寂しい夜には 赤×紫
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「いらっしゃい」
『…お邪魔します』
優しく微笑まれて気恥ずかしくなる
「入って?」
『あ、うん』
自分から会いたいと押しかけたのは初めてだった
中に促されておずおずと足を進める
*
れにのお母さんに挨拶をして部屋に通されてソファに腰掛けてもなんだか落ち着かなくて
「なんか飲む?」
『なんでもいい』
「―そう」
笑いを堪えたような笑顔で肩をすくめるれには私の気持ちなんてお見通しなんだろうな
*
用意してくるねと部屋を出て行って1人になってもなおソワソワしっぱなし
…こんなの私のキャラじゃない。
お互いどれだけ忙しいかなんて分かりきってるはずなのに。
それでも、どうしても会いたくなってしまった
なのに会った途端、顔を見た途端どうしたらいいのか分からない
「お待たせ」
『ありがと』
いつもより余裕のあるれにの表情に羞恥心を掻き立てられる
恋愛は勝負じゃないと思うけど。
…なんか、負けた気がした
「借りてきた猫みたい」
れにがマグカップを手に笑いながら部屋に入ってきた
『な、何が?』
「いや、あんなに切羽詰った声で会いたいって言ってきたのに」
マグカップをテーブルに置いて隣に座ると私の前髪を撫でる
その仕草、からかう声で顔に熱が集まる
いつもなら跳ね退けるけど今日はれにの言うとおりだから言い返せなかった
「ずっとそのままでいるつもり?せっかく会えたのに」
誰のせいでこうなってるんだという負け惜しみに近い文句をぐっと堪える
今日は電話した時点でわたしらしくないんだ
だったら―――
『ギュッとして』
「お安い御用」
『もっと』
「可愛い~」
表情は見えないけどその声は弾んでてきっとニヤニヤしてるんだろう
「寂しかった?」
『―うん』
「これからも…たまにはこうやって素直に甘えてきてね。なんでも受け止めてあげるから」
にこっと笑う顔に心にあった寂しさの塊がほろほろと崩れていく
「キスしたい?」
『え?』
「したくない?」
口にするのは恥ずかしいかられにの服の裾をキュッとつかんで
自分から、唇を押し付けた―