Girl Who Leapt Through Time
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22歳、古本屋の雇われ店長。独身彼氏無し
こんな経歴の私がアニメの様にトリップをする事があるだなんて思いもしていなかった。
最初に自分の部屋で雷のような物に打たれて全身が痺れた時には気付けば目の前は山の中の草原だった。すぐに近くにいた兵士のような格好の輩に乱暴に取り押さえられて牢に入れられた。右も左も分からずにおどおどしている私は兵士達に奴隷の様に扱われた。何月かしてその生活にも慣れて来た頃、身なりの良い男性に引き取られて、戦い方や生き方と初めて見る紋章とゆうものを教えてもらった。彼は利益の方を優先するタイプで、私の事を思うとゆうよりは街の事を思っているように感じた。
只、最初は良く怒られたけれども、私が彼に教わって来た事をきちんと覚えると、駒の1つだがそれなりに人らしい扱いはして貰えていたと思う。
一年程して戦争になるとの事で、上からの命令で辺鄙な田舎の砦に送られた。でも此処で私は人らしいこころを取り戻せたんだと思う。今でもこの移動には大変感謝している。
そこの上司2人の優しさと人情に触れて、しっかりとこの世界に触れてもう一度頑張っていこうと思えた。
ただ、その上司達ともお別れは早かった。
仲間の転移魔法で他の地域に皆で遠征に行く時に事件は起こった。私だけ黒い雷に打たれた様に飲み込まれた。最後に聞いたのは仲間のくしゃみと、最初に優しくしてくれた上司の悲痛な私の名を叫ぶ声だった。
それから、ボロボロになって飛ばされた場所は草原でも何でも無い。只の街中。
雷のせいなのか千切れた衣類を纏い、食べる物も無い中で教えてもらった力で盗みをしたり人を紋章で癒したりして金を稼ぎ何とか生き抜いていた。前の場所も此処も治安が良いとは思えた事も無く、只々毎日の食事のみを考える生活をしていたと思う。ある日の朝、雨が当たらない橋の下で目を覚ますと変な帽子を被った女が私の前に立っていた。彼女は私を拐うように連れ去った。
今までの生活とはうってかわって、綺麗な衣服と美味しい食事にありつけるようになった。彼女はユーフォリアと名乗って私の紋章に興味があると言って条件下付きで住まわせてくれた。
危ない仕事をしているようで、彼女の部屋からは毎日毎日違う男性が出入りをしていた。艶めいた声を度々聞いたけれど、知らん顔は得意だったので、そんな時は耳栓をしてテレビを付けて事が終わるのを待った。大体は彼女に食事を作り紋章の話をするのが私の役目だった。
ある日、珍しく俳優かなと思うくらいカッコいい青年がユーフォリアを訪ねて来た。彼は異世界人の私に興味を持ってくれて来る度に何回も私にユーフォリアから交換で教わっていた念能力のトレーニングをしてくれた。
ユーフォリアより教えるのが上手かったし、剣やナイフなどの扱いも彼が良く教えてくれた。
きちんと出来ると良く頭を撫でてくれる人だったから、兄弟が多いの?と聞くと団員が沢山いてね。と良く分からない事を言っていた。かなり年下だったのに彼の方が雰囲気も背丈も人格も大人のような気がして、いつも私の方が年下何じゃ…とゆう錯覚に陥るくらい彼は良く出来た人だった。
ユーフォリアと仲が良いねと言うと、彼女はお得意さんだからね。と彼は綺麗に笑っていた。そんな私を構うクロロにユーフォリアはいつも、あの子には手を出すんじゃ無いよと言ってクロロを遠ざけたがった。
過保護だけど、ユーフォリアはとても面白かった。妖艶なのに男勝りで、優しく愛らしかった。偉ぶらず、私の事を気遣うような人で、彼女の事を好きになれた私は毎日が少しだけ華が咲いたようだったと思う。
ある日、2人でお茶をしていると面白い事を教えてあげると言った彼女は私の胸を指差してこう言った。
貴女は初期の病におかされていると。
何で病だと分かるの?と聞くと、彼女は私の言葉を無視して治し方を教えてあげると言って薄く笑った。
そして、私の唇に唇を重ねると舌に舌を絡み付けて来た。右手で持っていた瓶を雑に私達の口付けしている間に押し込むと、その中身を味わうように舌で掻き回した。
最初は不快にしか感じなかったけれど、どんどん身体が熱くなってきたのが分かった。濡れた下半身に手を添えられた時につい羞恥心から彼女の手を強めにはらうと、今日辛いわよと一言だけ言われた。
