歩くような速さで
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私の記憶 中学2年
冬休みになって、お母さんが彼氏と別れたみたいで時間があるのか色々な所に連れて行ってくれた
デパートで可愛い流行りの洋服を沢山買って貰い、コスメや雑貨にバッグや靴も。もっと可愛くて、モテモテになる髪型にしなよって言われて人気の美容院で髪を綺麗なベージュにして今時のカットまでして貰った
私からすると嬉しかったけれど、何だかお母さんの頭の中はモテたり男の人の事しか考えていない様なモヤモヤとした感覚になった。お母さんのこの間別れた彼氏は彼女が他に二人いたとか、会いに行ったら口紅と長い髪が落ちてたとか
そんな話ばかり聞かされて、私は内心絶対に一途な男と付き合うぞとか彼氏も居た事無い癖にかなり強く思った覚えがある。まぁ、今考えればお母さんだって最初から彼氏が浮気するような人だと思って付き合ってた訳じゃないと思うけど
冬休みだからといって特にやる事も無く、どうせ親が居ないんだから怒る人もいないしメイクや髪型アレンジの勉強や飽きたらゴロゴロして昼寝して。たまに遊びに行ってを繰り返していていた
年が明け、冬休みもそろそろ終わろうとしていた頃。またお母さんはお金を置いて帰って来なくなった
2日経って帰って来なかったので携帯に電話してみると今度の彼氏は不動産屋さんなの。と上機嫌で言われ
呆れも通り越していたので、お金だけちゃんと置いておいてと言って電話を切った
久しぶりに夕飯をお弁当屋さんで買おうとパーカーを羽織り家を出ていつも通る道を歩いていると、公園に小さな後ろ姿を見付けて立ち止まる
「ルナちゃんと、マナちゃん?」
「あー雪那ちゃんだ」
「雪那ちゃん」
「何か大きくなったね、最後にお話したのいつだったかな。……さっきから2人は何してるの?」
「……猫ちゃん」
2人がしゃがんで見守っていたのは、小さな赤ちゃんの猫だった。目は開いているが目ヤニが酷く多分風邪をひいているのだろう。可哀想なのと私の足に抱きつく2人の頭を優しく撫でた
「……雪那ちゃん、今お金沢山あるから病院いけるよ。大丈夫、猫ちゃん助かるよ」
「本当に??」
「ルナちゃんとマナちゃんはお母さんが心配するからお家に帰りな」
「一緒に行くー」
「マナもー」
「うーん。今家におばさんいる?」
「分かんないけど、居ないと思う」
「どうしよ、三ツ谷の番号も分からないしな」
「ルナ、お兄ちゃんの番号分かるよ」
「本当に?じゃあ教えて」
「えっとね……」
しっかりと番号を暗記しているルナちゃんに少しビックリした。迷子になってもこれなら安心だろうな何て思いながら聞いた番号に掛ければ、5コールくらいしてからはいと言う三ツ谷の声がした
「……もしもし、三ツ谷?」
「誰?」
「私、白石。」
「どしたの?てか番号知ってたっけ?」
「今ルナちゃんに聞いた」
「ルナといんの?……何かあった?」
2人が病気の猫ちゃんを見付けた事、これから病院に連れていく事と2人が付いてきたいって言ってる事を話すと、三ツ谷はそれは分かったけどチビ達いて迷惑じゃないのか?と聞いてくる。お金もかなりかかるだろと言った三ツ谷の声は少し心配している様だった
「……お金は大丈夫。病院終わったら2人を家まで送るから」
「ありがとな、また何かあったら電話して」
久しぶりに話した三ツ谷の声はしっかり男の子で何だかドキドキした。ルナちゃんとマナちゃんにお兄ちゃんオッケーだってと言えば2人は鈴を転がした様に笑う。ダンボールを抱えて、3人でコンビニから少し先にある動物病院に向かって歩き出した
ルナちゃんはしっかりとマナちゃんの小さな手を握り、車にもちゃんと注意を向けている。本当によく出来た子だなとルナに感心してしまった
病院に付いて受付を済ませ、3人で猫ちゃんを見ながら静かに待っていると隣に居たおばさんが、子供達だけでどうしたの?と聞いてきて事情を話すと捨て猫だからお金は余り取らないであげてって先生に言っておいてあげるわ。何て言われて少し安心した
