その他 短編 シリーズ リヴァイ 五条悟
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早く片付けちゃってよ。そんな声が遠くに聞こえて目を開ける
8畳のリビングのソファでうたたねをしていた私は目を開けぼんやり声のする方に視線を向けた。電話をしながら窓の外を見るシャルはどこか不機嫌で声も少しだけ苛立っている
どうしてそうなるんだよと眉間を寄せながら電話にぶつける荒々しい声に珍しい事もあるもんだと目を瞑り直した
「起きてるよね、ちょっと出てくるから」
「…何かあったのー?」
「俺が行かなきゃならなくなった。ちゃんと説明したのに出来ないから腹立つんだよ」
そう言ったシャルは目を開けた私の唇に触れるだけの口付けをすると、掛けてあったパーカーを羽織り窓から出て行った
ありゃ相当ムカついてるな…何も言われなかったので私は行かなくていいかと考えるのもやめてシャワーを浴びようと脱衣所に入った
洗濯籠の中にあるシャルの血の付いた仕事着を嫌な顔をしながらつまみ、風呂場に投げつける。血は取れなくなるし臭いから必ず風呂場で洗ってから洗濯機に入れろと何回言っただろう
あっはっは、ごめんごめんと十回は聞いた気がする
服を脱いで浴槽に少しだけお湯を溜めてそこに衣類を入れようとすると、何故か変な感覚がしてその衣類のポケットの中に手を入れた
「…何これ…」
ポケットから出てきたのは変わった素材で出来たネックレスの様な物だった。余りセンスが良いとはいえない独特のデザインで何か文字が刻まれているが私には読めない
そのネックレスを持ったまま、裸でリビングに戻り電話を掛ける
シャルは繋がらなかったのでクロロの番号を履歴から探してボタンを押した
「…なんだ?」
「ねー、今さシャルの服を洗おうとしたら変なネックレスが入ってたんだけど。知ってる?」
「ネックレス?色は?特徴はあるか?」
「変な文字が刻まれていて、黒いネックレス。触ると全身がぞわぞわするんだけど…これ何?」
「…手を離しておけ。写真を送れるか?」
「…分かった、あれ?何か文字が光ってる」
クロロが耳元で何かを言っていて、その声が何と言っているのか分からなくなってきてゾッとする
ネックレスの文字の光が鈍く赤色になった所でヤバイと思い手を離した
あれ?
一瞬だった
転移何て出来る念能力がこの世にあった何て…と私は心から感動した。解明して必ずクロロに盗ませて絶対に仕事の移動を楽にするんだと誓い、見渡す限りの山山山を見つめていた
先程は昼だったのに夕日が出ていて、時間が経ってる事に気付いて寒いけれど裸のままとりあえず服を盗もうと山を降りる事にした
時々木に登り民家を見つけ様としたのだが、見つからずに途方にくれながら彷徨う様に走り続けた
今日はシャルがこの間盗ってきてくれた100万ジェニーするシャンパンを飲もうだ何て話を朝していたので意地でも早く帰りたい
民家で服と電話を盗んでから位置を確認して、遠いなら富豪の家にでも入って自家用ジェットでも盗むか…
などと考えていると変な建物が見えてきて私は少しホッとした
建物の前まで来ると、何か書いてあるのだろうが読めず何と無くその文字はあのネックレスに書いてあった文字に似ているなと感じた
ちょっとヤバいか?と思ったが中から人の気配がする。しかし今1番見られたらヤバいのは裸の私
誰かに見られ無い様に高速で中に入り建物に侵入する
絶をしながら天井を移動していると、黒い服を着た女を見つけたので後ろから首元を狙い気絶させて服を拝借する
…脱がす際に女の顔をマジマジと見るとこの顔立ちはジャポン人か?と何と無く思った。すると此処はジャポンなのか…だとしたら随分と遠くに飛ばされたものだ
携帯も持っていたのでそれもポケットに入れると近くの部屋に入り急いで携帯を開けた
「…何この文字…文字化け?」
