短編 シリーズ
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高校3年の時の担任に勧められた服飾の学校に入って、ダラダラと授業を受けていても特に面白いとも思えず入学してから半年近くが過ぎた。近々行われる個人のコンクールに皆やる気出していて、朝から教室内は机に向かい黙々とペンを走らせる生徒が多い。自分も頑張らなきゃいけないのは分かっているんだけど、熱意が入らずについついボンヤリとしてしまう
ノートに描いたデザインはいつか自分で着てみたかったデザインだけど、こんなエレガントで日常から外れた様な服誰が着るんだよと描いていて少し面白くなってきて1人小さく吹き出してしまう。その小さな笑い声に斜め前の席に座る安藤が私の方を向いた
「白石 、何でウケてんの?」
「……うーん。着たい服をデザインしたんだけどさぁ……。作ってみたら奇抜過ぎて着こなせないとおもうし。普通に見ると何か変なデザインかなと……」
「なんだそれ」と呆れた様に笑う安藤は立ち上がると私のノートに手を伸ばす。安藤はこのデザイン見て何て言うかなと内心少しだけワクワクしていると、ノートを見ながら口を開いた安藤の一言は以外に真面目な答えだった
「……これ多分、作るのがかなり難しい……と思う。繊細過ぎてコンクールまでに間に合うかな」
「……ああ、なら他のにするよ。簡単な物も何枚かスケッチしてあるし」
「えっ?これが作りたいんじゃねーの?」
「うーん。別に……」
「なんだそれ……デザインは良いから、作ったら面白いと思うんだけど……。モデル探すの大変な服だよな」
「そうなの。バービーちゃんみたいに手足長くないと着こなせない」
フッとお手上げみたいな顔で鼻で笑った私を見て、安藤は何かを思い付いた様な顔をすると後ろを振り返り「三ツ谷!ちょっと来て」と教室全体に聞こえる様な大きな声を出した。その声でこちらを向いた三ツ谷を手招きすると、「ん?何?」と言いながらこちらに向かって来る三ツ谷は安藤が渡した私のノートを受け取ると真剣な表情でページを見つめていた
「……これ、白石さんのデザイン?」
「うん」
「へぇ、面白いデザイン描くね。この部分の刺繍ってどうすんの?重ねるの?」
「レースを重ねて……と思ったんだけど」
「ん?」
「安藤がアドバイスくれたんだけど、期限に間に合わないかなって」
「三ツ谷どう思う?けっこう難しくね?」
「……何とも言えねぇけど、作ってみたら? 」
「うーん。間に合わなかったら間に合わなかったで途中で色々変更してもいいしね」
「それも面白いかもよ」
「絶対このデザイン良いよ、他のに変えんなよ白石 」
柔らかく微笑んだ三ツ谷は「頑張って」と言うと私達に背中を向けて席に戻ってしまう。「やってみろよ 、三ツ谷もああ言ってたし」と言った安藤に小さく頷くと安藤も自分の席に戻って行った。面倒だからもっと簡単なデザインを2人に見せれば良かったと思いながらも、クラスの中で入学当初から才能と腕が良いと皆に尊敬されている安藤と三ツ谷にああ言われて悪い気はしなかった。自分のデザインを面白いと言ってくれる人がいるのなら作ってみてもいいかな何て思ってしまった
授業が終わり二階建ての小さな自宅アパートに帰宅すると、同じクラスの女子生徒と階段下で鉢合わせてお互い小さく頭を下げた。特に仲良くも無いのでそのまますれ違い階段を上がって自宅に入ると鞄を放り、着ていたワンピースを脱ぎ捨ててベッドにダイブした
今日から真剣にコンクールに取り組まないといけないのに眠いしやる気も出ないな。何て我儘な事を考えていると微笑んでいた三ツ谷の顔がぼんやりと浮かんで来る。入学当初からお洒落でイケメンで誰にでも優しいと噂の三ツ谷隆。話した事は無かったから噂だけだったけど今日初めて話してみて何だか噂通りだなと思った。
……三ツ谷を見ていて思い出すのは6年前のまだ中学だった時の事、友達とカラオケに行った帰りに路地裏で暴走族同士の喧嘩を見た。初めて喧嘩を見て少しショックを受けつつも影からずっと覗いていたのは好奇心だったんだと思う。お互いが鼻血を出しながら殴り合う姿をただじっと見つめていた
暫くすると黒い特攻服の男の子が、相手が起き上がって来ない事を確認してからポケットに手を入れてタバコを吸い出した。決着がついたんだなと思いその場を足早に立ち去ろうとすると、「……三ツ谷てめぇ」と悔しそうな台詞を吐き起き上がろうとする白の特攻服の男を横目に私はその場を後にした
サイダーみたいな名前だなと思ったくらいで忘れてたいたけれど、この学校に入学して三ツ谷の名前を聞いた時に喧嘩の事を思い出した。三ツ谷本人を見たら黒髪の真面目な感じだったし、他人の空似だなと思ったけど何となく私の中で声が掛けずらくて同じクラスでも疎遠な感じになっていったと思う
温度を低めに設定したエアコンが効く部屋の中で毛布に包まりながらLINEを開けば、同じアパートの1階に住む皐月からメッセージが入っていた。うちのアパートに住む8割は同じ学校の生徒で、学年が上の人もいるけれど私が知る限り9人は同じアパートに住んでいるのを知っていた。学校から徒歩7分でコンビニとスーパーが隣にあるこのアパートはそんなに広くは無いけれど、うちの学校の生徒に1番人気があると言われたのも今じゃ納得がいっていた
