第肆話
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翌朝、早朝から準備をし、ジープに乗り込む。
おじさんがお見送りに出てきてくれて、挨拶を交わす。
「もう行くのかね」
「えぇ、長居するわけにもいきませんし」
「迷惑かけちまったな、親父さん」
「大丈夫さ、さして損害も酷くないしな」
まぁ壁が無くなったとかではなかったけど、テーブルや椅子は半壊していた事を思い出す。
黙って聞いていると、不思議に思っていたのだろう八戒がおじさんに疑問を投げかける。
「ひとつお聞きしてもいいですか?貴方は僕らの正体を知ってもあまり動じてなかった。もしかして初めから気づいて…?」
「あぁ何となくね。"気"で解るのさ。古い友人に妖怪が居てね。……親友 だった」
きっとおじさんの友達も暴走してしまったのだろう。
もしかしたら今はもう…。
「《あんた達ならこの壊れかけた世界をなんとかできる》そう感じたんだが…違うかね?」
「案ずるな《借り》は返す主義だ」
確かに昨日も蜘蛛女をぶん殴ってた。
まさか仮にも女の人の顔をぶん殴るとは思ってなかったから、あれはちょっとビックリした。
-ガチャ-
ドアの開く音に目を向けると、そこには何やら包んだ物を抱えて立つ朋茗さんの姿。
俯いていてその表情を伺う事は出来ない。
「お弁当作ったんです。あの…良かったら皆さんで…」
俯きながらもそっと差し出されたお弁当を悟空が「さんきゅ!」と笑顔で受け取った。
まるで昨日の事がなかったかの様に明るく。
「それじゃこれで」
「気を付けてな」
「はい」
本当にこれが最後。
終始黙っていた私も、ぺこりと会釈する。
ジープが走り出し、今日も西へと向かう。
走り出せば今日もまたいつもの騒がしさ…というわけにいかないようで、昨日まで大騒ぎだった悟空と悟浄も黙っている。
心做しか空気も重い気がする。
「瑞希、ごめん!」
重たい空気の中、悟空の突然の謝罪に何故謝られたのかが分からず首を傾げる。
「俺達が妖怪って黙ってて…」
「別に隠してた訳ではないんですけど、何となく言い出しにくかったんですよ」
あぁ、それでか…。
確かに言い出しにくいよね、妖怪を嫌ってる人も少なからず居るって事も分かったし。
この町に来るまでも妖怪に襲われた事もあった。
しかもその時私腰抜かしたし…。
『あー、まぁ…言いづらい事もありますよ』
「でも……」
いつも元気な悟空がモゴモゴと何か言いたげに朋茗さんから貰ったお弁当を抱き締めながら俯く。
こんな悟空は初めてでどう声をかけたらいいか分からずオロオロしてしまう。
「…怖がられちまったんじゃねぇかってな」
そんな私達を見兼ねてか、悟浄がそっぽを向きながら悟空の代弁をしてくれる。
怖がる…?
仲間と言ってくれて、助けてくれたこの人達を…?
どうして怖がる事が出来るのか…。
と思うと同時に考えるよりも先に体は動いていて。
俯く悟空をそっと抱き締めた。
『怖くないよ。謝る必要もない。大丈夫だよ』
まるで泣いてる子供をあやすみたいに。
ゆっくりと、優しく話しかける。
「怖くねぇの…?」
『うん、怖くない』
「嫌われたり…」
『しないよ』
顔を上げた悟空に再度「大丈夫」と笑いかければ、安心したのかはにかむ様に笑ってくれた。
ついポンポンと頭を撫でる。
「へへ……あ」
『?』
「瑞希敬語!」
『あー、つい?』
「俺やっぱそれがいい!」
さっきのしおらしさは何処へやら。
ともあれいつもの元気な悟空が帰ってきたみたいで、一安心ですわ。
でもずいっと顔を近付けられて押しに負けそうになる。近過ぎて体を反らせようとすると悟浄にもたれかかってしまう。
『分かった、分かったから!悟空近い!』
「じゃ、俺にもな♡」
もたれかかってしまってる間に悟浄に肩を抱かれ、ニコッと笑顔を向けられる。
もたれかかったのは私だけど、
逃 げ 場 が な い 。
助けを求める様に前席に目をやれば、バックミラー越しの八戒と目が合う。
『は、八戒…』
「あ、僕もそれでお願いします」
ニコニコ笑顔の八戒。
無慈悲。
最後の砦と言わんばかりに三蔵さんに目をやれば、目は合ったものの鼻で笑われ前を向かれてしまった。
『〜〜っ!…はぁ、仰せのままに』
観念してため息をつけば、「やりぃ!」と私の頭上でハイタッチする悟空と悟浄。
なぁ、そんな喜ぶ事か…?
もうこうなったらヤケだ。
朋茗さんが作ってくれたお弁当を悟空の膝から奪い取り、重箱を開けた。
『いただきます!』
「あ、ズリィ!俺も!」
美味しそうな料理が並んでいてテンションが上がる。
おにぎり美味しい!
両サイドからも手が伸びて来て次々と平らげていく。
「だからそれは俺のロールキャベツだっつってんだろ!」
「てめ、肉ばっか食ってんじゃねぇ!」
「てめぇこそおかかおむすびばっか食ってんじゃねぇよ!」
サルサルサルサル!エロ河童エロエロエロ!
