ナンパな彼
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所変わって今日のお宿。
ムスッとしながら今日何杯目になるか分からないコーヒーを口に運ぶ。
「瑞希、そんなに飲むと寝れなくなっちゃいますよ」
『私もお酒飲めたらお酒飲むんだけどね…』
ヤケ酒ならぬヤケカフェイン。
今日は皆同じ部屋なので悟浄以外の4人が1つの部屋に収まっている。
途中まで眺めていた悟空と白竜のじゃれ合いもいつの間にか終わって、今は寝息が聞こえていた。
三蔵は新聞を読み、八戒は悟空に布団を掛け私の横に腰かけた。
「そんなになるなら気持ちを伝えるのも手だと思いますよ?」
『そんなんしてフラれたらこの先気まず過ぎて死ぬわ…かと言ってなんかの奇跡が起きてOK出たとしても、悟浄から見たら私子供だし、すぐ飽きられちゃいそうで…』
「瑞希…」
悟浄から見れば私なんてまだまだ子供で、いつも「可愛い」とか言ってるのだってただからかってるだけ。
現に他のお姉さん達にするように口説かれたり、ましてや愛を囁かれるなんて事、今まで一緒にいて1度もなかった。
それがわかってるのに「可愛い」と言ってくれる事、笑顔で頭を撫でてくれる優しい手が嬉しいと思ってしまう自分に嫌気がさす。
『それに今のまま妹みたいって感じでも良いかなーって思ってるんだ。確かに今日みたいに節操なくナンパしてるの見るとモヤモヤしたりするけど、これはこれで役得だし?無理に関係を変えなくても好きな人と一緒に居れるのが1番だもん…。好きになったのが三蔵や八戒だったら良かったな……なーんてね!』
八戒は話聞いてくれたり、気晴らしにって皆に内緒で甘い物差し入れしてくれたり、三蔵だって無言だけど、八戒と同じく話聞いてくれたり、時には口は悪くても励ましてくれたりもする。
それに2人共、私の悟浄への気持ちを知っても今までと変わらず接してくれる。
5人だけのこの旅でそれがどれほど有り難いか…。
「こんなん似合わないよねー」と笑い飛ばし、何か言おうとしてる八戒を遮って足早にお風呂へと向かった。
「健気ですね。素直になればいいのに」
「世話の焼ける奴等だ…」
「おや、三蔵貴方悟浄の方にも気付いてたんですか?」
「気付いてねぇのはそこの猿と当人達だろ」
「そうですね」
私が部屋を出た後こんな会話があったなんて、私は知る由もなかった。