第伍話

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「ぎゃひゃひゃはぁ!オラ出てこいよ三蔵法師!反逆者共!早く来ねぇと坊主全部喰っちまうぞ!」


騒がしい方へと皆で向かうとなんかクソダサい服装の妖怪が騒いでいた。
こんな遅い時間に迷惑でしょ。
静かにしろ。
何も出来ないなりに着いて来たが、人質にはならない様にしようと心に決めてきた。
盾替わりくらいにはなれる…?


「チッ、つまんねぇな。今度はムサい野郎一匹かよ。前回みたいな美女のサービスを期待したんだがな」

「フンッ、てめぇらが裏切り者の妖怪三人…組……一人多いがまぁいい!紅孩児様の命により、貴様らを始末する!俺様にかかればひとたまりもないわ!」


いつの間に仏像の上に乗っかってた3人を見つけてクソダサさんが喚くが、私を見つけると一瞬「あれ?」みたいな顔をされた。
ごめんね、一人増えたんだ。
襲われる度に皆が全滅させるから相手側に私が居る事全然伝わらないんだろうなぁ。
まぁその方が良いんだろうけど…。


「おい、どー思うよ?」

「態度デカくてムカつく。減点15点」

「笑い方が下品。減点10点」

『いちいち声がデカい。減点10点』


悟浄の問いに減点方式で答えて行く悟空と八戒に便乗しておく。
「バカにしてんのか?!」と更に騒ぐクソダサさん。
馬鹿にはしてないけど、迷惑には思ってる。


「『あ、歯が黄色い!減点5点』」

「ぶっ…ブチ殺す!!」


ただでさえキレてるのに、悟空と私の一言でブチ切れてしまった様で、何処からか取り出した斧を投げて寄越す。
刃物の取扱には気を付けなさいって習わなかったの?!
ドカッという音と共に悟浄のすぐ横の壁に突き刺さる斧。


「度胸は合格」

ニッと笑った悟浄の膝がクソダサさんの顔面にめり込む。
ゴッ!て言ったよ?頭蓋骨大丈夫?
鼻血は出てたので鼻は無事イッた様だ…。
体勢を整える隙も与えず、悟空がまたも顔面に蹴りを入れる。
相変わらず容赦ない。


「まさかこれくらいの力であんな大見得切ってたんじゃないですよね?」


にこやかに煽る八戒に「いい性格ね、オマエ」と苦笑する悟浄。


「なーんだ弱いじゃんコイツ」

『相手が弱いんじゃなくて皆が強いんじゃないの?』


「あー、なるほど」と三者の納得を得られた。
戦闘経験はないけど、流石の私にも彼らが強いって事位はわかる。
和気あいあいとそんな話をしていたら、ヤケクソになったのかそこら辺に散らばった瓦礫を一気に投げてきた。
コイツ物投げすぎじゃない?!


「うわ、セコい!」

「ちょっと下がってて下さい!」


避けられない!当たったら絶対痛い!と身構えて居ると、八戒が前へ出て手をかざしたと思ったら防護壁が現れ、それに阻まれた瓦礫がパラパラと砕け落ちていく。
かめは○波だけじゃ飽き足らず、A○フィールドまで備えてるの?八戒…。


「蜘蛛女さんと戦った時に考えついたんです。"気"を固めてバリヤーにできないかなーなんて」

「いーなー!八戒俺もそれやってみたい!」

『私にもできるかな?』

「うーん、集中力がないとなんとも…」


気をどうこうとかはよく分からないけど、出来れば盾位は出来そうな気がして悟空と共に志願するが集中力がないと無理と言われてしまった。
それならダメだわ、悟空も私も無理だわ。


「しかぁし、先手必勝!!俺様の真の力を見せてやるぜ!!」


何が「しかぁし」なのか全然分からないけど、真の力を出すと息巻くクソダサさん。
そんな力があるなら初めから出すべきでは…?
つい「何言ってんの?あの人…」という顔をして見つめていたら、悟浄から「なんて顔してんの」と笑われてしまった。

一方クソダサさんの袖のない右腕からは刃物が飛び出していた。
何あれ鎌?
妖怪って皆そうなの?!
前回は蜘蛛になったと思ったら今度は体から刃物出すってどういう事なの?!


