳しいことは言ってくれない。
いつもそう。
悩んでても自分で抱え込んでしまう。頼られたいのに…側にいて支えてあげたいのに…。
「私じゃダメなの?」
夏菜子の背中に向かって聞こえないように呟く。
「ん?なに?」
こういう時ばっかりちゃんと聞いてるんだから!
「なーんでもないよ♪」
なんとなく顔を見られたくなくて、夏菜子の椅子に後ろから抱きつくように座る。
なんの会話もないまま時間は過ぎる。
ふと夏菜子の顔を覗くと思い詰めたように誰かを見ていた。その視線を辿っていくと、れにちゃんとあーりんの姿が。
なんだろう…嫌な予感がする。
こういうことは大抵当たってしまう。
夏菜子はれにちゃんが好きなのかもしれない。
高城視線
あーあ、一つの椅子に二人で座ってるよ。今日は何を見てもダメな日なんだろうな。
ちょっと距離を置きたい気分。
「はぁーーーー。」
「ん?なになに?悩み事?」
「うーん。」
「聞こうか?」
「うーん。」
「…w。言いたくなったらいつでも聞くよ!」
「はーい。」
テーブルに突っ伏してると頭を撫でられる。
ほんと、これじゃあ皆の言う通りどっちが年上か分からないやwでもなんか眠くなってきてしまった。
「ちょっと寝ていい?」
「いいよ。」
「……。あーりんって叶わない恋したことある?」
「あれ?寝ないの?」
「…、もういい!」
「ごめんごめん!うーん、叶わない恋ねー、ないかなー!」
「そっかwwwお子ちゃまだね。」
「うるさい!よーーし!今日の夜は恋バナだね♪」
「ちょ!!声大きいから!!」
夏菜子視点
いやな言葉が耳に入ってきた。
「れにちゃんとあーりん、今夜恋バナするんだって。」
「…。」
「夏菜子?」
「え?あ、なんか言ってるね!」
「…夏菜子、今日私たちも恋バナしない?」
「へ?なんで?」
「ちょっと確認したいこともあるし!」
「何?」
「それは夜 の お た の し み ♪」
「なんか怖いんだけど。」
「まぁまぁまぁ。」
詩織視点
気付いちゃったよ、夏菜子。
思い返してみれば楽しいとき、辛いとき、夏菜子の隣にはいつもれにちゃんがいた。
私の好きな夏菜子はれにちゃんのおかげだったんだ。
夏菜子も好きだしれにちゃんも好きだ。二人には幸せになってほしいな。
でも、その前に自分の恋を終わらせてあげよう。
今夜好きだ!って言おう。そして夏菜子の恋を応援しよう。
詩織&夏菜子の部屋
「んー!今日も疲れたー!」
「詩織!すぐ寝ちゃうんだから先お風呂入ってきなよー。」
「はーい。」
「あー、良いお風呂だった♪」
「じゃあ、私入って来よう!」
「ね、ねぇ!。」
「何?」
「…、あ!お風呂入ってきなよ!」
「自分から話しかけといてなんだよw」
「まぁまぁまぁwいってらっしゃーい♪」
「行ってきます。」
--------------------
「はぁーーー、言えなかった。今日で終わるんだ、私の恋。」
うつぶせになって心の準備をしていたら、あっという間に出てきてしまった。
「あー気持ちよかった♪詩織?寝ちゃったの?髪乾かさないとダメだよ!」
「優しくしないで…。」
「ん?どうした?」
「…、好きだよ。」
「え?いきなり何?w」
ベットから起き上がり、ちゃんと伝わるように向かい合う。
「好きだよ。」
「え…。あ、え、本当?」
「本当だよ。でも…夏菜子、好きな人いるよね。」
「あ、うん。」
「応援するよ。」
「なんで?」
「夏菜子の好きな人って、れにちゃんでしょ?」
「何でそれを。」
「好きだから、見てれば分かるよ。」
「詩織…。ごめんね、ありがとう。」
「ごめんねは聞かなかったことにする。ありがとうだけ受け取る!私、夏菜子のこと好きだしれにちゃんも好きだから二人には幸せになってほしいんだ!」
「頼もしい妹になったね。」
「でしょ♪」
「でも…我が儘だと思うけど、変わらないでね?」
「当たり前!これからもずっと夏菜子のこと大好きだよ。諦めきれないと思う。」
「もー詩織!大好き!」
そう言って抱きついてくる夏菜子。
「えへへ。」
-------------------------
「さて♪今かられにちゃんのとこ行く?」
「え!?いきなり!?」
高城&あーりんの部屋
「で?誰なの?」
「ん?」
「ん?じゃないよー!れにちゃんの好きな人はだーれ?」
「いきなり聞く?w」
「聞く!」
「えーっと…、たま…い。」
「しおりん!?」
「まぁ。」
「意外…。いつもわちゃわちゃしてて男兄弟みたいって思ってた。」
「ちょっと!」
「ごめんごめんwで、なんで昼間『叶わない恋』って言ってたの?」
