House of the Dead
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ピーピーチーチーとうるさい様な可愛い様な声が響いて目を開けた
目を開けて思わず口を開けてポカンとしてしまった。見た事も無い部屋で目が覚めて目の前には鳥籠が30以上は有るだろうか
カーテンレールに吊るされている物、普通に棚に置いてある物。全ての鳥籠には1匹づつ鳥が入っており、種類は分からないが全て違う種類に見えた
鳥の種類が全く分からない私にはあまり詳しい事は分からないが、とりあえず自分が何故ここにいてこの部屋は何なんだろう
そんな疑問を持ちながらポケットから携帯を取り出して時刻を確認する
時刻は午後12時と表示されていた
昨日久しぶりに仕事をして、少し酒を飲み帰ってきてそのまま自宅で着替えもせず寝てしまった気がする
そこでふと、自分の服に目がいった。何故か靴を履いているしスカートが焦げている
慌ててガラスを覗き込めば髪の毛も一部焦げている事に気付いて私は首を傾げた
何故、自宅で寝ていたのに靴を履いているのか。それから何処焦げているのか
自宅でガス爆発でもあったのなら病院にいるはずだ
そんな事を考えていると廊下から足音がして即座にベッドの下に隠れると息を殺した
カツンカツンと歩く音は確実にこちらに向かってきている
周辺を確認しても武器になる様な物は何も無く、自分の懐にもいつも装備しているナイフも無かった
携帯をもう一度確認してメールを見てもシャルからの連絡も無く、誰からの着信も無い。そもそも圏外だと今気付いた
カツンカツンと近づく足音は扉を通り過ぎ、私はふーと息を吐き出してからゆっくりとベッドの下から這って出た
内心ここは何処なんだろうと思ったがもう1つ違和感があった
午後12時と表示されているが、窓ガラスの外は暗く森の様に見える。ザーザーと降り注ぐ雨の音が聞こえる以外に音もない。どこにも電気や街灯も付いていないし人の気配も全く無かった
つい1ヶ月前の自分の村の出来事を思い出してゾッとした。外に見える森があの森に似ていたからだ
窓を開けようとしても何故か窓は開かず、壊してしまおうかと拳を振り上げてから手を止めた
先程の足音の主が分からないし、もしかしたら敵かもしれない。武器を持つまでは慎重にいかなくてはと考えてから暗闇に慣れて来た目で扉の方に耳を付けて音を探る
何も音はしない
ゆっくりとノブを回して20センチ程空いた空間を見つめる。外の雨の音以外は聞こえないし真っ暗で何も見えないが普通の広い廊下の様だった
ゆっくりと慎重に廊下に出ると、その光景は異様だった。
右にも左にも正面にも廊下はあった。その広さは広過ぎて異様に感じる。暗闇しか無く10メートル先はあまり見えない。月明かりに照らされているくらいの明るさにこれは先に進んでも大丈夫だろうかと戸惑いながらまずは正面に向かって歩き出した
何の建物なのだろう。病院や施設の様な建物の作りでは無い
金持ちの屋敷。それも只の金持ちでは無く富豪の屋敷の様に感じた
ふと、廊下の先に扉がありドアノブを見ると何か他のドアと違う気がした。注意して見てみると黒い何かが付着している
指でなぞる様にドアノブを触ると、それは液体だと分かる。匂いを嗅げば独特の鉄の匂いがして、思わずウェッとなって横の壁に指をなすりつけた
「…血だ…」
嫌な予感がして下を見てみたけれど、床に血は付いておらず付近を探ったがこのドアノブだけだ
何だか嫌だったが仕方ない。人の気配は無いがゆっくりとドアを開けて蹴りを入れれる様にかまえをとったがやはり中には誰もいない
