第壱話
夢小説設定
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『……ん…』
起きると隣には先生が笑顔で立っていた。
いや、笑顔だが目が笑ってない。
そして額には微かに青筋が…。
「お前…俺の授業で寝るなんていい度胸してんな…」
『…ドモ』
「誉めてねぇよ」
『あー、すみません?』
「もう授業受ける気ねぇなら帰れ」
『じゃあ大人しく帰りまーす』
先生の「帰れ」の言葉で瑞希は今迄広げていた勉強道具をしまい、「さよーなら」と一礼して教室を出た。
教室の方から「いや、マジで帰んな!」とか先生が言ってるものの、当の瑞希は全く聞いてない。
学校を出た瑞希は近所にある小さな古びた神社に向かっていた。
その神社の裏は瑞希が1人になりたい時いつも来ている唯一の場所。
現在一人暮らしをしている彼女が1人になりたいからとわざわざそこに行く必要はないのだが、数年前にこの神社を見つけてからそれが当たり前になっている様で、ほとんど無意識的に神社の方へと歩を進めていた。
歩きながら先程の夢の事を思い出そうとしているが、悪い夢ではなかった事くらいしか思い出せず、そのまま神社と目と鼻の先の所まで来てしまっていた。
考え事をしていたせいか、いつもより道のりが早く感じる。
神社に着くと、裏にある大きな木の根元に腰掛け空を仰いだ。
『なんか思いっきり衝撃的な夢だった気がするんだけどなぁ…』
「忘れてんじゃねぇよ、バーカ」
そこに現れたのは、他でもない観世音菩薩。
音もなく現れた彼女を呆然と見つめる瑞希。
『えっと…露出狂?警察呼ぶ…?』
「呼ぶな。つか数分前の事位覚えとけ。お前の頭は飾りか?」
『残念ながら脳味噌が詰まってる』
「ったく…まぁいい。俺は観世音菩薩だ。今度こそ覚えろよ?」
『確か観世音菩薩って慈愛と慈悲の象徴だよね?どちらかっていうと、自愛と淫猥の象ちy』
象徴と言いかけた所で瑞希の頭に観世音菩薩の拳が降り注ぐ。
容赦のない拳に涙目になる瑞希。
『いったぁ…!殴る事ないじゃん!』
「天罰だ。言っておくがお前が忘れてても連れて行くからな」
『何処に?』
「面倒臭ぇなぁ…お前を必要としてる世界。わかったら行くぞ」
『ちょ、意味わかんないから!』
瑞希の抗議が聞こえないと言わんばかりに観世音菩薩は瑞希の腕を掴む。
そして辺りが光に包まれ、数秒後に光が消えた時にはそこに2人の姿は無かった。
まるで今まで誰も居なかったかのように。
残ったのは風に揺らめく木々の音のみ…。