診察を無事終えて、お金が足りるか内心ビクビクしていたが私達の様子に先生が捨て猫ちゃんだからお金はいらないよ。と言ってくれて、有り難すぎてちょっと泣きべぞになってしまった
幸いにも軽度の風邪だけだったので、私が引き取って治療してから里親を見つけますと先生に話して預からせて貰う事になった
口添えをしてくれたおばさんにもお礼を言ってから病院を出ると、ルナが猫ちゃんが寝ているダンボールを持ち、疲れて寝てしまったマナを私が抱っこして歩き始める。
名前何にしようかな何てルナがニコニコで私を見てくる。何にしようかね、何て話をしながらコンビニの前を歩いていると、急に呼ばれたルナの名前に二人で振り返ると手を振る三ツ谷の姿があった
「お兄ちゃん」
「お疲れさん、ありがとうな 」
「三ツ谷、わざわざ迎えに来てくれたの?」
「あー、マナ寝ちまったか。貸して」
「大丈夫だよ、それよりルナのダンボール持ってあげてくれない?」
「えー猫ちゃん持ちたいー」
「さっきから車多くて、手握って無いとヒヤヒヤなんだよね。」
「大丈夫、ルナはそこら辺はけっこう優秀」
「ふふっ、そうなんだ」
お兄ちゃんお腹空いたとルナが言うと帰ってから何か作るからと優しくルナを撫でた三ツ谷の手が大きく見えた
「そんで、その猫どうすんの?」
「里親見つかるまで預かって治療するよ」
「お前が?」
「う、うん。何で??」
「昔猫にビクビクしてなかったか?」
「……あれいくつだったと思ってんのさ。今は好きだよ猫ちゃん」
「そっか、とりあえず家まで送るわ」
「……ありがとう」
「 雪那ちゃん、ルナ明日また猫ちゃんみたい」
「いいよ、明日なら家にいるから遊びにおいで」
「悪ぃな、我儘言ったら叱っていいからさ」
「2人共いい子だから平気だよ、それに……お母さんもまた新しい彼氏出来ていないから」
「……そっか、またか」
「先月までいなかったんだけどね。」
そんな話をしながら家の下に着いてマナを三ツ谷に渡し、猫ちゃんが寝ているダンボールを預かった。名残惜しそうな顔をしているルナにまた明日おいでと優しく声をかけると、パッと明るくなる表情に可愛くて笑ってしまう
「じゃあな、あ、白石 」
「ん?」
「何かお前、すげー可愛くなったな」
そんだけ、またな。そう言ってルナの手を引いて歩いていく三ツ谷の背中を私は呆然としながら見ていた
熱い顔でフラフラしながら家に入り、放心しながら猫ちゃんにご飯を食べさせて目に薬を塗った。お風呂に入っても、本を読んでいても三ツ谷の可愛くなったなの言葉が私の頭でずっとリピートされていていた
次の日、朝からお風呂に入り髪を綺麗にブローしてメイクをしてお気に入りのワンピースを着ようとしたが
家にいるだけなのに変に気合いが入りすぎてて可笑しいかなと思い普通のお洒落な家着を着てソワソワと2人を待った
昼くらいに、インターフォンが鳴りドアを開ければルナとマナが笑顔で立っていた。良く考えれば三ツ谷が来る訳じゃないか。と内心ワクワクしていた自分に少し笑ってしまう。3人で猫ちゃんにご飯をあげたり薬を付けたり、湯たんぽにタオルを巻いてお母さんの温もりを作ったりしているとあっとゆう間に夕方になっていた
「そろそろ帰らなくて大丈夫?」
「「まだ帰りたくなーい」」
「うーん。冬休みだからウチは泊まっていっても大丈夫だけど……ちょっとお兄ちゃんに聞いてみる??」
2人は私の言葉にキラキラ笑顔で万歳をして飛び跳ねている。そんな2人が可愛くて私は少しだけドキドキしながら発信履歴から三ツ谷に電話をかけた
「もしもし」
「悪ぃ、いま迎えに行くからちょっと待ってて」
「三ツ谷、バイク乗ってんの?」
「あー、うん。今帰ってる所」
「んもぉ。危ないから駄目でしょ」
「んだよ、んもぉって。2人は?我儘言わなかった?」
「あのさ、今日泊まりたいって言ってるからうちに泊めてあげたいんだけど駄目?」
「はっ?……いや、駄目とゆうか白石に迷惑だろ」
「どうせ一人ぼっちだし、賑やかで楽しくてさ。ご飯もきちんとした栄養がある物食べさせるから」
「……白石は偉いな。」
「……何でそうなるの?」
「いや、食べ物にまで気を使えるんだなって」