全く読めない。それ所か部屋にある本やポスターなども何1つ読めずに途方にくれていると何やら人がザワザワと廊下を走り回っている音が聞こえ出した
そういえば、服を拝借した女を隠さなかった
少し屋上にあがり地理を確認しようと窓から出て壁を上に向かって走っていると目隠しをした背の高い男が屋上から登ってくる私を見て笑っていた
「こんにちはー!君どちら様??」
「こんにちは、侵入者ですよ」
変な気配がする男だなぁと思いながらも屋上に着くと、その男は笑いながら私に近付いてくる
「その服は?」
「ああ、申し訳ないんだけど緊急事態で裸だったから廊下を歩いてた女性から拝借しました。後文字が分からなかったからこれを返しておいて下さいな」
「どうして裸だったの?」
「…そこの山に気付いたら居たの。家でお風呂入ろうと思ってたから裸だった。走ってここまで来たんだけど文字が読めないしお手上げって感じ」
わざとらしく溜息を付いた私に彼はふーん。とだけ言ってから上から下まで私を見つめた
「君さ、さっき壁歩いてたよね?おかしいよね?」
「私の仲間は皆歩けるけど」
「ふーん。まぁ、壁は俺も走れるけどさ…。仕方ない、俺が君を家まで送ろう」
「本当??それは嬉しい。てか、聞きたいんだけどここジャポンだよね?サヘルタ合衆国に戻りたいんだ。私はヨルビアンから来たのよ」
「………ジャポン?」
「ジャポンじゃないの??」
「サヘルタ合衆国??」
「うん、そうだけど」
「君、どこから来たの??」
「ヨルビアン大陸だってば」
「いや、そんな所無いし」
「無い訳ないでしょ。てかさヨルビアン大陸は1番デカいから知らない人いないよ」
「ここには1人もその場所を知ってる人は居ない」
彼のおちゃらけた声のトーンは低くなり、私も口を閉じた。いやいやいやまてまてまてまて、ありえないだろう
少し冷や汗をかいた私に彼は見えてるのか見えていないのか分からない視線を向けてくる
「ねぇ、名前は?」
「悟。五条悟」
「私はレイ。悟、何か食べさせてくれない?」
「いーよー」
「侵入者に優しいよね、悟」
「俺は誰にでも優しいよ」
そんな軽い会話をしながら私は案内されるまま屋上から中の建物内に入り階段を降りて来賓用の部屋に通された。本当は内心ヒヤヒヤしていたが腹ごしらえが先だ。山を降りて来た私は体力は減っていたしお腹も空いていて喉もカラカラだった
戦闘になるかもしれないし、いつ何があるか分からないから体力は温存して食べれるだけ食べておかないと
「…え??何これ…」
「おにぎりだけど。食べた事ない?」
「うーん、聞いた事はあるけど見たのは初めて。何か黒いんだけど、これ何で出来てるの?」
「おにぎりを見たの初めての人は居ないからやっぱり
レイちゃんは違う国から来たんだね。ヨルビアンも無いからこれは他の世界で確定かなー。ちなみに黒いのは海苔ね」
「や、やっぱり世界まで違うか…てか海苔…美味しい。でもさ、こうやって話せてるのは何でだろう」
「うーん。そこら辺はわからないけど、今はとりあえず俺が見つけたからには帰す努力はするよ」
「凄い怪しいのにまたまた優しい悟」
「裸で侵入して来た君に言われると何かな…」
悟が飲み物を手渡ししてくれて、どんな味がするのかちょっとワクワクしながら匂いをかいだ
「毒なんて入ってないよー」
「入ってても私に毒は効かないから大丈夫よー。これは緑色だけど何て飲み物?」
「効かないんだ、ウケるね。これは緑茶」
「お茶?」
「うん」
「本当だ。お茶だ」
ゴクゴクと飲み干してから、体力を戻すためにちょっと寝かしてと遠慮無く言うと悟はコクリと頷いて笑った。
座っていたソファに足を投げ出して横になり、目を閉じた。シャルの心配そうな顔が頭に思い浮かぶ
10分くらい寝た所で悟の話声が聞こえて目は開けずにそのままの状態で耳をすませた。
「この女性が?」
「入ってきたのに結界のアラームも鳴らない、壁を走り毒も効かない侵入者でーす。おまけに家はサヘルタ合衆国」
「え?何?サヘ何?」
