短編 シリーズ
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東京に引越しをして来て今日で1ヶ月目
実家が大きな一軒家だったから小さく古びたアパートに越してきて最初はかなり違和感を感じた。けれどそれも本当に最初だけで住めば都と言うがその通りで毎日静かで快適な日々を送っていた
今日はバイトも休みで家事を済ませてからコンビニでジュースでも買おうと財布を持ってアパートを出た。安物のサンダルを引っ掛けてポケットから携帯を取り出してLINEのチェックをしながら歩いていると「嫌だァ」と子供が泣くような声が聞こえて携帯から顔を上げた。幼稚園児と小学校低学年くらいだろうか、二人で何やら道の真ん中で言い争いをしている様に見えて母親は居ないのかと辺りを見渡した
それらしき人物は居ないし、道路の真ん中とゆうのが気になって思わず声を掛けてしまう
「……お嬢ちゃん達、車来ると危ないからこっちおいで」
「……お姉ちゃん誰?」
声を掛けると2人は私の方を向いた。可愛らしい目尻が下がった藤色の瞳を見て姉妹だと分かり私は微笑む
「お姉ちゃんはそこのアパートの1階に住んでます。怪しい人じゃないよ、2人共車が来たら跳ねられちゃうからちょっとだけ移動しようね」
彼女達の返事も聞かずに2人の手を取って歩道に移動した。2人共何も言わずにしっかり歩いてくれたのは後ろから車が来ていたのが分かっていたのかもしれない。ありがとうねと言って2人の頭を優しく撫でると、小さい方の女の子が、私が持っていたキーケースに付いている編みぐるみを見て目を輝かせた
「……欲しいの?」
「……」
「駄目だよ、マナ。これはお姉ちゃんのだよ」
「マナ欲しい何て言って無いもん」
ムスッと頬を膨らませたマナちゃんの頭を優しく撫でて「これは汚いから新しいのあげる。おマナちゃんの姉ちゃんにもあげるよ」と微笑むと、2人は目を合わせてから「いいの?」と首を傾げてくる
「まだここで遊んでる?お姉ちゃん1回コンビニ行ってくるから、ちょっと待っててくれるかな?編みぐるみは家にあるから」
「マナもコンビニ行く」
「……ルナも行きたい」
「コンビニ行きたいの?……うーん。お母さんは?」
コンビニに連れていくのは簡単だけど、母親の居ない所で連れ回すのも気が引けた。お母さんは?と聞けば2人は当たり前の様に夜中に帰って来るよと言ってきたので少しだけ驚いた。2人の手を取って「なら一緒にコンビニ行って買い物して、編みぐるみ渡したら家まで送るね」と言えば2人は満足そうな顔で微笑んだので、小さな手を優しく引いてコンビニまで歩き出した
コンビニに到着して、カゴの中にジュースを入れていると2人はお菓子コーナーを見ている様だった。ポテチとチョコも入れ終わりお菓子コーナーに顔を出した私に「お姉ちゃんの買い物終わった?」と聞いてきた2人はその場で立ち上がると私のスカートを握り締めた
「2人共何が欲しいの?」
「いらない」
「マナもいらない」
「……いい子だねぇ、いつもお留守番してるみたいでいい子だからお姉ちゃんが好きなお菓子とアイスを買ってあげる。あ、1人500円までね」
そう言って500玉を2つ財布から取り出して2人に渡せば最初は少しだけ戸惑っていたけれど、「大丈夫だよ」と頭を撫でると素直にやったと言ってお菓子を選び始めた2人が何だか可愛かった。弟しか居ない私は妹も欲しかったなと思って育ったから尚更可愛く見えるのかもしれない
先に自分の会計を済ませてから、2人が会計を出来るのかが分からなかったので隣で見守っていたが2人共年の割にかなりしっかりとしていてスムーズに会計を済ませて居たので内心凄いなと関心してしまった
「何買ったの?」
「アイスと、魔法少女のお菓子」
「マナもルナと一緒」
自分が小さい頃も魔法少女のお菓子を買っていたなと思い笑っていると、小さな手が私の手を包んでくれてそれが嬉しくて私達はゆっくりと魔法少女の話をしながら帰路についた。自宅のアパートに戻ってきて鍵を開けて2人を招き入れると、2人はキョロキョロと辺りを見渡しながら玄関で靴を脱いで私の後に続いてくる
「うちと一緒」
「何が一緒なの?」
「お部屋の形」
「……えっ?もしかして同じアパートなの?」
「うん、2階だけど」
「なんだそうだったんだね。安心したよ」
冷蔵庫からジュースを出して2人に渡すと、2人はお菓子のオマケに夢中だったので自室に置いてあるキーホルダーを入れてある小さな籠を持ってくると2人の前に置いた。「ぉぉぉ」と目を輝かせてくれるのが嬉しくて「どれでも好きなの持って行ってね」と言えば万歳してくれた2人に笑ってしまった。友人から誘われたバザーの景品で作った物で沢山余ってしまっていたから、こんな風に喜んでくれて嬉しかったのかもしれない
時計を見れば夕方の5時を指していた。ご飯はあるのかな?と気になったので聞いて見ればお兄ちゃんが作ってくれるけどお姉ちゃんのが食べたいと言われ少し困ってしまう
「……うーん。ルナちゃん、マナちゃん。ご飯食べてってくれるのは全然良いんだけどお兄ちゃんに1度ここで食べて良いか聞いて来てくれないかな?」
「うん、分かった」
2人は私がそう言うと、ニコっと笑ってから玄関に向かって走って行った。子供が好きなメニューだとお子様ランチしか思い浮かばなかったので1度動画を見て冷蔵庫にある物で似たような物を作り始めると玄関から音がして小さな足音が聞こえた
「おかえり、お兄ちゃん居たの?」
「居たよ、良いって」
「マナアイス食べたい」
「良かった、マナちゃんアイスはご飯食べてからね」
「ご飯なあに?」
「お子様ランチにするね」
わーいと可愛く笑った2人を見ながら研いだ米を炊飯器に入れているとピンポンと鳴ったインターホンを聞いて玄関に向かった。スコープから覗くと派手な髪色をした男の子が立っていて首を傾げながら「はい」と扉の向こうに返事をすると「ルナとマナの兄です」と返ってきて慌てて扉を開けた
「すいません、お兄ちゃんだったんですね」
「あ、初めまして。三ツ谷と言います」
「何かすみません、ルナちゃんとマナちゃん借りてしまって。白石といいます」
頭を下げた私に感じ良く「お世話になります」と言ってくれた三ツ谷君は見た所高校生の様に感じた。染められたグレーの髪にピアス、目尻の下がった目は2人にそっくりでつい笑ってしまうと三ツ谷君は首を傾げる
「ごめんなさい、2人に目尻がそっくりだから」
「あぁ。良く言われます、白石さんは最近引っ越して来たんですか?」
「1ヶ月くらい前なんです。多分三ツ谷君と歳も余り変わらないので良かったら仲良くして下さいね」
そう言って少し微笑んだ私に、ん?と首を1度傾げた三ツ谷君は「 白石さん、幾つですか?」と言ってきた
「私は18ですけど……」
「俺、まだ15なんすけど」
「…ええ??中学生?…ごめんなさい、凄い落ち着いてるから」
「そんな事無いっすよ。……てか、本当にいいんですか?チビの飯」
「ああ、大丈夫だよ。お子様ランチにする予定……何だけど三ツ谷君はご飯平気?」
「2人居ないなら適当に食うんで平気です」
「お子様ランチ食べる?」
「……嫌、悪いんで大丈夫です」
ここで女の子なら私も引き下がらなかったけれど、男の子なので余りしつこいのも良くないかなと思い分かったと言って二、三言会話をしてから頭を下げてドアを閉めた。パッと見ると不良の類に見えるのだけど話しているとルナちゃんとマナちゃんみたいにしっかりした子だなと関心した
その後ルナちゃんとマナちゃんとご飯を食べてお風呂に一緒に入りたいと甘えて来た2人とお風呂に入ってからアイスを食べて3人でアニメを見ているとスヤスヤとソファで寝てしまった2人が可愛くてつい写メを撮ってしまった。時刻は21時を指していたので、2人のおもちゃやプレゼントした編みぐるみを小さな紙袋に入れてから2人を起こさない様に抱き上げて玄関をそっと出た
何歩か歩いた所で遠くから聞こえていたバイクの音が凄く近くなって、2人が起きちゃうじゃないと思い階段を上がろうとすれば「 白石さん!すみません」と名前を呼ばれ振り返るとエンジンを切ったバイクを押しながら私に手を振る三ツ谷君が居て内心中学生ってバイク乗れるの?と思いながら彼を見つめていた
「ありがとうございました、重いですよね。持ちます」
「ああ、ありがとう。おかえりなさいなんだけど、その前に免許あるのか聞いて良い?」
「ははは、もしかして風呂も入れてくれたんですか?」
「……免許無いのね。でも立派な単車乗ってるね」
「そんな風に言って貰えると凄ぇ嬉しいです。」
「うん、凄いカッコイイけど捕まったら洒落にならないからね」
「……肝に銘じておきます」
私の真剣な表情を見て困った様に笑った三ツ谷君はルナちゃんとマナちゃんを抱えると本当に助かりましたと言って頭を下げてくれた。おもちゃの入った紙袋を渡して「2人にまた遊びに来てねって伝えてね」と言えば三ツ谷隆君は「はい」と言って階段を上がって行った
この日からルナちゃんとマナちゃんは1週間に一度は遊びに来るようになった。それはお兄ちゃんが夜にお出かけの日らしくて内心デートかと思ったが野暮なので2人には詳しく聞かなかった。うちでアニメを見る2人にもっと来ていいんだよと言えば、余り迷惑かけちゃいけないとお兄ちゃんに注意されたと言っていたのでそれ以上は言わなかった
「ルナマナ、ちょっとスーパー行って来るから待っててね」
「はーい」
夕飯に唐揚げでも作ろうかと思えば鶏肉はあるが油を切らしてしまった事に気付いて財布を持って家を出た
唐揚げの付け合わせは何にしようかな何て考えながらのんびり歩いていると、三ツ谷君のバイクに似ている音が聞こえて振り返ればやっぱり三ツ谷君だったので笑顔で手を振るとこちらに気付いたのかアパートの敷地に入ろうとしていたバイクの方向を変えてこちらに向かってきた
「 白石さん、どっか行くんですか?」
「おかえり、三ツ谷君。今2人が来てるから唐揚げ作ろうかと思ったら油切らしちゃって。買いに行ってくる」
「…いつもすみません。良かったら乗せていきます、近くのスーパーで良いんすよね?」
「えっ、悪いから良いよ。近いし」
そう言って首を横に降った私に「無免許だから駄目ですか?」と目尻を下げた三ツ谷君に「うーん、じゃあ乗せて貰っちゃおうかな」と小さく舌を出すとフッと笑った三ツ谷君は一度バイクから降りてメットインから出したヘルメットを私に渡してくれた
お邪魔しますと言って彼の後ろに乗り腰を掴ませて貰うと、「掴まってて下さいね」と言われて「うんと頷いた。スピードを出している訳じゃないのに変わって行く景色にやっぱり速いし風が気持ちがいいなと気分が晴れやかになるのを感じた
「ありがとう、バイク乗るの久しぶりで本当は嬉しい」
「えっ?バイク好きなんですか?」
「私は乗らないんだけど、前の彼氏が好きで良く乗せてくれたんだ」