「小さい子だからね。私料理出来ないけど、とりあえず動画みてやってみるよ」
「……ありがとうな。とりあえず1回俺もそっち行っていい?」
「……あ、うん。いいよ」
「302だっけ?」
「うん、じゃあ」
電話を切って、私の前で正座する2人に大丈夫そーだーと言って万歳すると2人もバンザーイと手を上げた
優しいお兄ちゃんで良かったねと微笑むと、2人もうんと言って微笑んだ
「 雪那ちゃん、猫ちゃんの名前考えたけど決まらなかったの」
「うーん。名前か」
「 雪那ちゃん決めて」
そう言われて、ダンボールでゴロゴロと喉を鳴らしながら湯たんぽに擦り寄る猫ちゃんを見つめた。ダークグレーの毛並みに少しだけ水色がかったグレーの瞳をしている猫ちゃんは何だかタレ目にしたら三ツ谷に似ている様な気がしてフッと笑ってしまう
「じゃあ、……猫ちゃんの名前はたかしにする」
「……お、お兄ちゃんと一緒」
「猫ちゃん男の子なんだ」
「先生が男の子って言ってたし、毛色も三ツ谷と一緒だしさ」
たーかーしーと私が呼んで猫ちゃんの喉を優しく撫でると、にゃぁと小さく鳴いた。
「お返事したね」
可愛いと言って二人で順番に抱っこしているので、今のうちに簡単に出来るご飯を作ろうとキッチンに立った。白米を炊いて、味噌汁は味見をしながらだけど、思っていたよりは簡単に作れた。だが問題はオカズだった。味噌汁を作った時点で1番簡単なカレーの選択肢を忘れていた私は冷蔵庫にあった卵と冷凍庫にある鶏肉を見つけ、携帯から検索した親子丼のレシピを見ながら慎重に肉を切り、野菜を切り煮汁を作って煮込みながら味を整える
ピンポンと聞こえた音にハッとして、三ツ谷だと思ったが今ここを1秒でも離れたくない。目を離すと焦げてしまう気がして、ルナに玄関に向かってお兄ちゃんか聞いてそうだったらドア開けてと頼むとルナはハイっと元気良く言って走って行った
味見をして、砂糖を加えて唸っていると
よぉ。と言って顔を出した三ツ谷に、お疲れ様と声をかけると鍋の前で首を傾げる私を不思議そうに見ながら鍋の中身を覗く
「何で唸ってんの?」
「……うーん。出し汁が美味しくならない」
「あぁ、貸してみ」
お玉と小さなお皿を手に取り味をみる三ツ谷。昆布と鰹のダシを両方入れて、醤油もう少しと言われその通りに味を足していく。卵を溶いてくれている三ツ谷の手は手馴れていて私は内心感動しながらチラチラと彼を見ていた
「あ、そろそろたかしにもご飯あげなきゃ」
「……はぁ?」
「……ああ、三ツ谷じゃなくて猫ちゃんのたかし」
「名前たかしって言うの?」
「さっき名付けた」
「……紛らわしいだろ」
「グレーの毛色の男の子。可愛いでしょ」
私がそう言って笑うと少しだけ困った様に、あぁと笑う三ツ谷は大人だなって思った
三ツ谷のおかげ様で美味しくできた親子丼を4人で食べてから3人でお風呂に入って。たかしとじゃれたり皆でゲームしていると気付いたらマナは私の膝で寝ていた。ルナもウトウトして来たので、2人を私の部屋に寝かせると時刻は10時を過ぎていた
「三ツ谷はどうする?リビングで良ければ泊まってく?」
「……お前馬鹿じゃねぇの?」
「……何で?」
「俺男だぞ」
「……昔泊めてくれたじゃん。前みたいに別に一緒に寝ようとかじゃないよ?」
「お前、そうゆう事絶対言うなよ。危ねーから」
「言う人がいないよ」
「……まぁいいや。帰る」
「気をつけてね。明日パンケーキ頑張って作るから食べたせたら送るよ」
「...あぁ、マジありがとな、」
「おばさんが大丈夫なら、また2人いつでも泊まりきて」
「……お前はさ、大丈夫?」
「何が?」
「いや、何か嫌な事あったら言えよ」
ポンポンと頭を優しく叩かれて、少しだけ悲しげに笑った三ツ谷にドキっとした
自分が三ツ谷に恋をしたのがこの時明確に分かった。
残りの冬休みの間に1回だけ2人はまた泊まりに来てくれて。三ツ谷も夕飯時に顔を出してくれたのでまた4人でご飯食べてゲームをしたり楽しく過ごせた
冬休みがあけて、学校に行けばイメチェンまではいかないけれど外見的に華やかになったからか友達も増えて良く誘われる様になった