「サヘルタ合衆国。ヨルビアン大陸にある国らしいよ」
「この子大丈夫??」
「嘘をついてる感じは全く無いね、後戦ったら僕以外全員死ぬかな」
「はっ??どうゆう事だ」
「うーん。多分普通の人間じゃない。体術も力もスピードもね」
「それで?どうするつもりだ?」
「詳しい話を聞いて帰せるなら帰すし無理なら無理で此処で働いてもらおうかなーって」
「うーむ。働くなら許可をとらないとな」
「んじゃ、あのジジイに聞いてみるよ」
「分かった、俺は戻るから監視は頼んだ。何かあったら絶対報告しろよ」
悟と学長と呼ばれた人間が話をしているのを聞いて、ふと此処は何かの施設なのか?と思った
学長とタメ口を聞いて、許可を出せる偉い人をジジイと呼ぶ悟は此処で1番偉いのか…。
なんだかんだ帰せるなら帰してやりたいと言ってくれてる悟に有り難い気持ちが湧き、帰るまでは仕事を手伝ってあげようかな何て思った
しかし…さっきの会話…。普通の人間では無いと思ったがあの短時間で能力も見せていないし、私は大体絶で居たのにそこまで分かるなんて只者では無いと思い久しぶりに凄い人材にあったなと思いスカウトしたくなった
ゴロリと彼が居る方に体を向けて目を開けると、ふざけた声でおっはよーと口元を上げ悟はニッコリ笑い
起きるの早いねとわざとらしく言う彼に私は口を開く
「ねぇ悟さ、もし私が帰れたら一緒に来ない?うちの組織入ってよ、スカウトしたくなった」
「スカウト?てかさ、レイはどんな所で働いてんの??」
「盗賊団だよ」
「……ゲェ。やめとくー」
「残念」
「話全部聞いてたと思うけど、今からレイが帰れるまで此処にいて仕事も出来る様に許可とってくるからさ。大人しく寝てて」
「分かった。でも監視は良いの?」
「何かする気も無いでしょ?とにかく今は寝てていーよ。明日の朝に起こしに来るからさ」
「じゃあ遠慮無く」
悟が手を振って部屋を出て行くのを確認した私は部屋の電気を消して横になる。段々と緊張がとけてきたのか少しづつ意識が無くなっていった
ガツンと凄い音がして衝撃が走り目を開けた、びっくりして体を起こそうとすると凄くキツく抱き締められた感覚に一瞬ビクリとしたが匂いで分かった
シャルの匂いだ。目を開けると茶金の髪が鼻をかすめて、シャルが休みの日に着ている黒のカットソーが目に入ってホッとした
下からレイ、頼むからどいてくれと聞こえて下に目線を向ければクロロの背中に乗っかっていた
「ご、ごめんクロロ」
うちのソファにうつ伏せになったクロロの上からどくとシャルは溜息まじりに息を吐きながら私の体をそっと離す
「はぁ、本当に心配した。どこ行ってたの?」
「うーん。違う世界??ジャポンみたいな所」
「レイ、言葉は通じたのか?」
「うん、文字は読めなかったけどね。心配かけといて何なんだけどちょっと疲れたから休憩させて」
そう言ってゴロリとソファに横になった。
横目で、クロロが珈琲に口を付けシャルがあのネックレスを持ちながら椅子に腰掛けるのを見ていて帰って来れたんだなぁと何だか気が抜けた
珍しく、私の前髪をサラサラと撫でたクロロは意地悪い笑みでシャルの慌てっぷりを見せてやりたかったと私に小声で耳打ちしてくる
「聞こえてるんだけど」
「二回くらい家の中でこけてるシャルを初めて見たな」
「それは本気で見たかった」
「レイ、落ち着いた?何があったのか俺に説明してくんない?ちなみにその短いスカートの服は何?変な奴に着せられたとか?殺そうか?」
「シャル、話がズレてる。落ち着け」
「何か保護された所の制服みたいな感じかな。…そんな怒んないでよ」
私は、風呂場でシャルの服の中からネックレスを見つけた事から始まりクロロに電話をした事やネックレスの文字が光った事。
気付いたら山の中に裸でいて、悟に会い保護してもらい来賓用の部屋で眠った事を細かく話した
「…言語が通じるが文字が読めない。悟はジャポン人の様だったがジャポンでは無かった。おにぎりを見た事が無い人間はこの国にはいないか…。」
