三角形 赤と紫、ときどき黄
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『―――あ、でたぁ』
「そりゃあ掛かってくれば出るよ。なんかあった?」
『なんかないと電話しちゃいけないの?』
「そういうわけじゃないけど、夏菜子から電話してくるなんてめずらしいから。―てか呑んでるでしょ。」
『たしかに!あ、体調崩してない?』
「人の話聞いてる?元気だよ。夏菜子は?」
『最近また別々の仕事多くなったじゃん。前みたいに二人で会えないしさ。れにも忙しいの知ってるし迷惑かなーとは思ったんだけどー。でもどうしようもなく声が聞きたくなる夜があるんだよね~。』
アルコールのせいで硬く縛っていた自分の心の糸がするすると解けていくのを感じる。
寂しさを紛らわすためにまた一口お酒を煽ると飲んでる音が聞こえたのか飲みすぎだと呆れ気味に注意された。
こっちの気も知らないでさ。
『…れにちゃんは優しいね』
「いきなり何?」
『ほら、私は忙しくなったら携帯全然見なくなって連絡とか疎かになるのにれにはちゃんと構ってくれるなぁと思って。』
「それは、愛情の差じゃない?私はちょっとでも声聞けたら嬉しいから。誰かさんみたいに無視しないよ。」
きっと電話の向こうで悪戯っぽく笑ってるんだろう。
『…ごめん』
「素直に謝られると困るw明日も仕事朝早いよね、もうその辺にしたら。」
『うるさいな~。せっかく人が素直に言ってあげてるのに』
「それはどうもw」
思ってることをぶつけたら少しは気も修まるかと思ったけどその逆でもっと寂しくなった。
✭
『あいたいなぁ』
「ぇ…。」
『もしもーし、聞こえてる?』
「あ、聞こえてる聞こえてる。」
しばらくの沈黙のあと、滅多に言われない夏菜子からの一言に不意打ちでドキっとしてどもってしまう。
「酔ってないと言ってくれないよね。」
『だって私が言う前にれにちゃん言ってくれるじゃん。だからぁ、会いたいなーって思ったんだけど。いや、でも無理か。どうしよ。』
少しでも形勢逆転したくて放った言葉を簡単に跳ね返してくるこの人は自分がどれだけ私の心を満たしてるかなんて一ミリも分かってないんだろうな。
「今どこ。」
『家』
「どっちの?」
ほんとめんどくさいんだから。
『マンション』
「じゃあ好きって言ってくれたら今から行ってあげる。」
『えーなんか生意気ー』と文句が聞こえるけど、それを聞き流して私の頭の中はすでに電車の乗り換えの時間を考えていた。
んーギリ終電に間に合わないかもしれないけど、そんときはタクシー拾えばいっかと行かない選択はなかった。
「ちなみにだけど1人だよね?」
疑ってるわけじゃないけど一応ね。
『確かめに来たら?』
「分かった。」
『え、ほんとに?』
「いいならいいけど。」
『いや嬉しいけど!でもれにも明日仕事でしょ?無理して来なくても。』
会いたいと言ったり、いざ行くと言えば拒んだり。さっきから言ってることがぐちゃぐちゃ過ぎるよw
女子はめんどくさい―
「私も女子なんだけど。」
『え、なに?』
不安そうな返事が来た。
「寝ててもいいけど、というか寝てるだろうけど玄関のチェーンは開けといてね。」
『うん。』
少し口角の上がった表情が頭に浮かぶ。
女子はめんどくさい―だから、可愛い