短編 シリーズ
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授業が全て終わり明日の宿題がある教科書だけ鞄に詰めてから席を立った。教室を出ようとした所で右腕が軽く掴まれ、振り返れば何だか何とも言えない様な顔をした林田が私の腕を掴んでいた
「……どしたの?」
「……さっき言ってたのマジ?」
「ん?……昼のならマジだよ」
「これはただのキスマークだから」と昼休みに言った事かと思い出して少しだけ私が笑ってしまうと、「誰にされたんだ?」と何だか興味津々な目をしながら聞いてきた林田に「……三ツ谷だよ、じゃあね」と言って廊下に出た。後ろから「マジかよぉぉ」と雄叫びみたいな声がしてクスクス笑いながら昇降口に向かい靴を履いて直ぐに学校を出た
安売りのスーパーでキャベツと適当に副菜の材料を買ってから自宅に戻ると1時間も経たない内に入ってきた三ツ谷からのLINEには「今から行っていい?」と入っていたので「大丈夫だよ。鍵開けとくね」と返した
そこでハッとして直ぐにシャワーを浴びてから可愛らしい部屋着に着替えて、せっかくメイクを落としたのにまた薄くメイクし直してから鏡で何回もチェックする自分に少しだけ可笑しくなった。何だか恋してるんだなって思ったらしっくり来てしまって少しだけ顔が緩んだ気がした
それから少しして玄関のドアが開き「お邪魔します」と声が聞こえてからリビングに入って来た三ツ谷は私服だったので「家に1回帰ったの?」と聞くと「汗臭かったから」と言って笑う姿に何だか一緒なのかなって少しだけ嬉しくなってしまう
「まだ夕飯まで時間あるから映画でも見る?」
「ああ。……あのさ、俺煙草忘れてった?」
「うん、庭にあるよ。ちょっと待ってて」
リビングの窓を開けて庭に出て手招きすると三ツ谷はこちらに来てから「庭広いな」と言いながら辺りを見回していた。ベンチの横にある小さな箱から煙草を取り出して渡すと、中を見た三ツ谷は私を見て「半分ねぇじゃん」と言ったので「吸っちゃった」とケラケラ笑うと呆れた様な顔をしながら1本取り出した
「体に悪ぃからあんまり吸うなよ」
「三ツ谷もね」
「…………へいへい」
そう言いながら煙草に火をつけてベンチに座った三ツ谷の隣に座ってのんびりと夕日を見ていると、何だか何も話していないけれど、この時間が凄く良い時間に感じて来て三ツ谷の肩に軽く頭を預けた
「ん?」
「一昨日の三ツ谷の真似して甘えん坊してんの」
「……俺そんなに甘えてた?」
「聞きたい?録音してあるよ」
「……何で録音何てしてんだよ」
「後で聞かせてみようかなって思って」
ポケットから携帯を取り出した私を見て「……聞きたくねぇけど聞きてぇ」と言って苦い顔をしている三ツ谷を無視して再生ボタンを押すと、初っ端から「暑い、抱き締めて白石さん」と訳の分からない事を言っている自分の声を聞いてゴボゴホと煙を吐きながら噎せ返る三ツ谷の背中を擦りながらゲラゲラ笑ってしまった
「…甘えん坊とゆうより…何か変態みたいだな」
「変態では無いけどね」
暫く聞いていると、「責任取るから」と言った三ツ谷の声で録音は切れて私はポケットに携帯をしまった。いまだにガックリして俯きながら煙草を吸っている三ツ谷を見ながら、映画は何を見ようかな何て考えていると携帯を入れた手が優しく三ツ谷の手に包まれて私は顔を彼に向ける。真面目な顔で私を見つめている三ツ谷に首を傾げると、何だか言いずらそうにしている三ツ谷にどうしたの?と声を掛けたが返事は無い
暫くそうしていると、手を引かれて胸に閉じ込められて胸がドキドキと高鳴った
「……三ツ谷?」
「色々ごめんな。泣かせて本当に悪ぃ」
「…………」
「俺さ、本当にあんまり覚えて無くて申し訳無くてさ。せっかく朝飯作ってくれたのにあの日も合わせてる顔無くて帰っちゃってマジ悪かったなって」
「……大丈夫だよ。もう……今は平気」
「……引かないで聞いてくれる?」
「……何?」
「……覚えて無いから実感無くてさ……。もし嫌じゃ無かったらもう1回抱いても良い?」
「……1回なの?」
「いや、1回は言い方おかしいか。リベンジして良い?」
「リベンジも可笑しいよね?」
そう言って笑った私に三ツ谷は「また変な言い方しちまった」と言って下を向いた。そんな三ツ谷を見ていて、胸の内を話してくれた彼に私も色々思った事を何だか話したくなった
「……あのさ。引かないで聞いてくれる?」
「…ん?…何?」
「私……あれからずっと考えててさ。……三ツ谷にまた可愛いって言われて色んな所にキスされたいなとか。学校で見れない三ツ谷の気持ちよさそうな顔見たいなとか……思ってた」
「…… 白石さん。それは反則だろ」
「……そうなの?ちょっと変態かな?」
「まてまて、何でそうなるんだよ」
違げぇからと言った三ツ谷の顔はお酒を飲んで無いのに少しだけ赤かった。首を傾げた私を見て覆うように手を自身の顔に置いた三ツ谷はハアと小さく溜息を付いてからそのまま動かなくなってしまう
「……後ね、もう1個だけ三ツ谷に言いたい」
「……何?」
「……後1回だけはちょっと寂しいな。」
「いや、ラスト1回とかの意味じゃねぇから」
「……そうなのか。最後かと思った」
「…………」
何だか黙ってしまった三ツ谷は煙草の火を消してからポケットから取り出した携帯灰皿に吸殻を入れた。私を見てまた小さく溜息を付くと、「キスしていい?」と聞いてきた三ツ谷に小さく頷いた。目を瞑った私の頬に優しく温かい手が添えられて唇に口付けされる
セブンスターの匂いしかしないけれど、何だか幸せな気持ちで胸がいっぱいになって頬にある彼の手に自分の手を重ねると三ツ谷の顔が少しだけ角度を変えて深く唇が重なった
何分そうしていたか分からないけれど、ゆっくりと唇が離れて背中に回された腕が私を強く抱き締めた。彼の首に顔を埋めて背中に手を回すと自分の首筋にあるキスマークを思い出して、ふと悪戯心が芽生えてしまい自分と同じ場所に唇を付けて痕が付くように吸い付いた
「……おぃ、何やってんの?」
「……………………」
「……もしかして仕返しか?」
「………………出来たかな?」
「……やっぱり仕返しじゃねぇか」
唇を離すとくっきりと残る痣に初体験で感動したけれど、三ツ谷に付いていると普通に殴られた跡に見えるのは何故だろうか
「……三ツ谷だと殴られた痣に見える……」
「……まぁ、皆そう思うだろうな」
「ふふ。じゃあ私達の秘密ね」
「………白石さんは本当にちょいちょい可愛いよな」
