真夏の恋の夢
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楽しかったなぁとつい先程の飲み会を思い出しながら持っているバッグを小さく振り回し、夜の住宅地を軽快に歩く
昼が暑かったせいか夜が快適に感じて、酒も入っているからか1人の夜道は怖く感じず何だかとても快適だ
小さな公園の横をご機嫌な足取りで通ると、ジリジリと蝉が鳴きながら自動販売機にぶつかってそのまま落下した
ジィーージィーと暴れる蝉の鳴き声を聞きながらふと自動販売機に目が釘付けになる。そういえば家に飲み物が無い事に気付いて自然に自動販売機に足を向けた
すると、丁度バスケットボールを持った背の高い男性が公園から歩いて来て自動販売機の前で立ち止まりお金をいれているのが分かって
私はその男性の後ろに立って彼がジュースを買い終わるのを待った
背が高いなぁ。190くらいあるか?何て思いながら自分の2倍はあるであろう筋肉が付いた腕を後ろからじっくりと見ていると、彼は私に気付いていたのか
待たせてすみません、と小さな声で言った
いえ、大丈夫です。と小さく自分も返事をして男性の横を通り過ぎようとすると
その男性は急に私に買ったばかりの缶を差し出してくる
「えっと、何ですか?」
「間違えちゃったから良かったらどうぞ。炭酸飲めますか?」
「飲めますけど。いいんですか?」
缶を受け取ってまじまじと彼の目を見る
素直に何てカッコいいんだろうと思った。優しい綺麗な瞳に整った顔のパーツ、すらっとしたスタイルに私は少しだけ緊張してしまい思わず緊張を隠す為に目を逸らしバッグから財布を取り出した
「ありがとうございます、お礼に間違いじゃないやつを奢りますよ」
「はは、それじゃあ珈琲でお願いします」
そう言って彼は人懐こく笑う。珈琲と水を買ってから珈琲を彼に渡して軽く頭を下げて公園を出ようとすると、後ろから近づいて来た足音に少しビックリして後ろを振り返った
「…何か?」
「もう暗いから送るよ、珈琲のお礼」
「ええ?知らない人に家知られたくないのでいいです、遠慮します」
「まあまあ、俺危なく無いから大丈夫」
「ちょっと」
掴まないでと言う前に手を優しく握られて、ふと不思議と嫌な感じがしなくて頭2個分あるだろう彼を見上げた
フッと笑った彼はそのまま手を握り歩き出す
そんな彼に私も何だか笑ってしまって歩き出した
「お兄さん、ナンパ?」
「そ、ナンパ。」
「いつもこんな事してんの?あ、そこ右です」
「いーや、今日は嫌な事があったから自暴自棄で生まれて初めてのナンパ。後君がタイプだったからかな」
言われてちょっとだけ嬉しかったけど、嬉しく無いふりをして、ふーん。と少しそっけなくすると
彼はクスリと小さく笑った
「この辺危ないからあんまり1人で歩いちゃダメだよ。今日会社帰り?」
「ううん、会社には勤めてない。今日は飲み会だったんだ」
「とゆうか、いくつ?」
「26歳」
「俺は27歳。名前は彰」
「私は雪那。」
「可愛い名前だね、ここは道どっち?」
「真っ直ぐ、もう着くからここでいいよ。ありがとう彰くん」
「お礼にご飯作ってくれたりしない?実はバスケしてて夕飯食べるの忘れててさ。お腹ペコペコ」
「…それが狙いか…仕方ないなぁ」
今からだとカレーくらいしか作れないよといえば、彰は嬉しそうに笑った
マンションの鍵を開けて玄関に入れば、急に後ろから腕を掴まれて壁に押さえ付けられる
何だか分からない様な顔をした私に彰は意地悪い笑みを浮かべて、不用心すぎる。と一言だけ言ってから激しく口付けて来た
唇が合わさる度に何故だかとても満たされていくような気持ちになって、戸惑いながら彰の背中に腕を回せば
彰はそれに応えるようにキスをしたまま髪を撫でてくれた
「…危ないじゃん。…彰くん」
「はは、雪那ちゃんこそ、ちょっとこうなるって分かってたでしょ?」
「ん…そう言われるとそうかも」
口付けはやまず、そのまま持ち上げられてリビングのソファに寝かされる。服を脱ぎ捨てて上に被さってきた彼の顔は月明かりに照らされていた