たかしの世話もあるから、夕方までには帰るけど充実した放課後生活がおくれていて私の寂しさは少しうまっていた気がする
そんな時学校の中で人気がある男の子に告白された
特に付き合ってみたいなって気もおきないし、三ツ谷への恋心があった私は丁重にお断りをした。その後、皆で良く遊んでいたグループの中の1人にも告白されたけどそれも断った
そんな事をしていたら、雪那ちゃんは好きな人がいるんだね。と言ってもいない事を噂されたりと面倒な事も沢山あったけど
何だか優しくされたり、好きになって貰えることは単純に嬉しかった
学校からの帰り道、コンビニに寄ってジュースを選んでいると手に取ったミルクティーを取られてそれにビックリして振り返ると三ツ谷がいた。手には私のミルクティーとが握られている
「……何で取るの?」
「この間のお礼に俺が買うわ」
「お礼ってたかしの事?」
「……たかしの事も、ルナとマナを泊めてくれた事も。って、ミルクティーだけじゃ安すぎんな。他に欲しい物ある?」
「…………考えとく」
「あぁ。決まったら言えよ」
「違くて、あぁやっぱりいらない」
アタフタとする私にはぁ?と言って目を細めた三ツ谷は変な奴だなと言いながら会計を済ませると私にミルクティーを渡してくれた
「帰んの?帰るなら送るわ」
「あ、うん。ありがと」
歩幅を合わせてくれる事が嬉しくて、私は内心ドキドキしていた。何も喋らない三ツ谷に私も特に喋らずに歩いていると、夕陽が三ツ谷を照らしていて綺麗な顔してるなと思いずっと見つめてしまった。ふと、三ツ谷がこちらに振り返ったので慌てて前を向いた
「……なぁ、お前何で石井の告白断ったの?」
「……うーん、好きじゃないから」
「お前の中で付き合ってから好きになるとか選択肢は無いの?」
「まず付き合ったら触られたりするじゃん、嫌だよ」
「ふーん。好きな奴に触られても嫌なの?」
「好きな人なら良い……かな。恥ずかしいけど」
「まぁ、……そうだよな」
そう言って黙った三ツ谷に私は貴方が好きだからって伝えたくなった。何で急に伝えたくなったか分からないけど、多分ずっと傍に居たいなって思ったのかもしれない
「ねぇ、さっきのさまだ有効かな?」
「……何の話だ?」
「欲しい物あったら言えって」
「ああ、いいよ。戻る?コンビニ」
「……コンビニじゃなくてさ、私さ、……三ツ谷が欲しいんだ」
「……それ、……どうゆう意味?」
「……」
何だか急に恥ずかしくなってきて、眉を寄せて真剣な表情の三ツ谷から目を逸らす
逃げよう。と思い走り出そうとした瞬間に腕を掴まれた。振りほどくのは失礼だと咄嗟に思い立ち止まる
顔が見れなくて前を向いたままの私に優しい声色の三ツ谷が話しかけて来る
「白石さ、どうゆう意味かハッキリ言ってくんね?」
「……さ、さっきは頑張ろうと思ったんだけど、恥ずかしくて言えなくなった」
「……お前面白いな」
「茶化さないで、とゆうか逃げたいから離して」
「……離さねぇよ」
グイッと手を引かれて優しく抱き締められる
ヒィと言った私に、嫌なのかよと小さな声がした
「……嫌じゃないよ」
「俺が欲しいの? 白石さん。」
ニッっと意地悪に笑う三ツ谷に、私は顔が熱くなる
「うん、……欲しいかな」
「……じゃあ、やるよ」
「えっ?えっと、いいの?」
「……ちゃんとお前が好きだからいいよ」
「……えっ?私の事、好きなの?三ツ谷が?」
「……まぁな」
「…まぁなって」
「今はまだすげー可愛いし好きだなくらいだけど、もっとお前を知りたいし一緒に居たいから言ってる」
「……私もそう。近くに居たいし、初めて男の人に触りたいなって思った」
「……そうゆう事言うなよ」
「……何で?」
「……何でもねぇ。……大事にするからさ」
そう言って優しく頬に触れてきた手に手を重ねた
額にしてくれた口付けに少し照れたけど、口にはまだしない所が三ツ谷らしいのかな何て思った
何で好きになってくれたの?って少しだけ勇気を振り絞って聞いた私に
たかしって呼んでるお前が可愛くて抱き締めたくなったからと言われて耳まで赤くなってしまった