「……何か照れるからやめて」
二人でそんな話をしていると、「腹減ってきたな」と言って私の両頬を優しく摘んでくる三ツ谷に軽く笑いベンチから立ち上がりキッチンに向かった。エプロンの紐を結んでから冷蔵庫から取り出した唐揚げは1度揚げてあるし、キャベツの千切りは水洗いしてペーパーに包んである。先程作った味噌汁と煮物を温め直していると三ツ谷はこちらに来て「手伝うよ」と言ってくれた
「……三ツ谷って手芸部だったっけ?もしかして料理とかも出来る?」
「まぁな。……唐揚げ2度揚げする?」
「じゃあ、お願いしちゃおうかな」
男らしい三ツ谷から唐揚げ2度揚げ何て言葉を聞くとは思わなかったなと少し不思議だった。偏見かもしれないけど暴走族の男の子が家事が出来たり、手芸が得意なんて夢にも思わなかったからだ。慣れた手付きで唐揚げを揚げて行く三ツ谷に油が落とせるトレーを渡すと「うちはこれがねぇからキッチンペーパーで油取ってる」と言った三ツ谷に目を丸くした
「けっこう家で料理してるんだね」
「ああ、母ちゃん仕事忙しいし妹が二人いて小さいからな」
「……そっか」
「まぁ、でも可愛いよ妹。寝起き悪ぃしグズると面倒だけどな」
「……私もグズると面倒な女だよ」
「ぷっ、グズったりするんだ」
「ふふふ、三ツ谷も酔うとあんなだしね」
「……おいマジでやめろよ。かなり恥ずかしいんだからよ」
「……でも。……あんな感じだったから今こうして一緒に居られてる。あれが無かったら私三ツ谷の傍にいたいって思わなかったから」
「……ふーん。しなかったら意識もしなかったって事?」
「うーん。何かしてる時に愛情ある言葉を沢山くれたから……単純だけど……意識しちゃったのかな。学校では接点が無いからね」
「……何て言ってたのかまた恥ずかしくて聞けねぇ」
「そこは普通に可愛いとか、痛くない?とか気遣いの言葉だったから全然変な事じゃないよ」
「…… 白石さんはさ、俺が酔うと誰にでも迫る様な男に見えただろ?……何で嫌いにならなかったんだ?」
少しだけ真面目な顔に戻った三ツ谷は菜箸で唐揚げをお皿に上げていて、私と目を合わせようともして来ない。誰にでも迫る男に見えたと今言われて考えたけれど、確かにもしも私以外の女の子があの時酒を飲ませていてもそうなっていただろうか。……好きとも言われて無いしリベンジさせてとしか言ってこない三ツ谷は私をセフレと思っているんだろうか。セフレでも毎日こんなに楽しくなるなら別に良いのか?良くは無い気がするけれど三ツ谷とは離れたくは無いと思ってしまう自分が居た
「……唐揚揚がった」
「……ああ、ごめん。今盛り付けるから座っててね」
バラエティ番組を見ながら二人でご飯を食べてケラケラ笑っていると先程の事は余り気にならなくなっていた。食べ終わった食器を洗ってくれている三ツ谷にお礼を言ってから布巾でテーブル拭いているとふと目に入った時計は19時半を指していた
「三ツ谷時間平気なの?」
「ん?ああ。白石さんは時間平気?」
「私は宿題やるくらいで特に何も無いから大丈夫だよ」
「やべ、宿題忘れてた」
洗い物が済んだのかソファに座った三ツ谷に冷蔵庫から取り出したペットボトルのジュースを渡すと「これは酒入ってねぇよな?」と目を細めたので少し笑ってしまう
「まだ昨日のお酒1本あるよ」
「……飲まねぇよ」
「私飲んでみようかなぁ。冷やしてあるし」
「……俺のあの姿見て飲むのかよ……。チャレンジャーだな」
「私にとっては以外に可愛かったから」
「…………」
黙った三ツ谷の姿に笑いを堪えながら冷蔵庫から缶を取り出し一昨日買ったお酒の蓋を開けた。鼻を近付けて匂いを嗅ぐと、三ツ谷の唇からした香りがして躊躇無く中身を半分飲み干す。「おいおい勢い良過ぎだろ」とソファから身を乗り出して心配する三ツ谷に「毒じゃないんだから大丈夫だよ」と言って微笑んだ
喉を通り過ぎたアルコールは少しだけポカポカする位で特に何とも無い。内心つまらないなと思いながら缶を持ち三ツ谷の隣に腰掛けた
「……大丈夫か?」
「私は大丈夫みたい。喉が暖かいくらいかなぁ」
「ふーん。人によるのか?」
「後半分あるから三ツ谷にあげるよ」
「……お前楽しんでるだろ」
「……実はちょっと」
ふふっと小さく笑った私に三ツ谷は差し出された缶を見ると少しだけ口流し込んだ。「……美味いな」と言って残りを飲み干そうとした三ツ谷に「ゆっくり飲みなよ、あの時も一気したから良くなかったんじゃない?」と言えば1度手を止めた三ツ谷は1口飲んでからテーブルにゆっくりと缶を置いた
「……映画でも見る?宿題やる?」
「宿題やる気分じゃ無くね?」
「あ、三ツ谷アイス食べようよ」
「ああ、何か貰ってばっかでごめんな」
「全然」と言ってソファから立ち上がり冷凍庫から2本取り出したアイスを持ちまたソファに座った。1つを三ツ谷に渡してからピリピリと包装紙を破り口に入れるとテレビのリモコンを手に取った。「三ツ谷ってアクション好き?」そう聞いても返事が無いので適当に映画を選んでいると「…… 白石さん。熱い」と甘えた様に声を出した三ツ谷の声にハッとした
「……目が半分になってる……三ツ谷眠い?」
「……ああ。何か急に眠いしあちぃ」
「お酒弱いんだね。……良かったら膝で寝る?」
「…………寝たくねぇけど膝で寝る」
もう目が開いてない三ツ谷の頭を撫でると、膝では無く体重をかけて胸に被さって来た彼の背を優しく摩った。暫くそうしていると私の肩口から顔を上げた三ツ谷は私の唇に優しく口付けしてから背中をキツく抱き締めてくる
「……やっぱ寝たくねぇな」
「…………まだ熱い?」
「平気」
小さな声で触って良い?と聞かれて頷くと三ツ谷の柔らかい唇が耳を甘噛みして来てくすぐったくて身を捩る。ふふっと少し笑ってしまった私の服の中に手を入れた三ツ谷はブラジャーのホックを片手で外すと優しい手付きで胸を撫でてから先端を指で刺激してくる
「……ん」
一昨日とは違って何だか少しだけリラックスしていた
胸の先端に口付けする三ツ谷の頭に口付けしながら彼のシャツに手を入れて汗ばんだ背中を撫でた。胸の先端を舐められながらスカートに入ってきた手が突起に軽く触れただけで腰がピクっと反応してしまう
「…なぁ…一昨日って痛かった?」
「ううん……凄い時間かけてくれたし優しかったから痛くは無かった」
「……痛くは無かったけど?……どうだった?」
「……気持ちよくは無かったかな」
「それは……初めてだから仕方ないのか」
「……三ツ谷はどんな感じだった?」
「……本当に悪ぃ。全然覚えてねぇんだよ。」