「そうなんですね、彼氏さん何乗ってたんですか?」
「私詳しくないけどCBXって言ってたよ」
「カッコイイっすね、あれ形が良いですよね」
「ふふふ、何かそう言ってた気がする」
そんな話をしていると、スーパーの看板が見えて来て三ツ谷君はその前でバイクを停めると私が外したメットを受け取ってくれる
「ちょっと買って来ちゃうから待ってて」
「分かりました」
「三ツ谷君も今日うちで良かったら唐揚げ食べない?」
「……俺も良いんですか?」
「勿論だよ、4人で食べよ」
「あ、じゃあ遠慮無く頂きます」
少しだけ微笑んだ三ツ谷君に「直ぐ買って来ちゃうね」と言ってからスーパーで油と4人分のアイスを買ってから2人で自宅へと戻った。玄関に入れば出迎えてくれた小さな2人が「何でお兄ちゃんいるの?」と聞いてきたので「お兄ちゃんがスーパーに連れてってくれたの」と言って買ってきたアイスを見せれば2人はやったーと万歳して微笑んだ
「何かすみません、この間もお菓子とか買って貰ったみたいで」
「いいんだよ、してあげたくて勝手にしてるだけだから気にしないでね」
「……ありがとうございます」
「三ツ谷君さ、もし良かったら味噌汁お願いしても良い?私その間に唐揚げ揚げちゃうから」
「お兄ちゃんの味噌汁しょっぱいよ」
「あはは、そうなんだ。じゃあしょっぱかったら後でお湯入れちゃう」
「今日は薄目で作りますね、他に何かやる事あったら何でも言って下さい」
そう言ってくれた三ツ谷君にありがとうと感謝を伝えてエプロンをするとキッチンに立った。手馴れた手つきで豆腐とワカメと葱の味噌汁を作り、合間に洗い物をしてくれる三ツ谷君は本当に中学生か?と不思議になる。炊飯器から米が炊きあがったのがアラームで分かると直ぐに掻き混ぜてくれた彼に私は口をポカンと開けてしまった
「……何でそんな顔してるんですか?」
「私、中学生の頃とかそんなに気が回らなかったから。凄いなって思って」
「ただやり慣れてるだけですよ」
「その歳でやり慣れてる事が凄いんだよ。お母さんの手伝いをして妹の事も大事するってさ、気持ちが無いと出来ないじゃん。本当に優しい気持ち持ってるんだね」
「何か、そう言われると照れるな」
「か、可愛い。三ツ谷君顔ちょっと赤い」
やめて下さいよと言われてるのに可愛くて仕方なくて頬を優しく突くと、直ぐにその手を取られて「はい、唐揚げに集中して下さい」と箸を渡される。思っていたよりも手はゴツゴツしていて並ぶと私より10cmは背も高くて今の中学生は発育が良いんだなと関心してしまった
「いただきます」
「はい、どうぞ。沢山食べてね」
「すみません俺も頂きます」
「三ツ谷君もいっぱい食べてね、お手伝いありがとう」
4人で食べるご飯は美味しくて、何だか家族と食べた日々を久しぶりに思い出した。3人が似たような顔をして美味しいと口を動かしている姿が可愛くて私まで笑顔が絶えなかった。その後も特に何を話すって訳でもないけれどアイスを食べたりテレビを見たりして、のんびりと4人で心地良く過ごせる時間が兄弟が増えたみたいで何だか嬉しかった
「そろそろお風呂入ろうか」
「はーい」
「お兄ちゃんも一緒に入る?」
「阿呆な事言ってねーでさっさと入れ」
「えぇ。三ツ谷君も入ろうよ」
「頼むからからかわないで下さいよ」
目を細めて少し苦笑いをした三ツ谷君に私が笑うとルナとマナもケラケラと笑っていた
お風呂から3人で上がり髪を乾かしていると、「 白石さん、ミシン借りて良いですか?」と脱衣場の外から声がして「いいよ」と返事をした。夏場のお風呂はやっぱりシャワーだけでも暑いね何てルナとマナと話をしながらリビングに入るとエアコンの風が気持ち良くてソファに寝転んだ。ドライヤーをかけている時に出てきた汗がすっと引くような感じがしてそのままウトウトしていると、お腹に乗ってきたマナが私の胸に頭を預けて眠そうにしているのを見て何だか本格的に眠くなってきてしまいそのまま眠気に負けて目を閉じた
カタカタカタと遠くから聞こえる規則正しい小さな音で目が覚めた、目をゆっくり開ければ自分のベッドで眠っていて両隣に寝ているルナとマナが規則正しい寝息を立てている。開けっ放しのドアから作業部屋の電気が付いているのが見えて私はゆっくりと2人を起こさない様に起き上がりスリッパを履いた
ソファから私達をベッドに運んでくれたのは三ツ谷君しかいないけれど、きっと重かっただろうなと少し恥ずかしくなりながら明かりのついた部屋に向かう
部屋を覗けば、三ツ谷君がこちらに背中を向けてミシンを動かしていた。カタカタと一定のリズムを刻みながら彼の手裁きを見ていたが素人じゃないなとまた彼を不思議に思う。裁縫まで出来る何て普通に主婦じゃないかと眉を寄せながら後ろから彼を見ているとひと段落ついたのか手を止めたのでゆっくりと彼に近付いて優しく頭を撫でた
「……びっくりした」
「お疲れ様、三ツ谷君上手だね」
「気配無くてすげぇびっくりしたんすけど」
「ふふ、集中してたもんね。まさか裁縫まで出来るなんて私がびっくりしたよ」
「ルナが学校で使う給食袋破れたんで、縫い直してました」
「……凄い、綺麗に縫えてる」
黄色の可愛らしいチューリップが刺繍された布袋は縫い直しが分からないくらい綺麗に直されていて、思わずマジマジと見つめてしまった。昔から数をこなして無いとここまで出来ないだろうなと思うとこの子の努力や優しさに感動してしまって、もう一度頭を優しく撫でてしまう
「……恥ずかしいんすけど」
「本当に凄い偉くて、何だか撫でたくなっちゃった。ごめんね」
「いや、まぁ。ありがとうございます」
「そろそろ白石さんて呼ぶのと敬語やめてよ、隆君」
「……じゃあ、遠慮無く。 雪那ちゃん」
「ぷっ、雪那ちゃん何だ」
「ちゃんじゃなかったら、 雪那さん?」
「ううん、好きに呼んでね」
ふふふと笑う私に隆君は一度だけ優しく頷いた
それから、ルナとマナが家に遊びに来る時は隆君も一緒に来る事が多くなった。たまに一人で来てミシンをしたり私が料理していると手伝ってくれる時もあって凄く助かるし、話をしていても聞き上手だからか年下を感じない彼に好感を持つ様になっていった
暑い夏も過ぎてあっとゆう間に秋になり、相変わらずルナとマナは遊びに来ていたけれど最近隆君が遊びに来ないのでお兄ちゃんは?と2人に聞けば2人は気まずそうな顔をして目を合わせていた
「……どしたの?何かあった?」
「……お兄ちゃん。……えーと。なんでもない」
「何かあったんだね、雪那に言うなって言われた?」
2人は一瞬間を置いてからゆっくり頷いた
「……お兄ちゃん家に居るの?」
「うん」
「……分かった。2人はここで遊んでてね」
何だか心配そうな顔をしている2人の頭を撫でてから、家を出て階段を上がり三ツ谷家のドアノブをゆっくり回すと鍵は掛かって無かったのでそっと玄関に入った。何回かお邪魔した事があったのでもう間取りも分かっていて、おばさんにも挨拶して仲良くさせてもらっていたので図々しく靴を脱いで隆君の自室をノックすると返事は無い
ゆっくりと部屋のドアを開ければベッドがこんもりと盛り上がっていたので寝ているのが分かったけれど、こんな昼間から寝てるならもしかして風邪かな?と心配になりそっとベッドに近寄り隆くんの顔を覗き込む
頭に大きな包帯を巻き、目と頬を腫らす隆君は枕に横向きに顔を埋めてスヤスヤと眠っていた。その姿を見て何だかショックを受けてしまい、震える手で頭を優しく撫でていると涙が出て来てしまう。ぐしぐしと涙を流しながら腫れた頬に触れると、ゆっくり目を開けた隆君と目が合った
「……何泣いてんだよ……泣くなよ」
「……何でそんなに怪我してるの」
頬を触っている手を優しく掴まれて「大丈夫だよ」と言われたけれど、やっぱり涙は止まらなくて心配で下を向いた。ゆっくりと起き上がった隆君は気まずそうに「ちょっと事故っちゃって」と言って苦笑いした顔に「本当に?」と言えば気まずそうに目線を逸らした
「……嘘なのね。私に言えないの?」
「あー、雪那ちゃん。怒んなよ……ちょっと喧嘩しただけだから」
「喧嘩でそんな怪我するなんて……どんだけ隆君弱いのよ」
「よ、弱いとか言うなよ。ちょっと不意打ちされただけだっつーの」
喧嘩何てしないでよと言ってまためそめそしだした私に本格的に困った顔をした隆君は「雪那ちゃんごめんな」と言ってずっと私をあやす様に頭を撫でていた
涙が止まってきて顔を上げると、まだ困り顔の隆君と至近距離で目が合って少しだけ心臓がドキドキした気がした。目を逸らした隆君が可愛くて緩んだ口元を隠す様に「お腹空いちゃった。今日の夕飯はカルボナーラにしようかな」と言って微笑んだ
「……俺も食いてぇ」
「喧嘩する悪い子はめっ」
「……売られたら買うのは悪ぃのか?」
「うーん、自分から売ってなければ良し」
「なんだそれ」
「歩ける?無理そうならこっち持ってくるよ」
「平気、行くわ」
立ち上がった隆君に「急に立ったら駄目だよ」と言って肩を支えると、サンキュと小さな声が聞こえて私達はそのまま寄り添いながら私の自宅に向かった。お手伝いは今日は無しにして、隆君とルナマナちゃんには3人でアニメを見てて貰いカルボナーラを作っているとピンポンと鳴ったインターホンに首を傾げた
宅配便かなと思い玄関を開けると、そこに立っていた人物に目を一度見開いてから眉を潜めた
「よぉ、元気か?」
「……何でこの場所知ってるのよ」
「お前の弟に聞いた」
「……脅したりしてないよね?」
「……当たり前だろ。そんな事しねぇよ」
「……何か用があるの?」
「ああ。前から言ってるけど、ちゃんと寄り戻したいだけ」
「……何回も断ったよね?」
「 雪那ちゃん?」と背中から聞こえた声に振り返ると、心配そうな隆君とその足元から覗いて元彼を睨みつけるルナとマナに小さな声でごめんねと言えば口を開いたのは何故かルナだった
「…… 雪那ちゃん、この人誰?」
「……ええと、何て言えば良いんだろう」
アタフタする私に「ルナやめろ」と咎める様に言った隆君。下を向いていたマナちゃんが元彼を見つめてから小さな拳を握り締めた
「 雪那ちゃんはウチのお兄ちゃんとらぶらぶ何だからおじさんは帰ってください」
その言葉に私は口を開けて隆君を見ると、隆君もポカンと口を開けた。振り返って元彼を見れば「お前の彼氏なの?その子」と目を細めて言われ、絶対内心中学生に手を出したとか思われてるんだろうなと思ったが
「うん、彼氏の三ツ谷君」
と言って隆君をちらっと見れば「あー、はい」と言った隆君は元彼に合わせた厳しい視線を逸らさなかった
「……三ツ谷隆って東卍の奴じゃん。お前ヤンキー嫌いとか言ってたのにこれかよ」
「……あんたに関係無いわよ」
「……てめぇ、俺の女に喧嘩売ってんの?」
「……嫌、別に。何でもないです」
