その他 短編 シリーズ リヴァイ 五条悟
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耳元で雫がしたたる音が聞こえて、何だか不快な気分で薄く目を開けた。夢と現実の狭間の様な空間で、何となく頭や感覚が鈍い様な気がする……当たり前の様に直ぐそばに居た黒い影は何故か泣いている気がした
怖いとか不気味とかそんな事より、只泣いている事が気になって自然に眉間に皺が寄りながら口を開く
「誰?」
「……あんた、そんな子じゃ無い…」
「えっ?」
黒い影は長い髪で顔は見えないが確かにそう聞こえて私は眉を寄せる。何故か顔が見たくなって少し近寄ると黒い影は髪と髪の間から睨む様な瞳を見せた
その瞳は紫色で、その瞳の中には美しい茶金頭の男性が写っている
「えっ?……?」
「私は…私で居たい…耐えられない…」
そう言った影の髪を、私は恐る恐るゆっくり耳にかける。するとそこに居たのはまさしく私で。その瞬間にパチンとその影は消えキィィィんとつんざく様な嫌な音が耳に響き渡って思わず耳を塞いだ
「どうして見逃した?」
寝室の大きなダブルベッドに寝そべる五条悟に黒い女の影は静かに語りかける
「…君が…僕より彼を選ぶ事を知っていたし、昨日…僕の心が少し痛んだから…かな」
そう言った悟は目隠しの上から目を覆う様に手を置いた。黒い影はその様子を見て何も言わずに姿を消そうとした
「ちゃんと帰れた?」
「…ああ。……悟…」
ありがとうと言って黒い影は姿を消した
その消えた影が居た場所を気付けばずっと見ていた。ポケットに入っている二つのリングを触り、指に力を入れて粉々に砕く。
さよならと小さな声で呟いた言葉は寝室に消えていった
気付いた時、ベッドの上で横になっている自分が居た
只、水槽も無ければ黒い壁紙でも無い
窓際に置かれた大きなポトスとシルバーのサイドテーブルが目に入ってこれは私が買った物だと確信する
ベッドから起きドアを開けて何故か靴の汚れが付いた廊下に嫌な予感がする。リビングはごちゃごちゃで、状況が分からずにため息を付いているとつけっぱなしのテレビからアナウンサーの声が聞こえてくる
今日で8回目の襲撃。犯人は幻影旅団か…。国宝まで盗まれ死者多数。アナウンサーは興奮気味に話をして襲撃があった建物に入っていく
血飛沫が壁にアートの様に描かれて建物内は発砲した痕が多数
警備員、及びガードマンなどが犠牲になどの発言に少しづつ現実に戻ってきて目が覚めた気がした
電話しなきゃ
直ぐに携帯を探すが何処にも無い。急いで着替えをしてから帽子を深く被り家に鍵もかけずに飛び出した。
1番近いのは7キロ先のクロロの棲家だが、あそこはたまに使っているだけの家。居るか分からないがとりあえず今は何も考えずに走った
ノックもせずにそのまま勢い良く入ると、相変わらず部屋は綺麗でテーブルには中身が入った紅茶のカップが置いてあるが、湯気は立っていない
この様子ならもしかしたら帰ってくるかもしれない。まだ少しだけぼんやりする頭でソファに座りテーブルにあったタバコを貰い火を付けた
目を瞑り、思い返せば思い返す程何で直ぐに気付かなかったのかと記憶を探り自分に腹が立って仕方ない。
悟の言っている事はいつも穴だらけだった
でも…彼の口付けや抱き方は愛がこもっていると何故か確信があった。
何だかシャルに申し訳無い気持ちになってきたが、モヤモヤするよりは話してしまうか…。いや、やめておこう。そんな葛藤をしていると話声が聞こえて来て、私はタバコを消してから立ち上がる
ガチャリと開いたドアから顔を見せたのはマチとフィンクスとクロロで、懐かしい顔に思わず心が歓喜に満ち溢れるのが分かった
「「レイ 」」