いつもの雰囲気が戻ってきたが、言い合いが小学生レベルで笑えてくる。
「没収だ没収!!寄越せ!」
「うわ、俺のナポリタン!」
『私まだエビフライ食べてないです!三蔵さん!』
「っておめぇ食ってんじゃねぇかよ三蔵!」
「絶品ですねぇ、この唐揚げ」
NEXT おまけ →
おじさんがお見送りに出てきてくれて、挨拶を交わす。
「もう行くのかね」
「えぇ、長居するわけにもいきませんし」
「迷惑かけちまったな、親父さん」
「大丈夫さ、さして損害も酷くないしな」
まぁ壁が無くなったとかではなかったけど、テーブルや椅子は半壊していた事を思い出す。
黙って聞いていると、不思議に思っていたのだろう八戒がおじさんに疑問を投げかける。
「ひとつお聞きしてもいいですか?貴方は僕らの正体を知ってもあまり動じてなかった。もしかして初めから気づいて…?」
「あぁ何となくね。"気"で解るのさ。古い友人に妖怪が居てね。……
きっとおじさんの友達も暴走してしまったのだろう。
もしかしたら今はもう…。
「《あんた達ならこの壊れかけた世界をなんとかできる》そう感じたんだが…違うかね?」
「案ずるな《借り》は返す主義だ」
確かに昨日も蜘蛛女をぶん殴ってた。
まさか仮にも女の人の顔をぶん殴るとは思ってなかったから、あれはちょっとビックリした。
-ガチャ-
ドアの開く音に目を向けると、そこには何やら包んだ物を抱えて立つ朋茗さんの姿。
俯いていてその表情を伺う事は出来ない。
「お弁当作ったんです。あの…良かったら皆さんで…」
俯きながらもそっと差し出されたお弁当を悟空が「さんきゅ!」と笑顔で受け取った。
まるで昨日の事がなかったかの様に明るく。
「それじゃこれで」
「気を付けてな」
「はい」
本当にこれが最後。
終始黙っていた私も、ぺこりと会釈する。
ジープが走り出し、今日も西へと向かう。
走り出せば今日もまたいつもの騒がしさ…というわけにいかないようで、昨日まで大騒ぎだった悟空と悟浄も黙っている。
心做しか空気も重い気がする。
「瑞希、ごめん!」
重たい空気の中、悟空の突然の謝罪に何故謝られたのかが分からず首を傾げる。
「俺達が妖怪って黙ってて…」
「別に隠してた訳ではないんですけど、何となく言い出しにくかったんですよ」
あぁ、それでか…。
確かに言い出しにくいよね、妖怪を嫌ってる人も少なからず居るって事も分かったし。
この町に来るまでも妖怪に襲われた事もあった。
しかもその時私腰抜かしたし…。
『あー、まぁ…言いづらい事もありますよ』
「でも……」
いつも元気な悟空がモゴモゴと何か言いたげに朋茗さんから貰ったお弁当を抱き締めながら俯く。
こんな悟空は初めてでどう声をかけたらいいか分からずオロオロしてしまう。
「…怖がられちまったんじゃねぇかってな」
そんな私達を見兼ねてか、悟浄がそっぽを向きながら悟空の代弁をしてくれる。
怖がる…?
仲間と言ってくれて、助けてくれたこの人達を…?
どうして怖がる事が出来るのか…。
と思うと同時に考えるよりも先に体は動いていて。
俯く悟空をそっと抱き締めた。
『怖くないよ。謝る必要もない。大丈夫だよ』
まるで泣いてる子供をあやすみたいに。
ゆっくりと、優しく話しかける。
「怖くねぇの…?」
『うん、怖くない』
「嫌われたり…」
『しないよ』
顔を上げた悟空に再度「大丈夫」と笑いかければ、安心したのかはにかむ様に笑ってくれた。
ついポンポンと頭を撫でる。
「へへ……あ」
『?』
「瑞希敬語!」
『あー、つい?』
「俺やっぱそれがいい!」
さっきのしおらしさは何処へやら。
ともあれいつもの元気な悟空が帰ってきたみたいで、一安心ですわ。
でもずいっと顔を近付けられて押しに負けそうになる。近過ぎて体を反らせようとすると悟浄にもたれかかってしまう。
『分かった、分かったから!悟空近い!』
「じゃ、俺にもな♡」
もたれかかってしまってる間に悟浄に肩を抱かれ、ニコッと笑顔を向けられる。
もたれかかったのは私だけど、
逃 げ 場 が な い 。
助けを求める様に前席に目をやれば、バックミラー越しの八戒と目が合う。
『は、八戒…』
「あ、僕もそれでお願いします」
ニコニコ笑顔の八戒。
無慈悲。
最後の砦と言わんばかりに三蔵さんに目をやれば、目は合ったものの鼻で笑われ前を向かれてしまった。
『〜〜っ!…はぁ、仰せのままに』
観念してため息をつけば、「やりぃ!」と私の頭上でハイタッチする悟空と悟浄。
なぁ、そんな喜ぶ事か…?
もうこうなったらヤケだ。
朋茗さんが作ってくれたお弁当を悟空の膝から奪い取り、重箱を開けた。
『いただきます!』
「あ、ズリィ!俺も!」
美味しそうな料理が並んでいてテンションが上がる。
おにぎり美味しい!
両サイドからも手が伸びて来て次々と平らげていく。
「だからそれは俺のロールキャベツだっつってんだろ!」
「てめ、肉ばっか食ってんじゃねぇ!」
「てめぇこそおかかおむすびばっか食ってんじゃねぇよ!」
サルサルサルサル!エロ河童エロエロエロ!
いつもの雰囲気が戻ってきたが、言い合いが小学生レベルで笑えてくる。
「没収だ没収!!寄越せ!」
「うわ、俺のナポリタン!」
『私まだエビフライ食べてないです!三蔵さん!』
「っておめぇ食ってんじゃねぇかよ三蔵!」
「絶品ですねぇ、この唐揚げ」
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