「あぁ、だから右袖だけなかったんですね」

「ダッセェ服だと思ってたンだよな」

『私なんて心の中でクソダサさんって呼んでたよ』


ダサいと思ってたのは私だけではなかった様で、悟浄に同意した。
確かにあそこから鎌出したら長袖とか着てたらズタズタだもんね。
でも半袖じゃダメだったの?
肘から下だけなら半袖位着れるだろうと、やはりセンスを疑った。

突如振り下ろされる鎌を如意棒で防ぐ悟空。
さっきまでの勢いならそのまま投げ飛ばしそうな感じだったけど、そうもいかないらしく後退してきた。


「すっげぇ馬鹿力!!」

「お前に言われちゃおしまいだな」


力持ちの悟空に馬鹿力って言わせるなんて相当なのだろう。
私が狙われたら身体が2つになるのか…。
なんてったって私には力も武器もA○フィールドもない。
「まとめて始末してやる!」と襲いかかろうとしたクソダサさんの鎌を何処からか三蔵さんが現れて抑えると、間髪入れずにクソダサさんの顔を殴った。
皆顔面狙うじゃん…。


「倒れ方が無様だ。40点減点」

「三蔵!」

「計80点の減点ですね」

『一気に減点数2倍だね』


あれ?でもなんで減点法式知ってんの?
もしかしてどっかでずっと見てた?
だから三蔵さんも顔殴ったの?


「ったく、なんでお前ってオイシイ所独り占めするワケ?こんな奴俺一人でも余裕だったのによォ」

「その様だな」


肩に置かれた悟浄の腕を払い除ける三蔵さん。
そのまま転がってるクソダサさんの所まで行くと、顔をつま先で上げさせ目線を合わせさせる。
あれは結構な屈辱では?


「お前ごときの刺客を寄越す様じゃ、俺達は余程見くびられてるらしいな。貴様らの主君"紅孩児"とやらに…。牛魔王蘇生実験の目的はなんだ?その裏には何がある」


牛魔王蘇生実験の目的…。
その影響で妖怪の暴走が起こったんだっけ。
実験が完了したら妖怪大戦争的なのが起こるかもしれないって事なのかな。


「……へっ、あんた血生臭ェな…今まで何人の血を浴びてきた?《三蔵》の名が聞いて呆れるぜ」

「20点減点。…ゲームオーバーだ」

「言われなくても死んでやるよ」

「避けて三蔵!」


-ドン-


最後の言葉が気に入らなかったのか、三蔵さんが減点をした。
これで減点100点満点。
ゲームオーバーを言い渡されたクソダサさんは轟音と共に自爆した。
聞きたかった事は何も答えず…。
"紅孩児"って一体何者なんだろう…?


「何?!もしかして自爆したってやつ?!」

「…マジで?」

「大丈夫かよ三蔵?!」

「あぁ、大した事ない」


三蔵さんの安否を心配してか駆け寄って行く悟空に答える三蔵さん。
八戒は近くで成り行きを見ていたであろう葉君に近付くいて行くのに気付いて私もついて行く。


「怪我はないですか?」

『大丈夫?立てる?』

「……あなた達は…何者なんですか?!今までにも沢山の血を浴びた…ってこんな風に殺生を続けてきたのですか?!」


動揺からなのか、捲し立てる様に問いかける葉君。
突然こんな事になって混乱するのはわかる。
でも襲われて何もしなければ、逆に私達が他の坊さん達と同じ様になる。
殺られる前に殺らなきゃいけない。
私にはまだそれは出来てないけど…。


「あのなぁ!仕方ねーだろ?!ヤらやきゃヤられちまうんだからさぁ?!」

「それが良い事だとは僕らだって思ってませんよ…でも「良くないに決まってますよ!」」


葉君が八戒の言葉を遮る。
話は最後まで聞こうよ。
そりゃ誰かを殺す事が良い事なわけない。
それは相手が人間でも妖怪でも同じ事。


「例え誰であろうと命を奪うという行為は御仏への冒瀆です!」

「おい、お前それ本心で言ってんのか?これだけ身内が殺されてそんな事言えるのかよ。そんなに《神》に近付きたかったら死んじまえ。死ねば誰だろうが《仏》になれるぞ。そこの坊主達みたいにな」


三蔵さんの言葉に、遂に葉君の言葉が詰まる。
口は悪いが、確かにそうだ。


「でもまぁ残念な事に俺達は生きてるんだな、コレが」


三蔵さんに続き、悟浄が煙草に火をつけて言う。
それに合わせた様に壁に空いた大きな穴から太陽が顔を覗かせた。




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