第陸話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お風呂借りてサッパリ!
本日2度目の濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながら皆が待つ部屋に向かう。
寝床は旬麗さんの部屋に用意してもらったけど、次どうぞーって伝えないとね。
-ガチャ-
「あ、瑞希!瑞希も知りたいよな?"ジエン"ってやつの話!」
『いや、突然過ぎる。何どうしたの』
ドアを開けるなり八戒は本持って目の前に立ってるし、悟空はいきなりさっきの"ジエン"の話持ち出してくるし、何事なの?
「八戒が"ジエン"って奴の事おしえてくんねーんだよ」
『八戒も知ってるの?』
「僕は直接は知らないんです。ただ、悟浄から聞いた事があるだけで…」
『じゃあ悟浄本人に聞けば「絶対嫌」』
なんで…。
八戒に目を向ければ困った様に肩を竦めていた。
「…なんか、俺何にもヒミツとかねーのに、アイツにだけあるのってズルいじゃんか」
『「……子供/ガキ?」』
「悪かったな、ガキでよ!!」
三蔵さんと声合っちゃったよ…。
良くも悪くも悟空は隠し事とかそういうの出来ないタイプだろうし、悟浄に隠し事されるのがなんか嫌なんだろうなぁ。
「…ま、悟浄にも口止めされてませんしね。その
戸惑いながらも「口止めされてるわけじゃないから」と口を開いた八戒を止めに入る。
『私はいいよ。聞きたくないとかそういうんじゃないけど、なんか……うん、聞くなら本人から聞くよ』
「…わかりました」
「じゃ、お風呂空いたから」とヒラヒラと手を振りながら部屋を出た。
旬麗さんの部屋に戻る前に外の風にでも当たってこようかな…。
----------
お風呂上がりの程よく火照った体に夜風が気持ちいい。
こっちは星が綺麗に見える。
小さい村とかだと街灯がある訳でもないし、ぽつぽつと家の灯りがついてるのが見えるだけで、後は自然の明かりだけ。
あのまま普通に生きてたらこんな景色見れなかったかもなぁ。
グッと伸びをして空を見上げてると何処からか微かに煙草の臭いが漂ってきた。
さっき三蔵さんは部屋に居たから悟浄かな?
『悟浄…?』
「あぁ、瑞希ちゃん。風呂上がり?」
家の角からひょこっと顔を出したのはやっぱり悟浄だった。
煙草を咥えたままこちらに近付いてくる。
『うん、さっき出て皆に声掛けてきた所』
「ちゃんと乾かさねーと風邪引くぞ?」
『はーい………悟空、拗ねてたよ』
「ん?」
さっき部屋に行った時の事を悟浄に話すと「ガキか」と笑っていた。
私も同じ事思ったし、さっき三蔵さんと声合っちゃったんだーと笑い返す。
しん、と静かになると、悟浄がふーっと煙を吐く。
「……瑞希ちゃんも気になる?」
『んー、全く気になんないって言えば嘘になるけど、悟浄が話したい時に話してくれればいいよ。言いたくないモンは言わなくていいと思うし』
「悟空の気持ちもわかんなくないけどね」とヘラリと笑えば真剣な表情の悟浄と目が合う。
その表情の意味がわからなくて、でもなんか居心地が悪くて後退る。
『じ、じゃあ私もどr「瑞希ちゃんは」あ、はい』
意を決して先に戻ると伝えようとしたら、私の声に悟浄の声が被さる様に発せられた。
どうやらこのまま帰す気は無いらしい。
「瑞希ちゃんは赤って言うと何を思い浮かべる?」
『赤と言えば?そうだな、いちごとトマト、後さくらんぼと…あれ、食べ物ばっか…食べ物意外だと紅葉とか火?後はやっぱ悟浄の髪と目、かな?』
「じゃあ俺の髪と目、どう思う?」
質問ばっかだな…。
でも茶化しちゃいけない雰囲気なので、ここは正直に…。
『綺麗だと思う。燃えてるみたいに暖かい色で私は好き』
そう悟浄を真っ直ぐ見つめて答えると、少し驚いた顔をして自傷気味に笑った。
え、なんか間違えた…?
「昔言われたんだよ、"血の色"ってな」
『いや確かに血は赤いけどさ』
赤い物なんてこの世にどんだけあると思ってるのよ。
「その人の想像力欠如し過ぎじゃない?」と言うと、これまた驚いた顔をして今度は盛大に笑った。
『ちょ、そんな笑う事なくない?!』
「ワリィワリィ」
口では謝っているものの、笑いが堪えられてませんが?
え、何?喧嘩する???
「その"血の色"って言ったの、母親なんだわ」
…………え?
自分の子供に言う事?
いや、他人の子供ならいいとかそういう問題じゃないけど…。
「母親っつっても血は繋がってねーけどな」
眉間にシワが寄るのが自分で分かる。
血の繋がりがないからって言っていい免罪符にはならないが?
何笑ってんのよ。
「爾燕ってのは俺の腹違いの兄貴。爾燕は妖怪の父親と母親から産まれた"純血の妖怪"。俺は妖怪の父親とその愛人…人間の母親から産まれた禁忌の子ってヤツ。そんで、この紅い目と髪はその証拠ってわけ」
禁忌の子の証拠…。
そう言った悟浄の顔は何処か悲しげで、綺麗な紅い目が揺れてる様に思えた。
『それを禁忌って言うなら、違う世界から来た私は禁忌の権化みたいなもんじゃない?』
この世界からしてみれば一番の禁忌は私だろう。
いくら使命があったとしても、そう簡単に別の世界に来ていいわけが無い。
髪と目の色が赤いってわけじゃないし、傍から見たらただの人間だけど…。
『パッと見ではわかんないけど同じ!お揃い!……だからそんな顔しないでよ』
きっと無意識だったであろう自分の表情を確認するかの様に顔に手を当て、長い髪をぐしゃぐしゃと掻き回して空を見上げると、長い溜息を吐き出した。
え、何、その溜息。
呆れたの?ねぇ。
「ホント敵わねーわ」
『何?ごめん、聞こえなかった』
「なーんでもね。ほら、中入ろうぜ。いい加減マジで風邪引いちまうだろ?」
『あ、うん。そだね』
先に歩き出した悟浄について部屋へと戻った。
帰り際にも「さっきなんて言ったの?」って聞いてみたけど教えてはもらえなかった。