その顔はとても綺麗で、でも彰は何だか泣きそうな顔をしていた
身体中を愛撫されて声が枯れ果てるまで抱かれ、子宮が痺れる様な感覚を最後に私の意識は途切れていった
雀の声で目を覚まし、携帯を取ろうと手を動かすと堅い温かい物が手に当たり思わず目を開けた
目に入って来たのは裸の男で。ビックリして顔をマジマジと見て、ああそういえば昨日家に入れたんだったけと思い出して酔っ払っていた自分の軽率さに溜息をついた
下着も何も身に付けていないまま寝てしまったなと、自分の裸体を見てから風呂場に向かうと玄関に放り出してあるバッグから携帯を取り出した
メールのチェックをしつつ、歯磨きを軽くしてからシャワーを浴びて
バスローブのまま寝室を覗けば彰はまだ寝ていた
昨日の飲み会でもあまり食事らしい物を食べなかったから少し何か食べないとなと思い冷蔵庫から野菜を取り出す
お湯を沸かして珈琲を淹れてから、パンを焼いて野菜とハムと目玉焼きを入れた簡単なサンドイッチを2人分作り、テーブルにそれらを置いた足でそのまま寝室に向かう。彰が寝ている枕元に座って彼の頭を優しく撫でた
「おっはよー」
返事は無いので、耳の中に指を入れて軽くくすぐると、彼はふふっと小さく笑いながら私の太腿に抱きついて来た
「起きた?朝ご飯だよ。珈琲冷めるから起きて」
「…作ってくれたんだ。ありがとう」
鼻を擦り寄せて来た彰に自然と笑みが溢れて、優しく頭をなでなですれば
目を開いた彰は私を見て一度ギョッとした様な顔をした
「…彰?どしたの?」
「…いや、何でも無い。顔洗いたいから洗面所借りるね。あっ、やっぱシャワー借りていい?」
「うん。歯ブラシも新しいのあるから良かったら使ってね。先食べてるね」
「ああ」
洗面所に向かった彰の後ろ姿を見ながら先程のビックリしたような顔を思い出す
あの顔はあきらかに寝惚けて誰かと間違えていた様な感じだった。鼻を擦り寄せて甘える様な嬉しそうな彰の顔
昨日の月明かりに照らされた彼の悲しそうな顔
自暴自棄だと言って初めてのナンパだと笑った彼の顔を思い出して何故か胸が痛くなった
テーブルに座り、テレビを付けて食事をしていると食べ終わった頃にシャワーを浴びた彰がリビングに入ってきた
彼の分の珈琲が冷めてしまったから温め直していると、後ろから優しく抱き締められて耳元でありがとうと囁いてくる
チラリと彼の顔を見れば、ニッコリと笑った彰に色々思う所はあったけど。何も言わずに温め直した珈琲を渡した
「美味しい、久しぶりに美味い手料理食べたかも」
「只のサンドイッチだよ」
「ドトール並みに美味しいよ」
「ふふ、それは良かったね。」
子供の様に美味しそうにかぶりつく彼を見ていると、何だか先程の事がどうでも良くなって来た様に感じた
「雪那はさ、今日休みなの?」
「飲み会の次の日は大体休みかな。でも在宅ワークだから毎日休みみたいな感じだし。あっ、食器下げるから貸して。珈琲おかわりは?」
「いる。ありがとう。在宅ワークか…。羨ましいな」
「えー?そう?彰は何してるの?」
「俺はバスケットのコーチしてるよ。」
「えー?!バスケット本格的にやってるんだね。何かコーチとかだとおじさんのイメージ強いから新鮮」
「まあ、中学生からしたらおじさんだけどね」
まだ眠そうな話し方をする彰に珈琲のおかわりを渡してから食器をシンクに置いた
今日は久しぶりに録画してある映画でも見ようかな何て考えながらお皿を洗っていると、ふと視線を感じて何気無くそちらを見た
「どしたの?」
「いや、…お皿洗ってる姿が可愛いなぁと」
「………」
何も言えなくなってしまった私に彼は穏やかに笑ってからテレビに向き直る
ジャージャーと出る水の音で手が止まっていたのを思い出して、恥ずかしい台詞をサラリと言う男だなぁなんて考えながら洗い物を再開した
その後洗濯やら掃除やらをしている私を見て、彰は手伝うと言って掃除機をかけてくれたり、届かない場所を拭き掃除してくれたりと色々動いてくれた
あっとゆう間に昼時になり、お腹は空いてる?と尋ねればそろそろ行かないと。と言って私に軽いキスをすると笑顔で家を出て行った