皐月から入っていたメッセージには、今日も飲み会開催17時~24時までと入っていてそれを見て1度伸びをするとシャワーを浴びる為に立ち上がった。皐月の家で毎週土曜日に開かれている飲み会には同じアパートの面子が来ている事が多く、お酒が覚えたての私にとっては酔っ払ってすぐ家に帰れる事がありがたい。
教室で普段話さない子何かもこの飲み会で会うと話したりするし、実際安藤何かはここで知り合って話すようになったから友人がそんなに多くない私にとっては学校よりも皆と交流出来る場所になっていた。
シャワーを浴びてからメイクをすれば既に18時を過ぎてしまっていた。いつもの面子が来るのなら安藤も居る筈だし、コンクールのデザインにもう少しアドバイスでも貰おうかなと思いながら簡単に出来るつまみを作り、冷蔵庫からビールとチューハイを持って家を出て皐月の部屋に向かった
目を薄らと開ければネイビーの遮光カーテンから少しだけ日がこちらに射していて、丁度良く瞼に当たっていた。眩しくて顔を背けると枕から香る香りが何だかいつもと違う気がして目だけで辺りを見渡した。自分の部屋でも皐月の部屋でも無いと分かり、上半身を起こすとサラリと落ちたタオルケットから下着姿の自分を見て一瞬固まってしまう
口の中が乾いていて頭も少しだけ痛い。やっちまったかもしれないと内心バクバクの心臓でモゾっと動いた横の物体に掛かるタオルケットをゆっくりと持ち上げると、目を瞑りすやすやと眠る三ツ谷も服を着ていなかった。「…え…どうしよ……」記憶を探っても何も覚えていなくて、三ツ谷の枕元にある水に静かに手を伸ばした。水を1口に含んでからゆっくりベッドから離れると着ていたワンピースを探したけれど見当たらない
床に落ちていた多分三ツ谷のシャツを着てからトイレに行って用を足すと何だか溜息が出てしまった。トイレから出て、自宅と同じ間取りのリビングに入るとテーブルの上にメモを見つけて手に取った
「 白石さんへ。もし起きて俺が寝てたらシャワー勝手に使って。冷蔵庫に飲み物買ってある。後脱衣場に歯ブラシ置いといたから」
そんなメモを見つけて何だか困惑してしまった。内心三ツ谷優しいし気が利くなと思いながら冷蔵庫に入っているジュースを一気に飲み干してから脱衣場で歯を磨いてシャワーを浴びた。まだ酔っ払っているのか、まともな思考は消えていてシャワーから出ると髪を乾かしてからパンツ丸出しのままベッドにダイブする。三ツ谷と同じタオルケットを自分に掛けると何だか安心する枕の香りに目を瞑った
「…… 白石さん、シャワー浴びたの?」
「……ん。」
「二日酔い平気?」
「頭……ちょっと痛い。……眠い」
「薬飲む?」
「……平気」
目の前から聞こえる三ツ谷の声。普通ならシャワーを浴びて帰宅していたと思う。額に少しかかる息が近さを物語っていて、何だか目は開けれなかった。ウトウトとしながら私は彼に興味があって、まだ一緒に居たいと思ったからベッドに入ったんだなと一人で納得していると、自然に背中に回された手が素肌を撫でてブラジャーのホックを外したのが分かった
「……三ツ谷?何で外すの?」
「起きたら続きしようって話したじゃん」
「…………そうなの?」
「ああ」
スっと体が引き寄せられて額にちゅっと口付けられる。目は開けれなくてどうしていいか分からずにそのまま固まっていた。フッと三ツ谷が薄く笑ったのが分かって恐る恐る目を開けると目の前にある三ツ谷の顔に少し驚いたけれど、私の目を見つめている三ツ谷を何も言わずに見つめ返した
「……続きする?」
「……私昨日の事覚えてないよ」
「じゃあ1からするから大丈夫」
「……三ツ谷って真面目に見えるけど……意外とヤリ手なんだねぇ」
「ははは、真面目に見えるんだ。俺」
ニッコリと笑った三ツ谷に苦笑いを返すと、近づいてきた三ツ谷は私の唇をチロっと舐め上げた。私の顔を見て嫌がらない事を確認すると優しく唇を合わせてから歯の列をなぞるように舐め、ブラジャーの中に手を入れてくる。フワフワと優しく揉まれた膨らみの突起を口に含まれてショーツに入り込んだ手は濡れている事を確認する様に指の腹で上下に摩られる
胸に吸い付く三ツ谷の顔を見ていると、どうしてこんな事になっているんだろうと何だか不思議な気分になってくる。体は気怠いのにいつもよりも敏感な気がするのは気の所為なのか、それとも相手が三ツ谷だからか……
中を探るように入って来た指が弱い所を撫で上げると思わず出てしまう声に三ツ谷は少しだけ嬉しそうな顔をした。「……ここが良いの?」照れくさくて何も返さない私の唇に激しく口付けてくる三ツ谷は学校の印象と大分違って見える。舌をかき回されて、良い所を撫でられると段々と気持ちが良くなって来てそのまま彼の背中に腕を回して果ててしまった
「……もうちょいしていい?」
「えっ?」
「 白石さんが痛かったら嫌だからさ」
私の返事を聞く前に足を持たれて、そのまま果てたばかりの秘部に舌が這い腰がビクンと跳ねた。「や……、三ツ谷……」と恥ずかしさで彼の頭を押そうとしたけれどびくともせずに「大人しくしてて」と言われて、何故かそのまま言う事を聞いてしまった