部屋には簡素なベッドとクローゼットしかなく、何冊か本があるくらいだった。本を手に取ってみたが良く分からない内容だったのでその場に投げこれからどうしようかとボンヤリしていると少し遠くからカツンと先程と同じ様な足音が聞こえる
仕方ないからコイツを捕まえるしか無いか
窓から飛び降りる事も考えたのだが、自分が何故ここにいるのか歩いている奴の正体も知りたい
少し考えてから、私はクローゼットを漁り武器になるものを探したが何もなかったのでそのまま素手でやり合う覚悟をしてから足音の主が近付くのを待った
ゆっくりゆっくり近づいてくる足音に気配を消しながら息を殺す
わざと開けておいたドアの影に隠れていると足音と共に息を吐く様な唸り声も聞こえてきて私の背筋は凍りついた
瞬間にあいつらだと脳が確定して、拳に力を込めるとドアの影から移動し人型をした徘徊者にそのまま正拳突きを喰らわせる
その瞬間に腹が破れ内臓が飛び散るのを避けて後ろに回避する。壁にめり込んだ徘徊者は振動と共にピクリとも動かなくなった
少しビクビクしながらゆっくり近づき目をこらす
目玉が片方無く、手は腐っていた。その男は髪も一本も無く壁にめりこみ唸り声もあげない。やはりアイツらだった
嫌な顔でそいつを見つめていると、凄いスピードで近づいてくる人間の気配を感じて隠れようと思ったがこの状況
人間の気配なので少し警戒をしつつ来る方向を見つめていたが、段々と近付いてくると人間であるが異様な雰囲気を感じて冷や汗をかきながら息を殺してその場に立つ尽くした
「てかお前かよっクロロ!ふざけんなよっ」
「久しぶりだな。元気そうで何よりだ。とゆうか俺がお前を連れて来たんだ」
「それもお前かよっ!」
「あまりにも起きないからな、お前の同胞の様な奴等が沢山いる部屋に寝かせておいたんだ」
「はっ?鳥?何で同胞?」
「脳が小さいだろう。しかも煩い」
「キェェェ」
振りかぶった拳はひょいと簡単に避けたクロロの横を盛大に空振りした、私はそれにも腹が立って壁にめり込んだ徘徊者を剥がすと思い切りクロロに投げつける
ニヤっとしながらそれも避けたクロロは、うるさくするなと一言言うと私の首を一瞬で掴み歩き出した
殺意が湧き出てくるのと、ちょっと知ってる人に会えて良かったとゆう気持ちが入り混じりすぐに静かになった私にクロロはフッっと笑った
「静かになったな。シャルも来てる、今は静かにしていろ。お前が建物を揺らしたから感染者が騒ぎだしている」
「えっ?シャルもいるの?」
「ああ。凄い化け物がいてな。仲間の1人がそいつの毒にやられていて全員で血清を探している。ちなみにシャルは無事だ」
「毒?何の?」
「ここには徘徊者以外の変わった化け物がいる。毒を持っていたのは植物の様な化け物だ」
「何それ、そんなのいるの?その化け物どしたの?」
「仲間が焼いた」
「シャルは何処にいるの?」
「うるさい奴だな、その内会えるだろ。今は血清が先だ。探すのを手伝え」
「…へいへい。それで何処にあんの?」
「分からないから探してるんだろう」
「植物か…そういえば…。さっきの部屋の本、手書きだったけどプラントうんたらって書いてあった。絵もついてたな」
そう、私が呟いた途端にクロロは走り出した。一度瞬きをするとさっきの部屋の簡素なベッドに放り出されており、クロロは私が投げ捨てた本を真剣な眼差しで読んでいた
意外に仲間は大事なんだな、何て考えているとパタンと本を閉じて懐にしまったクロロは一言付いてこいとだけ言って私を一度見てから走り出した
私も走り出したクロロの後を追う。途中、何回か少し遠くに人間の気配を感じたがクロロの背中をひたすら追って走った