「…………今日は覚えてるかな?」
「今日は絶てぇ忘れねぇ」
フッっと薄く笑った三ツ谷は私の唇に触れるだけの口付けを落とすと、頬と額にも口付けをしながら「かわい」と甘やかす様な声で呟いた。「……ねぇ三ツ谷、私達の関係ってセフレって言うの?」菫色の瞳を見つめて私が口を開くと、固まった様に動かなくなった三ツ谷はロボットの様にゆっくりとスカートから手を抜いた
「……セフレって……思ってんの?」
「あれ?付き合って無いのに体の関係だけあるとセフレだって友達が言ってたけど……違うの?」
何か言いたげな瞳が私を見つめていて、首を傾げる私に三ツ谷は少しの間黙っていた。「…… 白石さんはさ、俺の事どう思う?」と、少し経って聞こえてきた小さな声に何て言っていいか分からなくなってしまい「うーん」と唸っていると「正直に言っていいよ」と言われたので思い付くまま口に出してしまう事にした
「……うーん。近くで見たら思ってたよりかっこいいなと思った」
「……何か違くね?」
「後、キスとか触り方とか料理とか上手で尊敬した」
「……それも何か違くね?」
「うーん。後は……何か三ツ谷に触られるのが嬉しいかな」
「……ふーん」
最後のふーん。は何だか素っ気なく聞こえなくて少しだけ微笑んでいる様な横顔だった。「何か嬉しそう、かわい」と私が笑うとフッと笑った三ツ谷は「俺も 白石さんに触られると嬉しいよ」と一言だけ呟く。また同じだなって思うと何だか嬉しくてまだ嬉しそうな顔をしている三ツ谷の頬に優しく口付けした
それから何故か私を胸に抱いたまま三ツ谷はテレビを見始めてしまって、少しだけ期待していた自分が恥ずかしくなって何も言えずに彼の目線が見つめているアクション映画に目を向けた。23時近くなってウトウトとして来た頃、「そろそろ帰るな」と言った三ツ谷に素直に頷いて目を擦りながら玄関まで送った。歯磨きをして片付けだけしようとしたけれど、お酒の入った眠さには勝てずににそのままバタンと眠ってしまった
朝起きて学校に行き授業を受けながら色々考えてしまった。昨日は映画のラスト辺りから眠気が半端では無くて彼を見送って直ぐに寝てしまったけれど、リベンジもされなかったし急に触れて来なくなった三ツ谷に少しだけ寂しさを感じた。そんな事ばかり考えていると授業は終わっていて私は小さく溜息をついた
それから元々学校で接点は無かったので会う機会も無くて連絡も無く2週間が過ぎた。段々と涼しくなって来て最初の頃よりは気持ちも落ちついてきたある日、教室で友人とお弁当を食べていると私の前の席に座って来たのは林田で何だか不機嫌な顔をしていた
「……何その顔……」
「…… 白石さ、三ツ谷と何かあった?」
「なんで?」
「……いや、何も無いなら良い。余計な事言うなって言われてるしって言っちゃいけねぇんだった」
「……は?林田何言ってんの?」
首を傾げた私と、「阿呆なの?」と言って林田を見つめる友人に「何でもねぇよ」と言いながら席を立った林田の背を見送ってから私達は目を合わせて首を傾げた。
放課後になって1度携帯をチェックすると、従兄弟のお兄ちゃんから校門まで迎えに行くからおばあちゃん宅に顔を見せるのを付き合ってとLINEが入っていたので直ぐに空の鞄を持って昇降口まで走った。靴を履いていると久しぶりに見る三ツ谷と林田も靴を履いていたので、感じが悪くならない様に少しだけ三ツ谷に微笑んでから手を振ると笑い返してくれたので嫌われては無いんだなとホッとした
「ごめんお待たせ」
「おう、久しぶりだな。雪那 」
「急なんだもん……おばあちゃん宅に行くなら渡したい物あったのに」
「悪い。母さんが佃煮とイチゴ持ってけって煩くてさ」
そんな話をしながら二人で私の自宅近くのおばあちゃんちに向かおうとすると、「おい」と男の叫ぶ声が聞こえて二人で振り返ったがそこには誰も居なかった。
「変なの」と言った私に兄ちゃんは余り気にしていないのか、「最近は好きな奴とか出来たのか?」と何だかニヤニヤしながら聞いてきて一瞬三ツ谷の顔が過ぎったけれど何だか何も言えずに「微妙」とだけ返事をした
おばあちゃん家で3人で軽くおやつを食べたりお茶を飲んで話をしたりしていると直ぐに時間は過ぎて行った。「そろそろ帰るよ」と言った私に兄ちゃんも寄る所があるから帰ると優しくおばあちゃんの肩を叩くと少しだけ寂しそうに笑ったおばあちゃんは私達にお小遣いをくれた
二人でお礼を言ってからおばあちゃんの家を出て、半袖が少しだけ肌寒くなってきた道を私の自宅方面に歩いていると兄ちゃんは「自転車で来りゃ良かったな」と言いながら肩を落とした
「何で?……兄ちゃんこれからどっか行くの?」
「ああ。この先のモール。そろそろ秋だから新しいセーター欲しくてさ。あ、ばあちゃんに貰った小遣いで有難く買わせてもらうか」
「……なら私も買おうかな。セーター」
「じゃあ一緒に行くか?」
「うん」
家に寄って自転車で二人で行こうと言った私に兄ちゃんは名案だとニシシと歯を見せて笑った。5分程で自宅に到着してそのまま家に鞄だけ放り投げてから二人乗りでモールに着くと直ぐに売り場に向かう。学校用のセーターが並んでいる売り場を二人でウロウロしていると、兄ちゃんが黒のセーターを手に取ってから「試着してくる」と言って足早に試着室に向かって行った。
ずっと白か黒のセーターだったから今期は違う色でも着てみようと思い色々見ていると、ふと三ツ谷の髪の色と全く同じ色のセーターを見付けて思わず手に取ってしまった。男性のMサイズはかなり大きく着たら多分スカートが見えなくなってしまうけれど、1度試着しようと試着室に向かい羽織ってから鏡を見れば何だか凄く気に入ってしまってそのままレジに向かってしまった
お金を払いタグを切って貰っている私を見つけた兄ちゃんは「それ着てくのか?」と言って微笑んでいた
「……うん。好きな人と同じ色のセーターにしたんだ」
「……へぇ。雪那も女の子なんだなぁ」
「兄ちゃんは黒にしたの?」
「俺は彼女に黒にしなって言われたから素直にそうした」
「ふーん。いいなぁ」
「……まだ付き合って無いのか?」
「えと、告白は……してないけど……」
「してないけど?」
「エッチだけした」
「…………えっ?」
「好きだよって言われてないけど、もう1回したいって言われた……。嬉しかったけどまだそれはしてないんだ」
「……どうゆう事か全然分かんねぇけど。お前遊ばれてんの?」
「……遊ばれては無いと思う」
「その男どんな奴?」
「不良で暴走族で料理上手いかな」
