悟浄birthday
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃ、デートしようぜ」
そう言われたのは今から2時間ほど前。
誕生日おめでとうと伝えて、プレゼント煙草とかしか思いつかなくて、でも未成年だから買う事も出来ないので一緒に買いに行ってもらいたいと伝えると返ってきたのがその言葉だった。
は?え?と困惑してる間にも、悟浄は八戒に「瑞希ちゃんと出掛けてくる」やら「夕飯はいらねぇ」やらと伝えて、テキパキと準備を整えていく。
『ちょ、待って待って!まだデートするなんて一言も言ってない!』
夕飯もいらないとか言ってたけど、そんなに手持ちがあるわけじゃない。
まさか誕生日の人にお金を出させるわけにもいかない。
「何?俺とデートは嫌か?」
『そういう訳じゃないけど…』
「じゃ、プレゼントは瑞希ちゃんの時間って事で♡」
それ嬉しい?!
一縷の望みをかけて八戒を見れば、とてもいい笑顔で手を振ってくれた。
味方がいない!わかってた!!!
そんなこんなで半ば強引に連れ出され今に至る。
ここまでの行動がもう…なんか凄いのなんの…。
すれ違い様にぶつかりそうになればそれとなく手を引いてくれたり、何処か入ろうとすればドアは開いてるし、座ろうとすれば椅子は引かれてるし…。
こ、これが大人…!
って何で私が接待されてんの?!
『あの…悟浄?』
「ん?」
これまたいつの間にか頼まれてたケーキとオレンジジュースを頂きながら悟浄に声をかけると、いつも通り煙草に火をつけた悟浄が……あれ、煙草吸ってない?!
『あれ、煙草は?』
「あー、ここ禁煙だしな」
『マジか』
普段ベッドの上だろうが所かまわず吸ってるイメージの悟浄が禁煙の店を選んだ…だと?!
なんで?とかどうして?とか頭の中をぐるぐる回るだけで、口はパクパクと開いたり閉じたりを繰り返す。
それとは対照的に「どうした?」と言わんばかりにこちらを見ている悟浄。
ねぇ、今日誕生日なのは貴方では???
『今日は悟浄の誕生日なのに私が接待されてどうすんの…』
「いーのいーの。俺は瑞希ちゃんの時間を貰ってんだから、今日1日瑞希ちゃんと行きてぇトコ行くって事で」
良いのかなぁと思いつつも悟浄も何処となく楽しそうだったので、その言葉を飲み込んだ。
「あいつらと居たらこういう店来ねぇだろ?」と言う悟浄の言葉にも妙に納得してしまう。
確かに男ばかりのメンバー故に、ご飯は基本ガッツリ系だったりするので、甘い物が食べたくないと言えば嘘になる。
でもワーッとお祝いできるわけでないけど少し位…と思うのも事実で…。
『でも…』
「いつも頑張ってる瑞希ちゃんにご褒美って事で、瑞希ちゃんにしてやりてぇって思ってた事してんだ。だから今日はオニーサンに甘やかされてろ。な?」
『悟浄はズルい』
そんな事言われたら断れなくなるじゃんか。
『……じゃあ今日はよろしく…お願いします?』
「任せとけ」
にこにこと私の頭を撫でる悟浄の手が心地よくて、照れ臭くて少し俯く。
こういう時は大人の余裕というものを感じる。
いつも悟空と一緒になって騒いでる時とは違う。
----------
あれから店を出て、雑貨屋さんやら色々見て、なんだかんだいつの間にか日が暮れていた。
ゆっくり色々見るのも久しぶりで楽しかった。
今は晩御飯に酒場へ。
悟浄には「本当にいいのか?」って聞かれたけど、流石に晩御飯まで合わせてもらうより良いと思った。
こういう所なら悟浄も気にせず煙草吸ったりできると思うし…。
カウンターに通されてご飯を食べ、何気ない世間話をしながらも悟浄はお酒の入ったグラスを傾けていた。
『今日はありがとう、悟浄』
「楽しめたか?」
『すっごく楽しかった!……悟浄は?』
「俺も楽しかったぜ?瑞希ちゃんの色んな表情見れたしな」
ニッとイタズラに笑って頭を撫でる仕草は、本当のお兄ちゃんの様に感じられた。
まぁ実際兄がいるわけじゃないけど、多分居たらこんな感じ…?