クロロは階段を降りて大きめな扉の前で止まった。距離にしてはそんなに走ってはいないが、何回か徘徊者に見つかり倒しながらなので随分と疲れた気がした
息もきれていないクロロは躊躇無くドアを開けて中にいた徘徊者がこちらに振り向く前にナイフで首を飛ばした
棚が何個も置かれた少し広めの部屋は何故か他と少しだけ空気が違う気がした
首を飛ばされた徘徊者は白い白衣の様な物を着ていて名前のプレートが胸に挟んであった。元はこんな顔なのかとその写真入りのプレートを見ながら今はどんな感じになっているんだ?と飛ばされた首を探したが、馬鹿馬鹿しくなって探すのを途中で辞めた
棚を漁るクロロが何やら見つけた様で1つの瓶の様な物を手に取りポケットに入れた
「あったの?」
「ああ。これで助かるな…急ぐぞ」
そう言って床を蹴り高速で走り出したクロロの後ろをまた走る。階段を登らずに一度中庭の様な所を通りぐちゃぐちゃになった肉塊が散乱している場所を走り抜けるとまた建物に入った
そこに入るとオールバックの大きな男性の横で金色の髪の女性が苦しそうに汗をかきながらうなされていた
「団長」
「ああ、見つけた」
「早くしてくれ。そろそろもたねぇ」
クロロは寝ている女性を横抱きにすると、瓶の中の液体を彼女の口にゆっくり含ませる。飲み切るのを見たクロロは彼女を優しく寝かせ真顔で見つめていた
私も彼女に近づいて腰を下ろし、持っていたハンカチで彼女の汗を拭う
少しづつだが顔色が良くなって来た女性を見てホッとしていると、2人も安心したのか息を吐く音が聞こえて肩の力が抜けた
「よぉ、レイだろ?」
「ああ。うん」
「俺はフィンクスだ。寝てるのはパクノダ、シャルは今隣の別館の調査に行ってる。もうすぐ帰ってくるから心配すんなよ」
「あ、ああ。ありがとう」
「フィンクス、随分レイに親切だな」
「シャルに怖がらせるなって言われたからな」
「アイツは過保護だからな」
「クロロが優しく無いだけだって」
そう言ってふふんとドヤ顔で見つめると、頬をつねられて地味に痛くて涙が出た。意外に怖い顔をしているフィンクスはそれを見て少しだけ哀れみの目を私に向けながらペットボトルの水や食料を分けてくれた
ほんのりとオレンジ色で周辺を照らしている小さなランプ以外に照明は無く、この納屋の様な小屋も良く見れば高い天井には何故か鎖が何個も吊るされているし
異様な雰囲気には変わりない
「ね、フィンクス。外にぐちゃぐちゃの肉塊があったけどあれ何?」
「あー、あれは犬と感染者と何かわかんねー爪が長いやつが沢山だ。」
「うげぇ。何その爪が長いやつって」
「詳しくはわからねぇが、足の力が半端じゃねぇ。飛びかかって来て爪で攻撃してくる」
そんな私達のやりとりを聞いていたのか、パクノダの横に座り本を読んでいたクロロは顔を上げた
「ここに書いてある。名はハンターだな。犬も感染させて飼育していたらしい。ケルベロスか…大そうな名前を付けたもんだ」
「他にもいるの?」
「サメやワニ、色々感染させて実験しているようだな…。シャルのアンテナが効かなかった奴はタイラントとゆう名前か…」
「シャルは怪我しなかったの?」
「ぷっ、左頬に思いっきりパンチ喰らってぜ」
「フィンクス、言ってやるな」
ケラケラと笑うフィンクスにクロロが少し笑いながらそれを制すると、後ろの扉が開いて不機嫌なシャルがズカズカと納屋に入ってきた
「何か面白い話してんの?」
「シャル!」
頬が少し赤くなっているシャルナークに抱きつけば、片手でよしよしと背を抱かれ、少し嬉しい気持ちになった
「良かったなぁ、お姫様」
「お姫様?じゃじゃ馬姫の間違いじゃないか?」