その後直ぐにベッドに入った私はこの熱と欲にうなされる事になった。
次の日にげんなりしながら起きて来た私を見てユーフォリアはケラケラと笑った。胸を舐め回すように見てから後4回と言った。
1週間毎にその行動をされ続けた私は、3回目の時にひどく胸が熱くなり全身が変わったような気がした。
早かったわね。と言われて頭を撫でられてその日は寝てしまったけれど、次の日の朝から気怠さが消えていて何だか物凄く元気になっていた。
自分で分からなかったけれど、本当に病にかかっていたのかなとユーフォリアを見直した日だったと思う。
後で、彼女から過度なストレスから胸に悪い細胞が出来ていたと言われたが。癌とゆう病名が無いこの世界では皆分からぬまま最後に苦しくなり死んでしまうのかなと考えると非常に怖くなった。
しかし身体が楽になったその日から彼女の鬼のような特訓が始まった。これから外に仕事に出てもらうからもっと基礎的な事を覚えてね。と言った彼女は美しくまた厳しかった。
そんな事があり、薬の調合や危険な仕事にトレーニングをする毎日を送っていると早2年が過ぎた。そんな時にまた私に変化が起きたのであった。
それはユーフォリアの友人であるクロロとの修行中に起きた。私が彼の鳩尾に拳を叩き込むと共に雷に打たれた感覚が私を襲った。黒い渦に飲み込まれていく中でクロロの珍しく目を見開いた顔がその世界で見た光景の最後になった。
またか。死にたい、つらい。次は何処なんだろう
こんな事しか考えて無かったのかもしれない。珍しく落ちた時の感覚はあった。珍しくとゆうか初めてかもしれない。ドスリと音を立てて落ちると、小さくギャっと悲鳴のような声を聞いたが、瞼が重くてそのまま気を失ってしまっていた。
眩しい日が当たっているような感覚に、ゆっくり目を開いた。身体が動かないけれど自分の身体を見れば当然だと思った。
口には口枷、体には縄が巻き付いていたからだ。
それよりもまだ眠くって、また寝てしまおうと思った時に戸が開く音が聞こえて私はそちらを見た。
茶色の髪に猫目の背の高い男が立っていた。その瞬間にドクンと心臓が鳴ったような気がした。彼の目から視線が離せなかった。
「起きてたんだ、身体は痛く無いかな?」
そう言って意地悪く縄を引っ張るような動作に、もう1人居た男が制止する。
「やめろよ総司、女に何するんだよ」
ごめんな、と言って背の低い男性が私を優しく起こすと口枷を取ってから縄を解いた。
「へぇ。平助は優しいねぇ、君が襲撃されたのに」
「襲撃何て言って無いだろ、寝てたら上から降ってきたんだよ」
「ハイハイ。分かったから早く土方さんの所に行くよ」
そんな声が聞こえてきたけれど、私は3回目は何処に来たのだろうと辺りを確認する事を優先していた。引っ張られて歩かされる廊下に初めて現代知識で分かる昔の障子や中庭などを見つけて、正直とても嬉しくなった。
ある部屋の前まで来ると中に入れられて座らされる。
目の前には何人も男性が居たけれど、良く見ると刀を持っていた。着ているものも着物や袴だったから少しまた嬉しくなってしまって、私は少しだけ微笑んでしまっていた。
「おい、何で嬉しそうにしてんだ?」
「…いや、久しぶりに日本ぽいものが見れたので」
「よく分からねぇが、平助の部屋にいきなり入って来たってのは本当か?」
そう言った、美しい長い黒髪を纏めた男性は私をきつい目で睨んだ。何て説明すれば良いか分からないけれど平助とゆう人の部屋に落ちた事は確かなのかもしれないがこちらもわざとでは無い。とゆうか不本意。
「平助さんが何方か分かりませんが、すみませんでした。」
そう言えば、茶色の髪の彼は刀を抜いて私に突きつけた。やめろと言った男性が立ち上がる瞬間に私は縄と口枷を一瞬で切って立ち上がった。
その瞬間に、やめろと言ってくれた男性以外全員が抜刀した。そして私は抜刀した全員を体術のみで気絶させた。
「…えっと、すみません」
そう言った私に1人だけ残された男性は口を開け呆然と立ち尽くす。う、うむとだけ言ってから俯している仲間の彼等を心配そうに見つめる。
「怪我はさせてませんから。少し口枷と縄が嫌で、取ったら抜刀されたので無力化だけ」
そう言って正座をすると、男性を見つめた。
「…女の子なのに強くて唖然としてしまったよ。私は近藤とゆう者だ。うちの者が手荒な事をしてすまなかったね」