簡単な昼食を作り、テーブルに座った所で昨日の事が一気に押し寄せて来た
彰の口付けや体温、抱き締められた時の鼓動にまたあの悲しそうな切ない顔を思い出して胸が締め付けられる
ワンナイトラブ何て何年振りだろう
尻軽女に見られたかもしれない
そう言えば連絡先知らない
色々な事が頭を駆け巡ってきて、何だか食欲が失せて来て作ったばかりの炒飯をラップして冷蔵庫に入れてからベッドにダイブした
人と寝たのが久しぶりだったからか余り熟睡出来ていなかったみたいで、すぐに眠気はやって来て気付けばぐっすりと眠っていた
それから1週間経っても何も無くて。日曜日の朝、仕事を今日はせずに1日のんびり過ごそうかな何て考えながら冷蔵庫を開けた
無い物をチェックして、冷凍庫を確認してから軽く支度をして10時に開店するスーパーにのんびりと散歩をしながら向かった
途中お腹が空いて来て少し腹ごしらえでもしようかと馴染みの喫茶店に向かうと遠目に背が高い男が目に入り私は自然に立ち止まってしまった
彰だった
横にいる可愛い女の子は彰に笑顔を向けていて、彰は沢山の荷物を持ちながら彼女に笑顔を向けていた
その2人を見た自分は何だかとても不愉快で、でも何も出来なくて呆然と彰を見ていた
ふと、目が合ってしまって直ぐに目を逸らして喫茶店に入るのをやめてから急いでスーパーに向かった
その間の5分くらいはずっとドキドキしていたと思う
何だか買い物も手につかなくて、適当に肉や野菜、卵や飲み物をカゴに入れて会計を済ませて直ぐに家に帰る
別に付き合っても無いし、只一回寝ただけなのにどうしてこんなに嫌な気分になるんだろう
モヤモヤとした気分のまま家に帰ってくると適当に冷蔵庫に買った物を入れてから冷えたビールを取り出して口に放り込んだ
炭酸が喉に気持ちよくて。ゴクゴクと喉を鳴らしながら半分一気に飲み干してしまう
せっかく休みでも綺麗に化粧をしたのに何だかなぁ
何て考えながら食べ損ねた朝ごはんをかねて、丁寧に昼食を作る事にした
ご飯を釜で炊いている最中に出汁をとった味噌汁を作り、昨日つけておいたぬか漬けを切る
だし巻き卵を作り終わった所で鮭を焼いていると、ピンポンとインターホンが鳴った
鮭が焦げてしまうかもと一瞬考えたがいつもの材料の配達だと思い、返事をしながらドアを開けると彰が笑顔で立っていた
「おはよう雪那ちゃん。元気だった?」
「…元気だよ。デートはもう終わったの?」
「やっぱりね。来て良かった」
「…やっぱり?」
そう言って、どうぞ上がってとも言っていないのに彰は笑顔で玄関に入ると靴を脱いでリビングに歩いて行ってしまう
何なんだアイツはと思いながら鍵を掛けると私もリビングに向かった
直ぐにキッチンに入り焼いている鮭が焦げていないか確認していると、彰が一緒になって見ている事に気付いた
「鮭??」
「そうだよ」
「卵焼きと鮭大好きなんだ」
「へー。」
「雪那ちゃん。怒ってる?」
「怒ってはないよ。ただデート見て気分は良くなかっただけ。怒る筋合いも無いしさ」
「怒る筋合いはあるんじゃない?」
「何か腹立つな。ご飯あげないよ」
「分かった!分かった!ごめんて。ただ怒ってて可愛いなぁと思っただけ」
「彰は何でも可愛いで済ますじゃん」
「可愛いからしょうがないじゃん」
ニッコリと笑った彰に、げんなりとした顔でそーですかーと適当に返事をしてから鮭を皿に乗せ
冷蔵庫に入れておいたもう1匹の鮭をグリルに入れてから蒸して置いた釜のご飯を混ぜると湯気が立ち良い匂いがしてくる
「めっちゃ美味そう。釜で炊いたんだ」
「たまにはね」
後ろから優しく抱き締められて、一度ご飯を混ぜる手を止めた。
耳元で、あれはただのバスケのマネージャーだよと楽しそうに言った彰の声にヤキモチを妬いていた自分が何だか恥ずかしくなって顔が熱くなる
「楽しそうだね、彰くん」
「うん。そーゆー反応可愛い」
ぎゅうっと身体がキツく抱き締められて、何だか嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになり
はぁと溜息を吐く。彰はそれを見て満足そうに笑うと私に優しく口付けてきた
昼が暑かったせいか夜が快適に感じて、酒も入っているからか1人の夜道は怖く感じず何だかとても快適だ
小さな公園の横をご機嫌な足取りで通ると、ジリジリと蝉が鳴きながら自動販売機にぶつかってそのまま落下した
ジィーージィーと暴れる蝉の鳴き声を聞きながらふと自動販売機に目が釘付けになる。そういえば家に飲み物が無い事に気付いて自然に自動販売機に足を向けた
すると、丁度バスケットボールを持った背の高い男性が公園から歩いて来て自動販売機の前で立ち止まりお金をいれているのが分かって
私はその男性の後ろに立って彼がジュースを買い終わるのを待った
背が高いなぁ。190くらいあるか?何て思いながら自分の2倍はあるであろう筋肉が付いた腕を後ろからじっくりと見ていると、彼は私に気付いていたのか
待たせてすみません、と小さな声で言った
いえ、大丈夫です。と小さく自分も返事をして男性の横を通り過ぎようとすると
その男性は急に私に買ったばかりの缶を差し出してくる
「えっと、何ですか?」
「間違えちゃったから良かったらどうぞ。炭酸飲めますか?」
「飲めますけど。いいんですか?」
缶を受け取ってまじまじと彼の目を見る
素直に何てカッコいいんだろうと思った。優しい綺麗な瞳に整った顔のパーツ、すらっとしたスタイルに私は少しだけ緊張してしまい思わず緊張を隠す為に目を逸らしバッグから財布を取り出した
「ありがとうございます、お礼に間違いじゃないやつを奢りますよ」
「はは、それじゃあ珈琲でお願いします」
そう言って彼は人懐こく笑う。珈琲と水を買ってから珈琲を彼に渡して軽く頭を下げて公園を出ようとすると、後ろから近づいて来た足音に少しビックリして後ろを振り返った
「…何か?」
「もう暗いから送るよ、珈琲のお礼」
「ええ?知らない人に家知られたくないのでいいです、遠慮します」
「まあまあ、俺危なく無いから大丈夫」
「ちょっと」
掴まないでと言う前に手を優しく握られて、ふと不思議と嫌な感じがしなくて頭2個分あるだろう彼を見上げた
フッと笑った彼はそのまま手を握り歩き出す
そんな彼に私も何だか笑ってしまって歩き出した
「お兄さん、ナンパ?」
「そ、ナンパ。」
「いつもこんな事してんの?あ、そこ右です」
「いーや、今日は嫌な事があったから自暴自棄で生まれて初めてのナンパ。後君がタイプだったからかな」
言われてちょっとだけ嬉しかったけど、嬉しく無いふりをして、ふーん。と少しそっけなくすると
彼はクスリと小さく笑った
「この辺危ないからあんまり1人で歩いちゃダメだよ。今日会社帰り?」
「ううん、会社には勤めてない。今日は飲み会だったんだ」
「とゆうか、いくつ?」
「26歳」
「俺は27歳。名前は彰」
「私は雪那。」
「可愛い名前だね、ここは道どっち?」
「真っ直ぐ、もう着くからここでいいよ。ありがとう彰くん」
「お礼にご飯作ってくれたりしない?実はバスケしてて夕飯食べるの忘れててさ。お腹ペコペコ」
「…それが狙いか…仕方ないなぁ」
今からだとカレーくらいしか作れないよといえば、彰は嬉しそうに笑った
マンションの鍵を開けて玄関に入れば、急に後ろから腕を掴まれて壁に押さえ付けられる
何だか分からない様な顔をした私に彰は意地悪い笑みを浮かべて、不用心すぎる。と一言だけ言ってから激しく口付けて来た
唇が合わさる度に何故だかとても満たされていくような気持ちになって、戸惑いながら彰の背中に腕を回せば
彰はそれに応えるようにキスをしたまま髪を撫でてくれた
「…危ないじゃん。…彰くん」
「はは、雪那ちゃんこそ、ちょっとこうなるって分かってたでしょ?」
「ん…そう言われるとそうかも」
口付けはやまず、そのまま持ち上げられてリビングのソファに寝かされる。服を脱ぎ捨てて上に被さってきた彼の顔は月明かりに照らされていた
その顔はとても綺麗で、でも彰は何だか泣きそうな顔をしていた