フィンクスとクロロの会話にイラッとしたが、シャルが手に持っていた紙をクロロに渡して嫌な顔で話し始める
「シズクは居なかった、血痕はあったけど途中で途切れてて分からなくなった。最後に血痕があったのはマンホールの近くだったんだよね、下水の匂いで血の匂いも消えた」
「下水か…」
「シズクちゃん怪我してんの?」
「けっこう最初油断してたからね、それが仇になったよ。俺もやられたし」
シャルの頬を優しく撫でると、困った様に笑う
ヨタヨタ歩いているだけの奴らの集まりだから油断してたんだよねー。あんなのがいると思わなかった
そう言ったシャルはパクノダの状態をフィンクスに確認すると、そうとだけ言って安心した様に座り込む
何やらクロロが黙り込んで何か考え出したので、私は今のうちに聞きたい事をシャルに聞いておこうと思い隣に座った
「シャル、私は何故ここにいるのか聞いても?」
「団長があの日の帰りにシズクとコルトピと此処をみつけたんだ。その時は中には入らずにその後俺に調べる様に言ってきたけど…全く資料が無いし、この建物の事すら載ってない」
「そんな事あるんだねぇ…」
「まぁ、それで宝探しに来たらこのザマさ。全部の獣や人間は感染してるし毒持ちやデカいのもいて電波も無い、さっさと撤収するべきなんだけどシズクがいなくなるわパクが毒にやられるわでさ」
「てか…旅団の宝探しだよね?何で私がここに?」
「団長が来る時にレイの血がまた必要になるかもしれないから連れてくって聞かなくてさ。危ないから駄目って言ったんだけど、寝てるレイの部屋に俺が持ってる合鍵使って入って抱き起こして爆発した」
「はぁ?家は?」
「寝室は全焼だね。後で弁償させな、団長も服が焦げて着替えてから来たんだよ。レイをおぶりながら…プッ」
シャルが笑うと、フィンクスも思い出した様に続けて笑う
そんな事より私の寝室の心配は誰もしてくれないのかとゆう考えで頭がいっぱいになった私は空になったペットボトルを力いっぱいクロロに投げつけた
目を開けて思わず口を開けてポカンとしてしまった。見た事も無い部屋で目が覚めて目の前には鳥籠が30以上は有るだろうか
カーテンレールに吊るされている物、普通に棚に置いてある物。全ての鳥籠には1匹づつ鳥が入っており、種類は分からないが全て違う種類に見えた
鳥の種類が全く分からない私にはあまり詳しい事は分からないが、とりあえず自分が何故ここにいてこの部屋は何なんだろう
そんな疑問を持ちながらポケットから携帯を取り出して時刻を確認する
時刻は午後12時と表示されていた
昨日久しぶりに仕事をして、少し酒を飲み帰ってきてそのまま自宅で着替えもせず寝てしまった気がする
そこでふと、自分の服に目がいった。何故か靴を履いているしスカートが焦げている
慌ててガラスを覗き込めば髪の毛も一部焦げている事に気付いて私は首を傾げた
何故、自宅で寝ていたのに靴を履いているのか。それから何処焦げているのか
自宅でガス爆発でもあったのなら病院にいるはずだ
そんな事を考えていると廊下から足音がして即座にベッドの下に隠れると息を殺した
カツンカツンと歩く音は確実にこちらに向かってきている
周辺を確認しても武器になる様な物は何も無く、自分の懐にもいつも装備しているナイフも無かった
携帯をもう一度確認してメールを見てもシャルからの連絡も無く、誰からの着信も無い。そもそも圏外だと今気付いた
カツンカツンと近づく足音は扉を通り過ぎ、私はふーと息を吐き出してからゆっくりとベッドの下から這って出た
内心ここは何処なんだろうと思ったがもう1つ違和感があった
午後12時と表示されているが、窓ガラスの外は暗く森の様に見える。ザーザーと降り注ぐ雨の音が聞こえる以外に音もない。どこにも電気や街灯も付いていないし人の気配も全く無かった