「私は雪那です。私こそすみません。実は」
正直に今までの不運なまるで御伽噺のような事を全部話したのは、私の湧き上がる気持ちを抑えられなかったから。いや、聞いてもらいたいだけだったのかもしない。それに日本に近い風景や彼等の姿に今にも涙が出そうだったから。
なるべく理解してもらえるように話した私は、涙が出て来るのが分かってその場でつい泣いてしまった。泣けたのは、彼が心底、慈しみを持ちながら話を聞いてくれてるのが分かったからだと思う。
「…大変だったんだなぁ。俄には信じられるような話では無いけど、私は君を信じるよ」
そう言った近藤さんは私を優しい瞳で見つめた。
その瞬間に安堵したのか肩の力が抜けて行った様な気がしていた。
私の涙が引いたころ、近藤さんはまた明日ゆっくり話そうと言って部屋に案内してくれた。山崎とゆう人を紹介されて、分からない事があれば彼か私にと言って近藤さんは優しく頭を撫でてくれた。
腫れた目をどうにかしたくて、山崎さんに風呂の場所を聞いて風呂を貸してもらった。湯を浴びて部屋に戻り布団に横になると、すぐにウトウトしてくる。
窓に背を向けてうつらうつらしていると、戸の方から人の気配がした。何やらコソコソ話している様だったけど部屋には入って来なかったのでそのまま寝てしまった。
鳥の鳴き声で目が覚めた。昨日早く寝てしまったからその分早く起きてしまったのだろう。一泊させてもらった恩は何か返せないかと思い布団を整えてから部屋を出ると部屋の外の廊下で茶色の髪の男性が壁にもたれて眠っていた。
冷えるだろうと思い、一度戻って布団を取ってくると彼に掛けてから朝の身支度を済ませた。台所のような場所が分からなくてウロウロしていると、人の気配を感じたのでそちらに行けば昨日部屋に居た男性の1人が朝食の準備をしていた。
「おはよう御座います」
「ああ、あんたか。局長から話は聞いた。疲れは取れたか?」
無表情の男は斉藤だと名乗り、何か用なのかと冷たく言われたので泊めてくれたお礼に食事の支度を手伝いたいと言うと。彼は少し考えてからそういえば総司はどうした?と言って私を見た。
「何ですか?」
「総司はあんたの見張りをしていた筈だ」
「寝てましたよ」
「…あんたが部屋から出たのに寝ている訳が無い」
「寝てたので、起こすと悪いかなと思って気配消してましたから。」
「…忍びの家系なのか?」
「まさか。ご冗談を」
そう言って笑った私に、台所から顔を出した総司と呼ばれていた男が口を開いた。
「おはよう、布団掛けてくれてありがとう」
嫌味っぽくそう言ってこちらに近付いて来たので、どういたしまして。とだけ返してから卵を溶き始める。
斉藤さんに食事をする人数と材料を聞いて、その多さにビックリしたけれど材料から出汁巻卵と胡麻和えに味噌汁、焼き魚くらいは作れるだろう。
手際よく私が調理していると、2人は静かに私の手元だけ見ている。多分毒物を入れない様に見ているのかなと思ったりしたが、彼等を気にせずに私はそのまま調理を続けた。
「慣れているな」
「ずっとやってたんで。」
「調理の仕事だったのか?」
「掃除と調理と書類仕事と護衛何かはよくやりましたね。」
「護衛か…近々時間があれば手合わせ頼みたい」
「はじめくん、悔しそうだったもんねぇ」
そう言って笑う総司は私の右手を掴んで、こんなに細いのにあんなに強いなんて信じられないよ。と言って私を不思議そうな目で見つめて来る。
その手を自然にはらってから、出来た料理を器に盛っていった。斉藤さんに何回か試食してもらったので味は大丈夫だろう。私は部屋に戻りますとだけ言ってから部屋に戻る道を早々と歩いた。途中で山崎さんの視線を感じたけれど、特に顔を見た訳でも無いので気にせずに部屋に入ってから布団にまた寝転んだ。
後200年くらい生きれば現代に帰れるのかなぁとか、ユーフォリアは料理出来ないから今日は私が居なくて何を食べてるんだろとかそんな事ばっかり考えていた
少し経つと廊下に人の気配がして私は布団から起き上がり備え付けのテーブルの前の座布団に座った。
失礼するよと言って入って来たのは近藤さんだった。
長い黒髪の男性は土方さん聞いて居たが、眼鏡の優しそうな人は初めて見る。初めまして山南と言いますと言って穏やかに挨拶してくれた。
「良く眠れたかい?雪那くん」
「はい、ありがとうございました。」
近藤さんの人の良さそうな笑みに私もついつられて、にこやかになってしまう。