突起を吸われ秘部に入って来た指が奥を刺激してくる。気持ちが良くて頭が真っ白になりそうで何だか怖かった。ひたすらに喘ぐ事しか出来ない私に、1度口を離した三ツ谷は「 白石さんの体すげぇ……エロい。かわい」って呟いてからまた舌を這わせると、私は我慢が出来なくて頭が真っ白になりながら果ててしまった
ハアハアと肩で息をする私を起こし自分の上に座らせた三ツ谷の物がぎちぎちと中をいっぱいにしていく。体重がかかり、敏感になっている奥に突き上げられると「んんぁぁぁぁ」と自分の高い声が寝室に響いてその口を唇で塞がれてしまう
「…… 白石さん、きもちぃ?」
「う……ん」
「良かった……俺もすげぇ気持ちいい」
「……三ツ谷って……名前なんて言うの?」
「知らねーのかよ……」
「……だから今聞いてるの」
たかしだよって耳元で囁かれて、両手が私の腰を持つと激しく揺さぶられた。彼にしがみついて快楽に浸たっていると、耳元で「たかしって呼んで」と甘くて優しい声がする。その言葉に従う様にたかしって名前を呼べば、唇を奪われそのまま後ろに倒されて何度も奥を突かれて果ててしまう
声も枯れてきてゆっくりと意識が無くなっていく時に「雪那」って名前を呼ばれた様な気がした
ゆっくりと目を開けると体の怠さは余り変わってないけれど、何だか少しスッキリしていた。隣で眠る三ツ谷を見ていると酔いが覚めたからか先程の事を思い出すと少し照れ臭い。
口を開けて眠っている彼の頭を優しく撫でてから起き上がると、床に転がっている下着を着けリビングに向かいワンピースを探す事にした。モノトーンで揃えた家具が三ツ谷らしいな何て思いながらリビングを探してもワンピースは見つからず、脱衣場を探せば乾燥機にかけてあるワンピースが見つかってその場で着替えを済ませるとリビングに向かった
テレビの下に置いてあった自分の鞄を取ってから忘れものが無いかだけ確認して三ツ谷の家を出ると、うちのアパートの下の階だった事に少し笑ってしまう。お腹空いたと思いながら帰宅すると直ぐにご飯を炊いてから簡単にカレーを作りそれをタッパに入れた。もしかしたらまだ寝ているかもしれないけど、寝ていてもリビングに置いてメモだけ書いておくかと思い家を出て三ツ谷の部屋の玄関を開けて中に入れば物音はしなかった
寝室を覗けば暗くて表情は見えないけれど、規則正しい寝息が聞こえてくる。リビングにタッパを置いてから「カレー作ったから食べて」と一言メモを添えて家を出た
部屋に帰りカレーを食べてからシャワーを浴びると何だか疲れがドッと押し寄せた様な気がした。三ツ谷の顔や声を思い出しながらベッドで目を瞑っていると考えたい事が山ほどあるのに気付いたら眠ってしまっていた
朝起きてしっかりと現実に戻り珈琲を口にしながら溜息を吐いた。そういえば何で三ツ谷の家に居たかも分からないし、携帯で皐月から入っていたメッセージには「飲みすぎ~帰りに階段で転ぶなよ~」としか書かれていなかった。いくら思い返しても三ツ谷家で彼と肌を合わせた事以外は全く記憶に無いし、飲み会の記憶が無い
今日学校で皐月に聞いてみるかと思い支度をすると、時間があったのでお弁当を作りいつもより早めに家を出た。コンビニで飲み物を買ってからブラブラと学校まで歩き教室に入るとまだ誰も来ておらず、何だか新鮮な気分がしてくる。窓際に座りボンヤリと携帯ゲームをしていると少しづつ教室内がザワついてきた
「おはよう、雪那」
「あ、皐月」
「ん?何?」
ホームルームギリギリで到着した皐月は私を見てこちらに向かってくる。それに続く様に教室に入って来たのは三ツ谷で、彼はそのままこちらを見ずに席に座ってしまう。私の横に腰を下ろして「んで?何?」と言いながら鞄からノートを取り出した皐月の耳に顔を寄せた
「……土曜日の事何だけど、私何も覚えてないんだよね」
「え?別に普通だったけど……。あー、でも夕飯食べてないって言ってたから酔うの早かったかも」
「私何時に帰った?」
「22時くらいかなぁ……。確か三ツ谷と佐々木と南もそれくらいに帰ったと思う」
「そっか……。」
「何かあった?」
「……起きたら三ツ谷んちに居たからさ」
「はっ???」
目を見開いた皐月は私の顔を穴が空くほど見つめてくる。そんな様子の皐月に少し笑ってしまうと、そう言えば飲み会の時……と小さな声で呟いた彼女は眉を寄せて何やら考えている様な表情をしていた
「……ん?何かあったの?」
「……確か、雪那がフラフラで帰るって言って家出た時に三ツ谷が俺も帰るわって言って出てった気がする」
「……ふーん。じゃあ外で何かあったのかな?危なっかしくて送ってくれたとか?」
「……それより……起きて二人で日曜日を過ごした感想は?」
「……色々感動したかな。優しいし色っぽいし上手いし。三ツ谷に対する評価が凄い変わったかな」
「……優しいのは分かるけど……、上手いって何が上手かったの?」
「えっち」
「………へぇ。三ツ谷って女に興味あるんだ」
「何それ?どうゆう事?」
「小笠原さんから聞いたんだけど、由美子は三ツ谷んちにおしかけて二人でいても手出されなかったらしいよ。」
「由美ちゃんて三ツ谷好きなんだ……」
「気にしなくていんじゃない?由美子はもう彼氏いるし」
「あ、そうなのね。」