これから沢山二人で出掛けようなと笑った三ツ谷の顔を見て、ずっと傍にいられたらいいなって思った
冬休みになって、お母さんが彼氏と別れたみたいで時間があるのか色々な所に連れて行ってくれた
デパートで可愛い流行りの洋服を沢山買って貰い、コスメや雑貨にバッグや靴も。もっと可愛くて、モテモテになる髪型にしなよって言われて人気の美容院で髪を綺麗なベージュにして今時のカットまでして貰った
私からすると嬉しかったけれど、何だかお母さんの頭の中はモテたり男の人の事しか考えていない様なモヤモヤとした感覚になった。お母さんのこの間別れた彼氏は彼女が他に二人いたとか、会いに行ったら口紅と長い髪が落ちてたとか
そんな話ばかり聞かされて、私は内心絶対に一途な男と付き合うぞとか彼氏も居た事無い癖にかなり強く思った覚えがある。まぁ、今考えればお母さんだって最初から彼氏が浮気するような人だと思って付き合ってた訳じゃないと思うけど
冬休みだからといって特にやる事も無く、どうせ親が居ないんだから怒る人もいないしメイクや髪型アレンジの勉強や飽きたらゴロゴロして昼寝して。たまに遊びに行ってを繰り返していていた
年が明け、冬休みもそろそろ終わろうとしていた頃。またお母さんはお金を置いて帰って来なくなった
2日経って帰って来なかったので携帯に電話してみると今度の彼氏は不動産屋さんなの。と上機嫌で言われ
呆れも通り越していたので、お金だけちゃんと置いておいてと言って電話を切った
久しぶりに夕飯をお弁当屋さんで買おうとパーカーを羽織り家を出ていつも通る道を歩いていると、公園に小さな後ろ姿を見付けて立ち止まる
「ルナちゃんと、マナちゃん?」
「あー雪那ちゃんだ」
「雪那ちゃん」
「何か大きくなったね、最後にお話したのいつだったかな。……さっきから2人は何してるの?」
「……猫ちゃん」
2人がしゃがんで見守っていたのは、小さな赤ちゃんの猫だった。目は開いているが目ヤニが酷く多分風邪をひいているのだろう。可哀想なのと私の足に抱きつく2人の頭を優しく撫でた
「……雪那ちゃん、今お金沢山あるから病院いけるよ。大丈夫、猫ちゃん助かるよ」
「本当に??」
「ルナちゃんとマナちゃんはお母さんが心配するからお家に帰りな」
「一緒に行くー」
「マナもー」
「うーん。今家におばさんいる?」
「分かんないけど、居ないと思う」
「どうしよ、三ツ谷の番号も分からないしな」
「ルナ、お兄ちゃんの番号分かるよ」
「本当に?じゃあ教えて」
「えっとね……」
しっかりと番号を暗記しているルナちゃんに少しビックリした。迷子になってもこれなら安心だろうな何て思いながら聞いた番号に掛ければ、5コールくらいしてからはいと言う三ツ谷の声がした
「……もしもし、三ツ谷?」
「誰?」
「私、白石。」
「どしたの?てか番号知ってたっけ?」
「今ルナちゃんに聞いた」
「ルナといんの?……何かあった?」
2人が病気の猫ちゃんを見付けた事、これから病院に連れていく事と2人が付いてきたいって言ってる事を話すと、三ツ谷はそれは分かったけどチビ達いて迷惑じゃないのか?と聞いてくる。お金もかなりかかるだろと言った三ツ谷の声は少し心配している様だった
「……お金は大丈夫。病院終わったら2人を家まで送るから」
「ありがとな、また何かあったら電話して」
久しぶりに話した三ツ谷の声はしっかり男の子で何だかドキドキした。ルナちゃんとマナちゃんにお兄ちゃんオッケーだってと言えば2人は鈴を転がした様に笑う。ダンボールを抱えて、3人でコンビニから少し先にある動物病院に向かって歩き出した
ルナちゃんはしっかりとマナちゃんの小さな手を握り、車にもちゃんと注意を向けている。本当によく出来た子だなとルナに感心してしまった
病院に付いて受付を済ませ、3人で猫ちゃんを見ながら静かに待っていると隣に居たおばさんが、子供達だけでどうしたの?と聞いてきて事情を話すと捨て猫だからお金は余り取らないであげてって先生に言っておいてあげるわ。何て言われて少し安心した
診察を無事終えて、お金が足りるか内心ビクビクしていたが私達の様子に先生が捨て猫ちゃんだからお金はいらないよ。と言ってくれて、有り難すぎてちょっと泣きべぞになってしまった