「おにぎりって美味しかったけど、食べたの初めてだったわ。」
「レイ、悟って奴はどんな奴だったの?」
「念が使えないのに壁走れるし、目隠ししてるのに見えてるし、体術もスピードも力も多分私より上だと思う。」
「化け物じゃん」
「化け物だな」
「ふふ、でも良識がある人間だったから良かったよ。帰り方探してあげるって言ってくれてたし」
私がそう言うとシャルが、異世界に飛ばされてフェイタンみたいな奴に1番に会ったら嫌だなぁとしみじみ言ったので3人でうんうんと深く頷いた
それから、珈琲を飲み終わったクロロはあのネックレスを持って帰って行った。心配かけたから仕事で返すと言うとシャルにもう頼んであると小さく笑った
昼に入り損ねたので、湯船を溜めてゆっくり風呂に浸かっていると脱衣所からシャルの声がして耳をすませた
「いるよねー?」
「あはは、いるよー」
私が返事をすると、満足したのかリビングに戻っていくシャルに相当心配したんだなと申し訳無くなったが何だか嬉しくなってしまった
風呂からあがると、シャルはビールを飲みながらソファに座りテレビを見ている
一緒に住んで1年。この風景にも慣れて来ていた
後ろから彼を抱き締めて温かな首に唇を付けた
何も言わずにシャルは私の手を引くと自分の上に座らせて唇に口付けをしてくる。背中にまわされた手がいつもより力が強く感じ、激しくなっていく口付けに幸せを感じながら今一緒に居れる事を嬉しく思った
そのまま2人でベッドに入りいつの間にか寝てしまった私は夜中にふと目が覚めてしまう。横で寝ている裸のシャルに抱き付きながら携帯をいじっていると何故か昼に感じた違和感を再度感じた
この感じは、あのネックレスを持った時の感覚…
何だか嫌な予感がしてシャルを起こそうと思い、ねぇと口に出すがその声は出なくて。瞬きをした瞬間にカキンと何かが弾ける様な音がして頭が痛くなる
「大丈夫??聞こえる?ちょっとー」
目を開けると目の前に居たのは悟。パチクリと瞬きをしてビックリしている私にバサリと着ていたシャツを脱ぎ私に被せるとニヤリと笑う
「また裸だけど、何でいつも脱ぐの?やっぱり性癖でしょ」
「…あれ?悟…?また戻って来ちゃった?」
「しかも…このネックレスさっきしてなかったよね?凄い力を感じる…。こんな呪物どこにあったの?」
悟が手を伸ばし私の首から何かを引き千切る、カシャンと音と共に彼の手からぶら下がったそれはクロロが持って帰ったネックレスだった
「これ…さっき一度自分の世界に帰れたんだけど…仲間が持って帰ったのに…。今私の首にかかってたよね?」
「帰ってた?今?」
「うん。家に帰れてお風呂入ってからベッド入ったから裸だったんだよね。あの制服は洗濯機に入れた。」
「俺が今さっき来たら君は裸で此処で寝てたけど」
分からなくて手に力が入ると、ふと左手に握られているのは私の携帯だった。すぐに中を確認すればやはり電波は無い、ため息を吐いてから悟の手に渡した
「私の携帯」
「こんな携帯初めてみた、中見るよー。…わぁ。なんか凄い変な文字」
「私の世界では全世界共通文字。これが分からないならやっぱり世界は違うね」
「へぇ、初めての異世界人、何かワクワクするね」
「はぁ、悟と居ると気が抜けるわー。てゆうか絶対このネックレスが絡んでると思う」
「十中八九その通りだろうね」
禍々しい気配の真っ黒のネックレスは、悟の手にあると何だか力が押さえ込まれている様な気がした
「これ、さっき私の家で仲間が手に持っていた時よりも禍々しさが無い。悟が持ってるから?」
「多分そうだろうね。俺が抑え込んでるから」
「呪物って言ってたけど、詳しいの?」
「そりゃー勿論。一応先生やってるからね」
「…全然分からないや、もう嫌になってきたわ」
外に朝日が見えて、その太陽まで少し違って見えたら何だか全部嫌になってきて私はその場に横になり丸まって目を閉じた