「聞いていた方とは随分違いますねぇ。」
山南さんの言葉に私が何て聞いてるんですか?と聞くと、狂犬娘と笑顔で言われて私は小さく吹き出してしまう。
土方さんが、新選組が女に一撃で失神させられた何て知られてみろ。切腹もんだぞと何とも複雑な表情で私を見て項垂れている。
「私は特別な事情で色々な修行をして来たので、一般の女性とは比べない方が…」
「まぁ、近藤さんから聞いてるけどよ。他の世界何て俺らは信じられないからな。頭を打って記憶違いのがまだ信用出来る」
「…まあ、そうですよね」
「トシ、彼女が嘘をついてもメリットも何も無いじゃないか。雪那くんも大変な思いをしてきたんだから」
そう言ってフォローしてくれる近藤さんに、そうやって何でもかんでも信じるなと土方さんが食らいつく。
「あの、ご迷惑だと思うので私は直ぐに出て行くので大丈夫ですよ」
そう言った私に山南さんが何処に行くのですか?と少しだけ心配した顔で聞いてくれて嬉しく思う。
「私は護衛の仕事などもしていたので…それに怪我の手当ても出来ますし。適当に仕事探して野宿でもするので気にしないで下さい。前からそうでしたから」
そう言った私に近藤さんは声を張り上げる。
「絶対に駄目だ!女の子が野宿何てとんでもない」
「前は奴隷のような時もありましたし、今何て幸せな方ですよ」
そう言って、立ちあがろうとすると部屋の外で話を聞いていた5人が戸を開けた。
1番に私を見て口を開いたのは背の小さい猫目の男の子だった。
「此処は治安が良くないし、あぶねーから此処にいろって」
「女が一人で野宿何てとんでもねー話だ。」
「お前等うるせーぞ」
そう言って土方さんが一喝すると、部屋は静かになったけれど私はどうしていいか分からずに立ち尽くしていた。
「副長、彼女がもし敵側の護衛に回れば危険です」
その斉藤さんの一言に土方さんは一度だけため息をついてから分かってると言った。
そして、物騒な発言が土方さんの口から飛び出してくる。
「…今、お前が本気でこの屋敷にいる全員を殺すとしたらどれくらいかかる?」
「…そんな事分かりませんよ。私は元々は普通に本屋で働いていた普通の女です。人を殺したいとかも考えた事はありませんよ。怪我するのだって見るのだって嫌何ですから」
「まぁ。嘘は言ってねえように感じるな。」
私の言葉に土方さんは少し安堵したようだった。
上手く本音を引き出されたなと気付いたのはちょっと後だったけど。彼等からしたら私が皆に危害を加えるか疑うのは当たり前だなとも分かっていた。
近藤さんの、彼女は危険では無いからもう少し此処に居てもらって様子を見ようと言ってくれた言葉に土方さんは仕方が無さそうに頷いた。
私が何より不思議だったのは小さい背の平助と呼ばれている男の子がやたらと庇ってくれた事だった。
その後、斉藤さんに剣の腕が見たいと言われたので刀は握った事が無いと言うと木刀を貸してくれた。
手合わせしたいと言われたので、前に剣とナイフを教わった時の事を思い出して軽くならと了承した。
中庭で全員に見られて嫌だなと思う中、斉藤さんの目は真剣だったので。こちらも手を抜かない様にと思って木刀に念を込めてから試しに一振りすれば、近くにあった木に刃の念が飛んで太い幹は真っ二つになってしまった。
ヒィぃと顔が青くなる私に、それを見た土方さんが手合わせは禁止だと言ってまた項垂れた。
クロロとしていた時の手合わせみたいに念を込めては駄目だ思った私は、顔が強張っている全員に今度は大丈夫ですとヘラヘラしながら笑って構え直した。
斉藤が真っ二つになったらどうすんだと言った土方さんに、今度は絶対に平気ですと強気で言いながら青くなっている斉藤さんの刀に軽く打ち込めば、斉藤さんは綺麗な剣筋で打ち返してきた。
1、2分してから彼が本気になって来たのが分かった
刀で突いてきた時を見計らって受け流し脚に木刀で軽く叩き込む。クッと痛みに耐える顔をした瞬間に隙が出来たので、刀の柄の部分に強めに木刀を叩き込めばカラカラと刀は地に転がって行った。
怪我をさせないようにするのが難しくって、私を稽古してくれた皆もこんな感じだったのかなぁ。と内心思っていると斉藤さんが礼を言うと言って頭を下げてきたのでこちらこそと言って少し作り笑顔をした。その次は総司、次は佐之さん、次は平助と休ませて貰えずにずっと打ち合いが続いた。