「まぁ、由美子がタイプじゃ無かったのかもしれないけど今迄色んな子に告白されて三ツ谷1回もOKしてないから」
「……それは聞いた事あるかも」
「 雪那の事が好きだったんだねぇ。何かそう思うと三ツ谷可愛いじゃん」
そう言って楽しそうに三ツ谷の背中を見る皐月に「話した事無いのに好きになるかな?」と何だか腑に落ちなかったけれど、余り話した事無いのにそうゆう事をしたのは私だって一緒だった。まだクスクスと小さく笑っている皐月を見ながら、三ツ谷はカレー食べたかな何て思っていた
授業が終わり今日から本格的にコンクールに向けて洋服作りをしようと皐月と足りない生地の買い出しに出掛け、足りなそうな道具も貸して貰って家に帰宅したのは日が沈む頃だった。汗をかいたのでシャワーを浴び、体を拭いてから下着を履いているとインターホンが鳴る音が聞こえそのまま下着姿でスコープを覗けばラフな格好の三ツ谷が立っていた
鍵を開けて5cm程扉を開け、顔を覗かせるとギョっとした顔をした三ツ谷は「……今平気?これご馳走さん」と言って紙袋を差し出してくる。それを小さな幅から受け取った
「三ツ谷、カレー美味しかった?」
「……ああ。めっちゃ美味かったけど」
「けど?」
「なんでドア普通に開けねぇの?」
「……服着てないから」
「ああ、風呂?悪ぃ」
「今からステーキ焼くけど食べる?オカンから送られてきたんだけど、毎回美味しいんだよね。」
「マジで?食べる」
「上がっていいよ」
そういえば昨日下着でずっとウロウロしていたし、ベッドの中で裸だったなと思うと羞恥心は何だか消えていって、そのまま扉を開けた。ピンクの下着のみの私を見てギョっとした三ツ谷は直ぐに中に入ると扉を閉めてから鍵を掛け「お前馬鹿か」と呆れ顔で額を小突いてくる。それが地味に痛くて、小突かれた部分を思わず擦ってしまった
「……地味に痛い」
「そんな格好で開けんじゃねぇよ」
「いや、昨日ずっと三ツ谷んちで下着でウロウロしてたから……いいかなって」
「……まぁ、そっか。……いや、駄目だろ」
「まぁ、とりあえず髪の毛乾かしてくるから上がって」
「ああ。……お邪魔します」
脱衣場に入って髪を乾かしていると、コンコンとされたノックに本気で驚いて「はひっ!」と変な声を出したがドライヤーの音で掻き消されたのかドアを開けて三ツ谷を見れば普通の顔をしていた
「どしたの?」
「何か飲み物買ってくるけど何が良い?」
「やった、じゃあジンジャエール」
「前の自販機にジンジャエールねぇから」
「うーん、じゃあ何しよう」
鏡に向き直り、家の前の自販機には何があったか考えながら櫛で髪をとかしていると、ふと鏡越しに目が合った三ツ谷の顔は何だか呆れている様な顔をしていた
「ん?何?」
「……いや、いつも家で裸族だって言ってたけど本当にそうだったんだなって」
「ふふ。そんな話したんだ」
「本当に覚えてねぇんだな」
「……うん。ごめん。何か他に言ってた?私」
小さく笑った私を見て呆れ顔のままこちらに1歩踏み出した三ツ谷と鏡越しのまま目を合わせていた。ゆっくりと三ツ谷の手が伸びて、私の体を後ろから包む様に抱いた三ツ谷はそのまま首筋に顔を埋めるとそっと目を瞑った。長い睫毛が少し揺れて何だかその綺麗な顔立ちに見惚れてしまう
「……三ツ谷?」
「名前……教えただろ」
「たか、し」
「ん」
何も言わずに抱き締め続ける三ツ谷にどうしていいか分からず、ただジッとしていた。何分かするとゆっくりと体は離れ「飲み物買ってくるから服着ろよ」と言って出て行った三ツ谷の背中を見送ると、言われた通りに部屋着のワンピースを着てからエプロンをして乾かしての髪を纏めた。直ぐに帰って来た三ツ谷は服を着た私を見ると優しく笑い、頭を撫でて「いい子」と言って私の唇に触れるだけの口付けを落とした
その瞬間になんだか胸がときめいた様な気がして、気が付けば三ツ谷の腕を掴んでいる自分が居た
「……隆は……私が好きなの?」
「うん」
「…………」
「お前は?俺が好きじゃないの?」
「……好きだと……思う」
「何だよ、曖昧だな」
「話した事もあんまり無かったし……。隆の事少し苦手だったから」
「……中学ん時の事だろ?一昨日話してくれたやつ」
「それも私話したんだ。」
「瓜二つでも別人でも無くアレは俺だよ」
「……やっぱりそうだったんだ」
「嫌いになった?」
「ううん」
フッと鼻で笑った隆は私が掴んでいる手を握るともう一方の手で私を抱き寄せる。ついばむように唇を優しく吸われて「ん」と小さく声を出せば腰を掴んでいた手はゆっくりと服の中に入りブラジャー越しに胸を撫でてくる
「…タカシくん………ストップ」
「何で?……いや?」
「嫌じゃないよ。ご飯作るから後でね」
「飯の後ならいいの?」
「あー、ご飯食べたらコンクールの服作らなきゃ」
「あぁ、俺で良かったら手伝うよ」
「本当に?」
実はあの難しそうなデザインにチャレンジしてみたかったんだよな。とワクワクしている隆を見ているとコンクールが面倒だとか思わなくなっている自分に気付いて少し笑ってしまった。いまだに私の腰に手を回し頬や額に口付けしてくる隆は「ステーキと雪那を食べるのが楽しみ」と言って悪戯っ子みたいに歯を出して笑った