つい1ヶ月前の自分の村の出来事を思い出してゾッとした。外に見える森があの森に似ていたからだ
窓を開けようとしても何故か窓は開かず、壊してしまおうかと拳を振り上げてから手を止めた
先程の足音の主が分からないし、もしかしたら敵かもしれない。武器を持つまでは慎重にいかなくてはと考えてから暗闇に慣れて来た目で扉の方に耳を付けて音を探る
何も音はしない
ゆっくりとノブを回して20センチ程空いた空間を見つめる。外の雨の音以外は聞こえないし真っ暗で何も見えないが普通の広い廊下の様だった
ゆっくりと慎重に廊下に出ると、その光景は異様だった。
右にも左にも正面にも廊下はあった。その広さは広過ぎて異様に感じる。暗闇しか無く10メートル先はあまり見えない。月明かりに照らされているくらいの明るさにこれは先に進んでも大丈夫だろうかと戸惑いながらまずは正面に向かって歩き出した
何の建物なのだろう。病院や施設の様な建物の作りでは無い
金持ちの屋敷。それも只の金持ちでは無く富豪の屋敷の様に感じた
ふと、廊下の先に扉がありドアノブを見ると何か他のドアと違う気がした。注意して見てみると黒い何かが付着している
指でなぞる様にドアノブを触ると、それは液体だと分かる。匂いを嗅げば独特の鉄の匂いがして、思わずウェッとなって横の壁に指をなすりつけた
「…血だ…」
嫌な予感がして下を見てみたけれど、床に血は付いておらず付近を探ったがこのドアノブだけだ
何だか嫌だったが仕方ない。人の気配は無いがゆっくりとドアを開けて蹴りを入れれる様にかまえをとったがやはり中には誰もいない
部屋には簡素なベッドとクローゼットしかなく、何冊か本があるくらいだった。本を手に取ってみたが良く分からない内容だったのでその場に投げこれからどうしようかとボンヤリしていると少し遠くからカツンと先程と同じ様な足音が聞こえる
仕方ないからコイツを捕まえるしか無いか
窓から飛び降りる事も考えたのだが、自分が何故ここにいるのか歩いている奴の正体も知りたい
少し考えてから、私はクローゼットを漁り武器になるものを探したが何もなかったのでそのまま素手でやり合う覚悟をしてから足音の主が近付くのを待った
ゆっくりゆっくり近づいてくる足音に気配を消しながら息を殺す
わざと開けておいたドアの影に隠れていると足音と共に息を吐く様な唸り声も聞こえてきて私の背筋は凍りついた
瞬間にあいつらだと脳が確定して、拳に力を込めるとドアの影から移動し人型をした徘徊者にそのまま正拳突きを喰らわせる
その瞬間に腹が破れ内臓が飛び散るのを避けて後ろに回避する。壁にめり込んだ徘徊者は振動と共にピクリとも動かなくなった
少しビクビクしながらゆっくり近づき目をこらす
目玉が片方無く、手は腐っていた。その男は髪も一本も無く壁にめりこみ唸り声もあげない。やはりアイツらだった
嫌な顔でそいつを見つめていると、凄いスピードで近づいてくる人間の気配を感じて隠れようと思ったがこの状況
人間の気配なので少し警戒をしつつ来る方向を見つめていたが、段々と近付いてくると人間であるが異様な雰囲気を感じて冷や汗をかきながら息を殺してその場に立つ尽くした
「てかお前かよっクロロ!ふざけんなよっ」
「久しぶりだな。元気そうで何よりだ。とゆうか俺がお前を連れて来たんだ」
「それもお前かよっ!」
「あまりにも起きないからな、お前の同胞の様な奴等が沢山いる部屋に寝かせておいたんだ」
「はっ?鳥?何で同胞?」
「脳が小さいだろう。しかも煩い」
「キェェェ」