夕食の準備が出来たよと井上さんが2度来てくれる迄それは続いたのだった。
こんな経歴の私がアニメの様にトリップをする事があるだなんて思いもしていなかった。
最初に自分の部屋で雷のような物に打たれて全身が痺れた時には気付けば目の前は山の中の草原だった。すぐに近くにいた兵士のような格好の輩に乱暴に取り押さえられて牢に入れられた。右も左も分からずにおどおどしている私は兵士達に奴隷の様に扱われた。何月かしてその生活にも慣れて来た頃、身なりの良い男性に引き取られて、戦い方や生き方と初めて見る紋章とゆうものを教えてもらった。彼は利益の方を優先するタイプで、私の事を思うとゆうよりは街の事を思っているように感じた。
只、最初は良く怒られたけれども、私が彼に教わって来た事をきちんと覚えると、駒の1つだがそれなりに人らしい扱いはして貰えていたと思う。
一年程して戦争になるとの事で、上からの命令で辺鄙な田舎の砦に送られた。でも此処で私は人らしいこころを取り戻せたんだと思う。今でもこの移動には大変感謝している。
そこの上司2人の優しさと人情に触れて、しっかりとこの世界に触れてもう一度頑張っていこうと思えた。
ただ、その上司達ともお別れは早かった。
仲間の転移魔法で他の地域に皆で遠征に行く時に事件は起こった。私だけ黒い雷に打たれた様に飲み込まれた。最後に聞いたのは仲間のくしゃみと、最初に優しくしてくれた上司の悲痛な私の名を叫ぶ声だった。
それから、ボロボロになって飛ばされた場所は草原でも何でも無い。只の街中。
雷のせいなのか千切れた衣類を纏い、食べる物も無い中で教えてもらった力で盗みをしたり人を紋章で癒したりして金を稼ぎ何とか生き抜いていた。前の場所も此処も治安が良いとは思えた事も無く、只々毎日の食事のみを考える生活をしていたと思う。ある日の朝、雨が当たらない橋の下で目を覚ますと変な帽子を被った女が私の前に立っていた。彼女は私を拐うように連れ去った。
今までの生活とはうってかわって、綺麗な衣服と美味しい食事にありつけるようになった。彼女はユーフォリアと名乗って私の紋章に興味があると言って条件下付きで住まわせてくれた。
危ない仕事をしているようで、彼女の部屋からは毎日毎日違う男性が出入りをしていた。艶めいた声を度々聞いたけれど、知らん顔は得意だったので、そんな時は耳栓をしてテレビを付けて事が終わるのを待った。大体は彼女に食事を作り紋章の話をするのが私の役目だった。
ある日、珍しく俳優かなと思うくらいカッコいい青年がユーフォリアを訪ねて来た。彼は異世界人の私に興味を持ってくれて来る度に何回も私にユーフォリアから交換で教わっていた念能力のトレーニングをしてくれた。
ユーフォリアより教えるのが上手かったし、剣やナイフなどの扱いも彼が良く教えてくれた。
きちんと出来ると良く頭を撫でてくれる人だったから、兄弟が多いの?と聞くと団員が沢山いてね。と良く分からない事を言っていた。かなり年下だったのに彼の方が雰囲気も背丈も人格も大人のような気がして、いつも私の方が年下何じゃ…とゆう錯覚に陥るくらい彼は良く出来た人だった。
ユーフォリアと仲が良いねと言うと、彼女はお得意さんだからね。と彼は綺麗に笑っていた。そんな私を構うクロロにユーフォリアはいつも、あの子には手を出すんじゃ無いよと言ってクロロを遠ざけたがった。
過保護だけど、ユーフォリアはとても面白かった。妖艶なのに男勝りで、優しく愛らしかった。偉ぶらず、私の事を気遣うような人で、彼女の事を好きになれた私は毎日が少しだけ華が咲いたようだったと思う。
ある日、2人でお茶をしていると面白い事を教えてあげると言った彼女は私の胸を指差してこう言った。
貴女は初期の病におかされていると。
何で病だと分かるの?と聞くと、彼女は私の言葉を無視して治し方を教えてあげると言って薄く笑った。
そして、私の唇に唇を重ねると舌に舌を絡み付けて来た。右手で持っていた瓶を雑に私達の口付けしている間に押し込むと、その中身を味わうように舌で掻き回した。
最初は不快にしか感じなかったけれど、どんどん身体が熱くなってきたのが分かった。濡れた下半身に手を添えられた時につい羞恥心から彼女の手を強めにはらうと、今日辛いわよと一言だけ言われた。
その後直ぐにベッドに入った私はこの熱と欲にうなされる事になった。
次の日にげんなりしながら起きて来た私を見てユーフォリアはケラケラと笑った。胸を舐め回すように見てから後4回と言った。