付き合ってとかも言われていないけれど、今はこの関係を楽しんでみたい。彼には惹かれるものがあるし何だか魅力的でもっと隆を知りたい、そんな事を考えると久しぶりにワクワクしてきて彼の唇に優しく口付けしてから微笑んだ
ノートに描いたデザインはいつか自分で着てみたかったデザインだけど、こんなエレガントで日常から外れた様な服誰が着るんだよと描いていて少し面白くなってきて1人小さく吹き出してしまう。その小さな笑い声に斜め前の席に座る安藤が私の方を向いた
「白石 、何でウケてんの?」
「……うーん。着たい服をデザインしたんだけどさぁ……。作ってみたら奇抜過ぎて着こなせないとおもうし。普通に見ると何か変なデザインかなと……」
「なんだそれ」と呆れた様に笑う安藤は立ち上がると私のノートに手を伸ばす。安藤はこのデザイン見て何て言うかなと内心少しだけワクワクしていると、ノートを見ながら口を開いた安藤の一言は以外に真面目な答えだった
「……これ多分、作るのがかなり難しい……と思う。繊細過ぎてコンクールまでに間に合うかな」
「……ああ、なら他のにするよ。簡単な物も何枚かスケッチしてあるし」
「えっ?これが作りたいんじゃねーの?」
「うーん。別に……」
「なんだそれ……デザインは良いから、作ったら面白いと思うんだけど……。モデル探すの大変な服だよな」
「そうなの。バービーちゃんみたいに手足長くないと着こなせない」
フッとお手上げみたいな顔で鼻で笑った私を見て、安藤は何かを思い付いた様な顔をすると後ろを振り返り「三ツ谷!ちょっと来て」と教室全体に聞こえる様な大きな声を出した。その声でこちらを向いた三ツ谷を手招きすると、「ん?何?」と言いながらこちらに向かって来る三ツ谷は安藤が渡した私のノートを受け取ると真剣な表情でページを見つめていた
「……これ、白石さんのデザイン?」
「うん」
「へぇ、面白いデザイン描くね。この部分の刺繍ってどうすんの?重ねるの?」
「レースを重ねて……と思ったんだけど」
「ん?」
「安藤がアドバイスくれたんだけど、期限に間に合わないかなって」
「三ツ谷どう思う?けっこう難しくね?」
「……何とも言えねぇけど、作ってみたら? 」
「うーん。間に合わなかったら間に合わなかったで途中で色々変更してもいいしね」
「それも面白いかもよ」
「絶対このデザイン良いよ、他のに変えんなよ白石 」
柔らかく微笑んだ三ツ谷は「頑張って」と言うと私達に背中を向けて席に戻ってしまう。「やってみろよ 、三ツ谷もああ言ってたし」と言った安藤に小さく頷くと安藤も自分の席に戻って行った。面倒だからもっと簡単なデザインを2人に見せれば良かったと思いながらも、クラスの中で入学当初から才能と腕が良いと皆に尊敬されている安藤と三ツ谷にああ言われて悪い気はしなかった。自分のデザインを面白いと言ってくれる人がいるのなら作ってみてもいいかな何て思ってしまった
授業が終わり二階建ての小さな自宅アパートに帰宅すると、同じクラスの女子生徒と階段下で鉢合わせてお互い小さく頭を下げた。特に仲良くも無いのでそのまますれ違い階段を上がって自宅に入ると鞄を放り、着ていたワンピースを脱ぎ捨ててベッドにダイブした
今日から真剣にコンクールに取り組まないといけないのに眠いしやる気も出ないな。何て我儘な事を考えていると微笑んでいた三ツ谷の顔がぼんやりと浮かんで来る。入学当初からお洒落でイケメンで誰にでも優しいと噂の三ツ谷隆。話した事は無かったから噂だけだったけど今日初めて話してみて何だか噂通りだなと思った。
……三ツ谷を見ていて思い出すのは6年前のまだ中学だった時の事、友達とカラオケに行った帰りに路地裏で暴走族同士の喧嘩を見た。初めて喧嘩を見て少しショックを受けつつも影からずっと覗いていたのは好奇心だったんだと思う。お互いが鼻血を出しながら殴り合う姿をただじっと見つめていた
暫くすると黒い特攻服の男の子が、相手が起き上がって来ない事を確認してからポケットに手を入れてタバコを吸い出した。決着がついたんだなと思いその場を足早に立ち去ろうとすると、「……三ツ谷てめぇ」と悔しそうな台詞を吐き起き上がろうとする白の特攻服の男を横目に私はその場を後にした
サイダーみたいな名前だなと思ったくらいで忘れてたいたけれど、この学校に入学して三ツ谷の名前を聞いた時に喧嘩の事を思い出した。三ツ谷本人を見たら黒髪の真面目な感じだったし、他人の空似だなと思ったけど何となく私の中で声が掛けずらくて同じクラスでも疎遠な感じになっていったと思う
温度を低めに設定したエアコンが効く部屋の中で毛布に包まりながらLINEを開けば、同じアパートの1階に住む皐月からメッセージが入っていた。うちのアパートに住む8割は同じ学校の生徒で、学年が上の人もいるけれど私が知る限り9人は同じアパートに住んでいるのを知っていた。学校から徒歩7分でコンビニとスーパーが隣にあるこのアパートはそんなに広くは無いけれど、うちの学校の生徒に1番人気があると言われたのも今じゃ納得がいっていた
皐月から入っていたメッセージには、今日も飲み会開催17時~24時までと入っていてそれを見て1度伸びをするとシャワーを浴びる為に立ち上がった。皐月の家で毎週土曜日に開かれている飲み会には同じアパートの面子が来ている事が多く、お酒が覚えたての私にとっては酔っ払ってすぐ家に帰れる事がありがたい。