何も言わない悟が私の髪を撫でてくれていて、私はその柔らかな手の優しさに今だけ甘える事にした
8畳のリビングのソファでうたたねをしていた私は目を開けぼんやり声のする方に視線を向けた。電話をしながら窓の外を見るシャルはどこか不機嫌で声も少しだけ苛立っている
どうしてそうなるんだよと眉間を寄せながら電話にぶつける荒々しい声に珍しい事もあるもんだと目を瞑り直した
「起きてるよね、ちょっと出てくるから」
「…何かあったのー?」
「俺が行かなきゃならなくなった。ちゃんと説明したのに出来ないから腹立つんだよ」
そう言ったシャルは目を開けた私の唇に触れるだけの口付けをすると、掛けてあったパーカーを羽織り窓から出て行った
ありゃ相当ムカついてるな…何も言われなかったので私は行かなくていいかと考えるのもやめてシャワーを浴びようと脱衣所に入った
洗濯籠の中にあるシャルの血の付いた仕事着を嫌な顔をしながらつまみ、風呂場に投げつける。血は取れなくなるし臭いから必ず風呂場で洗ってから洗濯機に入れろと何回言っただろう
あっはっは、ごめんごめんと十回は聞いた気がする
服を脱いで浴槽に少しだけお湯を溜めてそこに衣類を入れようとすると、何故か変な感覚がしてその衣類のポケットの中に手を入れた
「…何これ…」
ポケットから出てきたのは変わった素材で出来たネックレスの様な物だった。余りセンスが良いとはいえない独特のデザインで何か文字が刻まれているが私には読めない
そのネックレスを持ったまま、裸でリビングに戻り電話を掛ける
シャルは繋がらなかったのでクロロの番号を履歴から探してボタンを押した
「…なんだ?」
「ねー、今さシャルの服を洗おうとしたら変なネックレスが入ってたんだけど。知ってる?」
「ネックレス?色は?特徴はあるか?」
「変な文字が刻まれていて、黒いネックレス。触ると全身がぞわぞわするんだけど…これ何?」
「…手を離しておけ。写真を送れるか?」
「…分かった、あれ?何か文字が光ってる」
クロロが耳元で何かを言っていて、その声が何と言っているのか分からなくなってきてゾッとする
ネックレスの文字の光が鈍く赤色になった所でヤバイと思い手を離した
あれ?
一瞬だった
転移何て出来る念能力がこの世にあった何て…と私は心から感動した。解明して必ずクロロに盗ませて絶対に仕事の移動を楽にするんだと誓い、見渡す限りの山山山を見つめていた
先程は昼だったのに夕日が出ていて、時間が経ってる事に気付いて寒いけれど裸のままとりあえず服を盗もうと山を降りる事にした
時々木に登り民家を見つけ様としたのだが、見つからずに途方にくれながら彷徨う様に走り続けた
今日はシャルがこの間盗ってきてくれた100万ジェニーするシャンパンを飲もうだ何て話を朝していたので意地でも早く帰りたい
民家で服と電話を盗んでから位置を確認して、遠いなら富豪の家にでも入って自家用ジェットでも盗むか…
などと考えていると変な建物が見えてきて私は少しホッとした
建物の前まで来ると、何か書いてあるのだろうが読めず何と無くその文字はあのネックレスに書いてあった文字に似ているなと感じた
ちょっとヤバいか?と思ったが中から人の気配がする。しかし今1番見られたらヤバいのは裸の私
誰かに見られ無い様に高速で中に入り建物に侵入する
絶をしながら天井を移動していると、黒い服を着た女を見つけたので後ろから首元を狙い気絶させて服を拝借する
…脱がす際に女の顔をマジマジと見るとこの顔立ちはジャポン人か?と何と無く思った。すると此処はジャポンなのか…だとしたら随分と遠くに飛ばされたものだ
携帯も持っていたのでそれもポケットに入れると近くの部屋に入り急いで携帯を開けた
「…何この文字…文字化け?」
全く読めない。それ所か部屋にある本やポスターなども何1つ読めずに途方にくれていると何やら人がザワザワと廊下を走り回っている音が聞こえ出した