「…………やめとけ。マジで」
「……兄ちゃんにあの子の魅力は分かんないよ」
「聞いてるだけでヤバいだろ」
「いーの。私はセフレでも彼といたいの」
「まぁ、若い時は色々あるからな。止ねぇけど」
そんな話をしながら二人で帰路につき自宅まで送って貰うと兄ちゃんは私の頭を優しく撫でて「何かあったら相談しろよ」と言って帰って行った。その背を見送ってから自宅に入り鏡の前でセーターを見つめながら微笑んでいる自分が何だか虚しいのは分かっていたけれど、今日兄ちゃんと話をしてしっかりと分かった
「……私って三ツ谷大好きなんだな……」
何だか自覚したら涙が出てきてその日は気が済むまで夜通し泣いて、ラーメンを作って食べて眠りについた
それから1ヶ月が過ぎて季節は秋になり、湿気も無くなって夜はかなり冷え込む様になってきた。学校での体育の授業がマラソンになりクラスメイトと「本当に嫌だね」何て話をして足が棒になるくらい走り、教室に帰って来ると畳んであるお気に入りのセーターを抱き締める
「何であんたいつもセーター抱き締めてんの?」
「へへ。お気に入りなの」
「……あ、そういえば彼氏出来たんだって?もしかして彼氏とお揃い?」
「……彼氏何て居ないけど」
「ええ?何か噂好きの吉村に、雪那が高校生の彼氏が居るって聞いたけど。前にモールで見たって」
「……男子高校生は従兄弟だよ。びっくりしたな」
以外に見られてるもんだな何て思いながら制服に着替えてセーターを着ると、安全ピンで止めていた部分の穴がかなり大きくなっていてそれを見てガックリと肩を落としながらそっと穴を指で撫でた
「どしたの?」
「生地が重いし男性用だから穴が広がった……」
「あらら。縫っちゃえば?」
「家に無いもん。ソーイングセット買うしかないか」
「家庭科室にあるから借りて縫いなよ」
友人の一言にふと家庭科室で縫い物をする三ツ谷の姿が過ぎり、何だか顔が見たいなと思って頷いた
放課後になり少しだけドキドキしながら家庭科室の窓から中を覗くとそこには誰も居なかった。少しだけ安心した様な寂しい様な気がしたけれど、仕方ないと思って中に入りソーイングセットを探していると「 白石さん?」と声がして振り返れば久しぶりに見る三ツ谷が驚いた様な顔をして立たずんでいた
「……三ツ谷」
「……どしたの?」
「……セーターに穴空いちゃって縫いたいんだけど、どうすれば良いかな?」
少しだけ困った様な顔をして微笑んだ私に、眉を下げた三ツ谷は「貸して」と言って手を差し出してくる。直ぐにボタンを外し脱いでから彼の手にセーターを置くと小さなソーイングセットを鞄から取り出して窓際の椅子に座った。何だか少しだけ気まずいけれど、彼の横の椅子に座りながら針に糸を通す様子を見ていると窓も空いていないのに体が冷えたのか連続でくしゃみをした私に三ツ谷は針と糸を机に置いて少しだけ笑う
「悪ぃ。気がきかなかったわ」
「……えっ?」
ボタンを外してからベージュのセーターを脱いだ三ツ谷は私の背に優しくそれを掛けてから「着てな」と一言だけ呟くとまた椅子に座り直した。何だか嬉しくてそのまま「嬉しい」と口にしてしまうと1度手を止めた三ツ谷は何秒かしてからセーターの穴に針を通し始めた
「………… 白石さんさ、彼氏出来たの?」
「……彼氏……噂で聞いたの?」
「……あー、まぁ。うん」
こちらを見ようとはせずに黙々と穴に針を通す三ツ谷の横顔が綺麗で何だか切なくなってくる。彼氏が出来たって聞いたから連絡して来なかったのかなとか色んな事が一瞬で頭を過ぎったけど何とか自分の気持ちを伝えたいなって思いながら手をぎゅっと握った
「三ツ谷さ、……聞いてくれるかな?」
「……何?」
「ちょっと前に従兄弟の高校生のお兄ちゃんとセーター買いに行ったんだ」
「……ああ」
「そしたらね、私の好きな人と同じ髪色のセーター見付けて嬉しくて買っちゃったんだ」
「…………」
「……穴が空いちゃってショックでさ。……だから三ツ谷が縫ってくれて凄く嬉しい」
そう口にしてから肩に掛けてあるベージュのセーターの両袖を掴み抱き締める様に握る。ドキドキとした心臓が煩いくらい高鳴っていて、三ツ谷に聞こえちゃうかなって思うと恥ずかしかった
「…… 白石さんの好きな人の髪の色はグレーって事?」
「……うん。……私はその人しか好きじゃないから彼氏なんていないよ」
「………俺の事だって思っていいんだよな?」
「……あんまり自覚無かったけど……全部あげちゃうくらい好きだったんだ」
「……セフレ何て思ってねぇから。俺」
「……セフレでも、友達でもいいから三ツ谷の傍にいつも居たいんだ」
「…俺も……ずっと会いたかったし、本当は抱き締めたかった」
「電話してもくれないから嫌われちゃったかと思ったよ」
「…… 白石さんはさ、かっこいいとかそうゆう事に興味があるだけで俺の事ちゃんと好きか分からなかったから。急に不安になったんだ……悪ぃ」
「そんな事言われたら……私何か最初からずっと不安だよ」
「うん、……本当にそうだよな」
縫い掛けのセーターを机に置いた三ツ谷は私の方に体を向けると優しく頬に手を置いてから「好きだよ、俺と付き合って」と言ってから唇に優しく口付けしてくれる。ぎゅうううっと背中が少し痛いなって感じるくらい強く抱き締められて、唇を離した時の三ツ谷の愛しそうな顔を見ていたら本当に私の事を思ってくれてるんだなって実感出来た気がした
「…三ツ谷、… 雪那って呼んでよ」
「……ああ。……恥ずかしいから今度な」
「今呼んで欲しいのに……。あ、ねえねえ。三ツ谷このベージュのセーター着てていい?」
「ん?……良いよ」
「三ツ谷はその私のセーター着てね。髪色とお揃いできっと似合うから」
「……ああ。ちょっと着てみる。さみぃし」
グレーのセーターに袖を通した三ツ谷は思っていたより何倍も似合っていて、思わず「似合う」と言いながら彼の胸に抱きついてしまった。少しだけ照れた顔で「ありがとうな」と言った三ツ谷は私の髪に手を入れて深く口付けしてくる。下唇を優しく舐められてそれに応えるように彼の背に手を回すとガタガタと廊下から聞こえた物音にびっくりして二人でそちらを向いた
そこには何だか嬉しそうな林田と林に顔を手で隠しながら隙間から見ている安田さんが居て私達はゆっくりと体を離した
「良かったじゃねぇか三ツ谷!」
と大喜びでこちらに走ってくる林田と林に、私達はついつい顔を見合わせて笑ってしまった。興奮して唾を飛ばしながら「心配したんだぞ」と三ツ谷の肩をバシバシと叩く林田に三ツ谷は「……パー、雪那から貰ったセーターに唾つけんなよ」と言って苦笑いをしていた