教室で普段話さない子何かもこの飲み会で会うと話したりするし、実際安藤何かはここで知り合って話すようになったから友人がそんなに多くない私にとっては学校よりも皆と交流出来る場所になっていた。
シャワーを浴びてからメイクをすれば既に18時を過ぎてしまっていた。いつもの面子が来るのなら安藤も居る筈だし、コンクールのデザインにもう少しアドバイスでも貰おうかなと思いながら簡単に出来るつまみを作り、冷蔵庫からビールとチューハイを持って家を出て皐月の部屋に向かった
目を薄らと開ければネイビーの遮光カーテンから少しだけ日がこちらに射していて、丁度良く瞼に当たっていた。眩しくて顔を背けると枕から香る香りが何だかいつもと違う気がして目だけで辺りを見渡した。自分の部屋でも皐月の部屋でも無いと分かり、上半身を起こすとサラリと落ちたタオルケットから下着姿の自分を見て一瞬固まってしまう
口の中が乾いていて頭も少しだけ痛い。やっちまったかもしれないと内心バクバクの心臓でモゾっと動いた横の物体に掛かるタオルケットをゆっくりと持ち上げると、目を瞑りすやすやと眠る三ツ谷も服を着ていなかった。「…え…どうしよ……」記憶を探っても何も覚えていなくて、三ツ谷の枕元にある水に静かに手を伸ばした。水を1口に含んでからゆっくりベッドから離れると着ていたワンピースを探したけれど見当たらない
床に落ちていた多分三ツ谷のシャツを着てからトイレに行って用を足すと何だか溜息が出てしまった。トイレから出て、自宅と同じ間取りのリビングに入るとテーブルの上にメモを見つけて手に取った
「 白石さんへ。もし起きて俺が寝てたらシャワー勝手に使って。冷蔵庫に飲み物買ってある。後脱衣場に歯ブラシ置いといたから」
そんなメモを見つけて何だか困惑してしまった。内心三ツ谷優しいし気が利くなと思いながら冷蔵庫に入っているジュースを一気に飲み干してから脱衣場で歯を磨いてシャワーを浴びた。まだ酔っ払っているのか、まともな思考は消えていてシャワーから出ると髪を乾かしてからパンツ丸出しのままベッドにダイブする。三ツ谷と同じタオルケットを自分に掛けると何だか安心する枕の香りに目を瞑った
「…… 白石さん、シャワー浴びたの?」
「……ん。」
「二日酔い平気?」
「頭……ちょっと痛い。……眠い」
「薬飲む?」
「……平気」
目の前から聞こえる三ツ谷の声。普通ならシャワーを浴びて帰宅していたと思う。額に少しかかる息が近さを物語っていて、何だか目は開けれなかった。ウトウトとしながら私は彼に興味があって、まだ一緒に居たいと思ったからベッドに入ったんだなと一人で納得していると、自然に背中に回された手が素肌を撫でてブラジャーのホックを外したのが分かった
「……三ツ谷?何で外すの?」
「起きたら続きしようって話したじゃん」
「…………そうなの?」
「ああ」
スっと体が引き寄せられて額にちゅっと口付けられる。目は開けれなくてどうしていいか分からずにそのまま固まっていた。フッと三ツ谷が薄く笑ったのが分かって恐る恐る目を開けると目の前にある三ツ谷の顔に少し驚いたけれど、私の目を見つめている三ツ谷を何も言わずに見つめ返した
「……続きする?」
「……私昨日の事覚えてないよ」
「じゃあ1からするから大丈夫」
「……三ツ谷って真面目に見えるけど……意外とヤリ手なんだねぇ」
「ははは、真面目に見えるんだ。俺」
ニッコリと笑った三ツ谷に苦笑いを返すと、近づいてきた三ツ谷は私の唇をチロっと舐め上げた。私の顔を見て嫌がらない事を確認すると優しく唇を合わせてから歯の列をなぞるように舐め、ブラジャーの中に手を入れてくる。フワフワと優しく揉まれた膨らみの突起を口に含まれてショーツに入り込んだ手は濡れている事を確認する様に指の腹で上下に摩られる
胸に吸い付く三ツ谷の顔を見ていると、どうしてこんな事になっているんだろうと何だか不思議な気分になってくる。体は気怠いのにいつもよりも敏感な気がするのは気の所為なのか、それとも相手が三ツ谷だからか……
中を探るように入って来た指が弱い所を撫で上げると思わず出てしまう声に三ツ谷は少しだけ嬉しそうな顔をした。「……ここが良いの?」照れくさくて何も返さない私の唇に激しく口付けてくる三ツ谷は学校の印象と大分違って見える。舌をかき回されて、良い所を撫でられると段々と気持ちが良くなって来てそのまま彼の背中に腕を回して果ててしまった
「……もうちょいしていい?」
「えっ?」
「 白石さんが痛かったら嫌だからさ」
私の返事を聞く前に足を持たれて、そのまま果てたばかりの秘部に舌が這い腰がビクンと跳ねた。「や……、三ツ谷……」と恥ずかしさで彼の頭を押そうとしたけれどびくともせずに「大人しくしてて」と言われて、何故かそのまま言う事を聞いてしまった
突起を吸われ秘部に入って来た指が奥を刺激してくる。気持ちが良くて頭が真っ白になりそうで何だか怖かった。ひたすらに喘ぐ事しか出来ない私に、1度口を離した三ツ谷は「 白石さんの体すげぇ……エロい。かわい」って呟いてからまた舌を這わせると、私は我慢が出来なくて頭が真っ白になりながら果ててしまった
