飛行機の中はとても静かだけど機体が小さい為か、少し風が強いのでけっこう揺れる
墜落したらどうしようとシャルナークに少し涙目で訴えると
そこは怖いんだと大笑いされた
変わった子だねぇとまだ微笑むシャルナークの顔の美しさに私は少しだけときめいてしまう

「シャルナークさ、甘い顔と背丈があるのにどうして盗賊なの？モデルとか興味無かったの？」
「興味は無いかな、とゆうか。旅団でいた事しか無いから他の一般職業とかよく分からないかも。1番好きなのお金だし」
「女とか権力は？」
「うーん、権力はいらないかなー。女性は好きだよ」
「女嫌い、クロロが好き。とか言うと思った」
と私が冗談を言って笑うと
「ある意味半分正解かなー団員はみんな団長好きだよ。」とニヤリと私を見てから耳元までわざわざ顔を近づけて、ただし性的な意味じゃなくと言った。

「性的な意味ならちょっと面白かったかも」
「マジで気色悪いからやめて」

後長いからシャルでいいよ、それからもう到着するからシートベルトしてと言ってまた目の前の機械を操作をし始める

運転どこで覚えたの？と聞けば独学だよ。と軽い口調で返ってきて身体が一瞬強張ったけれど、運転何回もしてるはず、大丈夫大丈夫。と自分に言い聞かせて深呼吸をした

キーリー街の空港の近くに着陸した私達はお腹が空いたと言うシャルの為にまずは夜中までやっている古い酒場に入った。
扉を入ると少ないけどお客が何人か食事をしている。私の顔を知っている人何ていないし、ここは別に故郷でも無いけれど凄く懐かしい匂いがした気がした。

「…いらっしゃい」適当に座ってと言ってカウンターからメニューを渡してくる
角のカウンターに腰掛けた私達はビールと軽食を頼んだ。
ヒソヒソと私達を見て他の客が何やら話をしている

女性2人だったので、シャルにあの2人シャルの事素敵な人！とか言ってるんじゃない？とニヤニヤしながら脇を小突くと
こんな時期に見慣れない顔ね、まさか事件と関わりがある奴じゃないわよね。みたいな話をしてたよ、と出て来たビールを飲みながら笑う。
「はっ？あの距離から聞こえたの？」
「聞こえたのと唇を読んでる」
「レイ、まさか読唇術出来ないの？」
「何で出来るのが当たり前なのよ」
「えっ？？皆できるよね？」
「あんたの皆って旅団でしょ」
ため息をついて呆れ顔をしている私にシャルは気にせずに出てきたおつまみを食べ出した
何処の環境で育つと唇を読めるようになれるのか謎だが、やはり街のみんな事件に対して警戒はしてるのだろう。新参者の私達にちくちくと刺さる視線。シャルは全く気にしない様なので私も気にせず食事を進める事にした

時計を見ると時刻は2時4分。
仮眠して来たから眠くは無いが、外が少し騒がしい

その騒がしさにカウンターから出てきたマスターは外を確認してから小走りに店に戻ってくると急いで鍵を掛けた
「お客さん、全員動かないで静かに」
声が震えて、青い顔をして棒立ちしているマスターに、店の中は静寂につつまれる
そんな中シャルが、行こうかと椅子から降りて私の手を引く。カウンターには既に食事の分の金がいつの間にか置いてあった

マスターは立ち上がった私達にお客さん、切羽詰まった声をかけてくるが横をすり抜ける
本当に化け物がいるんだよ。と後ろで叫びに変わった声を出したマスターにシャルが、そうゆう事件の専門なんで任せて下さい。と胡散臭い顔でニッコリ笑ったので隣で小さく吹き出してしまった

シャルのデカイ図体で前が見えないが手を引かれたまま外に出ると、後ろでまた施術される音がして私だけ手を離して振り返る
ドアの横の窓からは店の中にいたお客達とマスターが私達を見ていたがその瞬間に全員が一斉に視線を反らし目を見開いた
自然とそちらの方を向くと、ガツンと大きな音が聞こえて人間が宙を舞う
ドサリとした音と共に十中八九シャルが蹴飛ばしたんだろう男がゴロンと仰向けになった
血だらけの身体にひん曲がっている手足、顔と足の肉は削ぎ落ちていて内臓が飛び出ている

衝撃を受けて、思わず口から言葉が出ていた
「…顔の肉が無い…」
「うん、あんまり無いね。左足も骨折してるし内臓の一部も無い」
「あんたはどーしてそんなに平然としてんのよ」
「いや、死体なら見慣れてるけど実はびっくりしてるよ。あの姿で襲い掛かってきたから思わずビックリして蹴っ飛ばしちゃったし」

笑うシャルをすり抜けてその男に近づく

腐ったような匂いに、歯が剥き出しでカチカチと音を鳴らしながら私を見ている
目があった時にヒイと思わず悲鳴が出てしまって、ブルリと背筋が寒くなる
鳥肌がたってしまって、右足を振りかぶりつい頭を蹴り飛ばてしまっていた。胴と離された頭は回転しながら凄い速さで近くにあった電柱にぶつかって頭は粉々になり電柱はへこんでいた

サッカー上手いねと大笑いするシャルに、非常事態だから帰ろうと懇願すると
一回団長に報告するから少しの間口を開かないでねと言って横抱きに持ち上げられた




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