気まずい空気が流れるとテクテクとこちらに向かって歩いて来たルナちゃんがゆっくりとドアを閉めて鍵を掛けた。ぷっと吹き出して笑った私に隆君とマナちゃんも笑い出したので一度スコープから外を確認すると暗闇に消えて行く元彼の姿があって素直に帰ってくれたので少し安心してしまった
「……悪ぃ、ルナとマナが変な事言って」
「ううん本当に助かりました、ありがとうね。あ、カルボナーラ忘れてた」
「お腹空いた」
「マナも空いた」
「じゃあご飯にしようか」
わーいと喜ぶ2人の頭を撫でてキッチンに戻ると4人でカルボナーラを食べてからデザートを頂いてご満悦のルナとマナはお風呂に入って早々と私の布団で寝てしまった。柔らかい髪を撫でながら深く眠ったのを確認してリビングに戻れば、ソファに腰掛けながら眠っている隆君の姿に少し驚いた。ゆっくりと起こさない様に隣に掛けてからテレビを見ていると、音が煩かったのか「うー」と小さく唸る隆君に内心微笑んでいると、ゆっくりと倒れた体が私に寄り掛かるようにもたれ頭が肩に触れた
体制的にキツイかな?と思い、優しく頭を膝に乗せると起きずにそのまま私のお腹に擦り寄る彼が少しだけ可愛らしく見えて自然と長い睫毛を見つめながら髪の毛を優しく撫でた
余り触り過ぎても良くないかと思い、髪を撫でていた手を背中に回して優しくトントンと指だけを動かす。目線は画面を見ていると、ヒロインの女の子がヒーローに助けて貰ったお礼を渡している所だった
「……お礼か。隆君て何か欲しいものあるかな」
「……え?」
聞こえてきた声に下を向けば膝の上で少しだけ照れくさそうな隆君と目が合って、ニッコリと微笑んだ私を見て頭をかく仕草をすると少し恥ずかしいのかゆっくりと目を逸らした
「隆君、体痛くない?」
「……へーき。てか悪ぃ。俺倒れてきた?」
「ううん、何か体制悪いから私が倒したの」
「……おぃ。余り男にそうゆう事すんなよ 」
眉を寄せた隆君は危ないから駄目だろと言ってゆっくり起き上がる。元彼には無かったこの少し照れくさそうにする所が可愛くて「可愛いぃ」と言いながら起き上がった隆君の頬にすりすりと擦り寄ると「……あのな、今駄目だって言っただろ」と呆れた顔で見られてつい笑ってしまった
「だってぇ。可愛いんだもん。つい触りたくなっちゃうじゃない」
「……お前なぁ。もうちょい危機感持てよ。最近俺の部屋にも入ってくるし」
「私には怖いバックがいるから大丈夫なの」
「へぇ、誰?」
「ルナとマナ」
「……普通に怖ぇ」
「うふふ。先輩より怖いよね」
「やかましいからな」
目を細めて欠伸をした隆君の頬を優しく撫でると、彼はこちらを向いた「もう本当に怪我しないでね。心配だから」そう言って優しく抱き締めて背を撫でると、大人しくそのまま何も言わずにじっとしていた
そのまま月日は流れて段々と寒くなって来た頃、いつも通りルナとマナと3人でお菓子を買いにスーパーへと向かっていると聞き慣れたバイクの音がして前方を良く見てみると、こちらに向かってくる4台のうちの1台は隆君だったのでルナとマナと私で手を振った
気付いた時にはもうすれ違ってしまっていたし、お友達と居るからまぁいいかと思いそのまま3人でのんびり歩いているとUターンして来た4台は私達を少し追い越した所で止まった
「あぁ、ドラケンだぁぁ」
「マイキーだぁ」
ルナちゃんとマナちゃんは知り合いなのか嬉しそうに駆け寄る姿を見ていると、隆君が声を掛けてくる
「雪那どこ行くの?」
「何かプリン食べたいんだって。材料買いに言ってくるね」
「……甘やかさなくていいのに」
「バイト今日は無いから大丈夫、隆君のプリンも作っておくよ」
そう言って微笑んだ私に「こんにちは」と声を掛けてきたお友達3人に頭を下げマジマジと見つめると、今の中学生はお洒落だな何て思った。タトゥーが入っていたり髪を綺麗に染めていたり、雰囲気も落ち着いている
「三ツ谷の嫁の雪那ちゃんだよね?」
「えぇ?隆君てば裏でお嫁さんて言ってくれてるの?」
「……言ってねぇよ。こいつらは皆嫁って言うの」
「なーんだ」
私が可笑しそうに笑えば金色の髪の男の子は「今度プリン俺にも作ってよ」と可愛らしい笑みで微笑んだのでいいよと頷いた。ドラケンと呼んだ男の子に高い高いをして貰っているマナがいつもよりも小さく見えて
微笑みながら見ていると、長髪の男の子が隆君に「お姉ちゃんいくつなの?」と聞いていて「18」と言った隆君に皆が少し驚いてる
「18には見えなかったな」
「……何か嬉しいような嬉しく無いような。若く見えるって事?」
「……小さいし、年上って聞いてなかったらタメに見えるかも。おっぱいはでけぇ」
「……場地、本当にやめろ」
「全部褒め言葉で受け取っておくね、さぁそろそろ2人共プリンの材料買いに行こう」
「はーい」
こちらに来たルナとマナの手を取ってから4人にまたねと言ってスーパーに向かい歩き出すと「またね」とイカつい姿に似合わない優しい声色で私達に手を振る4人組に3人で手を振った
帰って来てから3人でプリンを作り、冷やしている間に夕飯を食べていると携帯に隆君から今日は遅くなると連絡が来ていたので喧嘩は売らない様にと返信した
お風呂を先に済ませて3人でプリンを食べていると、疲れたのかウトウトとしだした2人に、歯磨きはきちんとする様にと言って脱衣場まで連れてくると目を閉じたまま歯を磨く2人に少し笑ってしまう。口をゆすぐとそのままベッドに入った2人にお休みと言ってからリビングに戻りアニメから見たかった映画に切り替えた
いつも2人がいるし、隆君も最近は良く遊びに来るのでラブシーンがかなり濃い18禁の映画が1人で見れるのは久しぶりだった。冷蔵庫から隠しておいた缶チューハイを取り出して半分飲み干してから画面に集中して見ていると、元彼と別れてからかなり経ったなぁ。何てボンヤリと考えていた
付き合った時は優しかったけど、顔が良いからかモテるし挙げ句の果てに浮気もするしそれを隠さないから腹が立った。最後に言われた台詞はおっぱいがデカイから別れたくないとかふざけた事を言われてビンタして別れたのは懐かしい思い出だ。そう言えば忘れていたけどトーマンの三ツ谷と言っていたけど隆君はそんなに有名人なのだろうか
トーマンが分からないから今度聞いて見ようかなと思っていると、テレビの中の女優さんの喘ぎ声が大きくて2人が起きちゃうと思い音量を下げた。缶チューハイを傾ければもう中身は空だったのでもう1本飲もうかと立ち上がってキッチンの方を振り向けばテレビ画面を見つめて口をポカンと開けた隆君と目が合った
「……あ、おかえりなさい」
「……ただ、いま」
一瞬ヤバいかなと思ったけど、特に悪い事はしてないから良いかなと思いテーブルにあったリモコンで映画の画面を変えてからキッチンに移動して冷蔵庫からチューハイを取ってゴクゴクと飲んでいると「酒飲んでんの?」と聞かれて頷いた
「これ美味しいんだよね。5%だから酔わないし」
「……ふーん。今みたいな映画見るんだ」
「うーん、たまにね。あれは友達に面白いから見てみなって言われたから見ただけ」
「それ、男に言われたの?」
「ううん。女の子だよ」
映画の紹介に男とか女とか関係あんのかな?と思ったけど「風呂入ってくる」と言って行ってしまった隆君の背中を見送った。そういえば浴室に下着を干しっぱなしだったのに気付いて慌てて脱衣場に入るとパンツ1枚の隆君が驚いた顔で私を見ていた
「ご、ごめん!浴室に下着干してたの忘れてた」
「あ、ああ。凄ェびっくりしたわ」
浴室に飛び込んだ私は下着をかっさらうとホッとしてから隆君を見つめて少しだけ顔が熱くなるのを感じた
顔は元々綺麗だけど、その鍛えられた体に本当に中学生なのかとポカンとつい見つめてしまう
「……何?」
「あ、ううん。鍛えてるんだなと思っただけ」
ごめんね。と言って脱衣場を出ようとドアノブを下ろし引こうとしたが微塵も動かない。「あれ?」と言ってもう一度引こうとすると耳元で「上見て」と言われて素直に首を上げれば隆君の手が扉を閉めていた
「…えっ?」
振り返った私の額に優しく額をくっ付けて来た隆君にびっくりして無言のまま目をぱちぱちさせていると、左手が優しく唇に触れてきて少しだけビクリとした
「……た、隆君?」
「触っても良い?」
「……ど、何処を?」
フッと薄く笑ってた隆君は頭を少し斜めにすると、そのままゆっくりと私に口付けてくる。チロっと舐められた唇からふっと自分の吐息が漏れて目を瞑ると優しい口付けは深く激しいものに変わり右手が私のシャツの中に入って来て滑るように肌を撫でた
「……隆君のえっち」
「 雪那ちゃんのスケベ」
「何でスケベなのよ」
「普通にエロいから」
「えっ?エロいって映画見てた事?」
「……違ぇよ。あ、そう言えば場地が今日ごめんな」
「何かあったっけ?」
「胸がでけぇとか言ってた奴」
「あぁ、全然いいよ。元彼何て胸がでけぇから寄り戻そうとか言ってくるし。そういうの慣れてる」
「………あの野郎、今度会ったらぶっ飛ばす」
「気にしなくていいよ、あの人阿呆だから」
ふふふっと笑った私にムスッとした隆君が可愛くてその鍛えられたお腹を優しく撫でた。中学生と何て事をしているんだろうと思っている自分がいるけれど彼が何だか魅力的で、触られると嬉しくて拒めない。自分もどんどん触れたくなっていてその欲望に逆らえなかった
「……触っていい?」
「聞く前に触ってんじゃん」
肌綺麗だなと思いながら指を滑らせていると、ゆっくり胸板が迫ってきて壁に押し付けられる。顔を上げて首を傾げれば唇は塞がれて少し乱暴気味にシャツを捲った手がブラジャーのホックを外して揺れた胸を揉みしだいた
「……ん」
久しぶりに触られた胸が気持ちが良くてそのまま身を任せていると、絡まって来た舌がスっと離れ谷間に顔を寄せた隆君が私の事をギュッと抱き締めてくる
「……隆君、お風呂は?」
「…………そういや汗臭いわ。風呂入る」
ふふっと笑った私をジッと見つめた隆君は1度何か考えた様に無言になると、急に私の唇を塞いでくる。1度胸に触れた手はシャツのボタンを丁寧に外し、反対の手でゴムのスカートをゆっくり下ろしてくると悪戯っ子の様に笑う
「一緒入ろ」
「私さっき入って洗ったよ」
「もう1回、いいじゃん」
髪を纏め終わると手を引かれて浴室に入り二人で体を洗いっこしてから温かいお湯に肩までつかった。後ろから抱き締めて首に口付けしてくる隆君の様子を見ていると、かなり慣れてるなと何だか複雑な気持ちになる。中学の3年の時に初体験が終わり、何人か付き合った人もいるしそれなりに経験もある。お風呂も彼氏と入ったりもしてたから特に恥ずかしくは無いけれど
隆君は初めてでは無いんだろうか
勿論、隆君に彼女が居たこともあるだろうしお風呂入ったり色んな経験はあるはずだけど……。そこまで考えて今彼女は居ないのかな?と思う。夜な夜な出掛けている隆君は行先も何をしているかも教えてくれなかったし、さっきの口付けも上手だったなと思うと私より余裕ある?遊ばれてないよね?と少し不安になってきた