ハアハアと肩で息をする私を起こし自分の上に座らせた三ツ谷の物がぎちぎちと中をいっぱいにしていく。体重がかかり、敏感になっている奥に突き上げられると「んんぁぁぁぁ」と自分の高い声が寝室に響いてその口を唇で塞がれてしまう
「…… 白石さん、きもちぃ?」
「う……ん」
「良かった……俺もすげぇ気持ちいい」
「……三ツ谷って……名前なんて言うの?」
「知らねーのかよ……」
「……だから今聞いてるの」
たかしだよって耳元で囁かれて、両手が私の腰を持つと激しく揺さぶられた。彼にしがみついて快楽に浸たっていると、耳元で「たかしって呼んで」と甘くて優しい声がする。その言葉に従う様にたかしって名前を呼べば、唇を奪われそのまま後ろに倒されて何度も奥を突かれて果ててしまう
声も枯れてきてゆっくりと意識が無くなっていく時に「雪那」って名前を呼ばれた様な気がした
ゆっくりと目を開けると体の怠さは余り変わってないけれど、何だか少しスッキリしていた。隣で眠る三ツ谷を見ていると酔いが覚めたからか先程の事を思い出すと少し照れ臭い。
口を開けて眠っている彼の頭を優しく撫でてから起き上がると、床に転がっている下着を着けリビングに向かいワンピースを探す事にした。モノトーンで揃えた家具が三ツ谷らしいな何て思いながらリビングを探してもワンピースは見つからず、脱衣場を探せば乾燥機にかけてあるワンピースが見つかってその場で着替えを済ませるとリビングに向かった
テレビの下に置いてあった自分の鞄を取ってから忘れものが無いかだけ確認して三ツ谷の家を出ると、うちのアパートの下の階だった事に少し笑ってしまう。お腹空いたと思いながら帰宅すると直ぐにご飯を炊いてから簡単にカレーを作りそれをタッパに入れた。もしかしたらまだ寝ているかもしれないけど、寝ていてもリビングに置いてメモだけ書いておくかと思い家を出て三ツ谷の部屋の玄関を開けて中に入れば物音はしなかった
寝室を覗けば暗くて表情は見えないけれど、規則正しい寝息が聞こえてくる。リビングにタッパを置いてから「カレー作ったから食べて」と一言メモを添えて家を出た
部屋に帰りカレーを食べてからシャワーを浴びると何だか疲れがドッと押し寄せた様な気がした。三ツ谷の顔や声を思い出しながらベッドで目を瞑っていると考えたい事が山ほどあるのに気付いたら眠ってしまっていた
朝起きてしっかりと現実に戻り珈琲を口にしながら溜息を吐いた。そういえば何で三ツ谷の家に居たかも分からないし、携帯で皐月から入っていたメッセージには「飲みすぎ~帰りに階段で転ぶなよ~」としか書かれていなかった。いくら思い返しても三ツ谷家で彼と肌を合わせた事以外は全く記憶に無いし、飲み会の記憶が無い
今日学校で皐月に聞いてみるかと思い支度をすると、時間があったのでお弁当を作りいつもより早めに家を出た。コンビニで飲み物を買ってからブラブラと学校まで歩き教室に入るとまだ誰も来ておらず、何だか新鮮な気分がしてくる。窓際に座りボンヤリと携帯ゲームをしていると少しづつ教室内がザワついてきた
「おはよう、雪那」
「あ、皐月」
「ん?何?」
ホームルームギリギリで到着した皐月は私を見てこちらに向かってくる。それに続く様に教室に入って来たのは三ツ谷で、彼はそのままこちらを見ずに席に座ってしまう。私の横に腰を下ろして「んで?何?」と言いながら鞄からノートを取り出した皐月の耳に顔を寄せた
「……土曜日の事何だけど、私何も覚えてないんだよね」
「え?別に普通だったけど……。あー、でも夕飯食べてないって言ってたから酔うの早かったかも」
「私何時に帰った?」
「22時くらいかなぁ……。確か三ツ谷と佐々木と南もそれくらいに帰ったと思う」
「そっか……。」
「何かあった?」
「……起きたら三ツ谷んちに居たからさ」
「はっ???」
目を見開いた皐月は私の顔を穴が空くほど見つめてくる。そんな様子の皐月に少し笑ってしまうと、そう言えば飲み会の時……と小さな声で呟いた彼女は眉を寄せて何やら考えている様な表情をしていた
「……ん?何かあったの?」
「……確か、雪那がフラフラで帰るって言って家出た時に三ツ谷が俺も帰るわって言って出てった気がする」
「……ふーん。じゃあ外で何かあったのかな?危なっかしくて送ってくれたとか?」
「……それより……起きて二人で日曜日を過ごした感想は?」
「……色々感動したかな。優しいし色っぽいし上手いし。三ツ谷に対する評価が凄い変わったかな」
「……優しいのは分かるけど……、上手いって何が上手かったの?」
「えっち」
「………へぇ。三ツ谷って女に興味あるんだ」
「何それ?どうゆう事?」
「小笠原さんから聞いたんだけど、由美子は三ツ谷んちにおしかけて二人でいても手出されなかったらしいよ。」
「由美ちゃんて三ツ谷好きなんだ……」
「気にしなくていんじゃない?由美子はもう彼氏いるし」
「あ、そうなのね。」
「まぁ、由美子がタイプじゃ無かったのかもしれないけど今迄色んな子に告白されて三ツ谷1回もOKしてないから」
「……それは聞いた事あるかも」
「 雪那の事が好きだったんだねぇ。何かそう思うと三ツ谷可愛いじゃん」