身体中を愛撫されて声が枯れ果てるまで抱かれ、子宮が痺れる様な感覚を最後に私の意識は途切れていった
雀の声で目を覚まし、携帯を取ろうと手を動かすと堅い温かい物が手に当たり思わず目を開けた
目に入って来たのは裸の男で。ビックリして顔をマジマジと見て、ああそういえば昨日家に入れたんだったけと思い出して酔っ払っていた自分の軽率さに溜息をついた
下着も何も身に付けていないまま寝てしまったなと、自分の裸体を見てから風呂場に向かうと玄関に放り出してあるバッグから携帯を取り出した
メールのチェックをしつつ、歯磨きを軽くしてからシャワーを浴びて
バスローブのまま寝室を覗けば彰はまだ寝ていた
昨日の飲み会でもあまり食事らしい物を食べなかったから少し何か食べないとなと思い冷蔵庫から野菜を取り出す
お湯を沸かして珈琲を淹れてから、パンを焼いて野菜とハムと目玉焼きを入れた簡単なサンドイッチを2人分作り、テーブルにそれらを置いた足でそのまま寝室に向かう。彰が寝ている枕元に座って彼の頭を優しく撫でた
「おっはよー」
返事は無いので、耳の中に指を入れて軽くくすぐると、彼はふふっと小さく笑いながら私の太腿に抱きついて来た
「起きた?朝ご飯だよ。珈琲冷めるから起きて」
「…作ってくれたんだ。ありがとう」
鼻を擦り寄せて来た彰に自然と笑みが溢れて、優しく頭をなでなですれば
目を開いた彰は私を見て一度ギョッとした様な顔をした
「…彰?どしたの?」
「…いや、何でも無い。顔洗いたいから洗面所借りるね。あっ、やっぱシャワー借りていい?」
「うん。歯ブラシも新しいのあるから良かったら使ってね。先食べてるね」
「ああ」
洗面所に向かった彰の後ろ姿を見ながら先程のビックリしたような顔を思い出す
あの顔はあきらかに寝惚けて誰かと間違えていた様な感じだった。鼻を擦り寄せて甘える様な嬉しそうな彰の顔
昨日の月明かりに照らされた彼の悲しそうな顔
自暴自棄だと言って初めてのナンパだと笑った彼の顔を思い出して何故か胸が痛くなった
テーブルに座り、テレビを付けて食事をしていると食べ終わった頃にシャワーを浴びた彰がリビングに入ってきた
彼の分の珈琲が冷めてしまったから温め直していると、後ろから優しく抱き締められて耳元でありがとうと囁いてくる
チラリと彼の顔を見れば、ニッコリと笑った彰に色々思う所はあったけど。何も言わずに温め直した珈琲を渡した
「美味しい、久しぶりに美味い手料理食べたかも」
「只のサンドイッチだよ」
「ドトール並みに美味しいよ」
「ふふ、それは良かったね。」
子供の様に美味しそうにかぶりつく彼を見ていると、何だか先程の事がどうでも良くなって来た様に感じた
「雪那はさ、今日休みなの?」
「飲み会の次の日は大体休みかな。でも在宅ワークだから毎日休みみたいな感じだし。あっ、食器下げるから貸して。珈琲おかわりは?」
「いる。ありがとう。在宅ワークか…。羨ましいな」
「えー?そう?彰は何してるの?」
「俺はバスケットのコーチしてるよ。」
「えー?!バスケット本格的にやってるんだね。何かコーチとかだとおじさんのイメージ強いから新鮮」
「まあ、中学生からしたらおじさんだけどね」
まだ眠そうな話し方をする彰に珈琲のおかわりを渡してから食器をシンクに置いた
今日は久しぶりに録画してある映画でも見ようかな何て考えながらお皿を洗っていると、ふと視線を感じて何気無くそちらを見た
「どしたの?」
「いや、…お皿洗ってる姿が可愛いなぁと」
「………」
何も言えなくなってしまった私に彼は穏やかに笑ってからテレビに向き直る
ジャージャーと出る水の音で手が止まっていたのを思い出して、恥ずかしい台詞をサラリと言う男だなぁなんて考えながら洗い物を再開した
その後洗濯やら掃除やらをしている私を見て、彰は手伝うと言って掃除機をかけてくれたり、届かない場所を拭き掃除してくれたりと色々動いてくれた
あっとゆう間に昼時になり、お腹は空いてる?と尋ねればそろそろ行かないと。と言って私に軽いキスをすると笑顔で家を出て行った
簡単な昼食を作り、テーブルに座った所で昨日の事が一気に押し寄せて来た