幸いにも軽度の風邪だけだったので、私が引き取って治療してから里親を見つけますと先生に話して預からせて貰う事になった
口添えをしてくれたおばさんにもお礼を言ってから病院を出ると、ルナが猫ちゃんが寝ているダンボールを持ち、疲れて寝てしまったマナを私が抱っこして歩き始める。
名前何にしようかな何てルナがニコニコで私を見てくる。何にしようかね、何て話をしながらコンビニの前を歩いていると、急に呼ばれたルナの名前に二人で振り返ると手を振る三ツ谷の姿があった
「お兄ちゃん」
「お疲れさん、ありがとうな 」
「三ツ谷、わざわざ迎えに来てくれたの?」
「あー、マナ寝ちまったか。貸して」
「大丈夫だよ、それよりルナのダンボール持ってあげてくれない?」
「えー猫ちゃん持ちたいー」
「さっきから車多くて、手握って無いとヒヤヒヤなんだよね。」
「大丈夫、ルナはそこら辺はけっこう優秀」
「ふふっ、そうなんだ」
お兄ちゃんお腹空いたとルナが言うと帰ってから何か作るからと優しくルナを撫でた三ツ谷の手が大きく見えた
「そんで、その猫どうすんの?」
「里親見つかるまで預かって治療するよ」
「お前が?」
「う、うん。何で??」
「昔猫にビクビクしてなかったか?」
「……あれいくつだったと思ってんのさ。今は好きだよ猫ちゃん」
「そっか、とりあえず家まで送るわ」
「……ありがとう」
「 雪那ちゃん、ルナ明日また猫ちゃんみたい」
「いいよ、明日なら家にいるから遊びにおいで」
「悪ぃな、我儘言ったら叱っていいからさ」
「2人共いい子だから平気だよ、それに……お母さんもまた新しい彼氏出来ていないから」
「……そっか、またか」
「先月までいなかったんだけどね。」
そんな話をしながら家の下に着いてマナを三ツ谷に渡し、猫ちゃんが寝ているダンボールを預かった。名残惜しそうな顔をしているルナにまた明日おいでと優しく声をかけると、パッと明るくなる表情に可愛くて笑ってしまう
「じゃあな、あ、白石 」
「ん?」
「何かお前、すげー可愛くなったな」
そんだけ、またな。そう言ってルナの手を引いて歩いていく三ツ谷の背中を私は呆然としながら見ていた
熱い顔でフラフラしながら家に入り、放心しながら猫ちゃんにご飯を食べさせて目に薬を塗った。お風呂に入っても、本を読んでいても三ツ谷の可愛くなったなの言葉が私の頭でずっとリピートされていていた
次の日、朝からお風呂に入り髪を綺麗にブローしてメイクをしてお気に入りのワンピースを着ようとしたが
家にいるだけなのに変に気合いが入りすぎてて可笑しいかなと思い普通のお洒落な家着を着てソワソワと2人を待った
昼くらいに、インターフォンが鳴りドアを開ければルナとマナが笑顔で立っていた。良く考えれば三ツ谷が来る訳じゃないか。と内心ワクワクしていた自分に少し笑ってしまう。3人で猫ちゃんにご飯をあげたり薬を付けたり、湯たんぽにタオルを巻いてお母さんの温もりを作ったりしているとあっとゆう間に夕方になっていた
「そろそろ帰らなくて大丈夫?」
「「まだ帰りたくなーい」」
「うーん。冬休みだからウチは泊まっていっても大丈夫だけど……ちょっとお兄ちゃんに聞いてみる??」
2人は私の言葉にキラキラ笑顔で万歳をして飛び跳ねている。そんな2人が可愛くて私は少しだけドキドキしながら発信履歴から三ツ谷に電話をかけた
「もしもし」
「悪ぃ、いま迎えに行くからちょっと待ってて」
「三ツ谷、バイク乗ってんの?」
「あー、うん。今帰ってる所」
「んもぉ。危ないから駄目でしょ」
「んだよ、んもぉって。2人は?我儘言わなかった?」
「あのさ、今日泊まりたいって言ってるからうちに泊めてあげたいんだけど駄目?」
「はっ?……いや、駄目とゆうか白石に迷惑だろ」
「どうせ一人ぼっちだし、賑やかで楽しくてさ。ご飯もきちんとした栄養がある物食べさせるから」
「……白石は偉いな。」
「……何でそうなるの?」
「いや、食べ物にまで気を使えるんだなって」
「小さい子だからね。私料理出来ないけど、とりあえず動画みてやってみるよ」