「……さっきから何で黙ってんの?こっち向いてよ」
「う、うん」
背中を向けていた体を彼の方に向けると、両手で腰を持たれて自分の上に乗せた隆君は私と目が合うとフッと薄く笑う。固くなった隆君が自分の秘部に当たる感覚がして「可愛い」と微笑んで濡れたグレーの髪を優しくといた
お湯に浮いた私の胸を抱き締めて顔を埋めて幸せそうに「気持ちぃ」と言う隆君に少し笑ってしまった
「隆君て、胸が大きい子が好きなの?」
「……いや、そうゆう訳でもねぇかな」
胸を優しく揉まれて突起を優しく舌に含む隆君に反応した下半身がヌルヌルと蜜を垂らして、感じる度に熱くなった彼が擦り付けられている感覚に少しづつ気持ちが良くなって来てしまう。隆君の首に抱き着いて耳
を優しく甘噛みしながら舌を這わせると「んん」と小さく呻いた声に可愛くなり悪戯心が芽生えた
「可愛い、もっとしてもいい?」
「……いいよ」
至近距離で目が合って、いつもの目じゃなかった。男の目をしていてそれが堪らなくキュンときてしまい耳に唇を寄せて舌を這わせながら熱くて固い隆君を包み込む様に握った。手を動かす度に、はあはあと息をする隆君が可愛くて耳を舐めていた唇を今度は目元を這わせて顔を見ていると我慢している様な顔が堪らない
「……隆君の顔見てるだけで堪らない」
「……煽んなよ」
「もう、イキたい?」
「……ん」
首を傾げて「んってどっち?」と言った私の胸の突起に舌を這わせて来た隆君の頭を優しく抱くと、右手が秘部に優しく触れて敏感になっていたのかビクリと体が揺れる「……今度は俺の番ね」そう言ってニッコリと笑う彼はヌルヌルと上下に優しく撫でると躊躇無くスルリと指を入れてかき混ぜるように中を探る
「……何処がいいのか教えて」
「……やっ、ァァァ」
全部気持ちが良いなんて言えなくて、奥を刺激して来た指が動くと全身が震える様な快感に耐えきれなくて彼の頭を抱いて軽くイッてしまった
「ここが弱いんだ」
「……ん」
まだ余韻でビクビクしている私の手を取ると、浴槽から上がり軽々と持ち上げられて脱衣場の収納棚の上に座らされた。隆くんが先程脱いだズボンから出てきたのは避妊具で手早く装着すると、1度軽く口付けされてからゆっくりと入って来て中がいっぱいになる感じがした
「……すっげぇ気持ちぃ」
「………隆君、ちょっと今、動かないで……」
「……悪ぃ、痛かった?」
少し焦った様な顔で私の頬に擦り寄って来た彼の頭を撫でて「……動かされたらイッちゃう」とちょっと恥ずかしくて涙目で口を開けばびっくりした様な顔をしてから意地悪そうな顔で1度薄く笑った
「……じゃあ動いちゃう」
グリグリっと先程果てた所を刺激されて体がビクビクと快感を得て高い声が私の口から出ると、嬉しそうに笑った隆君は激しく何度もそこを突き立ててくる
恥ずかしいとかも考えられなくて、目の前がチカチカとして何度も来てしまう快楽にそのまま身を任せて彼にしがみつくしか無かった。「きもち?」と耳元で囁かれながらも激しく腰を動かす隆君に「だめぇ」と小さく呟いてからビクビクと中を痙攣させてイッてしまうと「俺も」と言った隆君は歯を少し食いしばる様な可愛い顔をしてから私に深く口付けた
それから私達の関係は少し変わっていった
夜は必ずと言っていい程彼は私を求めてきた
好きとか愛してるとかは言われた事は無かったけど、いつも優しくて行動に愛情が現れているから心配には然程ならなかった。でも、相変わらず夜のお出かけは減らないし、やっぱりデートに行ってるのかもしれないと落ち込む事もあった
もうすぐ19になる私何かに本気になる訳ないかとネガティブな考えも出てきてしまったり、学校に彼女が居るけど中学生同士だから中々出来なくて私をセフレにしてるんじゃないか何て色々考えてしまっていた
そんなある日、バイトの帰りに歌舞伎町を歩いていると見知った顔を見つけて私は手を振った
「ドラケン君!」
「おぉ、三ツ谷の嫁ちゃん。久しぶりだな」
「久しぶりだね」
1度道で会った後に何回か隆君を交えて話をした事がある程度だったけど、ドラケン君の落ち着いた態度やふと見せる優しさが私にとっては話しやすくて偶然合うと良く声を掛けて時間があれば少しお話したりしていた
隣に居た男にぺこりと頭を下げられて、こちらも頭を下げると「……乾です。よろしく」と言われて「雪那です」と微笑んだ
「ドラケン君と乾君は何してたの?」
「バイクのパーツ選んでた、ちょっと欲しい物あって」
「……ドラケン君さ、ちょっと時間あったりする?」
「どした?」
「……ちょっと聞きたい事あって」
ふうと吐いた息が白くて悴んだ手を摩っていると「ん」と横からにゅっと出てきた乾君の手には軍手が握られていて私は嬉しくてその軍手を手に取った
「イヌピー優しいじゃん」
「イヌピー君ありがとうね」
「……軍手だし」
「 雪那ちゃん寒いから、何か話あんならうちこいよ」
「良いの?ありがとう」
「……ドラケンの家に三ツ谷の彼女連れてってビックリしねぇの?」
「……?何かビックリするの?」
連れてこられた所は普通に大人のお店だった
ピンクのネオンがキラキラと輝いていて、口を開けてキョロキョロしているとエレベーターが開いて乗り込んだ2人が少し笑っていた
「 雪那ちゃん、キョロキョロしすぎ」
「何か犬みてぇな子だな」
「イヌピー君の仲間だね」
「…………俺犬に似てるか?」
そんな会話をしながら通されたのは普通に大人のサロンだったけど奥の部屋を開ければ普通の男の子の部屋だった。飾ってある写真に写る隆君が小さくて可愛くてキャッキャと興奮している私に温かい珈琲を持って来てくれたドラケン君は「そんで?話って?」と言いながらベッドに腰かけた
イヌピー君が座るソファの横に座らせて貰うと、聞きたかった事を聞いてしまう事にした
「……隆君て、彼女いるの?」
「……お前だろ」
「……えっと他にも」
口止めされてたらごめんねと私が下を向いて呟くと、2人は口を開かないので顔を上げると全く意味が分からないとゆう顔をしてる2人に私は話を続けた
「……まず、私好きとか付き合ってとか言われた事無いからさ、嫁でも彼女でも無いんだ」
「…………」
「……出会ってからずっとなんだけど、隆君夜は良く出掛けてて。良く考えたらデートしてるのかも」
「……」
「……私19歳になるし。もしかしたら彼女が学校に居てさ……彼女と中々出来ないから私としたがるのかなって。ただのセフレみたいなのかなと思ったら少し寂しくてさ」
そこまで一気に話したら何だか溜息が出てきて、珈琲を啜る。2人をチラっと見れば眉を寄せて難しそうな顔をしていたので話しちゃ不味かったかな?と思ったけどもう後には引けないので、2人が口を開くのを待った
「……夜のお出かけって三ツ谷どんな服着てる?」
ふいに聞いてきたのはイヌピー君で「遠目からしか見た事無いけど、何か黒い服」と言った私に「それ集会じゃね?」と言われて首を傾げた
「……集会って暴走族の?」
「……あーあ。バレた」
「……三ツ谷内緒にしてんの?ドラケン」
「知られたくねぇって言ってた」
「何で?」
「俺も詳しくは分からねぇよ」
「……そっか、トーマンて暴走族だったんだね」
「東卍は知ってんのかよ」
「元彼から助けてくれた時にさ、トーマンの三ツ谷隆じゃんて言ってたから」
「まあ、女の子はあんまり知らないよな」
「うーん、集会とかもテレビとかで見た事あるくらいかな」
「……ん、まあ。そんな感じ」
何だそっか。と腑に落ちた様な落ちない様な感じになった私にドラケン君は「何でセフレ何て思うんだ?」と真面目な顔で聞いてくる
「……何か都合が良いだけなのかなって思っちゃって。好きとか言われた事も無いから、好きじゃなくても普通に出来るのかなとか嫌な風に考えちゃった」
「……月に1回とか都合良く家に来てやる事やって帰ったりすんの?態度とか冷たかったり?」
真剣な瞳で聞いてくるイヌピー君に首を横に振った
「違う違う。毎日求められて1日2回の時もあるし、終わった後に冷たかった事はないよ。料理とか洗濯に掃除も手伝ってくれる」
「……普通に羨ましいんだけど」
「イヌピー突っ込むけど何が羨ましいんだよ」
「1日2回」
「……スルーするわ。てかさ 雪那ちゃん、それだけ聞くと普通に愛されてる感ある様に聞こえるんだけどよ」
「うーん。……回数とかじゃなくてさ、何かいつも内緒で出掛けて、好きとも言われない。毎日毎日体は求めてくるって考えたら心配になった感じ」
「…うーん…そっか。そう言われればそうだな」
「普通に三ツ谷が心配かけてんじゃん。」そう言ったイヌピー君は、今俺らに言ったみたいに三ツ谷に言ってみなとアドバイスをくれた
2人にお礼を言ってから暗くなった道をイヌピー君に途中まで送って貰って家に帰れば時刻は20時になっていた。鍵を開けて家に入れば家の中でも息が白くて凍えそうだ、直ぐにエアコンとコタツを付けてお湯を沸かして紅茶を入れているとふと見た携帯の通知に少し驚いた。LINEには隆君からの着信と連絡しての文字、バイトだって伝えた筈なのにどうしたんだろうと思い直ぐにLINEに今帰って来たよと送れば、上の階で物音が聞こえて小さく階段を降りる音が聞こえた
テレビを付けていないから尚更音が良く聞こえるなと思っていると、玄関の扉が開いて直ぐに隆君がリビングに顔を出した
「隆君、どしたの?」
息切れしている隆君に走り寄ると、まだ冷たい体をぎゅうぎゅうと急に抱かれて私は少し微笑んで背中を摩った
「……ドラケンに聞いた。悪かった。暴走族に入ってるって知られたら嫌がられるかと思ってた」
「……そんな事無いのに」
「……後、彼女とかいねぇから」
そっか。良かったと言って微笑んだ私の冷たい手を優しく握り締めてくれた。「誤解してごめんね」そう言って隆君の唇に背伸びをして軽く口付けると少し困った様な顔をした隆君は私の髪を優しく撫でてくる
「……年上だから、余裕ありそうでさ。心配だったんだよ俺」
「……えっ?そうなの?」
「……童貞だし、暴走族やってるとかバレたら相手にされなくなるのかなとか考えた事もあってさ」
「……童貞には流石にビックリした。初めてであんなに上手に出来るんだ」
「内心ドキドキしてたけど、雪那が可愛い過ぎて途中からそんな事忘れてた」
「……ふふ。それは嬉しい。……隆君は私の事が好きだから抱いてくれるんだよね?」
「……当たり前だろ。……唐揚げご馳走様になった時から惚れてたけど……早すぎて嘘だって言われたら嫌だから黙ってた」
「……嘘なんて言わないのに」
「でも、やっぱり触れるのは我慢出来なかった」
ごめんなと小さく呟いた隆君に首を横に振った私は嬉しくて幸せな気持ちだった。ドラケン君とイヌピー君に相談して本当に良かったな何て考えながらニコニコとしている私に「彼女になってくれる?」と言って目尻が下がった瞳で見つめてくる隆君の頬に優しくキスをしてから「喜んで」と言って微笑んだ