向こうもビックリしたのか、マチは私の元まで来ると肩を寄せて来た。クロロの呆れる様なホッとした顔と
フィンクスのおかえりさん。と笑う笑顔に私は何だかホッとしてそのままソファに倒れ込んでしまった
「…ただいま」
「…半年間何してたんだ、詳しく話せ」
「団長、今は休ませてやんなよ。顔色悪いし」
「おい、レイ。シャルに連絡したのか?」
「今帰宅したばっかだよ、電話無くなってるし、シャルも家に居ないから此処まで走ってきた」
「シャルには俺が言う、今はベッド使って良いから寝ろ」
遠慮無くと言って皆がテーブルで話しているのを見ながら奥のベッドに横になった。目を瞑ると耳に入って来る声が懐かしくて心が安心したのかゆっくりゆっくり眠くなってきてそのまま意識を手放してしまう
ふと、目が覚めた。目を開けてまた違う所だったらどうしよう…何て考えていると、スゥスゥと寝息が聞こえて温かい腕に抱かれている感覚がする。手を動かそうとしても動かなくて目を開ければ、ガッチリと手を握られて抱きしめられていた。
首を少し動かすとシャルの綺麗な寝顔が間近にあって思わず手を振りほどき彼の胸に抱き付いた
んんと小さく唸ったシャルは薄く目を開けてから私を力一杯抱き締める
「……どこ行ってたの?前に話してた所?」
「うん…危なかったけど戻って来れたよ」
シャルの涙が1粒だけ私の頬を濡らして、私は悲しくて嬉しくて静かに泣いた。この日はこのまま抱き締められたまま死んだ様に眠り続けた。
シャルはその後の2週間はずっと私の側から離れなかった。その間、感が良いのか何故分かったのか分からないが、抱き心地が違うだの挿入した感覚が違うだの言われて珍しく癇癪を起こした彼に、思い当たる事ばかりの私はビビりまくって正直に話すと悟の事を殺しに行くと言ってキレて暴れ部屋の7割が破損した
その時にシャルじゃ逆に殺されるよと言った私にもっと腹がたったのか珍しく怒鳴られてしまった。その騒音で警察が来たのは言うまでも無い
その後も機嫌がすこぶる悪いのでクロロに電話して事情を話し助けを求めると、嫌々そうだったがシャルに何か言ってくれた様でそれから少しづつ機嫌は治っていった
それからまた1週間が過ぎてシャルも落ち着いて来て、平穏な日々を送る事ができる様になってきていたある日
「そういえば、携帯新しいの作ったから」
「わぁ、助かる。…てかさ、立て込んでて聞けなかったけど…帰って来た時にニュース見たんだけど何であんな連続で仕事してんの?」
「…帰って来ないから迎えに行かなきゃと思ったんだけど、どれを調べても手掛かりが無くてさ…。だから世界の呪物や念が込められた転移系の宝を狙ったんだけど。どれもハズレだった」
そんなシャルの渇いた笑顔に胸がキュッと締め付けられて、私の為だったのかと少し嬉しくなった
ふと、リビングの片隅に目がいくとあのネックレスが置いてあるのに気付いてビクリと私は肩を震わせた
「…シャル、あのネックレス何で?」
「ああ、あれ?レイが帰って来た日団長から電話が来て迎えに行ってから帰ってきたら寝室にあったんだ。これが君をまた戻してくれた様な気がしてさ」
乙女ちっくかなと笑ったシャルはネックレスを掴むと色が変わったよね。と言って私に差し出して来た。
受け取って良くみると、黒光りしていたネックレスは灰色の様に見え文字も光っておらず嫌な感じもしない
「完全に力無くなった感じがするよね」
「俺もそう思う」
太陽の光に当たりキラキラと灰色の中に光る結晶に綺麗だなと掲げて見ていると、何故かあの黒い影の女が笑っている気がした
その笑みは気味が悪い笑みでは無く、とても愛らしい笑みに感じられて私は首を傾げる
「どしたの?」
いや、何でも無い…と言った私からネックレスを掴み自身のポケットに入れたシャルはもうレイは心配しなくても大丈夫だからと笑って私に口付けてくる。