私の名前を呼んだ三ツ谷の耳が少しだけ赤くなっていてそれを見て私はまた嬉しくなり笑ってしまった
「……どしたの?」
「……さっき言ってたのマジ?」
「ん?……昼のならマジだよ」
「これはただのキスマークだから」と昼休みに言った事かと思い出して少しだけ私が笑ってしまうと、「誰にされたんだ?」と何だか興味津々な目をしながら聞いてきた林田に「……三ツ谷だよ、じゃあね」と言って廊下に出た。後ろから「マジかよぉぉ」と雄叫びみたいな声がしてクスクス笑いながら昇降口に向かい靴を履いて直ぐに学校を出た
安売りのスーパーでキャベツと適当に副菜の材料を買ってから自宅に戻ると1時間も経たない内に入ってきた三ツ谷からのLINEには「今から行っていい?」と入っていたので「大丈夫だよ。鍵開けとくね」と返した
そこでハッとして直ぐにシャワーを浴びてから可愛らしい部屋着に着替えて、せっかくメイクを落としたのにまた薄くメイクし直してから鏡で何回もチェックする自分に少しだけ可笑しくなった。何だか恋してるんだなって思ったらしっくり来てしまって少しだけ顔が緩んだ気がした
それから少しして玄関のドアが開き「お邪魔します」と声が聞こえてからリビングに入って来た三ツ谷は私服だったので「家に1回帰ったの?」と聞くと「汗臭かったから」と言って笑う姿に何だか一緒なのかなって少しだけ嬉しくなってしまう
「まだ夕飯まで時間あるから映画でも見る?」
「ああ。……あのさ、俺煙草忘れてった?」
「うん、庭にあるよ。ちょっと待ってて」
リビングの窓を開けて庭に出て手招きすると三ツ谷はこちらに来てから「庭広いな」と言いながら辺りを見回していた。ベンチの横にある小さな箱から煙草を取り出して渡すと、中を見た三ツ谷は私を見て「半分ねぇじゃん」と言ったので「吸っちゃった」とケラケラ笑うと呆れた様な顔をしながら1本取り出した
「体に悪ぃからあんまり吸うなよ」
「三ツ谷もね」
「…………へいへい」
そう言いながら煙草に火をつけてベンチに座った三ツ谷の隣に座ってのんびりと夕日を見ていると、何だか何も話していないけれど、この時間が凄く良い時間に感じて来て三ツ谷の肩に軽く頭を預けた
「ん?」
「一昨日の三ツ谷の真似して甘えん坊してんの」
「……俺そんなに甘えてた?」
「聞きたい?録音してあるよ」
「……何で録音何てしてんだよ」
「後で聞かせてみようかなって思って」
ポケットから携帯を取り出した私を見て「……聞きたくねぇけど聞きてぇ」と言って苦い顔をしている三ツ谷を無視して再生ボタンを押すと、初っ端から「暑い、抱き締めて白石さん」と訳の分からない事を言っている自分の声を聞いてゴボゴホと煙を吐きながら噎せ返る三ツ谷の背中を擦りながらゲラゲラ笑ってしまった
「…甘えん坊とゆうより…何か変態みたいだな」
「変態では無いけどね」
暫く聞いていると、「責任取るから」と言った三ツ谷の声で録音は切れて私はポケットに携帯をしまった。いまだにガックリして俯きながら煙草を吸っている三ツ谷を見ながら、映画は何を見ようかな何て考えていると携帯を入れた手が優しく三ツ谷の手に包まれて私は顔を彼に向ける。真面目な顔で私を見つめている三ツ谷に首を傾げると、何だか言いずらそうにしている三ツ谷にどうしたの?と声を掛けたが返事は無い
暫くそうしていると、手を引かれて胸に閉じ込められて胸がドキドキと高鳴った
「……三ツ谷?」
「色々ごめんな。泣かせて本当に悪ぃ」
「…………」
「俺さ、本当にあんまり覚えて無くて申し訳無くてさ。せっかく朝飯作ってくれたのにあの日も合わせてる顔無くて帰っちゃってマジ悪かったなって」
「……大丈夫だよ。もう……今は平気」
「……引かないで聞いてくれる?」
「……何?」
「……覚えて無いから実感無くてさ……。もし嫌じゃ無かったらもう1回抱いても良い?」
「……1回なの?」
「いや、1回は言い方おかしいか。リベンジして良い?」
「リベンジも可笑しいよね?」
そう言って笑った私に三ツ谷は「また変な言い方しちまった」と言って下を向いた。そんな三ツ谷を見ていて、胸の内を話してくれた彼に私も色々思った事を何だか話したくなった
「……あのさ。引かないで聞いてくれる?」
「…ん?…何?」
「私……あれからずっと考えててさ。……三ツ谷にまた可愛いって言われて色んな所にキスされたいなとか。学校で見れない三ツ谷の気持ちよさそうな顔見たいなとか……思ってた」
「…… 白石さん。それは反則だろ」
「……そうなの?ちょっと変態かな?」
「まてまて、何でそうなるんだよ」
違げぇからと言った三ツ谷の顔はお酒を飲んで無いのに少しだけ赤かった。首を傾げた私を見て覆うように手を自身の顔に置いた三ツ谷はハアと小さく溜息を付いてからそのまま動かなくなってしまう
「……後ね、もう1個だけ三ツ谷に言いたい」
「……何?」
「……後1回だけはちょっと寂しいな。」
「いや、ラスト1回とかの意味じゃねぇから」
「……そうなのか。最後かと思った」
「…………」
何だか黙ってしまった三ツ谷は煙草の火を消してからポケットから取り出した携帯灰皿に吸殻を入れた。私を見てまた小さく溜息を付くと、「キスしていい?」と聞いてきた三ツ谷に小さく頷いた。目を瞑った私の頬に優しく温かい手が添えられて唇に口付けされる
セブンスターの匂いしかしないけれど、何だか幸せな気持ちで胸がいっぱいになって頬にある彼の手に自分の手を重ねると三ツ谷の顔が少しだけ角度を変えて深く唇が重なった
何分そうしていたか分からないけれど、ゆっくりと唇が離れて背中に回された腕が私を強く抱き締めた。彼の首に顔を埋めて背中に手を回すと自分の首筋にあるキスマークを思い出して、ふと悪戯心が芽生えてしまい自分と同じ場所に唇を付けて痕が付くように吸い付いた
「……おぃ、何やってんの?」
「……………………」
「……もしかして仕返しか?」
「………………出来たかな?」
「……やっぱり仕返しじゃねぇか」
唇を離すとくっきりと残る痣に初体験で感動したけれど、三ツ谷に付いていると普通に殴られた跡に見えるのは何故だろうか
「……三ツ谷だと殴られた痣に見える……」
「……まぁ、皆そう思うだろうな」
「ふふ。じゃあ私達の秘密ね」
「………白石さんは本当にちょいちょい可愛いよな」
「……何か照れるからやめて」