「……ありがとうな。とりあえず1回俺もそっち行っていい?」
「……あ、うん。いいよ」
「302だっけ?」
「うん、じゃあ」
電話を切って、私の前で正座する2人に大丈夫そーだーと言って万歳すると2人もバンザーイと手を上げた
優しいお兄ちゃんで良かったねと微笑むと、2人もうんと言って微笑んだ
「 雪那ちゃん、猫ちゃんの名前考えたけど決まらなかったの」
「うーん。名前か」
「 雪那ちゃん決めて」
そう言われて、ダンボールでゴロゴロと喉を鳴らしながら湯たんぽに擦り寄る猫ちゃんを見つめた。ダークグレーの毛並みに少しだけ水色がかったグレーの瞳をしている猫ちゃんは何だかタレ目にしたら三ツ谷に似ている様な気がしてフッと笑ってしまう
「じゃあ、……猫ちゃんの名前はたかしにする」
「……お、お兄ちゃんと一緒」
「猫ちゃん男の子なんだ」
「先生が男の子って言ってたし、毛色も三ツ谷と一緒だしさ」
たーかーしーと私が呼んで猫ちゃんの喉を優しく撫でると、にゃぁと小さく鳴いた。
「お返事したね」
可愛いと言って二人で順番に抱っこしているので、今のうちに簡単に出来るご飯を作ろうとキッチンに立った。白米を炊いて、味噌汁は味見をしながらだけど、思っていたよりは簡単に作れた。だが問題はオカズだった。味噌汁を作った時点で1番簡単なカレーの選択肢を忘れていた私は冷蔵庫にあった卵と冷凍庫にある鶏肉を見つけ、携帯から検索した親子丼のレシピを見ながら慎重に肉を切り、野菜を切り煮汁を作って煮込みながら味を整える
ピンポンと聞こえた音にハッとして、三ツ谷だと思ったが今ここを1秒でも離れたくない。目を離すと焦げてしまう気がして、ルナに玄関に向かってお兄ちゃんか聞いてそうだったらドア開けてと頼むとルナはハイっと元気良く言って走って行った
味見をして、砂糖を加えて唸っていると
よぉ。と言って顔を出した三ツ谷に、お疲れ様と声をかけると鍋の前で首を傾げる私を不思議そうに見ながら鍋の中身を覗く
「何で唸ってんの?」
「……うーん。出し汁が美味しくならない」
「あぁ、貸してみ」
お玉と小さなお皿を手に取り味をみる三ツ谷。昆布と鰹のダシを両方入れて、醤油もう少しと言われその通りに味を足していく。卵を溶いてくれている三ツ谷の手は手馴れていて私は内心感動しながらチラチラと彼を見ていた
「あ、そろそろたかしにもご飯あげなきゃ」
「……はぁ?」
「……ああ、三ツ谷じゃなくて猫ちゃんのたかし」
「名前たかしって言うの?」
「さっき名付けた」
「……紛らわしいだろ」
「グレーの毛色の男の子。可愛いでしょ」
私がそう言って笑うと少しだけ困った様に、あぁと笑う三ツ谷は大人だなって思った
三ツ谷のおかげ様で美味しくできた親子丼を4人で食べてから3人でお風呂に入って。たかしとじゃれたり皆でゲームしていると気付いたらマナは私の膝で寝ていた。ルナもウトウトして来たので、2人を私の部屋に寝かせると時刻は10時を過ぎていた
「三ツ谷はどうする?リビングで良ければ泊まってく?」
「……お前馬鹿じゃねぇの?」
「……何で?」
「俺男だぞ」
「……昔泊めてくれたじゃん。前みたいに別に一緒に寝ようとかじゃないよ?」
「お前、そうゆう事絶対言うなよ。危ねーから」
「言う人がいないよ」
「……まぁいいや。帰る」
「気をつけてね。明日パンケーキ頑張って作るから食べたせたら送るよ」
「...あぁ、マジありがとな、」
「おばさんが大丈夫なら、また2人いつでも泊まりきて」
「……お前はさ、大丈夫?」
「何が?」
「いや、何か嫌な事あったら言えよ」
ポンポンと頭を優しく叩かれて、少しだけ悲しげに笑った三ツ谷にドキっとした
自分が三ツ谷に恋をしたのがこの時明確に分かった。
残りの冬休みの間に1回だけ2人はまた泊まりに来てくれて。三ツ谷も夕飯時に顔を出してくれたのでまた4人でご飯食べてゲームをしたり楽しく過ごせた
冬休みがあけて、学校に行けばイメチェンまではいかないけれど外見的に華やかになったからか友達も増えて良く誘われる様になった
たかしの世話もあるから、夕方までには帰るけど充実した放課後生活がおくれていて私の寂しさは少しうまっていた気がする