太陽の光が彼の髪を照らし金色に染め上げる。淡いグリーンの瞳に映る自分の笑顔は先程の黒い影の笑みと瓜二つだった
怖いとか不気味とかそんな事より、只泣いている事が気になって自然に眉間に皺が寄りながら口を開く
「誰?」
「……あんた、そんな子じゃ無い…」
「えっ?」
黒い影は長い髪で顔は見えないが確かにそう聞こえて私は眉を寄せる。何故か顔が見たくなって少し近寄ると黒い影は髪と髪の間から睨む様な瞳を見せた
その瞳は紫色で、その瞳の中には美しい茶金頭の男性が写っている
「えっ?……?」
「私は…私で居たい…耐えられない…」
そう言った影の髪を、私は恐る恐るゆっくり耳にかける。するとそこに居たのはまさしく私で。その瞬間にパチンとその影は消えキィィィんとつんざく様な嫌な音が耳に響き渡って思わず耳を塞いだ
「どうして見逃した?」
寝室の大きなダブルベッドに寝そべる五条悟に黒い女の影は静かに語りかける
「…君が…僕より彼を選ぶ事を知っていたし、昨日…僕の心が少し痛んだから…かな」
そう言った悟は目隠しの上から目を覆う様に手を置いた。黒い影はその様子を見て何も言わずに姿を消そうとした
「ちゃんと帰れた?」
「…ああ。……悟…」
ありがとうと言って黒い影は姿を消した
その消えた影が居た場所を気付けばずっと見ていた。ポケットに入っている二つのリングを触り、指に力を入れて粉々に砕く。
さよならと小さな声で呟いた言葉は寝室に消えていった
気付いた時、ベッドの上で横になっている自分が居た
只、水槽も無ければ黒い壁紙でも無い
窓際に置かれた大きなポトスとシルバーのサイドテーブルが目に入ってこれは私が買った物だと確信する
ベッドから起きドアを開けて何故か靴の汚れが付いた廊下に嫌な予感がする。リビングはごちゃごちゃで、状況が分からずにため息を付いているとつけっぱなしのテレビからアナウンサーの声が聞こえてくる
今日で8回目の襲撃。犯人は幻影旅団か…。国宝まで盗まれ死者多数。アナウンサーは興奮気味に話をして襲撃があった建物に入っていく
血飛沫が壁にアートの様に描かれて建物内は発砲した痕が多数
警備員、及びガードマンなどが犠牲になどの発言に少しづつ現実に戻ってきて目が覚めた気がした
電話しなきゃ
直ぐに携帯を探すが何処にも無い。急いで着替えをしてから帽子を深く被り家に鍵もかけずに飛び出した。
1番近いのは7キロ先のクロロの棲家だが、あそこはたまに使っているだけの家。居るか分からないがとりあえず今は何も考えずに走った
ノックもせずにそのまま勢い良く入ると、相変わらず部屋は綺麗でテーブルには中身が入った紅茶のカップが置いてあるが、湯気は立っていない
この様子ならもしかしたら帰ってくるかもしれない。まだ少しだけぼんやりする頭でソファに座りテーブルにあったタバコを貰い火を付けた
目を瞑り、思い返せば思い返す程何で直ぐに気付かなかったのかと記憶を探り自分に腹が立って仕方ない。
悟の言っている事はいつも穴だらけだった
でも…彼の口付けや抱き方は愛がこもっていると何故か確信があった。
何だかシャルに申し訳無い気持ちになってきたが、モヤモヤするよりは話してしまうか…。いや、やめておこう。そんな葛藤をしていると話声が聞こえて来て、私はタバコを消してから立ち上がる
ガチャリと開いたドアから顔を見せたのはマチとフィンクスとクロロで、懐かしい顔に思わず心が歓喜に満ち溢れるのが分かった
「「レイ 」」
向こうもビックリしたのか、マチは私の元まで来ると肩を寄せて来た。クロロの呆れる様なホッとした顔と
フィンクスのおかえりさん。と笑う笑顔に私は何だかホッとしてそのままソファに倒れ込んでしまった