二人でそんな話をしていると、「腹減ってきたな」と言って私の両頬を優しく摘んでくる三ツ谷に軽く笑いベンチから立ち上がりキッチンに向かった。エプロンの紐を結んでから冷蔵庫から取り出した唐揚げは1度揚げてあるし、キャベツの千切りは水洗いしてペーパーに包んである。先程作った味噌汁と煮物を温め直していると三ツ谷はこちらに来て「手伝うよ」と言ってくれた
「……三ツ谷って手芸部だったっけ?もしかして料理とかも出来る?」
「まぁな。……唐揚げ2度揚げする?」
「じゃあ、お願いしちゃおうかな」
男らしい三ツ谷から唐揚げ2度揚げ何て言葉を聞くとは思わなかったなと少し不思議だった。偏見かもしれないけど暴走族の男の子が家事が出来たり、手芸が得意なんて夢にも思わなかったからだ。慣れた手付きで唐揚げを揚げて行く三ツ谷に油が落とせるトレーを渡すと「うちはこれがねぇからキッチンペーパーで油取ってる」と言った三ツ谷に目を丸くした
「けっこう家で料理してるんだね」
「ああ、母ちゃん仕事忙しいし妹が二人いて小さいからな」
「……そっか」
「まぁ、でも可愛いよ妹。寝起き悪ぃしグズると面倒だけどな」
「……私もグズると面倒な女だよ」
「ぷっ、グズったりするんだ」
「ふふふ、三ツ谷も酔うとあんなだしね」
「……おいマジでやめろよ。かなり恥ずかしいんだからよ」
「……でも。……あんな感じだったから今こうして一緒に居られてる。あれが無かったら私三ツ谷の傍にいたいって思わなかったから」
「……ふーん。しなかったら意識もしなかったって事?」
「うーん。何かしてる時に愛情ある言葉を沢山くれたから……単純だけど……意識しちゃったのかな。学校では接点が無いからね」
「……何て言ってたのかまた恥ずかしくて聞けねぇ」
「そこは普通に可愛いとか、痛くない?とか気遣いの言葉だったから全然変な事じゃないよ」
「…… 白石さんはさ、俺が酔うと誰にでも迫る様な男に見えただろ?……何で嫌いにならなかったんだ?」
少しだけ真面目な顔に戻った三ツ谷は菜箸で唐揚げをお皿に上げていて、私と目を合わせようともして来ない。誰にでも迫る男に見えたと今言われて考えたけれど、確かにもしも私以外の女の子があの時酒を飲ませていてもそうなっていただろうか。……好きとも言われて無いしリベンジさせてとしか言ってこない三ツ谷は私をセフレと思っているんだろうか。セフレでも毎日こんなに楽しくなるなら別に良いのか?良くは無い気がするけれど三ツ谷とは離れたくは無いと思ってしまう自分が居た
「……唐揚揚がった」
「……ああ、ごめん。今盛り付けるから座っててね」
バラエティ番組を見ながら二人でご飯を食べてケラケラ笑っていると先程の事は余り気にならなくなっていた。食べ終わった食器を洗ってくれている三ツ谷にお礼を言ってから布巾でテーブル拭いているとふと目に入った時計は19時半を指していた
「三ツ谷時間平気なの?」
「ん?ああ。白石さんは時間平気?」
「私は宿題やるくらいで特に何も無いから大丈夫だよ」
「やべ、宿題忘れてた」
洗い物が済んだのかソファに座った三ツ谷に冷蔵庫から取り出したペットボトルのジュースを渡すと「これは酒入ってねぇよな?」と目を細めたので少し笑ってしまう
「まだ昨日のお酒1本あるよ」
「……飲まねぇよ」
「私飲んでみようかなぁ。冷やしてあるし」
「……俺のあの姿見て飲むのかよ……。チャレンジャーだな」
「私にとっては以外に可愛かったから」
「…………」
黙った三ツ谷の姿に笑いを堪えながら冷蔵庫から缶を取り出し一昨日買ったお酒の蓋を開けた。鼻を近付けて匂いを嗅ぐと、三ツ谷の唇からした香りがして躊躇無く中身を半分飲み干す。「おいおい勢い良過ぎだろ」とソファから身を乗り出して心配する三ツ谷に「毒じゃないんだから大丈夫だよ」と言って微笑んだ
喉を通り過ぎたアルコールは少しだけポカポカする位で特に何とも無い。内心つまらないなと思いながら缶を持ち三ツ谷の隣に腰掛けた
「……大丈夫か?」
「私は大丈夫みたい。喉が暖かいくらいかなぁ」
「ふーん。人によるのか?」
「後半分あるから三ツ谷にあげるよ」
「……お前楽しんでるだろ」
「……実はちょっと」
ふふっと小さく笑った私に三ツ谷は差し出された缶を見ると少しだけ口流し込んだ。「……美味いな」と言って残りを飲み干そうとした三ツ谷に「ゆっくり飲みなよ、あの時も一気したから良くなかったんじゃない?」と言えば1度手を止めた三ツ谷は1口飲んでからテーブルにゆっくりと缶を置いた
「……映画でも見る?宿題やる?」
「宿題やる気分じゃ無くね?」
「あ、三ツ谷アイス食べようよ」
「ああ、何か貰ってばっかでごめんな」
「全然」と言ってソファから立ち上がり冷凍庫から2本取り出したアイスを持ちまたソファに座った。1つを三ツ谷に渡してからピリピリと包装紙を破り口に入れるとテレビのリモコンを手に取った。「三ツ谷ってアクション好き?」そう聞いても返事が無いので適当に映画を選んでいると「…… 白石さん。熱い」と甘えた様に声を出した三ツ谷の声にハッとした
「……目が半分になってる……三ツ谷眠い?」
「……ああ。何か急に眠いしあちぃ」
「お酒弱いんだね。……良かったら膝で寝る?」
「…………寝たくねぇけど膝で寝る」
もう目が開いてない三ツ谷の頭を撫でると、膝では無く体重をかけて胸に被さって来た彼の背を優しく摩った。暫くそうしていると私の肩口から顔を上げた三ツ谷は私の唇に優しく口付けしてから背中をキツく抱き締めてくる
「……やっぱ寝たくねぇな」
「…………まだ熱い?」
「平気」
小さな声で触って良い?と聞かれて頷くと三ツ谷の柔らかい唇が耳を甘噛みして来てくすぐったくて身を捩る。ふふっと少し笑ってしまった私の服の中に手を入れた三ツ谷はブラジャーのホックを片手で外すと優しい手付きで胸を撫でてから先端を指で刺激してくる
「……ん」
一昨日とは違って何だか少しだけリラックスしていた
胸の先端に口付けする三ツ谷の頭に口付けしながら彼のシャツに手を入れて汗ばんだ背中を撫でた。胸の先端を舐められながらスカートに入ってきた手が突起に軽く触れただけで腰がピクっと反応してしまう
「…なぁ…一昨日って痛かった?」
「ううん……凄い時間かけてくれたし優しかったから痛くは無かった」
「……痛くは無かったけど?……どうだった?」
「……気持ちよくは無かったかな」
「それは……初めてだから仕方ないのか」
「……三ツ谷はどんな感じだった?」
「……本当に悪ぃ。全然覚えてねぇんだよ。」
「…………今日は覚えてるかな?」
「今日は絶てぇ忘れねぇ」