1週間毎にその行動をされ続けた私は、3回目の時にひどく胸が熱くなり全身が変わったような気がした。
早かったわね。と言われて頭を撫でられてその日は寝てしまったけれど、次の日の朝から気怠さが消えていて何だか物凄く元気になっていた。
自分で分からなかったけれど、本当に病にかかっていたのかなとユーフォリアを見直した日だったと思う。
後で、彼女から過度なストレスから胸に悪い細胞が出来ていたと言われたが。癌とゆう病名が無いこの世界では皆分からぬまま最後に苦しくなり死んでしまうのかなと考えると非常に怖くなった。
しかし身体が楽になったその日から彼女の鬼のような特訓が始まった。これから外に仕事に出てもらうからもっと基礎的な事を覚えてね。と言った彼女は美しくまた厳しかった。
そんな事があり、薬の調合や危険な仕事にトレーニングをする毎日を送っていると早2年が過ぎた。そんな時にまた私に変化が起きたのであった。
それはユーフォリアの友人であるクロロとの修行中に起きた。私が彼の鳩尾に拳を叩き込むと共に雷に打たれた感覚が私を襲った。黒い渦に飲み込まれていく中でクロロの珍しく目を見開いた顔がその世界で見た光景の最後になった。
またか。死にたい、つらい。次は何処なんだろう
こんな事しか考えて無かったのかもしれない。珍しく落ちた時の感覚はあった。珍しくとゆうか初めてかもしれない。ドスリと音を立てて落ちると、小さくギャっと悲鳴のような声を聞いたが、瞼が重くてそのまま気を失ってしまっていた。
眩しい日が当たっているような感覚に、ゆっくり目を開いた。身体が動かないけれど自分の身体を見れば当然だと思った。
口には口枷、体には縄が巻き付いていたからだ。
それよりもまだ眠くって、また寝てしまおうと思った時に戸が開く音が聞こえて私はそちらを見た。
茶色の髪に猫目の背の高い男が立っていた。その瞬間にドクンと心臓が鳴ったような気がした。彼の目から視線が離せなかった。
「起きてたんだ、身体は痛く無いかな?」
そう言って意地悪く縄を引っ張るような動作に、もう1人居た男が制止する。
「やめろよ総司、女に何するんだよ」
ごめんな、と言って背の低い男性が私を優しく起こすと口枷を取ってから縄を解いた。
「へぇ。平助は優しいねぇ、君が襲撃されたのに」
「襲撃何て言って無いだろ、寝てたら上から降ってきたんだよ」
「ハイハイ。分かったから早く土方さんの所に行くよ」
そんな声が聞こえてきたけれど、私は3回目は何処に来たのだろうと辺りを確認する事を優先していた。引っ張られて歩かされる廊下に初めて現代知識で分かる昔の障子や中庭などを見つけて、正直とても嬉しくなった。
ある部屋の前まで来ると中に入れられて座らされる。
目の前には何人も男性が居たけれど、良く見ると刀を持っていた。着ているものも着物や袴だったから少しまた嬉しくなってしまって、私は少しだけ微笑んでしまっていた。
「おい、何で嬉しそうにしてんだ?」
「…いや、久しぶりに日本ぽいものが見れたので」
「よく分からねぇが、平助の部屋にいきなり入って来たってのは本当か?」
そう言った、美しい長い黒髪を纏めた男性は私をきつい目で睨んだ。何て説明すれば良いか分からないけれど平助とゆう人の部屋に落ちた事は確かなのかもしれないがこちらもわざとでは無い。とゆうか不本意。
「平助さんが何方か分かりませんが、すみませんでした。」
そう言えば、茶色の髪の彼は刀を抜いて私に突きつけた。やめろと言った男性が立ち上がる瞬間に私は縄と口枷を一瞬で切って立ち上がった。
その瞬間に、やめろと言ってくれた男性以外全員が抜刀した。そして私は抜刀した全員を体術のみで気絶させた。
「…えっと、すみません」
そう言った私に1人だけ残された男性は口を開け呆然と立ち尽くす。う、うむとだけ言ってから俯している仲間の彼等を心配そうに見つめる。
「怪我はさせてませんから。少し口枷と縄が嫌で、取ったら抜刀されたので無力化だけ」
そう言って正座をすると、男性を見つめた。
「…女の子なのに強くて唖然としてしまったよ。私は近藤とゆう者だ。うちの者が手荒な事をしてすまなかったね」
「私は雪那です。私こそすみません。実は」
正直に今までの不運なまるで御伽噺のような事を全部話したのは、私の湧き上がる気持ちを抑えられなかったから。いや、聞いてもらいたいだけだったのかもしない。それに日本に近い風景や彼等の姿に今にも涙が出そうだったから。