へらりと笑って返すと満足した様に手を離し、煙草に火をつける。
サラリとした長い髪が悟浄の顔を隠す。
『あ!悟浄!』
「な、なんだ?!」
突然大きな声で呼ばれてびくりと肩を跳ねさせる悟浄。
自分でも思ってた以上に大きな声が出てビックリした。
「ごめんごめん」と軽く謝罪をしてカーディガンのポケットの中を漁り、先ほど買って包んでもらった物を渡す。
「…俺にか?」
『うん。さっき寄った雑貨屋さんでちょっと…』
「開けていいか?」
『大した物じゃないから期待しないでね…』
中から出てきたのは暗めの赤いヘアゴムにシルバーの飾りの付いたシンプルな髪ゴム。
私のセンスか皆無なのはわかってるので普段は物を渡す事はしないんだけど、少しでも何かと思っていたらこの髪ゴムを見つけた。
たまに髪を上げてる時もあるし、使い所はあるだろうと買う事にした。
『ホントセンスなくてごめんね?…あ、全然捨てても良いかr「いや、サンキュ」』
そう言うと煙草を咥えたまま、慣れた手つきでさっと髪を結い上げる悟浄。
綺麗な深紅の髪に合う赤いゴムに控えめに光るシルバー。
「似合うだろ?」
『うん、似合う』
「ま、俺なんでも似合うからなー」
『ホントにねー』
私は「色味も合って良かった」と束ねられた髪をそっと撫でると、悟浄の艶のある長い髪がスルッと私の手をすり抜けた。
『悟浄、髪綺麗だよね。私好きだよ』
「ん"ーー……」
さっきまで余裕そうな笑みで構えてた悟浄が突然テーブルに突っ伏した。
「何この子、怖ぇ…」とかボソボソと言ってる悟浄。
え、私怖い事した…?
『ご、ごめんね?…って悟浄耳赤いけど大丈夫?酔った?』
「あー、いや、大丈夫。なんでもねぇ」
大丈夫とは言われたけど、一応近くに居た店員さんにお水を頼んで悟浄に向き直る。
顔は上げてくれたものの、まだほんのりと顔が赤い。
結構飲んでたからなぁ。
『お水飲んだらそろそろ帰ろ?時間も時間だし』
「そうだな。………瑞希ちゃん、今日はありがとうな」
『こちらこそありがとう!悟浄の誕生日なのに、私の方が楽しんじゃった』
そんな言葉を交わして、笑い合う。
いつも後部座席で悟空と言い合ったり、取っ組み合いして騒いでる悟浄のいつもとは少し違うお兄さんな部分を垣間見れた1日になった気がする。
女好きで綺麗なお姉さんが居るとすぐナンパしようとしたりするけど、結構周りを見てて、なんだかんだ気を回してくれたりする。
頼れるお兄さん。
そんな悟浄が私は大好きだ。
HappyBirthday 悟浄
END
そう言われたのは今から2時間ほど前。
誕生日おめでとうと伝えて、プレゼント煙草とかしか思いつかなくて、でも未成年だから買う事も出来ないので一緒に買いに行ってもらいたいと伝えると返ってきたのがその言葉だった。
は?え?と困惑してる間にも、悟浄は八戒に「瑞希ちゃんと出掛けてくる」やら「夕飯はいらねぇ」やらと伝えて、テキパキと準備を整えていく。
『ちょ、待って待って!まだデートするなんて一言も言ってない!』
夕飯もいらないとか言ってたけど、そんなに手持ちがあるわけじゃない。
まさか誕生日の人にお金を出させるわけにもいかない。
「何?俺とデートは嫌か?」
『そういう訳じゃないけど…』
「じゃ、プレゼントは瑞希ちゃんの時間って事で♡」
それ嬉しい?!
一縷の望みをかけて八戒を見れば、とてもいい笑顔で手を振ってくれた。
味方がいない!わかってた!!!
そんなこんなで半ば強引に連れ出され今に至る。
ここまでの行動がもう…なんか凄いのなんの…。
すれ違い様にぶつかりそうになればそれとなく手を引いてくれたり、何処か入ろうとすればドアは開いてるし、座ろうとすれば椅子は引かれてるし…。
こ、これが大人…!
って何で私が接待されてんの?!
『あの…悟浄?』
「ん?」
これまたいつの間にか頼まれてたケーキとオレンジジュースを頂きながら悟浄に声をかけると、いつも通り煙草に火をつけた悟浄が……あれ、煙草吸ってない?!
『あれ、煙草は?』
「あー、ここ禁煙だしな」
『マジか』
普段ベッドの上だろうが所かまわず吸ってるイメージの悟浄が禁煙の店を選んだ…だと?!
なんで?とかどうして?とか頭の中をぐるぐる回るだけで、口はパクパクと開いたり閉じたりを繰り返す。
それとは対照的に「どうした?」と言わんばかりにこちらを見ている悟浄。
ねぇ、今日誕生日なのは貴方では???