そういえば、服を拝借した女を隠さなかった
少し屋上にあがり地理を確認しようと窓から出て壁を上に向かって走っていると目隠しをした背の高い男が屋上から登ってくる私を見て笑っていた
「こんにちはー!君どちら様??」
「こんにちは、侵入者ですよ」
変な気配がする男だなぁと思いながらも屋上に着くと、その男は笑いながら私に近付いてくる
「その服は?」
「ああ、申し訳ないんだけど緊急事態で裸だったから廊下を歩いてた女性から拝借しました。後文字が分からなかったからこれを返しておいて下さいな」
「どうして裸だったの?」
「…そこの山に気付いたら居たの。家でお風呂入ろうと思ってたから裸だった。走ってここまで来たんだけど文字が読めないしお手上げって感じ」
わざとらしく溜息を付いた私に彼はふーん。とだけ言ってから上から下まで私を見つめた
「君さ、さっき壁歩いてたよね?おかしいよね?」
「私の仲間は皆歩けるけど」
「ふーん。まぁ、壁は俺も走れるけどさ…。仕方ない、俺が君を家まで送ろう」
「本当??それは嬉しい。てか、聞きたいんだけどここジャポンだよね?サヘルタ合衆国に戻りたいんだ。私はヨルビアンから来たのよ」
「………ジャポン?」
「ジャポンじゃないの??」
「サヘルタ合衆国??」
「うん、そうだけど」
「君、どこから来たの??」
「ヨルビアン大陸だってば」
「いや、そんな所無いし」
「無い訳ないでしょ。てかさヨルビアン大陸は1番デカいから知らない人いないよ」
「ここには1人もその場所を知ってる人は居ない」
彼のおちゃらけた声のトーンは低くなり、私も口を閉じた。いやいやいやまてまてまてまて、ありえないだろう
少し冷や汗をかいた私に彼は見えてるのか見えていないのか分からない視線を向けてくる
「ねぇ、名前は?」
「悟。五条悟」
「私はレイ。悟、何か食べさせてくれない?」
「いーよー」
「侵入者に優しいよね、悟」
「俺は誰にでも優しいよ」
そんな軽い会話をしながら私は案内されるまま屋上から中の建物内に入り階段を降りて来賓用の部屋に通された。本当は内心ヒヤヒヤしていたが腹ごしらえが先だ。山を降りて来た私は体力は減っていたしお腹も空いていて喉もカラカラだった
戦闘になるかもしれないし、いつ何があるか分からないから体力は温存して食べれるだけ食べておかないと
「…え??何これ…」
「おにぎりだけど。食べた事ない?」
「うーん、聞いた事はあるけど見たのは初めて。何か黒いんだけど、これ何で出来てるの?」
「おにぎりを見たの初めての人は居ないからやっぱり
レイちゃんは違う国から来たんだね。ヨルビアンも無いからこれは他の世界で確定かなー。ちなみに黒いのは海苔ね」
「や、やっぱり世界まで違うか…てか海苔…美味しい。でもさ、こうやって話せてるのは何でだろう」
「うーん。そこら辺はわからないけど、今はとりあえず俺が見つけたからには帰す努力はするよ」
「凄い怪しいのにまたまた優しい悟」
「裸で侵入して来た君に言われると何かな…」
悟が飲み物を手渡ししてくれて、どんな味がするのかちょっとワクワクしながら匂いをかいだ
「毒なんて入ってないよー」
「入ってても私に毒は効かないから大丈夫よー。これは緑色だけど何て飲み物?」
「効かないんだ、ウケるね。これは緑茶」
「お茶?」
「うん」
「本当だ。お茶だ」
ゴクゴクと飲み干してから、体力を戻すためにちょっと寝かしてと遠慮無く言うと悟はコクリと頷いて笑った。
座っていたソファに足を投げ出して横になり、目を閉じた。シャルの心配そうな顔が頭に思い浮かぶ
10分くらい寝た所で悟の話声が聞こえて目は開けずにそのままの状態で耳をすませた。
「この女性が?」
「入ってきたのに結界のアラームも鳴らない、壁を走り毒も効かない侵入者でーす。おまけに家はサヘルタ合衆国」
「え?何?サヘ何?」
「サヘルタ合衆国。ヨルビアン大陸にある国らしいよ」
「この子大丈夫??」