なるべく理解してもらえるように話した私は、涙が出て来るのが分かってその場でつい泣いてしまった。泣けたのは、彼が心底、慈しみを持ちながら話を聞いてくれてるのが分かったからだと思う。
「…大変だったんだなぁ。俄には信じられるような話では無いけど、私は君を信じるよ」
そう言った近藤さんは私を優しい瞳で見つめた。
その瞬間に安堵したのか肩の力が抜けて行った様な気がしていた。
私の涙が引いたころ、近藤さんはまた明日ゆっくり話そうと言って部屋に案内してくれた。山崎とゆう人を紹介されて、分からない事があれば彼か私にと言って近藤さんは優しく頭を撫でてくれた。
腫れた目をどうにかしたくて、山崎さんに風呂の場所を聞いて風呂を貸してもらった。湯を浴びて部屋に戻り布団に横になると、すぐにウトウトしてくる。
窓に背を向けてうつらうつらしていると、戸の方から人の気配がした。何やらコソコソ話している様だったけど部屋には入って来なかったのでそのまま寝てしまった。
鳥の鳴き声で目が覚めた。昨日早く寝てしまったからその分早く起きてしまったのだろう。一泊させてもらった恩は何か返せないかと思い布団を整えてから部屋を出ると部屋の外の廊下で茶色の髪の男性が壁にもたれて眠っていた。
冷えるだろうと思い、一度戻って布団を取ってくると彼に掛けてから朝の身支度を済ませた。台所のような場所が分からなくてウロウロしていると、人の気配を感じたのでそちらに行けば昨日部屋に居た男性の1人が朝食の準備をしていた。
「おはよう御座います」
「ああ、あんたか。局長から話は聞いた。疲れは取れたか?」
無表情の男は斉藤だと名乗り、何か用なのかと冷たく言われたので泊めてくれたお礼に食事の支度を手伝いたいと言うと。彼は少し考えてからそういえば総司はどうした?と言って私を見た。
「何ですか?」
「総司はあんたの見張りをしていた筈だ」
「寝てましたよ」
「…あんたが部屋から出たのに寝ている訳が無い」
「寝てたので、起こすと悪いかなと思って気配消してましたから。」
「…忍びの家系なのか?」
「まさか。ご冗談を」
そう言って笑った私に、台所から顔を出した総司と呼ばれていた男が口を開いた。
「おはよう、布団掛けてくれてありがとう」
嫌味っぽくそう言ってこちらに近付いて来たので、どういたしまして。とだけ返してから卵を溶き始める。
斉藤さんに食事をする人数と材料を聞いて、その多さにビックリしたけれど材料から出汁巻卵と胡麻和えに味噌汁、焼き魚くらいは作れるだろう。
手際よく私が調理していると、2人は静かに私の手元だけ見ている。多分毒物を入れない様に見ているのかなと思ったりしたが、彼等を気にせずに私はそのまま調理を続けた。
「慣れているな」
「ずっとやってたんで。」
「調理の仕事だったのか?」
「掃除と調理と書類仕事と護衛何かはよくやりましたね。」
「護衛か…近々時間があれば手合わせ頼みたい」
「はじめくん、悔しそうだったもんねぇ」
そう言って笑う総司は私の右手を掴んで、こんなに細いのにあんなに強いなんて信じられないよ。と言って私を不思議そうな目で見つめて来る。
その手を自然にはらってから、出来た料理を器に盛っていった。斉藤さんに何回か試食してもらったので味は大丈夫だろう。私は部屋に戻りますとだけ言ってから部屋に戻る道を早々と歩いた。途中で山崎さんの視線を感じたけれど、特に顔を見た訳でも無いので気にせずに部屋に入ってから布団にまた寝転んだ。
後200年くらい生きれば現代に帰れるのかなぁとか、ユーフォリアは料理出来ないから今日は私が居なくて何を食べてるんだろとかそんな事ばっかり考えていた
少し経つと廊下に人の気配がして私は布団から起き上がり備え付けのテーブルの前の座布団に座った。
失礼するよと言って入って来たのは近藤さんだった。
長い黒髪の男性は土方さん聞いて居たが、眼鏡の優しそうな人は初めて見る。初めまして山南と言いますと言って穏やかに挨拶してくれた。
「良く眠れたかい?雪那くん」
「はい、ありがとうございました。」
近藤さんの人の良さそうな笑みに私もついつられて、にこやかになってしまう。
「聞いていた方とは随分違いますねぇ。」
山南さんの言葉に私が何て聞いてるんですか?と聞くと、狂犬娘と笑顔で言われて私は小さく吹き出してしまう。