『今日は悟浄の誕生日なのに私が接待されてどうすんの…』
「いーのいーの。俺は瑞希ちゃんの時間を貰ってんだから、今日1日瑞希ちゃんと行きてぇトコ行くって事で」
良いのかなぁと思いつつも悟浄も何処となく楽しそうだったので、その言葉を飲み込んだ。
「あいつらと居たらこういう店来ねぇだろ?」と言う悟浄の言葉にも妙に納得してしまう。
確かに男ばかりのメンバー故に、ご飯は基本ガッツリ系だったりするので、甘い物が食べたくないと言えば嘘になる。
でもワーッとお祝いできるわけでないけど少し位…と思うのも事実で…。
『でも…』
「いつも頑張ってる瑞希ちゃんにご褒美って事で、瑞希ちゃんにしてやりてぇって思ってた事してんだ。だから今日はオニーサンに甘やかされてろ。な?」
『悟浄はズルい』
そんな事言われたら断れなくなるじゃんか。
『……じゃあ今日はよろしく…お願いします?』
「任せとけ」
にこにこと私の頭を撫でる悟浄の手が心地よくて、照れ臭くて少し俯く。
こういう時は大人の余裕というものを感じる。
いつも悟空と一緒になって騒いでる時とは違う。
----------
あれから店を出て、雑貨屋さんやら色々見て、なんだかんだいつの間にか日が暮れていた。
ゆっくり色々見るのも久しぶりで楽しかった。
今は晩御飯に酒場へ。
悟浄には「本当にいいのか?」って聞かれたけど、流石に晩御飯まで合わせてもらうより良いと思った。
こういう所なら悟浄も気にせず煙草吸ったりできると思うし…。
カウンターに通されてご飯を食べ、何気ない世間話をしながらも悟浄はお酒の入ったグラスを傾けていた。
『今日はありがとう、悟浄』
「楽しめたか?」
『すっごく楽しかった!……悟浄は?』
「俺も楽しかったぜ?瑞希ちゃんの色んな表情見れたしな」
ニッとイタズラに笑って頭を撫でる仕草は、本当のお兄ちゃんの様に感じられた。
まぁ実際兄がいるわけじゃないけど、多分居たらこんな感じ…?
へらりと笑って返すと満足した様に手を離し、煙草に火をつける。
サラリとした長い髪が悟浄の顔を隠す。
『あ!悟浄!』
「な、なんだ?!」
突然大きな声で呼ばれてびくりと肩を跳ねさせる悟浄。
自分でも思ってた以上に大きな声が出てビックリした。
「ごめんごめん」と軽く謝罪をしてカーディガンのポケットの中を漁り、先ほど買って包んでもらった物を渡す。
「…俺にか?」
『うん。さっき寄った雑貨屋さんでちょっと…』
「開けていいか?」
『大した物じゃないから期待しないでね…』
中から出てきたのは暗めの赤いヘアゴムにシルバーの飾りの付いたシンプルな髪ゴム。
私のセンスか皆無なのはわかってるので普段は物を渡す事はしないんだけど、少しでも何かと思っていたらこの髪ゴムを見つけた。
たまに髪を上げてる時もあるし、使い所はあるだろうと買う事にした。
『ホントセンスなくてごめんね?…あ、全然捨てても良いかr「いや、サンキュ」』
そう言うと煙草を咥えたまま、慣れた手つきでさっと髪を結い上げる悟浄。
綺麗な深紅の髪に合う赤いゴムに控えめに光るシルバー。
「似合うだろ?」
『うん、似合う』
「ま、俺なんでも似合うからなー」
『ホントにねー』
私は「色味も合って良かった」と束ねられた髪をそっと撫でると、悟浄の艶のある長い髪がスルッと私の手をすり抜けた。
『悟浄、髪綺麗だよね。私好きだよ』
「ん"ーー……」
さっきまで余裕そうな笑みで構えてた悟浄が突然テーブルに突っ伏した。
「何この子、怖ぇ…」とかボソボソと言ってる悟浄。
え、私怖い事した…?
『ご、ごめんね?…って悟浄耳赤いけど大丈夫?酔った?』
「あー、いや、大丈夫。なんでもねぇ」
大丈夫とは言われたけど、一応近くに居た店員さんにお水を頼んで悟浄に向き直る。
顔は上げてくれたものの、まだほんのりと顔が赤い。
結構飲んでたからなぁ。
『お水飲んだらそろそろ帰ろ?時間も時間だし』
「そうだな。………瑞希ちゃん、今日はありがとうな」
『こちらこそありがとう!悟浄の誕生日なのに、私の方が楽しんじゃった』
そんな言葉を交わして、笑い合う。
いつも後部座席で悟空と言い合ったり、取っ組み合いして騒いでる悟浄のいつもとは少し違うお兄さんな部分を垣間見れた1日になった気がする。
女好きで綺麗なお姉さんが居るとすぐナンパしようとしたりするけど、結構周りを見てて、なんだかんだ気を回してくれたりする。
頼れるお兄さん。
そんな悟浄が私は大好きだ。
HappyBirthday 悟浄
END