「嘘をついてる感じは全く無いね、後戦ったら僕以外全員死ぬかな」
「はっ??どうゆう事だ」
「うーん。多分普通の人間じゃない。体術も力もスピードもね」
「それで?どうするつもりだ?」
「詳しい話を聞いて帰せるなら帰すし無理なら無理で此処で働いてもらおうかなーって」
「うーむ。働くなら許可をとらないとな」
「んじゃ、あのジジイに聞いてみるよ」
「分かった、俺は戻るから監視は頼んだ。何かあったら絶対報告しろよ」
悟と学長と呼ばれた人間が話をしているのを聞いて、ふと此処は何かの施設なのか?と思った
学長とタメ口を聞いて、許可を出せる偉い人をジジイと呼ぶ悟は此処で1番偉いのか…。
なんだかんだ帰せるなら帰してやりたいと言ってくれてる悟に有り難い気持ちが湧き、帰るまでは仕事を手伝ってあげようかな何て思った
しかし…さっきの会話…。普通の人間では無いと思ったがあの短時間で能力も見せていないし、私は大体絶で居たのにそこまで分かるなんて只者では無いと思い久しぶりに凄い人材にあったなと思いスカウトしたくなった
ゴロリと彼が居る方に体を向けて目を開けると、ふざけた声でおっはよーと口元を上げ悟はニッコリ笑い
起きるの早いねとわざとらしく言う彼に私は口を開く
「ねぇ悟さ、もし私が帰れたら一緒に来ない?うちの組織入ってよ、スカウトしたくなった」
「スカウト?てかさ、レイはどんな所で働いてんの??」
「盗賊団だよ」
「……ゲェ。やめとくー」
「残念」
「話全部聞いてたと思うけど、今からレイが帰れるまで此処にいて仕事も出来る様に許可とってくるからさ。大人しく寝てて」
「分かった。でも監視は良いの?」
「何かする気も無いでしょ?とにかく今は寝てていーよ。明日の朝に起こしに来るからさ」
「じゃあ遠慮無く」
悟が手を振って部屋を出て行くのを確認した私は部屋の電気を消して横になる。段々と緊張がとけてきたのか少しづつ意識が無くなっていった
ガツンと凄い音がして衝撃が走り目を開けた、びっくりして体を起こそうとすると凄くキツく抱き締められた感覚に一瞬ビクリとしたが匂いで分かった
シャルの匂いだ。目を開けると茶金の髪が鼻をかすめて、シャルが休みの日に着ている黒のカットソーが目に入ってホッとした
下からレイ、頼むからどいてくれと聞こえて下に目線を向ければクロロの背中に乗っかっていた
「ご、ごめんクロロ」
うちのソファにうつ伏せになったクロロの上からどくとシャルは溜息まじりに息を吐きながら私の体をそっと離す
「はぁ、本当に心配した。どこ行ってたの?」
「うーん。違う世界??ジャポンみたいな所」
「レイ、言葉は通じたのか?」
「うん、文字は読めなかったけどね。心配かけといて何なんだけどちょっと疲れたから休憩させて」
そう言ってゴロリとソファに横になった。
横目で、クロロが珈琲に口を付けシャルがあのネックレスを持ちながら椅子に腰掛けるのを見ていて帰って来れたんだなぁと何だか気が抜けた
珍しく、私の前髪をサラサラと撫でたクロロは意地悪い笑みでシャルの慌てっぷりを見せてやりたかったと私に小声で耳打ちしてくる
「聞こえてるんだけど」
「二回くらい家の中でこけてるシャルを初めて見たな」
「それは本気で見たかった」
「レイ、落ち着いた?何があったのか俺に説明してくんない?ちなみにその短いスカートの服は何?変な奴に着せられたとか?殺そうか?」
「シャル、話がズレてる。落ち着け」
「何か保護された所の制服みたいな感じかな。…そんな怒んないでよ」
私は、風呂場でシャルの服の中からネックレスを見つけた事から始まりクロロに電話をした事やネックレスの文字が光った事。
気付いたら山の中に裸でいて、悟に会い保護してもらい来賓用の部屋で眠った事を細かく話した
「…言語が通じるが文字が読めない。悟はジャポン人の様だったがジャポンでは無かった。おにぎりを見た事が無い人間はこの国にはいないか…。」
「おにぎりって美味しかったけど、食べたの初めてだったわ。」