土方さんが、新選組が女に一撃で失神させられた何て知られてみろ。切腹もんだぞと何とも複雑な表情で私を見て項垂れている。
「私は特別な事情で色々な修行をして来たので、一般の女性とは比べない方が…」
「まぁ、近藤さんから聞いてるけどよ。他の世界何て俺らは信じられないからな。頭を打って記憶違いのがまだ信用出来る」
「…まあ、そうですよね」
「トシ、彼女が嘘をついてもメリットも何も無いじゃないか。雪那くんも大変な思いをしてきたんだから」
そう言ってフォローしてくれる近藤さんに、そうやって何でもかんでも信じるなと土方さんが食らいつく。
「あの、ご迷惑だと思うので私は直ぐに出て行くので大丈夫ですよ」
そう言った私に山南さんが何処に行くのですか?と少しだけ心配した顔で聞いてくれて嬉しく思う。
「私は護衛の仕事などもしていたので…それに怪我の手当ても出来ますし。適当に仕事探して野宿でもするので気にしないで下さい。前からそうでしたから」
そう言った私に近藤さんは声を張り上げる。
「絶対に駄目だ!女の子が野宿何てとんでもない」
「前は奴隷のような時もありましたし、今何て幸せな方ですよ」
そう言って、立ちあがろうとすると部屋の外で話を聞いていた5人が戸を開けた。
1番に私を見て口を開いたのは背の小さい猫目の男の子だった。
「此処は治安が良くないし、あぶねーから此処にいろって」
「女が一人で野宿何てとんでもねー話だ。」
「お前等うるせーぞ」
そう言って土方さんが一喝すると、部屋は静かになったけれど私はどうしていいか分からずに立ち尽くしていた。
「副長、彼女がもし敵側の護衛に回れば危険です」
その斉藤さんの一言に土方さんは一度だけため息をついてから分かってると言った。
そして、物騒な発言が土方さんの口から飛び出してくる。
「…今、お前が本気でこの屋敷にいる全員を殺すとしたらどれくらいかかる?」
「…そんな事分かりませんよ。私は元々は普通に本屋で働いていた普通の女です。人を殺したいとかも考えた事はありませんよ。怪我するのだって見るのだって嫌何ですから」
「まぁ。嘘は言ってねえように感じるな。」
私の言葉に土方さんは少し安堵したようだった。
上手く本音を引き出されたなと気付いたのはちょっと後だったけど。彼等からしたら私が皆に危害を加えるか疑うのは当たり前だなとも分かっていた。
近藤さんの、彼女は危険では無いからもう少し此処に居てもらって様子を見ようと言ってくれた言葉に土方さんは仕方が無さそうに頷いた。
私が何より不思議だったのは小さい背の平助と呼ばれている男の子がやたらと庇ってくれた事だった。
その後、斉藤さんに剣の腕が見たいと言われたので刀は握った事が無いと言うと木刀を貸してくれた。
手合わせしたいと言われたので、前に剣とナイフを教わった時の事を思い出して軽くならと了承した。
中庭で全員に見られて嫌だなと思う中、斉藤さんの目は真剣だったので。こちらも手を抜かない様にと思って木刀に念を込めてから試しに一振りすれば、近くにあった木に刃の念が飛んで太い幹は真っ二つになってしまった。
ヒィぃと顔が青くなる私に、それを見た土方さんが手合わせは禁止だと言ってまた項垂れた。
クロロとしていた時の手合わせみたいに念を込めては駄目だ思った私は、顔が強張っている全員に今度は大丈夫ですとヘラヘラしながら笑って構え直した。
斉藤が真っ二つになったらどうすんだと言った土方さんに、今度は絶対に平気ですと強気で言いながら青くなっている斉藤さんの刀に軽く打ち込めば、斉藤さんは綺麗な剣筋で打ち返してきた。
1、2分してから彼が本気になって来たのが分かった
刀で突いてきた時を見計らって受け流し脚に木刀で軽く叩き込む。クッと痛みに耐える顔をした瞬間に隙が出来たので、刀の柄の部分に強めに木刀を叩き込めばカラカラと刀は地に転がって行った。
怪我をさせないようにするのが難しくって、私を稽古してくれた皆もこんな感じだったのかなぁ。と内心思っていると斉藤さんが礼を言うと言って頭を下げてきたのでこちらこそと言って少し作り笑顔をした。その次は総司、次は佐之さん、次は平助と休ませて貰えずにずっと打ち合いが続いた。
夕食の準備が出来たよと井上さんが2度来てくれる迄それは続いたのだった。
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