マンション手前の信号が赤に変わって足を止める


久しぶりだなぁ、こっちの部屋に帰ってきたの


夕方に帰ることはれにに言ってあるからいるはず


｢昼寝してんの？ったくー｣


空は薄暗くポツポツとへやの明かりを灯した部屋がある中、自分の部屋を見上げると暗いままだった




がちゃ

｢ただいまー｣


声のトーンを落として中に進む


部屋の明かりを点けたがいると思っていた姿が見当たらない


｢寝室？｣


寝室へ行ったがやはりいない


｢あれー買い物かなー｣


携帯を取り出してどこにいるかメールをするとすぐ返信がきた


｢なんだよ｣


それは疲れてる私を労わってゆっくりしてという内容だった


｢本当分かってないよね｣


静岡に帰ろうと思えば帰れる時間なのになんでこっちに来たと思ってんの？


(せっかくれにが観たいって言ってた映画レンタルしてきたのに！)


嫌味な返信をした


すると既読がついたままそこから返事が来なくなった


あれ、困らせたかな…


気にしないでと前言撤回しようか、でも一緒に過ごしたかったし、とか脳内会議をしていたら変事がきた


｢は？｣


疑心暗鬼のままベランダに出て見下ろすと買い物袋を抱えたれにがいた


(映画にはお菓子だよね、ベランダ出てみ？)





｢はい、熱いからね｣


｢ありがと｣


お風呂上りにストレッチをするよう言ったことに素直に従ってる背中に声をかける


｢てかさー気遣って来るのやめるって言っといて外にいるとかさぁw｣


｢ここに来る途中でこれ行っちゃダメなやつかなーって思ってコンビニにいたw｣


｢でも帰らなかったんだ｣


｢まぁ…最近ゆっくり会えてなかったから会いたいなーって｣


｢―ねぇ、同じ気持ちだよ｣


｢え？｣


｢なんでわざわざ連絡してここに帰ってきたと思ってんの？｣


やっと理解したらしいれには嬉しそうにへらへら笑う


｢キモいよw｣


ソファの下にいたれにが上がってきて隣にくると抱きついてくる


｢ちょっ、危ない！｣


溢しそうになった紅茶をテーブルに置いて頭をはたくと｢ぼかぁ幸せ者だな～｣って言うから一気に力が抜けてしまう


｢バカじゃないの？w｣


｢本当、今すっごい幸せ！｣


｢私も｣なんて言うようなキャラじゃないから肩に乗せてくる頭に私も重ねることしか出来ないけど、どうか私の好きも届いてほしい


｢映画観る？｣


｢せっかく借りてきたしね｣


｢ありがと♪｣


よし！とれにがDVDをセットしようと体を離した途端もうちょっとこのままでとわがままな自分が顔を出して考えるよりも先に服の裾を掴んだ


｢ん？｣


何事かとこちらを見るれにをよそに掴んだ服を引っ張ってまたソファに戻す


｢ぉわっと…。まぁ返却一週間後だよね？そんな急いで観なくてもいっか、もうちょっとこうしてようね｣



口下手な分行動であらわすから

見逃さずにキャッチして