「レイ、悟って奴はどんな奴だったの?」
「念が使えないのに壁走れるし、目隠ししてるのに見えてるし、体術もスピードも力も多分私より上だと思う。」
「化け物じゃん」
「化け物だな」
「ふふ、でも良識がある人間だったから良かったよ。帰り方探してあげるって言ってくれてたし」
私がそう言うとシャルが、異世界に飛ばされてフェイタンみたいな奴に1番に会ったら嫌だなぁとしみじみ言ったので3人でうんうんと深く頷いた
それから、珈琲を飲み終わったクロロはあのネックレスを持って帰って行った。心配かけたから仕事で返すと言うとシャルにもう頼んであると小さく笑った
昼に入り損ねたので、湯船を溜めてゆっくり風呂に浸かっていると脱衣所からシャルの声がして耳をすませた
「いるよねー?」
「あはは、いるよー」
私が返事をすると、満足したのかリビングに戻っていくシャルに相当心配したんだなと申し訳無くなったが何だか嬉しくなってしまった
風呂からあがると、シャルはビールを飲みながらソファに座りテレビを見ている
一緒に住んで1年。この風景にも慣れて来ていた
後ろから彼を抱き締めて温かな首に唇を付けた
何も言わずにシャルは私の手を引くと自分の上に座らせて唇に口付けをしてくる。背中にまわされた手がいつもより力が強く感じ、激しくなっていく口付けに幸せを感じながら今一緒に居れる事を嬉しく思った
そのまま2人でベッドに入りいつの間にか寝てしまった私は夜中にふと目が覚めてしまう。横で寝ている裸のシャルに抱き付きながら携帯をいじっていると何故か昼に感じた違和感を再度感じた
この感じは、あのネックレスを持った時の感覚…
何だか嫌な予感がしてシャルを起こそうと思い、ねぇと口に出すがその声は出なくて。瞬きをした瞬間にカキンと何かが弾ける様な音がして頭が痛くなる
「大丈夫??聞こえる?ちょっとー」
目を開けると目の前に居たのは悟。パチクリと瞬きをしてビックリしている私にバサリと着ていたシャツを脱ぎ私に被せるとニヤリと笑う
「また裸だけど、何でいつも脱ぐの?やっぱり性癖でしょ」
「…あれ?悟…?また戻って来ちゃった?」
「しかも…このネックレスさっきしてなかったよね?凄い力を感じる…。こんな呪物どこにあったの?」
悟が手を伸ばし私の首から何かを引き千切る、カシャンと音と共に彼の手からぶら下がったそれはクロロが持って帰ったネックレスだった
「これ…さっき一度自分の世界に帰れたんだけど…仲間が持って帰ったのに…。今私の首にかかってたよね?」
「帰ってた?今?」
「うん。家に帰れてお風呂入ってからベッド入ったから裸だったんだよね。あの制服は洗濯機に入れた。」
「俺が今さっき来たら君は裸で此処で寝てたけど」
分からなくて手に力が入ると、ふと左手に握られているのは私の携帯だった。すぐに中を確認すればやはり電波は無い、ため息を吐いてから悟の手に渡した
「私の携帯」
「こんな携帯初めてみた、中見るよー。…わぁ。なんか凄い変な文字」
「私の世界では全世界共通文字。これが分からないならやっぱり世界は違うね」
「へぇ、初めての異世界人、何かワクワクするね」
「はぁ、悟と居ると気が抜けるわー。てゆうか絶対このネックレスが絡んでると思う」
「十中八九その通りだろうね」
禍々しい気配の真っ黒のネックレスは、悟の手にあると何だか力が押さえ込まれている様な気がした
「これ、さっき私の家で仲間が手に持っていた時よりも禍々しさが無い。悟が持ってるから?」
「多分そうだろうね。俺が抑え込んでるから」
「呪物って言ってたけど、詳しいの?」
「そりゃー勿論。一応先生やってるからね」
「…全然分からないや、もう嫌になってきたわ」
外に朝日が見えて、その太陽まで少し違って見えたら何だか全部嫌になってきて私はその場に横になり丸まって目を閉じた
何も言わない悟が私の髪を撫でてくれていて、私はその柔らかな手の優しさに今だけ甘える事にした