振りかぶった拳はひょいと簡単に避けたクロロの横を盛大に空振りした、私はそれにも腹が立って壁にめり込んだ徘徊者を剥がすと思い切りクロロに投げつける
ニヤっとしながらそれも避けたクロロは、うるさくするなと一言言うと私の首を一瞬で掴み歩き出した
殺意が湧き出てくるのと、ちょっと知ってる人に会えて良かったとゆう気持ちが入り混じりすぐに静かになった私にクロロはフッっと笑った
「静かになったな。シャルも来てる、今は静かにしていろ。お前が建物を揺らしたから感染者が騒ぎだしている」
「えっ?シャルもいるの?」
「ああ。凄い化け物がいてな。仲間の1人がそいつの毒にやられていて全員で血清を探している。ちなみにシャルは無事だ」
「毒?何の?」
「ここには徘徊者以外の変わった化け物がいる。毒を持っていたのは植物の様な化け物だ」
「何それ、そんなのいるの?その化け物どしたの?」
「仲間が焼いた」
「シャルは何処にいるの?」
「うるさい奴だな、その内会えるだろ。今は血清が先だ。探すのを手伝え」
「…へいへい。それで何処にあんの?」
「分からないから探してるんだろう」
「植物か…そういえば…。さっきの部屋の本、手書きだったけどプラントうんたらって書いてあった。絵もついてたな」
そう、私が呟いた途端にクロロは走り出した。一度瞬きをするとさっきの部屋の簡素なベッドに放り出されており、クロロは私が投げ捨てた本を真剣な眼差しで読んでいた
意外に仲間は大事なんだな、何て考えているとパタンと本を閉じて懐にしまったクロロは一言付いてこいとだけ言って私を一度見てから走り出した
私も走り出したクロロの後を追う。途中、何回か少し遠くに人間の気配を感じたがクロロの背中をひたすら追って走った
クロロは階段を降りて大きめな扉の前で止まった。距離にしてはそんなに走ってはいないが、何回か徘徊者に見つかり倒しながらなので随分と疲れた気がした
息もきれていないクロロは躊躇無くドアを開けて中にいた徘徊者がこちらに振り向く前にナイフで首を飛ばした
棚が何個も置かれた少し広めの部屋は何故か他と少しだけ空気が違う気がした
首を飛ばされた徘徊者は白い白衣の様な物を着ていて名前のプレートが胸に挟んであった。元はこんな顔なのかとその写真入りのプレートを見ながら今はどんな感じになっているんだ?と飛ばされた首を探したが、馬鹿馬鹿しくなって探すのを途中で辞めた
棚を漁るクロロが何やら見つけた様で1つの瓶の様な物を手に取りポケットに入れた
「あったの?」
「ああ。これで助かるな…急ぐぞ」
そう言って床を蹴り高速で走り出したクロロの後ろをまた走る。階段を登らずに一度中庭の様な所を通りぐちゃぐちゃになった肉塊が散乱している場所を走り抜けるとまた建物に入った
そこに入るとオールバックの大きな男性の横で金色の髪の女性が苦しそうに汗をかきながらうなされていた
「団長」
「ああ、見つけた」
「早くしてくれ。そろそろもたねぇ」
クロロは寝ている女性を横抱きにすると、瓶の中の液体を彼女の口にゆっくり含ませる。飲み切るのを見たクロロは彼女を優しく寝かせ真顔で見つめていた
私も彼女に近づいて腰を下ろし、持っていたハンカチで彼女の汗を拭う
少しづつだが顔色が良くなって来た女性を見てホッとしていると、2人も安心したのか息を吐く音が聞こえて肩の力が抜けた
「よぉ、レイだろ?」
「ああ。うん」
「俺はフィンクスだ。寝てるのはパクノダ、シャルは今隣の別館の調査に行ってる。もうすぐ帰ってくるから心配すんなよ」
「あ、ああ。ありがとう」
「フィンクス、随分レイに親切だな」
「シャルに怖がらせるなって言われたからな」
「アイツは過保護だからな」
「クロロが優しく無いだけだって」