実家が大きな一軒家だったから小さく古びたアパートに越してきて最初はかなり違和感を感じた。けれどそれも本当に最初だけで住めば都と言うがその通りで毎日静かで快適な日々を送っていた
今日はバイトも休みで家事を済ませてからコンビニでジュースでも買おうと財布を持ってアパートを出た。安物のサンダルを引っ掛けてポケットから携帯を取り出してLINEのチェックをしながら歩いていると「嫌だァ」と子供が泣くような声が聞こえて携帯から顔を上げた。幼稚園児と小学校低学年くらいだろうか、二人で何やら道の真ん中で言い争いをしている様に見えて母親は居ないのかと辺りを見渡した
それらしき人物は居ないし、道路の真ん中とゆうのが気になって思わず声を掛けてしまう
「……お嬢ちゃん達、車来ると危ないからこっちおいで」
「……お姉ちゃん誰?」
声を掛けると2人は私の方を向いた。可愛らしい目尻が下がった藤色の瞳を見て姉妹だと分かり私は微笑む
「お姉ちゃんはそこのアパートの1階に住んでます。怪しい人じゃないよ、2人共車が来たら跳ねられちゃうからちょっとだけ移動しようね」
彼女達の返事も聞かずに2人の手を取って歩道に移動した。2人共何も言わずにしっかり歩いてくれたのは後ろから車が来ていたのが分かっていたのかもしれない。ありがとうねと言って2人の頭を優しく撫でると、小さい方の女の子が、私が持っていたキーケースに付いている編みぐるみを見て目を輝かせた
「……欲しいの?」
「……」
「駄目だよ、マナ。これはお姉ちゃんのだよ」
「マナ欲しい何て言って無いもん」
ムスッと頬を膨らませたマナちゃんの頭を優しく撫でて「これは汚いから新しいのあげる。おマナちゃんの姉ちゃんにもあげるよ」と微笑むと、2人は目を合わせてから「いいの?」と首を傾げてくる
「まだここで遊んでる?お姉ちゃん1回コンビニ行ってくるから、ちょっと待っててくれるかな?編みぐるみは家にあるから」
「マナもコンビニ行く」
「……ルナも行きたい」
「コンビニ行きたいの?……うーん。お母さんは?」
コンビニに連れていくのは簡単だけど、母親の居ない所で連れ回すのも気が引けた。お母さんは?と聞けば2人は当たり前の様に夜中に帰って来るよと言ってきたので少しだけ驚いた。2人の手を取って「なら一緒にコンビニ行って買い物して、編みぐるみ渡したら家まで送るね」と言えば2人は満足そうな顔で微笑んだので、小さな手を優しく引いてコンビニまで歩き出した
コンビニに到着して、カゴの中にジュースを入れていると2人はお菓子コーナーを見ている様だった。ポテチとチョコも入れ終わりお菓子コーナーに顔を出した私に「お姉ちゃんの買い物終わった?」と聞いてきた2人はその場で立ち上がると私のスカートを握り締めた
「2人共何が欲しいの?」
「いらない」
「マナもいらない」
「……いい子だねぇ、いつもお留守番してるみたいでいい子だからお姉ちゃんが好きなお菓子とアイスを買ってあげる。あ、1人500円までね」
そう言って500玉を2つ財布から取り出して2人に渡せば最初は少しだけ戸惑っていたけれど、「大丈夫だよ」と頭を撫でると素直にやったと言ってお菓子を選び始めた2人が何だか可愛かった。弟しか居ない私は妹も欲しかったなと思って育ったから尚更可愛く見えるのかもしれない
先に自分の会計を済ませてから、2人が会計を出来るのかが分からなかったので隣で見守っていたが2人共年の割にかなりしっかりとしていてスムーズに会計を済ませて居たので内心凄いなと関心してしまった
「何買ったの?」
「アイスと、魔法少女のお菓子」
「マナもルナと一緒」
自分が小さい頃も魔法少女のお菓子を買っていたなと思い笑っていると、小さな手が私の手を包んでくれてそれが嬉しくて私達はゆっくりと魔法少女の話をしながら帰路についた。自宅のアパートに戻ってきて鍵を開けて2人を招き入れると、2人はキョロキョロと辺りを見渡しながら玄関で靴を脱いで私の後に続いてくる
「うちと一緒」
「何が一緒なの?」
「お部屋の形」
「……えっ?もしかして同じアパートなの?」
「うん、2階だけど」
「なんだそうだったんだね。安心したよ」
冷蔵庫からジュースを出して2人に渡すと、2人はお菓子のオマケに夢中だったので自室に置いてあるキーホルダーを入れてある小さな籠を持ってくると2人の前に置いた。「ぉぉぉ」と目を輝かせてくれるのが嬉しくて「どれでも好きなの持って行ってね」と言えば万歳してくれた2人に笑ってしまった。友人から誘われたバザーの景品で作った物で沢山余ってしまっていたから、こんな風に喜んでくれて嬉しかったのかもしれない
時計を見れば夕方の5時を指していた。ご飯はあるのかな?と気になったので聞いて見ればお兄ちゃんが作ってくれるけどお姉ちゃんのが食べたいと言われ少し困ってしまう
「……うーん。ルナちゃん、マナちゃん。ご飯食べてってくれるのは全然良いんだけどお兄ちゃんに1度ここで食べて良いか聞いて来てくれないかな?」
「うん、分かった」
2人は私がそう言うと、ニコっと笑ってから玄関に向かって走って行った。子供が好きなメニューだとお子様ランチしか思い浮かばなかったので1度動画を見て冷蔵庫にある物で似たような物を作り始めると玄関から音がして小さな足音が聞こえた
「おかえり、お兄ちゃん居たの?」
「居たよ、良いって」
「マナアイス食べたい」
「良かった、マナちゃんアイスはご飯食べてからね」
「ご飯なあに?」
「お子様ランチにするね」
わーいと可愛く笑った2人を見ながら研いだ米を炊飯器に入れているとピンポンと鳴ったインターホンを聞いて玄関に向かった。スコープから覗くと派手な髪色をした男の子が立っていて首を傾げながら「はい」と扉の向こうに返事をすると「ルナとマナの兄です」と返ってきて慌てて扉を開けた
「すいません、お兄ちゃんだったんですね」
「あ、初めまして。三ツ谷と言います」
「何かすみません、ルナちゃんとマナちゃん借りてしまって。白石といいます」
頭を下げた私に感じ良く「お世話になります」と言ってくれた三ツ谷君は見た所高校生の様に感じた。染められたグレーの髪にピアス、目尻の下がった目は2人にそっくりでつい笑ってしまうと三ツ谷君は首を傾げる
「ごめんなさい、2人に目尻がそっくりだから」
「あぁ。良く言われます、白石さんは最近引っ越して来たんですか?」
「1ヶ月くらい前なんです。多分三ツ谷君と歳も余り変わらないので良かったら仲良くして下さいね」
そう言って少し微笑んだ私に、ん?と首を1度傾げた三ツ谷君は「 白石さん、幾つですか?」と言ってきた
「私は18ですけど……」
「俺、まだ15なんすけど」
「…ええ??中学生?…ごめんなさい、凄い落ち着いてるから」
「そんな事無いっすよ。……てか、本当にいいんですか?チビの飯」
「ああ、大丈夫だよ。お子様ランチにする予定……何だけど三ツ谷君はご飯平気?」
「2人居ないなら適当に食うんで平気です」
「お子様ランチ食べる?」
「……嫌、悪いんで大丈夫です」
ここで女の子なら私も引き下がらなかったけれど、男の子なので余りしつこいのも良くないかなと思い分かったと言って二、三言会話をしてから頭を下げてドアを閉めた。パッと見ると不良の類に見えるのだけど話しているとルナちゃんとマナちゃんみたいにしっかりした子だなと関心した
その後ルナちゃんとマナちゃんとご飯を食べてお風呂に一緒に入りたいと甘えて来た2人とお風呂に入ってからアイスを食べて3人でアニメを見ているとスヤスヤとソファで寝てしまった2人が可愛くてつい写メを撮ってしまった。時刻は21時を指していたので、2人のおもちゃやプレゼントした編みぐるみを小さな紙袋に入れてから2人を起こさない様に抱き上げて玄関をそっと出た
何歩か歩いた所で遠くから聞こえていたバイクの音が凄く近くなって、2人が起きちゃうじゃないと思い階段を上がろうとすれば「 白石さん!すみません」と名前を呼ばれ振り返るとエンジンを切ったバイクを押しながら私に手を振る三ツ谷君が居て内心中学生ってバイク乗れるの?と思いながら彼を見つめていた
「ありがとうございました、重いですよね。持ちます」
「ああ、ありがとう。おかえりなさいなんだけど、その前に免許あるのか聞いて良い?」
「ははは、もしかして風呂も入れてくれたんですか?」
「……免許無いのね。でも立派な単車乗ってるね」
「そんな風に言って貰えると凄ぇ嬉しいです。」
「うん、凄いカッコイイけど捕まったら洒落にならないからね」
「……肝に銘じておきます」
私の真剣な表情を見て困った様に笑った三ツ谷君はルナちゃんとマナちゃんを抱えると本当に助かりましたと言って頭を下げてくれた。おもちゃの入った紙袋を渡して「2人にまた遊びに来てねって伝えてね」と言えば三ツ谷隆君は「はい」と言って階段を上がって行った
この日からルナちゃんとマナちゃんは1週間に一度は遊びに来るようになった。それはお兄ちゃんが夜にお出かけの日らしくて内心デートかと思ったが野暮なので2人には詳しく聞かなかった。うちでアニメを見る2人にもっと来ていいんだよと言えば、余り迷惑かけちゃいけないとお兄ちゃんに注意されたと言っていたのでそれ以上は言わなかった
「ルナマナ、ちょっとスーパー行って来るから待っててね」
「はーい」
夕飯に唐揚げでも作ろうかと思えば鶏肉はあるが油を切らしてしまった事に気付いて財布を持って家を出た
唐揚げの付け合わせは何にしようかな何て考えながらのんびり歩いていると、三ツ谷君のバイクに似ている音が聞こえて振り返ればやっぱり三ツ谷君だったので笑顔で手を振るとこちらに気付いたのかアパートの敷地に入ろうとしていたバイクの方向を変えてこちらに向かってきた
「 白石さん、どっか行くんですか?」
「おかえり、三ツ谷君。今2人が来てるから唐揚げ作ろうかと思ったら油切らしちゃって。買いに行ってくる」
「…いつもすみません。良かったら乗せていきます、近くのスーパーで良いんすよね?」
「えっ、悪いから良いよ。近いし」
そう言って首を横に降った私に「無免許だから駄目ですか?」と目尻を下げた三ツ谷君に「うーん、じゃあ乗せて貰っちゃおうかな」と小さく舌を出すとフッと笑った三ツ谷君は一度バイクから降りてメットインから出したヘルメットを私に渡してくれた
お邪魔しますと言って彼の後ろに乗り腰を掴ませて貰うと、「掴まってて下さいね」と言われて「うんと頷いた。スピードを出している訳じゃないのに変わって行く景色にやっぱり速いし風が気持ちがいいなと気分が晴れやかになるのを感じた
「ありがとう、バイク乗るの久しぶりで本当は嬉しい」
「えっ?バイク好きなんですか?」
「私は乗らないんだけど、前の彼氏が好きで良く乗せてくれたんだ」
「そうなんですね、彼氏さん何乗ってたんですか?」