「…ただいま」
「…半年間何してたんだ、詳しく話せ」
「団長、今は休ませてやんなよ。顔色悪いし」
「おい、レイ。シャルに連絡したのか?」
「今帰宅したばっかだよ、電話無くなってるし、シャルも家に居ないから此処まで走ってきた」
「シャルには俺が言う、今はベッド使って良いから寝ろ」
遠慮無くと言って皆がテーブルで話しているのを見ながら奥のベッドに横になった。目を瞑ると耳に入って来る声が懐かしくて心が安心したのかゆっくりゆっくり眠くなってきてそのまま意識を手放してしまう
ふと、目が覚めた。目を開けてまた違う所だったらどうしよう…何て考えていると、スゥスゥと寝息が聞こえて温かい腕に抱かれている感覚がする。手を動かそうとしても動かなくて目を開ければ、ガッチリと手を握られて抱きしめられていた。
首を少し動かすとシャルの綺麗な寝顔が間近にあって思わず手を振りほどき彼の胸に抱き付いた
んんと小さく唸ったシャルは薄く目を開けてから私を力一杯抱き締める
「……どこ行ってたの?前に話してた所?」
「うん…危なかったけど戻って来れたよ」
シャルの涙が1粒だけ私の頬を濡らして、私は悲しくて嬉しくて静かに泣いた。この日はこのまま抱き締められたまま死んだ様に眠り続けた。
シャルはその後の2週間はずっと私の側から離れなかった。その間、感が良いのか何故分かったのか分からないが、抱き心地が違うだの挿入した感覚が違うだの言われて珍しく癇癪を起こした彼に、思い当たる事ばかりの私はビビりまくって正直に話すと悟の事を殺しに行くと言ってキレて暴れ部屋の7割が破損した
その時にシャルじゃ逆に殺されるよと言った私にもっと腹がたったのか珍しく怒鳴られてしまった。その騒音で警察が来たのは言うまでも無い
その後も機嫌がすこぶる悪いのでクロロに電話して事情を話し助けを求めると、嫌々そうだったがシャルに何か言ってくれた様でそれから少しづつ機嫌は治っていった
それからまた1週間が過ぎてシャルも落ち着いて来て、平穏な日々を送る事ができる様になってきていたある日
「そういえば、携帯新しいの作ったから」
「わぁ、助かる。…てかさ、立て込んでて聞けなかったけど…帰って来た時にニュース見たんだけど何であんな連続で仕事してんの?」
「…帰って来ないから迎えに行かなきゃと思ったんだけど、どれを調べても手掛かりが無くてさ…。だから世界の呪物や念が込められた転移系の宝を狙ったんだけど。どれもハズレだった」
そんなシャルの渇いた笑顔に胸がキュッと締め付けられて、私の為だったのかと少し嬉しくなった
ふと、リビングの片隅に目がいくとあのネックレスが置いてあるのに気付いてビクリと私は肩を震わせた
「…シャル、あのネックレス何で?」
「ああ、あれ?レイが帰って来た日団長から電話が来て迎えに行ってから帰ってきたら寝室にあったんだ。これが君をまた戻してくれた様な気がしてさ」
乙女ちっくかなと笑ったシャルはネックレスを掴むと色が変わったよね。と言って私に差し出して来た。
受け取って良くみると、黒光りしていたネックレスは灰色の様に見え文字も光っておらず嫌な感じもしない
「完全に力無くなった感じがするよね」
「俺もそう思う」
太陽の光に当たりキラキラと灰色の中に光る結晶に綺麗だなと掲げて見ていると、何故かあの黒い影の女が笑っている気がした
その笑みは気味が悪い笑みでは無く、とても愛らしい笑みに感じられて私は首を傾げる
「どしたの?」
いや、何でも無い…と言った私からネックレスを掴み自身のポケットに入れたシャルはもうレイは心配しなくても大丈夫だからと笑って私に口付けてくる。
太陽の光が彼の髪を照らし金色に染め上げる。淡いグリーンの瞳に映る自分の笑顔は先程の黒い影の笑みと瓜二つだった