フッっと薄く笑った三ツ谷は私の唇に触れるだけの口付けを落とすと、頬と額にも口付けをしながら「かわい」と甘やかす様な声で呟いた。「……ねぇ三ツ谷、私達の関係ってセフレって言うの?」菫色の瞳を見つめて私が口を開くと、固まった様に動かなくなった三ツ谷はロボットの様にゆっくりとスカートから手を抜いた
「……セフレって……思ってんの?」
「あれ?付き合って無いのに体の関係だけあるとセフレだって友達が言ってたけど……違うの?」
何か言いたげな瞳が私を見つめていて、首を傾げる私に三ツ谷は少しの間黙っていた。「…… 白石さんはさ、俺の事どう思う?」と、少し経って聞こえてきた小さな声に何て言っていいか分からなくなってしまい「うーん」と唸っていると「正直に言っていいよ」と言われたので思い付くまま口に出してしまう事にした
「……うーん。近くで見たら思ってたよりかっこいいなと思った」
「……何か違くね?」
「後、キスとか触り方とか料理とか上手で尊敬した」
「……それも何か違くね?」
「うーん。後は……何か三ツ谷に触られるのが嬉しいかな」
「……ふーん」
最後のふーん。は何だか素っ気なく聞こえなくて少しだけ微笑んでいる様な横顔だった。「何か嬉しそう、かわい」と私が笑うとフッと笑った三ツ谷は「俺も 白石さんに触られると嬉しいよ」と一言だけ呟く。また同じだなって思うと何だか嬉しくてまだ嬉しそうな顔をしている三ツ谷の頬に優しく口付けした
それから何故か私を胸に抱いたまま三ツ谷はテレビを見始めてしまって、少しだけ期待していた自分が恥ずかしくなって何も言えずに彼の目線が見つめているアクション映画に目を向けた。23時近くなってウトウトとして来た頃、「そろそろ帰るな」と言った三ツ谷に素直に頷いて目を擦りながら玄関まで送った。歯磨きをして片付けだけしようとしたけれど、お酒の入った眠さには勝てずににそのままバタンと眠ってしまった
朝起きて学校に行き授業を受けながら色々考えてしまった。昨日は映画のラスト辺りから眠気が半端では無くて彼を見送って直ぐに寝てしまったけれど、リベンジもされなかったし急に触れて来なくなった三ツ谷に少しだけ寂しさを感じた。そんな事ばかり考えていると授業は終わっていて私は小さく溜息をついた
それから元々学校で接点は無かったので会う機会も無くて連絡も無く2週間が過ぎた。段々と涼しくなって来て最初の頃よりは気持ちも落ちついてきたある日、教室で友人とお弁当を食べていると私の前の席に座って来たのは林田で何だか不機嫌な顔をしていた
「……何その顔……」
「…… 白石さ、三ツ谷と何かあった?」
「なんで?」
「……いや、何も無いなら良い。余計な事言うなって言われてるしって言っちゃいけねぇんだった」
「……は?林田何言ってんの?」
首を傾げた私と、「阿呆なの?」と言って林田を見つめる友人に「何でもねぇよ」と言いながら席を立った林田の背を見送ってから私達は目を合わせて首を傾げた。
放課後になって1度携帯をチェックすると、従兄弟のお兄ちゃんから校門まで迎えに行くからおばあちゃん宅に顔を見せるのを付き合ってとLINEが入っていたので直ぐに空の鞄を持って昇降口まで走った。靴を履いていると久しぶりに見る三ツ谷と林田も靴を履いていたので、感じが悪くならない様に少しだけ三ツ谷に微笑んでから手を振ると笑い返してくれたので嫌われては無いんだなとホッとした
「ごめんお待たせ」
「おう、久しぶりだな。雪那 」
「急なんだもん……おばあちゃん宅に行くなら渡したい物あったのに」
「悪い。母さんが佃煮とイチゴ持ってけって煩くてさ」
そんな話をしながら二人で私の自宅近くのおばあちゃんちに向かおうとすると、「おい」と男の叫ぶ声が聞こえて二人で振り返ったがそこには誰も居なかった。
「変なの」と言った私に兄ちゃんは余り気にしていないのか、「最近は好きな奴とか出来たのか?」と何だかニヤニヤしながら聞いてきて一瞬三ツ谷の顔が過ぎったけれど何だか何も言えずに「微妙」とだけ返事をした
おばあちゃん家で3人で軽くおやつを食べたりお茶を飲んで話をしたりしていると直ぐに時間は過ぎて行った。「そろそろ帰るよ」と言った私に兄ちゃんも寄る所があるから帰ると優しくおばあちゃんの肩を叩くと少しだけ寂しそうに笑ったおばあちゃんは私達にお小遣いをくれた
二人でお礼を言ってからおばあちゃんの家を出て、半袖が少しだけ肌寒くなってきた道を私の自宅方面に歩いていると兄ちゃんは「自転車で来りゃ良かったな」と言いながら肩を落とした
「何で?……兄ちゃんこれからどっか行くの?」
「ああ。この先のモール。そろそろ秋だから新しいセーター欲しくてさ。あ、ばあちゃんに貰った小遣いで有難く買わせてもらうか」
「……なら私も買おうかな。セーター」
「じゃあ一緒に行くか?」
「うん」
家に寄って自転車で二人で行こうと言った私に兄ちゃんは名案だとニシシと歯を見せて笑った。5分程で自宅に到着してそのまま家に鞄だけ放り投げてから二人乗りでモールに着くと直ぐに売り場に向かう。学校用のセーターが並んでいる売り場を二人でウロウロしていると、兄ちゃんが黒のセーターを手に取ってから「試着してくる」と言って足早に試着室に向かって行った。
ずっと白か黒のセーターだったから今期は違う色でも着てみようと思い色々見ていると、ふと三ツ谷の髪の色と全く同じ色のセーターを見付けて思わず手に取ってしまった。男性のMサイズはかなり大きく着たら多分スカートが見えなくなってしまうけれど、1度試着しようと試着室に向かい羽織ってから鏡を見れば何だか凄く気に入ってしまってそのままレジに向かってしまった
お金を払いタグを切って貰っている私を見つけた兄ちゃんは「それ着てくのか?」と言って微笑んでいた
「……うん。好きな人と同じ色のセーターにしたんだ」
「……へぇ。雪那も女の子なんだなぁ」
「兄ちゃんは黒にしたの?」
「俺は彼女に黒にしなって言われたから素直にそうした」
「ふーん。いいなぁ」
「……まだ付き合って無いのか?」
「えと、告白は……してないけど……」
「してないけど?」
「エッチだけした」
「…………えっ?」
「好きだよって言われてないけど、もう1回したいって言われた……。嬉しかったけどまだそれはしてないんだ」
「……どうゆう事か全然分かんねぇけど。お前遊ばれてんの?」
「……遊ばれては無いと思う」
「その男どんな奴?」
「不良で暴走族で料理上手いかな」
「…………やめとけ。マジで」
「……兄ちゃんにあの子の魅力は分かんないよ」
「聞いてるだけでヤバいだろ」
「いーの。私はセフレでも彼といたいの」