そう言って楽しそうに三ツ谷の背中を見る皐月に「話した事無いのに好きになるかな?」と何だか腑に落ちなかったけれど、余り話した事無いのにそうゆう事をしたのは私だって一緒だった。まだクスクスと小さく笑っている皐月を見ながら、三ツ谷はカレー食べたかな何て思っていた
授業が終わり今日から本格的にコンクールに向けて洋服作りをしようと皐月と足りない生地の買い出しに出掛け、足りなそうな道具も貸して貰って家に帰宅したのは日が沈む頃だった。汗をかいたのでシャワーを浴び、体を拭いてから下着を履いているとインターホンが鳴る音が聞こえそのまま下着姿でスコープを覗けばラフな格好の三ツ谷が立っていた
鍵を開けて5cm程扉を開け、顔を覗かせるとギョっとした顔をした三ツ谷は「……今平気?これご馳走さん」と言って紙袋を差し出してくる。それを小さな幅から受け取った
「三ツ谷、カレー美味しかった?」
「……ああ。めっちゃ美味かったけど」
「けど?」
「なんでドア普通に開けねぇの?」
「……服着てないから」
「ああ、風呂?悪ぃ」
「今からステーキ焼くけど食べる?オカンから送られてきたんだけど、毎回美味しいんだよね。」
「マジで?食べる」
「上がっていいよ」
そういえば昨日下着でずっとウロウロしていたし、ベッドの中で裸だったなと思うと羞恥心は何だか消えていって、そのまま扉を開けた。ピンクの下着のみの私を見てギョっとした三ツ谷は直ぐに中に入ると扉を閉めてから鍵を掛け「お前馬鹿か」と呆れ顔で額を小突いてくる。それが地味に痛くて、小突かれた部分を思わず擦ってしまった
「……地味に痛い」
「そんな格好で開けんじゃねぇよ」
「いや、昨日ずっと三ツ谷んちで下着でウロウロしてたから……いいかなって」
「……まぁ、そっか。……いや、駄目だろ」
「まぁ、とりあえず髪の毛乾かしてくるから上がって」
「ああ。……お邪魔します」
脱衣場に入って髪を乾かしていると、コンコンとされたノックに本気で驚いて「はひっ!」と変な声を出したがドライヤーの音で掻き消されたのかドアを開けて三ツ谷を見れば普通の顔をしていた
「どしたの?」
「何か飲み物買ってくるけど何が良い?」
「やった、じゃあジンジャエール」
「前の自販機にジンジャエールねぇから」
「うーん、じゃあ何しよう」
鏡に向き直り、家の前の自販機には何があったか考えながら櫛で髪をとかしていると、ふと鏡越しに目が合った三ツ谷の顔は何だか呆れている様な顔をしていた
「ん?何?」
「……いや、いつも家で裸族だって言ってたけど本当にそうだったんだなって」
「ふふ。そんな話したんだ」
「本当に覚えてねぇんだな」
「……うん。ごめん。何か他に言ってた?私」
小さく笑った私を見て呆れ顔のままこちらに1歩踏み出した三ツ谷と鏡越しのまま目を合わせていた。ゆっくりと三ツ谷の手が伸びて、私の体を後ろから包む様に抱いた三ツ谷はそのまま首筋に顔を埋めるとそっと目を瞑った。長い睫毛が少し揺れて何だかその綺麗な顔立ちに見惚れてしまう
「……三ツ谷?」
「名前……教えただろ」
「たか、し」
「ん」
何も言わずに抱き締め続ける三ツ谷にどうしていいか分からず、ただジッとしていた。何分かするとゆっくりと体は離れ「飲み物買ってくるから服着ろよ」と言って出て行った三ツ谷の背中を見送ると、言われた通りに部屋着のワンピースを着てからエプロンをして乾かしての髪を纏めた。直ぐに帰って来た三ツ谷は服を着た私を見ると優しく笑い、頭を撫でて「いい子」と言って私の唇に触れるだけの口付けを落とした
その瞬間になんだか胸がときめいた様な気がして、気が付けば三ツ谷の腕を掴んでいる自分が居た
「……隆は……私が好きなの?」
「うん」
「…………」
「お前は?俺が好きじゃないの?」
「……好きだと……思う」
「何だよ、曖昧だな」
「話した事もあんまり無かったし……。隆の事少し苦手だったから」
「……中学ん時の事だろ?一昨日話してくれたやつ」
「それも私話したんだ。」
「瓜二つでも別人でも無くアレは俺だよ」
「……やっぱりそうだったんだ」
「嫌いになった?」
「ううん」
フッと鼻で笑った隆は私が掴んでいる手を握るともう一方の手で私を抱き寄せる。ついばむように唇を優しく吸われて「ん」と小さく声を出せば腰を掴んでいた手はゆっくりと服の中に入りブラジャー越しに胸を撫でてくる
「…タカシくん………ストップ」
「何で?……いや?」
「嫌じゃないよ。ご飯作るから後でね」
「飯の後ならいいの?」
「あー、ご飯食べたらコンクールの服作らなきゃ」
「あぁ、俺で良かったら手伝うよ」
「本当に?」
実はあの難しそうなデザインにチャレンジしてみたかったんだよな。とワクワクしている隆を見ているとコンクールが面倒だとか思わなくなっている自分に気付いて少し笑ってしまった。いまだに私の腰に手を回し頬や額に口付けしてくる隆は「ステーキと雪那を食べるのが楽しみ」と言って悪戯っ子みたいに歯を出して笑った
付き合ってとかも言われていないけれど、今はこの関係を楽しんでみたい。彼には惹かれるものがあるし何だか魅力的でもっと隆を知りたい、そんな事を考えると久しぶりにワクワクしてきて彼の唇に優しく口付けしてから微笑んだ
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