そう言ってふふんとドヤ顔で見つめると、頬をつねられて地味に痛くて涙が出た。意外に怖い顔をしているフィンクスはそれを見て少しだけ哀れみの目を私に向けながらペットボトルの水や食料を分けてくれた
ほんのりとオレンジ色で周辺を照らしている小さなランプ以外に照明は無く、この納屋の様な小屋も良く見れば高い天井には何故か鎖が何個も吊るされているし
異様な雰囲気には変わりない
「ね、フィンクス。外にぐちゃぐちゃの肉塊があったけどあれ何?」
「あー、あれは犬と感染者と何かわかんねー爪が長いやつが沢山だ。」
「うげぇ。何その爪が長いやつって」
「詳しくはわからねぇが、足の力が半端じゃねぇ。飛びかかって来て爪で攻撃してくる」
そんな私達のやりとりを聞いていたのか、パクノダの横に座り本を読んでいたクロロは顔を上げた
「ここに書いてある。名はハンターだな。犬も感染させて飼育していたらしい。ケルベロスか…大そうな名前を付けたもんだ」
「他にもいるの?」
「サメやワニ、色々感染させて実験しているようだな…。シャルのアンテナが効かなかった奴はタイラントとゆう名前か…」
「シャルは怪我しなかったの?」
「ぷっ、左頬に思いっきりパンチ喰らってぜ」
「フィンクス、言ってやるな」
ケラケラと笑うフィンクスにクロロが少し笑いながらそれを制すると、後ろの扉が開いて不機嫌なシャルがズカズカと納屋に入ってきた
「何か面白い話してんの?」
「シャル!」
頬が少し赤くなっているシャルナークに抱きつけば、片手でよしよしと背を抱かれ、少し嬉しい気持ちになった
「良かったなぁ、お姫様」
「お姫様?じゃじゃ馬姫の間違いじゃないか?」
フィンクスとクロロの会話にイラッとしたが、シャルが手に持っていた紙をクロロに渡して嫌な顔で話し始める
「シズクは居なかった、血痕はあったけど途中で途切れてて分からなくなった。最後に血痕があったのはマンホールの近くだったんだよね、下水の匂いで血の匂いも消えた」
「下水か…」
「シズクちゃん怪我してんの?」
「けっこう最初油断してたからね、それが仇になったよ。俺もやられたし」
シャルの頬を優しく撫でると、困った様に笑う
ヨタヨタ歩いているだけの奴らの集まりだから油断してたんだよねー。あんなのがいると思わなかった
そう言ったシャルはパクノダの状態をフィンクスに確認すると、そうとだけ言って安心した様に座り込む
何やらクロロが黙り込んで何か考え出したので、私は今のうちに聞きたい事をシャルに聞いておこうと思い隣に座った
「シャル、私は何故ここにいるのか聞いても?」
「団長があの日の帰りにシズクとコルトピと此処をみつけたんだ。その時は中には入らずにその後俺に調べる様に言ってきたけど…全く資料が無いし、この建物の事すら載ってない」
「そんな事あるんだねぇ…」
「まぁ、それで宝探しに来たらこのザマさ。全部の獣や人間は感染してるし毒持ちやデカいのもいて電波も無い、さっさと撤収するべきなんだけどシズクがいなくなるわパクが毒にやられるわでさ」
「てか…旅団の宝探しだよね?何で私がここに?」
「団長が来る時にレイの血がまた必要になるかもしれないから連れてくって聞かなくてさ。危ないから駄目って言ったんだけど、寝てるレイの部屋に俺が持ってる合鍵使って入って抱き起こして爆発した」
「はぁ?家は?」
「寝室は全焼だね。後で弁償させな、団長も服が焦げて着替えてから来たんだよ。レイをおぶりながら…プッ」
シャルが笑うと、フィンクスも思い出した様に続けて笑う
そんな事より私の寝室の心配は誰もしてくれないのかとゆう考えで頭がいっぱいになった私は空になったペットボトルを力いっぱいクロロに投げつけた