-瑞希 side-


昨日、飼っていた猫のチェリーが急死した。
私の目の前で…事故だった。

チェリーが産まれてからずっと一緒だった。
私が辛い時はそばにいて慰めてくれた。
一昨日だって一緒に寝て、「明日は何しようかー？」なんて話してて…。
なのになんで…？なんでチェリーが…？

せめて最後のお別れをする前に綺麗にしてあげたくて、亡骸を抱いて……あれ？私どうやって帰ってきたんだっけ？ご飯は？
もうなんかどうでもいいや…。


「チェリー…ごめんね、助けてあげられなくて…」


そう言って私はもう冷たいチェリーの背を撫でた。
いつまでもここに置いておくわけにはいかない。
せめてもう少し…もう少しだけここに…。


-コンコン-


玄関からノックの音。
普段来客のないうちに一体誰が来たというのだろうか？
出る気が起きない。
もうこのまま居留守を使おうか…。


-コンコン-


「おーい、嬢ちゃーん、居るんだろ？」


聞き覚えのない声…誰？