彰の口付けや体温、抱き締められた時の鼓動にまたあの悲しそうな切ない顔を思い出して胸が締め付けられる
ワンナイトラブ何て何年振りだろう
尻軽女に見られたかもしれない
そう言えば連絡先知らない
色々な事が頭を駆け巡ってきて、何だか食欲が失せて来て作ったばかりの炒飯をラップして冷蔵庫に入れてからベッドにダイブした
人と寝たのが久しぶりだったからか余り熟睡出来ていなかったみたいで、すぐに眠気はやって来て気付けばぐっすりと眠っていた
それから1週間経っても何も無くて。日曜日の朝、仕事を今日はせずに1日のんびり過ごそうかな何て考えながら冷蔵庫を開けた
無い物をチェックして、冷凍庫を確認してから軽く支度をして10時に開店するスーパーにのんびりと散歩をしながら向かった
途中お腹が空いて来て少し腹ごしらえでもしようかと馴染みの喫茶店に向かうと遠目に背が高い男が目に入り私は自然に立ち止まってしまった
彰だった
横にいる可愛い女の子は彰に笑顔を向けていて、彰は沢山の荷物を持ちながら彼女に笑顔を向けていた
その2人を見た自分は何だかとても不愉快で、でも何も出来なくて呆然と彰を見ていた
ふと、目が合ってしまって直ぐに目を逸らして喫茶店に入るのをやめてから急いでスーパーに向かった
その間の5分くらいはずっとドキドキしていたと思う
何だか買い物も手につかなくて、適当に肉や野菜、卵や飲み物をカゴに入れて会計を済ませて直ぐに家に帰る
別に付き合っても無いし、只一回寝ただけなのにどうしてこんなに嫌な気分になるんだろう
モヤモヤとした気分のまま家に帰ってくると適当に冷蔵庫に買った物を入れてから冷えたビールを取り出して口に放り込んだ
炭酸が喉に気持ちよくて。ゴクゴクと喉を鳴らしながら半分一気に飲み干してしまう
せっかく休みでも綺麗に化粧をしたのに何だかなぁ
何て考えながら食べ損ねた朝ごはんをかねて、丁寧に昼食を作る事にした
ご飯を釜で炊いている最中に出汁をとった味噌汁を作り、昨日つけておいたぬか漬けを切る
だし巻き卵を作り終わった所で鮭を焼いていると、ピンポンとインターホンが鳴った
鮭が焦げてしまうかもと一瞬考えたがいつもの材料の配達だと思い、返事をしながらドアを開けると彰が笑顔で立っていた
「おはよう雪那ちゃん。元気だった?」
「…元気だよ。デートはもう終わったの?」
「やっぱりね。来て良かった」
「…やっぱり?」
そう言って、どうぞ上がってとも言っていないのに彰は笑顔で玄関に入ると靴を脱いでリビングに歩いて行ってしまう
何なんだアイツはと思いながら鍵を掛けると私もリビングに向かった
直ぐにキッチンに入り焼いている鮭が焦げていないか確認していると、彰が一緒になって見ている事に気付いた
「鮭??」
「そうだよ」
「卵焼きと鮭大好きなんだ」
「へー。」
「雪那ちゃん。怒ってる?」
「怒ってはないよ。ただデート見て気分は良くなかっただけ。怒る筋合いも無いしさ」
「怒る筋合いはあるんじゃない?」
「何か腹立つな。ご飯あげないよ」
「分かった!分かった!ごめんて。ただ怒ってて可愛いなぁと思っただけ」
「彰は何でも可愛いで済ますじゃん」
「可愛いからしょうがないじゃん」
ニッコリと笑った彰に、げんなりとした顔でそーですかーと適当に返事をしてから鮭を皿に乗せ
冷蔵庫に入れておいたもう1匹の鮭をグリルに入れてから蒸して置いた釜のご飯を混ぜると湯気が立ち良い匂いがしてくる
「めっちゃ美味そう。釜で炊いたんだ」
「たまにはね」
後ろから優しく抱き締められて、一度ご飯を混ぜる手を止めた。
耳元で、あれはただのバスケのマネージャーだよと楽しそうに言った彰の声にヤキモチを妬いていた自分が何だか恥ずかしくなって顔が熱くなる
「楽しそうだね、彰くん」
「うん。そーゆー反応可愛い」
ぎゅうっと身体がキツく抱き締められて、何だか嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになり
はぁと溜息を吐く。彰はそれを見て満足そうに笑うと私に優しく口付けてきた