「私詳しくないけどCBXって言ってたよ」
「カッコイイっすね、あれ形が良いですよね」
「ふふふ、何かそう言ってた気がする」
そんな話をしていると、スーパーの看板が見えて来て三ツ谷君はその前でバイクを停めると私が外したメットを受け取ってくれる
「ちょっと買って来ちゃうから待ってて」
「分かりました」
「三ツ谷君も今日うちで良かったら唐揚げ食べない?」
「……俺も良いんですか?」
「勿論だよ、4人で食べよ」
「あ、じゃあ遠慮無く頂きます」
少しだけ微笑んだ三ツ谷君に「直ぐ買って来ちゃうね」と言ってからスーパーで油と4人分のアイスを買ってから2人で自宅へと戻った。玄関に入れば出迎えてくれた小さな2人が「何でお兄ちゃんいるの?」と聞いてきたので「お兄ちゃんがスーパーに連れてってくれたの」と言って買ってきたアイスを見せれば2人はやったーと万歳して微笑んだ
「何かすみません、この間もお菓子とか買って貰ったみたいで」
「いいんだよ、してあげたくて勝手にしてるだけだから気にしないでね」
「……ありがとうございます」
「三ツ谷君さ、もし良かったら味噌汁お願いしても良い?私その間に唐揚げ揚げちゃうから」
「お兄ちゃんの味噌汁しょっぱいよ」
「あはは、そうなんだ。じゃあしょっぱかったら後でお湯入れちゃう」
「今日は薄目で作りますね、他に何かやる事あったら何でも言って下さい」
そう言ってくれた三ツ谷君にありがとうと感謝を伝えてエプロンをするとキッチンに立った。手馴れた手つきで豆腐とワカメと葱の味噌汁を作り、合間に洗い物をしてくれる三ツ谷君は本当に中学生か?と不思議になる。炊飯器から米が炊きあがったのがアラームで分かると直ぐに掻き混ぜてくれた彼に私は口をポカンと開けてしまった
「……何でそんな顔してるんですか?」
「私、中学生の頃とかそんなに気が回らなかったから。凄いなって思って」
「ただやり慣れてるだけですよ」
「その歳でやり慣れてる事が凄いんだよ。お母さんの手伝いをして妹の事も大事するってさ、気持ちが無いと出来ないじゃん。本当に優しい気持ち持ってるんだね」
「何か、そう言われると照れるな」
「か、可愛い。三ツ谷君顔ちょっと赤い」
やめて下さいよと言われてるのに可愛くて仕方なくて頬を優しく突くと、直ぐにその手を取られて「はい、唐揚げに集中して下さい」と箸を渡される。思っていたよりも手はゴツゴツしていて並ぶと私より10cmは背も高くて今の中学生は発育が良いんだなと関心してしまった
「いただきます」
「はい、どうぞ。沢山食べてね」
「すみません俺も頂きます」
「三ツ谷君もいっぱい食べてね、お手伝いありがとう」
4人で食べるご飯は美味しくて、何だか家族と食べた日々を久しぶりに思い出した。3人が似たような顔をして美味しいと口を動かしている姿が可愛くて私まで笑顔が絶えなかった。その後も特に何を話すって訳でもないけれどアイスを食べたりテレビを見たりして、のんびりと4人で心地良く過ごせる時間が兄弟が増えたみたいで何だか嬉しかった
「そろそろお風呂入ろうか」
「はーい」
「お兄ちゃんも一緒に入る?」
「阿呆な事言ってねーでさっさと入れ」
「えぇ。三ツ谷君も入ろうよ」
「頼むからからかわないで下さいよ」
目を細めて少し苦笑いをした三ツ谷君に私が笑うとルナとマナもケラケラと笑っていた
お風呂から3人で上がり髪を乾かしていると、「 白石さん、ミシン借りて良いですか?」と脱衣場の外から声がして「いいよ」と返事をした。夏場のお風呂はやっぱりシャワーだけでも暑いね何てルナとマナと話をしながらリビングに入るとエアコンの風が気持ち良くてソファに寝転んだ。ドライヤーをかけている時に出てきた汗がすっと引くような感じがしてそのままウトウトしていると、お腹に乗ってきたマナが私の胸に頭を預けて眠そうにしているのを見て何だか本格的に眠くなってきてしまいそのまま眠気に負けて目を閉じた
カタカタカタと遠くから聞こえる規則正しい小さな音で目が覚めた、目をゆっくり開ければ自分のベッドで眠っていて両隣に寝ているルナとマナが規則正しい寝息を立てている。開けっ放しのドアから作業部屋の電気が付いているのが見えて私はゆっくりと2人を起こさない様に起き上がりスリッパを履いた
ソファから私達をベッドに運んでくれたのは三ツ谷君しかいないけれど、きっと重かっただろうなと少し恥ずかしくなりながら明かりのついた部屋に向かう
部屋を覗けば、三ツ谷君がこちらに背中を向けてミシンを動かしていた。カタカタと一定のリズムを刻みながら彼の手裁きを見ていたが素人じゃないなとまた彼を不思議に思う。裁縫まで出来る何て普通に主婦じゃないかと眉を寄せながら後ろから彼を見ているとひと段落ついたのか手を止めたのでゆっくりと彼に近付いて優しく頭を撫でた
「……びっくりした」
「お疲れ様、三ツ谷君上手だね」
「気配無くてすげぇびっくりしたんすけど」
「ふふ、集中してたもんね。まさか裁縫まで出来るなんて私がびっくりしたよ」
「ルナが学校で使う給食袋破れたんで、縫い直してました」
「……凄い、綺麗に縫えてる」
黄色の可愛らしいチューリップが刺繍された布袋は縫い直しが分からないくらい綺麗に直されていて、思わずマジマジと見つめてしまった。昔から数をこなして無いとここまで出来ないだろうなと思うとこの子の努力や優しさに感動してしまって、もう一度頭を優しく撫でてしまう
「……恥ずかしいんすけど」
「本当に凄い偉くて、何だか撫でたくなっちゃった。ごめんね」
「いや、まぁ。ありがとうございます」
「そろそろ白石さんて呼ぶのと敬語やめてよ、隆君」
「……じゃあ、遠慮無く。 雪那ちゃん」
「ぷっ、雪那ちゃん何だ」
「ちゃんじゃなかったら、 雪那さん?」
「ううん、好きに呼んでね」
ふふふと笑う私に隆君は一度だけ優しく頷いた
それから、ルナとマナが家に遊びに来る時は隆君も一緒に来る事が多くなった。たまに一人で来てミシンをしたり私が料理していると手伝ってくれる時もあって凄く助かるし、話をしていても聞き上手だからか年下を感じない彼に好感を持つ様になっていった
暑い夏も過ぎてあっとゆう間に秋になり、相変わらずルナとマナは遊びに来ていたけれど最近隆君が遊びに来ないのでお兄ちゃんは?と2人に聞けば2人は気まずそうな顔をして目を合わせていた
「……どしたの?何かあった?」
「……お兄ちゃん。……えーと。なんでもない」
「何かあったんだね、雪那に言うなって言われた?」
2人は一瞬間を置いてからゆっくり頷いた
「……お兄ちゃん家に居るの?」
「うん」
「……分かった。2人はここで遊んでてね」
何だか心配そうな顔をしている2人の頭を撫でてから、家を出て階段を上がり三ツ谷家のドアノブをゆっくり回すと鍵は掛かって無かったのでそっと玄関に入った。何回かお邪魔した事があったのでもう間取りも分かっていて、おばさんにも挨拶して仲良くさせてもらっていたので図々しく靴を脱いで隆君の自室をノックすると返事は無い
ゆっくりと部屋のドアを開ければベッドがこんもりと盛り上がっていたので寝ているのが分かったけれど、こんな昼間から寝てるならもしかして風邪かな?と心配になりそっとベッドに近寄り隆くんの顔を覗き込む
頭に大きな包帯を巻き、目と頬を腫らす隆君は枕に横向きに顔を埋めてスヤスヤと眠っていた。その姿を見て何だかショックを受けてしまい、震える手で頭を優しく撫でていると涙が出て来てしまう。ぐしぐしと涙を流しながら腫れた頬に触れると、ゆっくり目を開けた隆君と目が合った
「……何泣いてんだよ……泣くなよ」
「……何でそんなに怪我してるの」
頬を触っている手を優しく掴まれて「大丈夫だよ」と言われたけれど、やっぱり涙は止まらなくて心配で下を向いた。ゆっくりと起き上がった隆君は気まずそうに「ちょっと事故っちゃって」と言って苦笑いした顔に「本当に?」と言えば気まずそうに目線を逸らした
「……嘘なのね。私に言えないの?」
「あー、雪那ちゃん。怒んなよ……ちょっと喧嘩しただけだから」
「喧嘩でそんな怪我するなんて……どんだけ隆君弱いのよ」
「よ、弱いとか言うなよ。ちょっと不意打ちされただけだっつーの」
喧嘩何てしないでよと言ってまためそめそしだした私に本格的に困った顔をした隆君は「雪那ちゃんごめんな」と言ってずっと私をあやす様に頭を撫でていた
涙が止まってきて顔を上げると、まだ困り顔の隆君と至近距離で目が合って少しだけ心臓がドキドキした気がした。目を逸らした隆君が可愛くて緩んだ口元を隠す様に「お腹空いちゃった。今日の夕飯はカルボナーラにしようかな」と言って微笑んだ
「……俺も食いてぇ」
「喧嘩する悪い子はめっ」
「……売られたら買うのは悪ぃのか?」
「うーん、自分から売ってなければ良し」
「なんだそれ」
「歩ける?無理そうならこっち持ってくるよ」
「平気、行くわ」
立ち上がった隆君に「急に立ったら駄目だよ」と言って肩を支えると、サンキュと小さな声が聞こえて私達はそのまま寄り添いながら私の自宅に向かった。お手伝いは今日は無しにして、隆君とルナマナちゃんには3人でアニメを見てて貰いカルボナーラを作っているとピンポンと鳴ったインターホンに首を傾げた
宅配便かなと思い玄関を開けると、そこに立っていた人物に目を一度見開いてから眉を潜めた
「よぉ、元気か?」
「……何でこの場所知ってるのよ」
「お前の弟に聞いた」
「……脅したりしてないよね?」
「……当たり前だろ。そんな事しねぇよ」
「……何か用があるの?」
「ああ。前から言ってるけど、ちゃんと寄り戻したいだけ」
「……何回も断ったよね?」
「 雪那ちゃん?」と背中から聞こえた声に振り返ると、心配そうな隆君とその足元から覗いて元彼を睨みつけるルナとマナに小さな声でごめんねと言えば口を開いたのは何故かルナだった
「…… 雪那ちゃん、この人誰?」
「……ええと、何て言えば良いんだろう」
アタフタする私に「ルナやめろ」と咎める様に言った隆君。下を向いていたマナちゃんが元彼を見つめてから小さな拳を握り締めた
「 雪那ちゃんはウチのお兄ちゃんとらぶらぶ何だからおじさんは帰ってください」
その言葉に私は口を開けて隆君を見ると、隆君もポカンと口を開けた。振り返って元彼を見れば「お前の彼氏なの?その子」と目を細めて言われ、絶対内心中学生に手を出したとか思われてるんだろうなと思ったが
「うん、彼氏の三ツ谷君」
と言って隆君をちらっと見れば「あー、はい」と言った隆君は元彼に合わせた厳しい視線を逸らさなかった
「……三ツ谷隆って東卍の奴じゃん。お前ヤンキー嫌いとか言ってたのにこれかよ」
「……あんたに関係無いわよ」
「……てめぇ、俺の女に喧嘩売ってんの?」
「……嫌、別に。何でもないです」
