三角形 赤と紫、ときどき黄
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「どうしても?」
『無理なんだってばー』
お皿に取り残された鮮やかな赤、朝日に照らされたみずみずしいトマトはいつもより美味しそう
「はい、あーん。これフルーツトマト、甘くておいしいよ」
口を真一文字に結んでトマトを凝視する表情は何度見ても飽きることがなく可愛い
いつも主導権を握られることが多い私が唯一逆転できるのがトマト
トマトかよって自分でも思うけど仕方ない
いくら待ってもその口が開くことがないから仕方なくそのままUターンして自分の方へ持っていく
「おいしいのに」
口の中で甘酸っぱい味が広がって自然と顔がほころぶ
『食べれないって分かってるくせに』
そんなに拗ねた顔したって悪戯心に火が着くだけだよ
「自分のカラーなんだから好きにならなきゃ」
『関係ないし』
「可哀想ー」
『私がね』
「トマトと赤がね」
『意味分かんないし』
食べ終わった食器をシンクへどんどん戻して洗い物を始める夏菜子
テーブルには真っ赤なトマトとわたしだけが取り残された
「あーぁ。可哀想に」
『もーうるさいなー。そうだ、今日詩織来るよ』
「なんか嬉しそう」
『この部屋来るの久しぶりだもんね』
あっという間にトマトの存在を消されて私のわずかな優越感はいとも簡単に崩された
食べれないと分かっていながら食卓に出すのはいつもより幼くなる不機嫌な顔を見たいから
私は懲りずにトマトを食卓に添える
『早く食べて着替えて』
「はーい」
後日
『ただいまー見て!美味しそう』
「はぁ!?パクチー買ってきたの!?無理、食べれない、臭い…臭い!」
『美味しいのに、サラダに入れよ』
「むーーーりーーーーー」