黄昏時に
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今日も怒涛の日々を終え、やっと眠れると思った頃にはもう深夜1時を回っていた
「はぁ、疲れた…」
午前中は大学の講義、午後から22時頃までバイトをこなして、課題等々を終わらせたらすっかり遅くなってしまった
明日は久々の休日だ
昼まで寝るぞと意気込みベッドへと潜り込む
目を閉じ、意識を手放そうとしたその時ーーー
ダンッ!!!!!
凄まじい音が部屋中に響く
「なに!?!?」
眠気が一気に吹き飛び音のした風呂場の方へと急ぐ
ブレーカーが壊れた?
にしても何か落ちた音だったような…
風呂場に着くと扉から脚がみえる
…あ、脚!?
恐る恐る覗いて見ると迷彩の男が倒れていた
ピシリと固まった
えっと、どうすれば?
警察?救急?あ、私が声かけしなきゃ?
でも玄関は閉めてたし、不審者?えっと…
あーでもないこうでもないと悩む
ふと男の方に目をやると姿が見えない
「え?」
次の瞬間視界が反転する
背中に鈍い痛みが走り、首元にヒヤッとした鋭利なものが当てられる
「動くな」
低い、芯の方まで届くような冷たい声でそう言われた
怖い
生理的な涙が流れ、恐怖で身体が震える
「アンタ、何者だ?俺様をなんの目的で連れてきた。」
「しらなっ…わたしな、にもっ!」
グッと首に当てられた刃物に力が入り、首から生暖かいものが流れていくのを感じる
「返答次第じゃ楽に殺してあげるよ。どうやって俺様を連れてきた?俺様を気絶させるなんて相当手練れの様だけど?」
「わたし、ほんとにっしらない…!しんじて…」
必死の声も虚しく、首の刃物は相変わらず強い力で押し当てられる
私を殺そうとしている男は私を一瞥すると周りを見渡した
「…ねえ、ここ南蛮?」
男が問いかける
「なん、ばん?ここは、わたしの家で、いまはお風呂場、です…」
私の返事に眉を顰めると洗面所や洗濯機、タオルなどを触る
「ねぇ、アンタ何者?俺様が見たことないものばっかりなんだけど。この手拭いなんて触ったことがないほど手触りがいいし。まさかどこぞの姫?」
「わたしは、ただの大学生です」
「だいがくせい?」
怪訝な顔をする
「ふざけてる?俺様がアンタの命握ってること忘れないでよね」
「っ!ふざけてなんか…!さっきわたしは、寝ようとしたところで音がしたからきただけです!」
キッと力一杯睨むと首の圧迫感が消える
「ケホッケホッ…!」
一気に空気が流れ込み思わず咳き込んでしまう
「アンタの事を信用したわけじゃない。寝所に連れて行け。いつでも殺せるって事を忘れないで」
男の言葉に静かに頷くと震える足をなんとか立ち上がらせ寝室へと向かう
「…ここです」
先に私が入り後からすぐ男が入る
「なんだこれ…。俺様が見た事ないものばかりだ」
ベッド、ソファ、タンス。ありふれたものしか置いてないはずだが見た事がない?