気まずい空気が流れるとテクテクとこちらに向かって歩いて来たルナちゃんがゆっくりとドアを閉めて鍵を掛けた。ぷっと吹き出して笑った私に隆君とマナちゃんも笑い出したので一度スコープから外を確認すると暗闇に消えて行く元彼の姿があって素直に帰ってくれたので少し安心してしまった
「……悪ぃ、ルナとマナが変な事言って」
「ううん本当に助かりました、ありがとうね。あ、カルボナーラ忘れてた」
「お腹空いた」
「マナも空いた」
「じゃあご飯にしようか」
わーいと喜ぶ2人の頭を撫でてキッチンに戻ると4人でカルボナーラを食べてからデザートを頂いてご満悦のルナとマナはお風呂に入って早々と私の布団で寝てしまった。柔らかい髪を撫でながら深く眠ったのを確認してリビングに戻れば、ソファに腰掛けながら眠っている隆君の姿に少し驚いた。ゆっくりと起こさない様に隣に掛けてからテレビを見ていると、音が煩かったのか「うー」と小さく唸る隆君に内心微笑んでいると、ゆっくりと倒れた体が私に寄り掛かるようにもたれ頭が肩に触れた
体制的にキツイかな?と思い、優しく頭を膝に乗せると起きずにそのまま私のお腹に擦り寄る彼が少しだけ可愛らしく見えて自然と長い睫毛を見つめながら髪の毛を優しく撫でた
余り触り過ぎても良くないかと思い、髪を撫でていた手を背中に回して優しくトントンと指だけを動かす。目線は画面を見ていると、ヒロインの女の子がヒーローに助けて貰ったお礼を渡している所だった
「……お礼か。隆君て何か欲しいものあるかな」
「……え?」
聞こえてきた声に下を向けば膝の上で少しだけ照れくさそうな隆君と目が合って、ニッコリと微笑んだ私を見て頭をかく仕草をすると少し恥ずかしいのかゆっくりと目を逸らした
「隆君、体痛くない?」
「……へーき。てか悪ぃ。俺倒れてきた?」
「ううん、何か体制悪いから私が倒したの」
「……おぃ。余り男にそうゆう事すんなよ 」
眉を寄せた隆君は危ないから駄目だろと言ってゆっくり起き上がる。元彼には無かったこの少し照れくさそうにする所が可愛くて「可愛いぃ」と言いながら起き上がった隆君の頬にすりすりと擦り寄ると「……あのな、今駄目だって言っただろ」と呆れた顔で見られてつい笑ってしまった
「だってぇ。可愛いんだもん。つい触りたくなっちゃうじゃない」
「……お前なぁ。もうちょい危機感持てよ。最近俺の部屋にも入ってくるし」
「私には怖いバックがいるから大丈夫なの」
「へぇ、誰?」
「ルナとマナ」
「……普通に怖ぇ」
「うふふ。先輩より怖いよね」
「やかましいからな」
目を細めて欠伸をした隆君の頬を優しく撫でると、彼はこちらを向いた「もう本当に怪我しないでね。心配だから」そう言って優しく抱き締めて背を撫でると、大人しくそのまま何も言わずにじっとしていた
そのまま月日は流れて段々と寒くなって来た頃、いつも通りルナとマナと3人でお菓子を買いにスーパーへと向かっていると聞き慣れたバイクの音がして前方を良く見てみると、こちらに向かってくる4台のうちの1台は隆君だったのでルナとマナと私で手を振った
気付いた時にはもうすれ違ってしまっていたし、お友達と居るからまぁいいかと思いそのまま3人でのんびり歩いているとUターンして来た4台は私達を少し追い越した所で止まった
「あぁ、ドラケンだぁぁ」
「マイキーだぁ」
ルナちゃんとマナちゃんは知り合いなのか嬉しそうに駆け寄る姿を見ていると、隆君が声を掛けてくる
「雪那どこ行くの?」
「何かプリン食べたいんだって。材料買いに言ってくるね」
「……甘やかさなくていいのに」
「バイト今日は無いから大丈夫、隆君のプリンも作っておくよ」
そう言って微笑んだ私に「こんにちは」と声を掛けてきたお友達3人に頭を下げマジマジと見つめると、今の中学生はお洒落だな何て思った。タトゥーが入っていたり髪を綺麗に染めていたり、雰囲気も落ち着いている
「三ツ谷の嫁の雪那ちゃんだよね?」
「えぇ?隆君てば裏でお嫁さんて言ってくれてるの?」
「……言ってねぇよ。こいつらは皆嫁って言うの」
「なーんだ」
私が可笑しそうに笑えば金色の髪の男の子は「今度プリン俺にも作ってよ」と可愛らしい笑みで微笑んだのでいいよと頷いた。ドラケンと呼んだ男の子に高い高いをして貰っているマナがいつもよりも小さく見えて
微笑みながら見ていると、長髪の男の子が隆君に「お姉ちゃんいくつなの?」と聞いていて「18」と言った隆君に皆が少し驚いてる
「18には見えなかったな」
「……何か嬉しいような嬉しく無いような。若く見えるって事?」
「……小さいし、年上って聞いてなかったらタメに見えるかも。おっぱいはでけぇ」
「……場地、本当にやめろ」
「全部褒め言葉で受け取っておくね、さぁそろそろ2人共プリンの材料買いに行こう」
「はーい」
こちらに来たルナとマナの手を取ってから4人にまたねと言ってスーパーに向かい歩き出すと「またね」とイカつい姿に似合わない優しい声色で私達に手を振る4人組に3人で手を振った
帰って来てから3人でプリンを作り、冷やしている間に夕飯を食べていると携帯に隆君から今日は遅くなると連絡が来ていたので喧嘩は売らない様にと返信した
お風呂を先に済ませて3人でプリンを食べていると、疲れたのかウトウトとしだした2人に、歯磨きはきちんとする様にと言って脱衣場まで連れてくると目を閉じたまま歯を磨く2人に少し笑ってしまう。口をゆすぐとそのままベッドに入った2人にお休みと言ってからリビングに戻りアニメから見たかった映画に切り替えた
いつも2人がいるし、隆君も最近は良く遊びに来るのでラブシーンがかなり濃い18禁の映画が1人で見れるのは久しぶりだった。冷蔵庫から隠しておいた缶チューハイを取り出して半分飲み干してから画面に集中して見ていると、元彼と別れてからかなり経ったなぁ。何てボンヤリと考えていた
付き合った時は優しかったけど、顔が良いからかモテるし挙げ句の果てに浮気もするしそれを隠さないから腹が立った。最後に言われた台詞はおっぱいがデカイから別れたくないとかふざけた事を言われてビンタして別れたのは懐かしい思い出だ。そう言えば忘れていたけどトーマンの三ツ谷と言っていたけど隆君はそんなに有名人なのだろうか
トーマンが分からないから今度聞いて見ようかなと思っていると、テレビの中の女優さんの喘ぎ声が大きくて2人が起きちゃうと思い音量を下げた。缶チューハイを傾ければもう中身は空だったのでもう1本飲もうかと立ち上がってキッチンの方を振り向けばテレビ画面を見つめて口をポカンと開けた隆君と目が合った
「……あ、おかえりなさい」
「……ただ、いま」
一瞬ヤバいかなと思ったけど、特に悪い事はしてないから良いかなと思いテーブルにあったリモコンで映画の画面を変えてからキッチンに移動して冷蔵庫からチューハイを取ってゴクゴクと飲んでいると「酒飲んでんの?」と聞かれて頷いた
「これ美味しいんだよね。5%だから酔わないし」
「……ふーん。今みたいな映画見るんだ」
「うーん、たまにね。あれは友達に面白いから見てみなって言われたから見ただけ」
「それ、男に言われたの?」
「ううん。女の子だよ」
映画の紹介に男とか女とか関係あんのかな?と思ったけど「風呂入ってくる」と言って行ってしまった隆君の背中を見送った。そういえば浴室に下着を干しっぱなしだったのに気付いて慌てて脱衣場に入るとパンツ1枚の隆君が驚いた顔で私を見ていた
「ご、ごめん!浴室に下着干してたの忘れてた」
「あ、ああ。凄ェびっくりしたわ」
浴室に飛び込んだ私は下着をかっさらうとホッとしてから隆君を見つめて少しだけ顔が熱くなるのを感じた
顔は元々綺麗だけど、その鍛えられた体に本当に中学生なのかとポカンとつい見つめてしまう
「……何?」
「あ、ううん。鍛えてるんだなと思っただけ」
ごめんね。と言って脱衣場を出ようとドアノブを下ろし引こうとしたが微塵も動かない。「あれ?」と言ってもう一度引こうとすると耳元で「上見て」と言われて素直に首を上げれば隆君の手が扉を閉めていた
「…えっ?」
振り返った私の額に優しく額をくっ付けて来た隆君にびっくりして無言のまま目をぱちぱちさせていると、左手が優しく唇に触れてきて少しだけビクリとした
「……た、隆君?」
「触っても良い?」
「……ど、何処を?」
フッと薄く笑ってた隆君は頭を少し斜めにすると、そのままゆっくりと私に口付けてくる。チロっと舐められた唇からふっと自分の吐息が漏れて目を瞑ると優しい口付けは深く激しいものに変わり右手が私のシャツの中に入って来て滑るように肌を撫でた
「……隆君のえっち」
「 雪那ちゃんのスケベ」
「何でスケベなのよ」
「普通にエロいから」
「えっ?エロいって映画見てた事?」
「……違ぇよ。あ、そう言えば場地が今日ごめんな」
「何かあったっけ?」
「胸がでけぇとか言ってた奴」
「あぁ、全然いいよ。元彼何て胸がでけぇから寄り戻そうとか言ってくるし。そういうの慣れてる」
「………あの野郎、今度会ったらぶっ飛ばす」
「気にしなくていいよ、あの人阿呆だから」
ふふふっと笑った私にムスッとした隆君が可愛くてその鍛えられたお腹を優しく撫でた。中学生と何て事をしているんだろうと思っている自分がいるけれど彼が何だか魅力的で、触られると嬉しくて拒めない。自分もどんどん触れたくなっていてその欲望に逆らえなかった
「……触っていい?」
「聞く前に触ってんじゃん」
肌綺麗だなと思いながら指を滑らせていると、ゆっくり胸板が迫ってきて壁に押し付けられる。顔を上げて首を傾げれば唇は塞がれて少し乱暴気味にシャツを捲った手がブラジャーのホックを外して揺れた胸を揉みしだいた
「……ん」
久しぶりに触られた胸が気持ちが良くてそのまま身を任せていると、絡まって来た舌がスっと離れ谷間に顔を寄せた隆君が私の事をギュッと抱き締めてくる
「……隆君、お風呂は?」
「…………そういや汗臭いわ。風呂入る」
ふふっと笑った私をジッと見つめた隆君は1度何か考えた様に無言になると、急に私の唇を塞いでくる。1度胸に触れた手はシャツのボタンを丁寧に外し、反対の手でゴムのスカートをゆっくり下ろしてくると悪戯っ子の様に笑う
「一緒入ろ」
「私さっき入って洗ったよ」
「もう1回、いいじゃん」
髪を纏め終わると手を引かれて浴室に入り二人で体を洗いっこしてから温かいお湯に肩までつかった。後ろから抱き締めて首に口付けしてくる隆君の様子を見ていると、かなり慣れてるなと何だか複雑な気持ちになる。中学の3年の時に初体験が終わり、何人か付き合った人もいるしそれなりに経験もある。お風呂も彼氏と入ったりもしてたから特に恥ずかしくは無いけれど
隆君は初めてでは無いんだろうか
勿論、隆君に彼女が居たこともあるだろうしお風呂入ったり色んな経験はあるはずだけど……。そこまで考えて今彼女は居ないのかな?と思う。夜な夜な出掛けている隆君は行先も何をしているかも教えてくれなかったし、さっきの口付けも上手だったなと思うと私より余裕ある?遊ばれてないよね?と少し不安になってきた