「だって…、玉井は夏菜子ちゃんが好きだから。」
「それで自分の恋諦めるの?諦められるの?」
「がんばる。告白して今の関係が壊れるのやだし、玉井に気を使わせたくない。」
「高さん良い人すぎるよ。少しは自分の気持ち大事にしてあげようよ。」
「…。」
「高さんが告白してもしおりんは今まで通りに接してくれると思うけどな。もしかしたら告白がきっかけで高さんのこと考えてくれるかもよ!」
「あーりん、めっちゃプラス思考。」
「よく言われるwでもさ、このまま何もしないで自分の気持ちに蓋をするのは良くないと思う。絶対後悔するよ。」
「分かってはいるんだけどね、心の準備が。」
詩織&夏菜子(高城&あーりん部屋前にて)
「いきなりはまずいでしょ!!」
「今この勢いで言わなきゃもう言えないよ!!いつ言うの!?」
「今…で…しょ。」
「分かってんじゃん♪」
「今言わされた、絶対言わされた!!しかももう古いよ。」
「いいから!ドア開けたらすぐ自分の気持ち言うんだよ?」
「おかしくない?」
「おかしくない、おかしくない♪」
「しんぐr」
「シッ!高城にはストレートに言わなきゃ伝わらないし、その方が嬉しいって!」
「ちょっと練習しない?」
「ここで練習するほうがおかしいでしょ。」
「んぐ。」
「押すよ?」
「わ、分かった。当たったらそれまでだ!」
「当たって砕けろのこと?」
「…うん!」
―――――――――――――――――――――
高城&あーりんの部屋
「高さんがしおりんのこと好きなことちっとも知らないんだよね?」
「だと思う。私に話してくるくらいだから。」
「そっか。じゃあ回りくどいことしないで告白しちゃった方が良いんじゃない?」
「もう!?」
「うん!高さん小細工しても墓穴掘るだけっぽいじゃんww」
「ちょっと!そうだけどさー。」
「明日言ってみたら?善は急げ!だよ♪」
「あーりんってすごいね!わ、分かった。当たって砕けろだ!」
夏菜子と詩織は意を決してチャイムに手をかける。
(ピンポーン)
「こんな時間に誰だろ、ふるちゃんかな?」
「明日の確認かな?私行くね。」
「お願いー。」
あーりんが確認のためにドアを開けに行く。
(がちゃ)
「「こ、こんばんはー。」」
そこには、ぎこちない笑顔のしおりんと夏菜子ちゃんが立っていた。
「あれ…、グットタイミング…かも。」
「?。あーりん、れにちゃんいる?夏菜子がちょっと話したいことあるんだって♪」
「OK♪今呼んでくる。高さん、しおりんに言いたいことあるって!」
「お、おう。」
――――――――――――――――
「れにちゃん!グットタイミングだよ!」
「何だった?ふるちゃん。」
「違うって!しおりんと夏菜子ちゃんが遊びに来たよ!」
「なんで!?」
「分かんない。夏菜子ちゃんが高さんに言いたいことがあるらしいけど…。とにかく、ここで言っちゃいなよ!」
「え!今!?」
「いつ言うの?」
「今…で…しょ。」
「そう♪行くよ。」
「えぇぇぇぇ。」
――――――――――――――――――――
「おまたせ♪はい、れにちゃんどうぞ♪」
あーりんの後ろで隠れてるれにちゃんを二人の前に差し出す。
「こんばんはー…。えっと、何?夏菜子ちゃん。」
「あのー…、た、高城!」
「はい!」
「好き!」
「はい!…はぃ?」
「だから、私はれにが好き。」
「あ、え…へ!?わ、私は…詩織が好きです。」
「「え?」」
夏菜子と詩織は開いた口が塞がらない。
これはどういうことだ?
皆の思考が停止してしまったので、とりあえず部屋に入ることにした。
「あーりん、どういうこと?」
泣きそうな顔で見てくる最年長を宥めながら整理する。
「えっと、高さんはしおりんが好き。」
「う、うん。」
「でもしおりんは夏菜子ちゃんが好き。」
「うん。」
「その夏菜子ちゃんは高さんが好き、と。」
「はい。」
「綺麗な三角関係だねーwww」
「「「笑い事!?」」」
「ももクロらしいよ!面白い♪」
「他人事なんだから…。」
そう言って高さんが肩を落とす。
「ある意味平和じゃんwww」
「「「「ま、まぁ。」」」
そういうと、三人は目を見合わせる。
「「「「ぷっ、あははははは」」」
「確かにももクロらしいかも!」
「まさか、私たちが普段やってた茶番が実際起こるなんてねw」
「ほんとだよw」
この恋は誰も実らなかった。けど、一番幸せな形なんだと思う。
お わ り
緑(今回、私一回も出てきてないけど…)
赤紫黄桃/管(ご、ごめんない)
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