三角形 赤と紫、ときどき黄
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「そういうとこ本当嫌い。」
言ってからマズイと思ったけどもう手遅れ
この後は拗ねるか怒って喧嘩になるか。
黙ったまま俯いている顔を窺うと、
あーこれはあれだ、拗ねてるわ。
目に若干涙を浮かべて睨まれる
『そんなに言わなくてもいいじゃん。』
帰っちゃうかもなーなんてこの後の行動を想像してなんて慰めようかと考える
『もういい!』
踵を返してリビングをあとにするから慌てて後を追いかける
「ちょっと待ってよ。」
私の言葉は最初から聞き入れてくれないのは分かってる
だけど予想外
そのまま玄関へ行くかと思えば寝室に入って目の前で扉が閉まる
「えっ」
『入ってこないで!』
いや、ここ私の部屋なんだけど
「私どこで寝るの?」
『知らない』
いやまぁリビングのソファで寝落ちして気づいたら朝なんてこと結構あるからあまり焦ってもないけど
「まだ寝室に用あるんだけどなぁ」
鍵が付いてるわけじゃないから簡単に入れるには入れるけど無理矢理入るのが得策じゃないことは分かる
コンコン
「悪いんだけどお風呂入りたいからパジャマとか一式取ってくれる?」
しばらくして薄く開けられた扉から腕だけ出してお風呂セットを差し出された
「ありがと…おやすみ」
『…』
案の定返事は返ってこないけど、ちゃんと持ってきてくれるから思わず頬が緩む。
明日には機嫌治ってるといいけど
*
起きたい時間より早めに目ざましをセットしておいた
カーテンを開けて大きく伸びをして「よしっ」と気合いを入れる。
いつもはパンで簡単に済ませることが多い朝食だけど、今日はれにの好きなものを用意してあげることにした。
もとはと言えばれにが、なんて憎まれ口を叩きながらもあの子の機嫌回復のために早起きまでするんだから惚れた弱みというか大分甘やかしちゃってるよなぁと苦笑してしまう。
大方朝食を作り終え時計を確認するとそろそろ起きてくるころかなーと思っているとリビングのドアが開くが音がして、そちらを見れば昨日の空気を少し含んだ気まずそうなれにが立っていた。
「歯磨いた?」
『うん』
「顔は?」
『洗った』
「じゃあご飯食べよっか」
席に着こうと歩みを進めた彼女の足がピタッと止まる
はっとしたような表情に口角が少し上がったのを確認してホッと胸を撫で下ろす
「ちょっと頑張ってみた」
顔を覗き込むとその瞬間無理矢理口角を下げるれに
素直なんだか強情なんだか。
「食べよ」
テーブルに促していただきますをする。
会話はなく、食器の当たる音だけが聞こえる朝
食べながら表情を窺うとさっきよりもだいぶ柔らかくなっていた。
「ごちそうさま」
『ごちそうさま』
何も言わず食器を2人分片づけてくれてそのまま洗い出したのを見届けて先に着替えを済ます。
リビングに戻るとれにはソファを背もたれにして床に座ってメイクをしていた
少しずつよそ行きの姿になっていく後ろ姿を眺める。
綺麗にメイクしても
可愛い洋服に着替えても
やっぱり私はすっぴんにお気に入りの部屋着に身を包んだれにが一番好きだな
静かに近づいてソファとれにの間に入り込む
「まだ怒ってる?」
顔を覗きこむと長い沈黙
少しふくれっ面のれにと見つめあった後、お互い耐えきれなくなって同時に吹き出して笑った。
やっぱこの顔を見ると元気になれる
昨日の喧嘩はお互い悪かったってことでおあいこね
背中に耳を当てると鼻歌がくぐもって聞こえて安心したのと早起きしたせいで眠気が襲ってくる。
『支度しなくていいの?』
「もう終わった」
『メイクは?』
「今日撮影だからやんなくていいの」
『そうだった…言ってよ!』
あ、怒った