「……さっきから何で黙ってんの?こっち向いてよ」
「う、うん」
背中を向けていた体を彼の方に向けると、両手で腰を持たれて自分の上に乗せた隆君は私と目が合うとフッと薄く笑う。固くなった隆君が自分の秘部に当たる感覚がして「可愛い」と微笑んで濡れたグレーの髪を優しくといた
お湯に浮いた私の胸を抱き締めて顔を埋めて幸せそうに「気持ちぃ」と言う隆君に少し笑ってしまった
「隆君て、胸が大きい子が好きなの?」
「……いや、そうゆう訳でもねぇかな」
胸を優しく揉まれて突起を優しく舌に含む隆君に反応した下半身がヌルヌルと蜜を垂らして、感じる度に熱くなった彼が擦り付けられている感覚に少しづつ気持ちが良くなって来てしまう。隆君の首に抱き着いて耳
を優しく甘噛みしながら舌を這わせると「んん」と小さく呻いた声に可愛くなり悪戯心が芽生えた
「可愛い、もっとしてもいい?」
「……いいよ」
至近距離で目が合って、いつもの目じゃなかった。男の目をしていてそれが堪らなくキュンときてしまい耳に唇を寄せて舌を這わせながら熱くて固い隆君を包み込む様に握った。手を動かす度に、はあはあと息をする隆君が可愛くて耳を舐めていた唇を今度は目元を這わせて顔を見ていると我慢している様な顔が堪らない
「……隆君の顔見てるだけで堪らない」
「……煽んなよ」
「もう、イキたい?」
「……ん」
首を傾げて「んってどっち?」と言った私の胸の突起に舌を這わせて来た隆君の頭を優しく抱くと、右手が秘部に優しく触れて敏感になっていたのかビクリと体が揺れる「……今度は俺の番ね」そう言ってニッコリと笑う彼はヌルヌルと上下に優しく撫でると躊躇無くスルリと指を入れてかき混ぜるように中を探る
「……何処がいいのか教えて」
「……やっ、ァァァ」
全部気持ちが良いなんて言えなくて、奥を刺激して来た指が動くと全身が震える様な快感に耐えきれなくて彼の頭を抱いて軽くイッてしまった
「ここが弱いんだ」
「……ん」
まだ余韻でビクビクしている私の手を取ると、浴槽から上がり軽々と持ち上げられて脱衣場の収納棚の上に座らされた。隆くんが先程脱いだズボンから出てきたのは避妊具で手早く装着すると、1度軽く口付けされてからゆっくりと入って来て中がいっぱいになる感じがした
「……すっげぇ気持ちぃ」
「………隆君、ちょっと今、動かないで……」
「……悪ぃ、痛かった?」
少し焦った様な顔で私の頬に擦り寄って来た彼の頭を撫でて「……動かされたらイッちゃう」とちょっと恥ずかしくて涙目で口を開けばびっくりした様な顔をしてから意地悪そうな顔で1度薄く笑った
「……じゃあ動いちゃう」
グリグリっと先程果てた所を刺激されて体がビクビクと快感を得て高い声が私の口から出ると、嬉しそうに笑った隆君は激しく何度もそこを突き立ててくる
恥ずかしいとかも考えられなくて、目の前がチカチカとして何度も来てしまう快楽にそのまま身を任せて彼にしがみつくしか無かった。「きもち?」と耳元で囁かれながらも激しく腰を動かす隆君に「だめぇ」と小さく呟いてからビクビクと中を痙攣させてイッてしまうと「俺も」と言った隆君は歯を少し食いしばる様な可愛い顔をしてから私に深く口付けた
それから私達の関係は少し変わっていった
夜は必ずと言っていい程彼は私を求めてきた
好きとか愛してるとかは言われた事は無かったけど、いつも優しくて行動に愛情が現れているから心配には然程ならなかった。でも、相変わらず夜のお出かけは減らないし、やっぱりデートに行ってるのかもしれないと落ち込む事もあった
もうすぐ19になる私何かに本気になる訳ないかとネガティブな考えも出てきてしまったり、学校に彼女が居るけど中学生同士だから中々出来なくて私をセフレにしてるんじゃないか何て色々考えてしまっていた
そんなある日、バイトの帰りに歌舞伎町を歩いていると見知った顔を見つけて私は手を振った
「ドラケン君!」
「おぉ、三ツ谷の嫁ちゃん。久しぶりだな」
「久しぶりだね」
1度道で会った後に何回か隆君を交えて話をした事がある程度だったけど、ドラケン君の落ち着いた態度やふと見せる優しさが私にとっては話しやすくて偶然合うと良く声を掛けて時間があれば少しお話したりしていた
隣に居た男にぺこりと頭を下げられて、こちらも頭を下げると「……乾です。よろしく」と言われて「雪那です」と微笑んだ
「ドラケン君と乾君は何してたの?」
「バイクのパーツ選んでた、ちょっと欲しい物あって」
「……ドラケン君さ、ちょっと時間あったりする?」
「どした?」
「……ちょっと聞きたい事あって」
ふうと吐いた息が白くて悴んだ手を摩っていると「ん」と横からにゅっと出てきた乾君の手には軍手が握られていて私は嬉しくてその軍手を手に取った
「イヌピー優しいじゃん」
「イヌピー君ありがとうね」
「……軍手だし」
「 雪那ちゃん寒いから、何か話あんならうちこいよ」
「良いの?ありがとう」
「……ドラケンの家に三ツ谷の彼女連れてってビックリしねぇの?」
「……?何かビックリするの?」
連れてこられた所は普通に大人のお店だった
ピンクのネオンがキラキラと輝いていて、口を開けてキョロキョロしているとエレベーターが開いて乗り込んだ2人が少し笑っていた
「 雪那ちゃん、キョロキョロしすぎ」
「何か犬みてぇな子だな」
「イヌピー君の仲間だね」
「…………俺犬に似てるか?」
そんな会話をしながら通されたのは普通に大人のサロンだったけど奥の部屋を開ければ普通の男の子の部屋だった。飾ってある写真に写る隆君が小さくて可愛くてキャッキャと興奮している私に温かい珈琲を持って来てくれたドラケン君は「そんで?話って?」と言いながらベッドに腰かけた
イヌピー君が座るソファの横に座らせて貰うと、聞きたかった事を聞いてしまう事にした
「……隆君て、彼女いるの?」
「……お前だろ」
「……えっと他にも」
口止めされてたらごめんねと私が下を向いて呟くと、2人は口を開かないので顔を上げると全く意味が分からないとゆう顔をしてる2人に私は話を続けた
「……まず、私好きとか付き合ってとか言われた事無いからさ、嫁でも彼女でも無いんだ」
「…………」
「……出会ってからずっとなんだけど、隆君夜は良く出掛けてて。良く考えたらデートしてるのかも」
「……」
「……私19歳になるし。もしかしたら彼女が学校に居てさ……彼女と中々出来ないから私としたがるのかなって。ただのセフレみたいなのかなと思ったら少し寂しくてさ」
そこまで一気に話したら何だか溜息が出てきて、珈琲を啜る。2人をチラっと見れば眉を寄せて難しそうな顔をしていたので話しちゃ不味かったかな?と思ったけどもう後には引けないので、2人が口を開くのを待った
「……夜のお出かけって三ツ谷どんな服着てる?」
ふいに聞いてきたのはイヌピー君で「遠目からしか見た事無いけど、何か黒い服」と言った私に「それ集会じゃね?」と言われて首を傾げた
「……集会って暴走族の?」
「……あーあ。バレた」
「……三ツ谷内緒にしてんの?ドラケン」
「知られたくねぇって言ってた」
「何で?」
「俺も詳しくは分からねぇよ」
「……そっか、トーマンて暴走族だったんだね」
「東卍は知ってんのかよ」
「元彼から助けてくれた時にさ、トーマンの三ツ谷隆じゃんて言ってたから」
「まあ、女の子はあんまり知らないよな」
「うーん、集会とかもテレビとかで見た事あるくらいかな」
「……ん、まあ。そんな感じ」
何だそっか。と腑に落ちた様な落ちない様な感じになった私にドラケン君は「何でセフレ何て思うんだ?」と真面目な顔で聞いてくる
「……何か都合が良いだけなのかなって思っちゃって。好きとか言われた事も無いから、好きじゃなくても普通に出来るのかなとか嫌な風に考えちゃった」
「……月に1回とか都合良く家に来てやる事やって帰ったりすんの?態度とか冷たかったり?」
真剣な瞳で聞いてくるイヌピー君に首を横に振った
「違う違う。毎日求められて1日2回の時もあるし、終わった後に冷たかった事はないよ。料理とか洗濯に掃除も手伝ってくれる」
「……普通に羨ましいんだけど」
「イヌピー突っ込むけど何が羨ましいんだよ」
「1日2回」
「……スルーするわ。てかさ 雪那ちゃん、それだけ聞くと普通に愛されてる感ある様に聞こえるんだけどよ」
「うーん。……回数とかじゃなくてさ、何かいつも内緒で出掛けて、好きとも言われない。毎日毎日体は求めてくるって考えたら心配になった感じ」
「…うーん…そっか。そう言われればそうだな」
「普通に三ツ谷が心配かけてんじゃん。」そう言ったイヌピー君は、今俺らに言ったみたいに三ツ谷に言ってみなとアドバイスをくれた
2人にお礼を言ってから暗くなった道をイヌピー君に途中まで送って貰って家に帰れば時刻は20時になっていた。鍵を開けて家に入れば家の中でも息が白くて凍えそうだ、直ぐにエアコンとコタツを付けてお湯を沸かして紅茶を入れているとふと見た携帯の通知に少し驚いた。LINEには隆君からの着信と連絡しての文字、バイトだって伝えた筈なのにどうしたんだろうと思い直ぐにLINEに今帰って来たよと送れば、上の階で物音が聞こえて小さく階段を降りる音が聞こえた
テレビを付けていないから尚更音が良く聞こえるなと思っていると、玄関の扉が開いて直ぐに隆君がリビングに顔を出した
「隆君、どしたの?」
息切れしている隆君に走り寄ると、まだ冷たい体をぎゅうぎゅうと急に抱かれて私は少し微笑んで背中を摩った
「……ドラケンに聞いた。悪かった。暴走族に入ってるって知られたら嫌がられるかと思ってた」
「……そんな事無いのに」
「……後、彼女とかいねぇから」
そっか。良かったと言って微笑んだ私の冷たい手を優しく握り締めてくれた。「誤解してごめんね」そう言って隆君の唇に背伸びをして軽く口付けると少し困った様な顔をした隆君は私の髪を優しく撫でてくる
「……年上だから、余裕ありそうでさ。心配だったんだよ俺」
「……えっ?そうなの?」
「……童貞だし、暴走族やってるとかバレたら相手にされなくなるのかなとか考えた事もあってさ」
「……童貞には流石にビックリした。初めてであんなに上手に出来るんだ」
「内心ドキドキしてたけど、雪那が可愛い過ぎて途中からそんな事忘れてた」
「……ふふ。それは嬉しい。……隆君は私の事が好きだから抱いてくれるんだよね?」
「……当たり前だろ。……唐揚げご馳走様になった時から惚れてたけど……早すぎて嘘だって言われたら嫌だから黙ってた」
「……嘘なんて言わないのに」
「でも、やっぱり触れるのは我慢出来なかった」
ごめんなと小さく呟いた隆君に首を横に振った私は嬉しくて幸せな気持ちだった。ドラケン君とイヌピー君に相談して本当に良かったな何て考えながらニコニコとしている私に「彼女になってくれる?」と言って目尻が下がった瞳で見つめてくる隆君の頬に優しくキスをしてから「喜んで」と言って微笑んだ