「さっきまでわたしはベッドで寝ていて、音がしたので風呂場のほうに行ったんです」
「べっど?」
「え?…ベッドはこれの事です」
そう言ってベッドを指差す
「アンタ南蛮語喋るの?竜の旦那の所の者?」
「竜の旦那?どなたでしょうか…?」
「独眼竜伊達政宗だよ。なに、知らないの?」
「伊達政宗?知ってますけど彼は戦国時代の人じゃないんですか?」
シーンと静寂が響き渡る
「はぁ?今は戦国の世でしょ」
「…戦国時代は今から400年以上昔の筈ですが」
再び沈黙
男は何やら考え事をしている様で眉を顰めている
「あ、の…。良かったら窓から外を覗かれますか?」
男は静かに頷くのを一瞥すると窓を開ける
外には深夜なので暗いが、街灯が輝き、車が走っていた
「なんだ、これ…」
男は見た事がない光景に唖然とする
「あの、とりあえず状況整理をしませんか?お互い混乱しているので…」
お互い向かい合わせに座り直す
「私は桜といいます。今は2025年で戦国時代からすると400年以上経っています。ここは私の家で今から寝るところでした」
「…猿飛佐助。任務中に突然辺りが真っ暗になって気づいたら倒れてた」
猿飛佐助 聞き覚えのある名前に目を見開く
その事に気づいた男が口を開く
「…なに、俺様の事知ってるの?」
「詳しくは知りません。…ただ真田幸村に仕え、真田十勇士の長というくらいは」
そう答えると、男は驚いたのか感情を表に出した
「は!?真田の旦那の事まで知ってんの?オイオイ嘘だろ」
男は覚悟を決めたように短く息を吐くと
「わかった、信じるよ。周りも見た事ないものばかりだし名前を出してない筈の真田の旦那の事も知ってたしね。」
先程までの張り詰めていた空気が一気に和らぐ
久しぶりに深呼吸をした私は男に問いかける
「猿飛さん、よかったら少しの間ここにいますか?」
そう提案すると驚いたのか
「いやいや、ありがたいけど俺様怪我させちゃったし悪いよ」
「でも、それは仕方がないですよ。起きたら知らない場所、知らない人がいたらパニックにもなりますよ。それに夜も遅いですし。」
「ぱにっく?」
「驚く、という事です。怪我もほら…血は止まりましたし深くありません。」
「…じゃあ、うん。よろしくね桜ちゃん」
年甲斐もなくちゃん付けで名前を呼ばれ赤くなってしまう
「っ…。はい、よろしくお願いします猿飛さん」
「赤くなってんのかわいー。佐助でいいよ。お世話になるんだから敬語もなしね。」
一気に飄々とした雰囲気になり、グッと心の距離が近くなる。さっきまでの温度差の違いに驚愕してしまう
「では佐助さ「佐助。敬語なし」…佐助。もう遅いから寝よう。布団出すから待ってて」
有無を言わせない雰囲気に思わず呼び捨てとタメ語になってしまった
「俺様別に布団は大丈夫だよ。屋根裏とかで寝るし」
「だめ!お客様なんだから布団を使って」
そう言って睨みつける
「気にしなくていいのに。あ、だったら一緒の布団で寝る?」
そう言って私のベッドを指差す
「変態!居候の話はなし!」
「ちょ、冗談だって!!」
ワタワタと佐助がたじろぎ、騒ぐ私を落ち着かせ、ようやく布団を敷く事ができた。
「じゃあおやすみ、佐助。この時代のことはまた明日詳しく教えるね」
「うん、ありがと。おやすみ、桜ちゃん」
佐助の返事が聞こえ、静かに目を閉じる
目を閉じた瞬間ドッと疲れが流れ込み意識を手放したーーー
ーーー翌朝
ピピピッ
アラームの音で目が覚める
「うーん…」
まだ眠い。頭がボーッとする。寝返りをうとうとした時に首にピリっと痛みが走る
「いたっ」
その痛みで昨夜あったことが鮮明に思い出される
「あ、そうだった!佐助さん!」
昨夜私のベッドの横に布団を敷いてそこに寝てもらった
布団を確認すると膨らみはあるのに主は見えない
驚いて触ってみると微かに暖かい
ーーー帰ったのか
拍子抜けしてその場に座り込む
その時首あたりから妙な匂いがする
よく見えなかったので洗面所に行き、鏡を確認する
そこには昨日怪我をしたであろう場所に薬草らしきものが貼ってあり、丁寧に手当してあった
きっと佐助が私の寝てる間に手当してくれたのだろう
思いがけない佐助の優しさに触れ、クスリと笑う
彼とはまたいつか会える気がする
そんな奇妙な感覚を感じながら朝の身支度を済ませたーーー