そんな時学校の中で人気がある男の子に告白された
特に付き合ってみたいなって気もおきないし、三ツ谷への恋心があった私は丁重にお断りをした。その後、皆で良く遊んでいたグループの中の1人にも告白されたけどそれも断った
そんな事をしていたら、雪那ちゃんは好きな人がいるんだね。と言ってもいない事を噂されたりと面倒な事も沢山あったけど
何だか優しくされたり、好きになって貰えることは単純に嬉しかった
学校からの帰り道、コンビニに寄ってジュースを選んでいると手に取ったミルクティーを取られてそれにビックリして振り返ると三ツ谷がいた。手には私のミルクティーとが握られている
「……何で取るの?」
「この間のお礼に俺が買うわ」
「お礼ってたかしの事?」
「……たかしの事も、ルナとマナを泊めてくれた事も。って、ミルクティーだけじゃ安すぎんな。他に欲しい物ある?」
「…………考えとく」
「あぁ。決まったら言えよ」
「違くて、あぁやっぱりいらない」
アタフタとする私にはぁ?と言って目を細めた三ツ谷は変な奴だなと言いながら会計を済ませると私にミルクティーを渡してくれた
「帰んの?帰るなら送るわ」
「あ、うん。ありがと」
歩幅を合わせてくれる事が嬉しくて、私は内心ドキドキしていた。何も喋らない三ツ谷に私も特に喋らずに歩いていると、夕陽が三ツ谷を照らしていて綺麗な顔してるなと思いずっと見つめてしまった。ふと、三ツ谷がこちらに振り返ったので慌てて前を向いた
「……なぁ、お前何で石井の告白断ったの?」
「……うーん、好きじゃないから」
「お前の中で付き合ってから好きになるとか選択肢は無いの?」
「まず付き合ったら触られたりするじゃん、嫌だよ」
「ふーん。好きな奴に触られても嫌なの?」
「好きな人なら良い……かな。恥ずかしいけど」
「まぁ、……そうだよな」
そう言って黙った三ツ谷に私は貴方が好きだからって伝えたくなった。何で急に伝えたくなったか分からないけど、多分ずっと傍に居たいなって思ったのかもしれない
「ねぇ、さっきのさまだ有効かな?」
「……何の話だ?」
「欲しい物あったら言えって」
「ああ、いいよ。戻る?コンビニ」
「……コンビニじゃなくてさ、私さ、……三ツ谷が欲しいんだ」
「……それ、……どうゆう意味?」
「……」
何だか急に恥ずかしくなってきて、眉を寄せて真剣な表情の三ツ谷から目を逸らす
逃げよう。と思い走り出そうとした瞬間に腕を掴まれた。振りほどくのは失礼だと咄嗟に思い立ち止まる
顔が見れなくて前を向いたままの私に優しい声色の三ツ谷が話しかけて来る
「白石さ、どうゆう意味かハッキリ言ってくんね?」
「……さ、さっきは頑張ろうと思ったんだけど、恥ずかしくて言えなくなった」
「……お前面白いな」
「茶化さないで、とゆうか逃げたいから離して」
「……離さねぇよ」
グイッと手を引かれて優しく抱き締められる
ヒィと言った私に、嫌なのかよと小さな声がした
「……嫌じゃないよ」
「俺が欲しいの? 白石さん。」
ニッっと意地悪に笑う三ツ谷に、私は顔が熱くなる
「うん、……欲しいかな」
「……じゃあ、やるよ」
「えっ?えっと、いいの?」
「……ちゃんとお前が好きだからいいよ」
「……えっ?私の事、好きなの?三ツ谷が?」
「……まぁな」
「…まぁなって」
「今はまだすげー可愛いし好きだなくらいだけど、もっとお前を知りたいし一緒に居たいから言ってる」
「……私もそう。近くに居たいし、初めて男の人に触りたいなって思った」
「……そうゆう事言うなよ」
「……何で?」
「……何でもねぇ。……大事にするからさ」
そう言って優しく頬に触れてきた手に手を重ねた
額にしてくれた口付けに少し照れたけど、口にはまだしない所が三ツ谷らしいのかな何て思った
何で好きになってくれたの?って少しだけ勇気を振り絞って聞いた私に
たかしって呼んでるお前が可愛くて抱き締めたくなったからと言われて耳まで赤くなってしまった
これから沢山二人で出掛けようなと笑った三ツ谷の顔を見て、ずっと傍にいられたらいいなって思った