「まぁ、若い時は色々あるからな。止ねぇけど」
そんな話をしながら二人で帰路につき自宅まで送って貰うと兄ちゃんは私の頭を優しく撫でて「何かあったら相談しろよ」と言って帰って行った。その背を見送ってから自宅に入り鏡の前でセーターを見つめながら微笑んでいる自分が何だか虚しいのは分かっていたけれど、今日兄ちゃんと話をしてしっかりと分かった
「……私って三ツ谷大好きなんだな……」
何だか自覚したら涙が出てきてその日は気が済むまで夜通し泣いて、ラーメンを作って食べて眠りについた
それから1ヶ月が過ぎて季節は秋になり、湿気も無くなって夜はかなり冷え込む様になってきた。学校での体育の授業がマラソンになりクラスメイトと「本当に嫌だね」何て話をして足が棒になるくらい走り、教室に帰って来ると畳んであるお気に入りのセーターを抱き締める
「何であんたいつもセーター抱き締めてんの?」
「へへ。お気に入りなの」
「……あ、そういえば彼氏出来たんだって?もしかして彼氏とお揃い?」
「……彼氏何て居ないけど」
「ええ?何か噂好きの吉村に、雪那が高校生の彼氏が居るって聞いたけど。前にモールで見たって」
「……男子高校生は従兄弟だよ。びっくりしたな」
以外に見られてるもんだな何て思いながら制服に着替えてセーターを着ると、安全ピンで止めていた部分の穴がかなり大きくなっていてそれを見てガックリと肩を落としながらそっと穴を指で撫でた
「どしたの?」
「生地が重いし男性用だから穴が広がった……」
「あらら。縫っちゃえば?」
「家に無いもん。ソーイングセット買うしかないか」
「家庭科室にあるから借りて縫いなよ」
友人の一言にふと家庭科室で縫い物をする三ツ谷の姿が過ぎり、何だか顔が見たいなと思って頷いた
放課後になり少しだけドキドキしながら家庭科室の窓から中を覗くとそこには誰も居なかった。少しだけ安心した様な寂しい様な気がしたけれど、仕方ないと思って中に入りソーイングセットを探していると「 白石さん?」と声がして振り返れば久しぶりに見る三ツ谷が驚いた様な顔をして立たずんでいた
「……三ツ谷」
「……どしたの?」
「……セーターに穴空いちゃって縫いたいんだけど、どうすれば良いかな?」
少しだけ困った様な顔をして微笑んだ私に、眉を下げた三ツ谷は「貸して」と言って手を差し出してくる。直ぐにボタンを外し脱いでから彼の手にセーターを置くと小さなソーイングセットを鞄から取り出して窓際の椅子に座った。何だか少しだけ気まずいけれど、彼の横の椅子に座りながら針に糸を通す様子を見ていると窓も空いていないのに体が冷えたのか連続でくしゃみをした私に三ツ谷は針と糸を机に置いて少しだけ笑う
「悪ぃ。気がきかなかったわ」
「……えっ?」
ボタンを外してからベージュのセーターを脱いだ三ツ谷は私の背に優しくそれを掛けてから「着てな」と一言だけ呟くとまた椅子に座り直した。何だか嬉しくてそのまま「嬉しい」と口にしてしまうと1度手を止めた三ツ谷は何秒かしてからセーターの穴に針を通し始めた
「………… 白石さんさ、彼氏出来たの?」
「……彼氏……噂で聞いたの?」
「……あー、まぁ。うん」
こちらを見ようとはせずに黙々と穴に針を通す三ツ谷の横顔が綺麗で何だか切なくなってくる。彼氏が出来たって聞いたから連絡して来なかったのかなとか色んな事が一瞬で頭を過ぎったけど何とか自分の気持ちを伝えたいなって思いながら手をぎゅっと握った
「三ツ谷さ、……聞いてくれるかな?」
「……何?」
「ちょっと前に従兄弟の高校生のお兄ちゃんとセーター買いに行ったんだ」
「……ああ」
「そしたらね、私の好きな人と同じ髪色のセーター見付けて嬉しくて買っちゃったんだ」
「…………」
「……穴が空いちゃってショックでさ。……だから三ツ谷が縫ってくれて凄く嬉しい」
そう口にしてから肩に掛けてあるベージュのセーターの両袖を掴み抱き締める様に握る。ドキドキとした心臓が煩いくらい高鳴っていて、三ツ谷に聞こえちゃうかなって思うと恥ずかしかった
「…… 白石さんの好きな人の髪の色はグレーって事?」
「……うん。……私はその人しか好きじゃないから彼氏なんていないよ」
「………俺の事だって思っていいんだよな?」
「……あんまり自覚無かったけど……全部あげちゃうくらい好きだったんだ」
「……セフレ何て思ってねぇから。俺」
「……セフレでも、友達でもいいから三ツ谷の傍にいつも居たいんだ」
「…俺も……ずっと会いたかったし、本当は抱き締めたかった」
「電話してもくれないから嫌われちゃったかと思ったよ」
「…… 白石さんはさ、かっこいいとかそうゆう事に興味があるだけで俺の事ちゃんと好きか分からなかったから。急に不安になったんだ……悪ぃ」
「そんな事言われたら……私何か最初からずっと不安だよ」
「うん、……本当にそうだよな」
縫い掛けのセーターを机に置いた三ツ谷は私の方に体を向けると優しく頬に手を置いてから「好きだよ、俺と付き合って」と言ってから唇に優しく口付けしてくれる。ぎゅうううっと背中が少し痛いなって感じるくらい強く抱き締められて、唇を離した時の三ツ谷の愛しそうな顔を見ていたら本当に私の事を思ってくれてるんだなって実感出来た気がした
「…三ツ谷、… 雪那って呼んでよ」
「……ああ。……恥ずかしいから今度な」
「今呼んで欲しいのに……。あ、ねえねえ。三ツ谷このベージュのセーター着てていい?」
「ん?……良いよ」
「三ツ谷はその私のセーター着てね。髪色とお揃いできっと似合うから」
「……ああ。ちょっと着てみる。さみぃし」
グレーのセーターに袖を通した三ツ谷は思っていたより何倍も似合っていて、思わず「似合う」と言いながら彼の胸に抱きついてしまった。少しだけ照れた顔で「ありがとうな」と言った三ツ谷は私の髪に手を入れて深く口付けしてくる。下唇を優しく舐められてそれに応えるように彼の背に手を回すとガタガタと廊下から聞こえた物音にびっくりして二人でそちらを向いた
そこには何だか嬉しそうな林田と林に顔を手で隠しながら隙間から見ている安田さんが居て私達はゆっくりと体を離した
「良かったじゃねぇか三ツ谷!」
と大喜びでこちらに走ってくる林田と林に、私達はついつい顔を見合わせて笑ってしまった。興奮して唾を飛ばしながら「心配したんだぞ」と三ツ谷の肩をバシバシと叩く林田に三ツ谷は「……パー、雪那から貰ったセーターに唾つけんなよ」と言って苦笑いをしていた
私の名前を呼んだ三ツ谷の耳が少しだけ赤くなっていてそれを見て私はまた嬉しくなり笑ってしまった
