短編 シリーズ
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退院した日から2日間は河合さんと隆が付きっきりで食事を作ってくれたりお風呂の介助をしてくれたけど2日経つと河合さんはお母さんに呼ばれて帰って行って、隆も学校と部活に行ってくると言って行ってしまった。鎮痛剤を飲んでいてもまだ痛みがあるので料理や作業をする気は起きない。大人しく寝ていろと言われたので、暇つぶしにゲームをやっていたが1時間で飽きてしまった
時刻は昼の12時で皆お昼だろうなと思い、隆が作っておいてくれたしょっぱい味噌汁にご飯を入れて食べているとチャイムが鳴ったので脇腹を抑えながらゆっくりと玄関まで移動した。チェーンを掛けていたので入って来れなかったのか、スコープ越しに見えたのは制服姿のパーだった
そのままチェーンを取りドアを開けると、パーの両手には大きなスーパーの袋がぶら下がっている
「パー、学校は?」
「サボった。ハーゲンダッツと菓子買って来たぞ」
「やりぃぃ」
暇だった事もあり嬉しくて勢い良く万歳すると、ズキンと痛んだ脇腹にぎゃあと間抜けな声を出してその場に座り込む「痛いなら万歳何かすんな」と少し呆れた様に口を開いたパーはスーパーの袋をその場に置いてから私の腕に手を入れて抱えてくれた
「無理すんなよ、雪那。まだ退院したばっかなんだからよ」
「ハーゲンダッツって聞いたらつい」
えへへと笑った私を抱えてゆっくりとリビングに移動していると、背後からガチャリと聞こえた音に私達は目を1度合わせてから振り返った。そこに居たのは花束を抱えたワンコと舌を出してこちらに手を振る九井だった
「退院おめでとう」
「 雪那、まだ痛い?手貸そうか?」
「…… 雪那、誰あいつら」
首を傾げるパーの耳元で「黒髪じゃない方が乾だよ」と小さな声で話すと「乾って誰だ?」と聞かれたので、もう忘れたのかよと呆れて何も言わなかった。入っていいよと言っていないのに普通にお邪魔しますと言って入って来た2人はズカズカと靴を脱いで家に上がりだした。玄関に置いてあったスーパーの袋中身を覗いた九井は「これ溶けるべ、冷凍庫入れとく」と言って我が物顔でキッチンに歩いて行ってしまう。その様子をポカンとした顔で見ている私達にワンコは「花瓶ある?」といつも通りの無表情で聞いて来たので「洗面所の下の棚」と答えると彼もスタスタと歩いて行ってしまい、パーと二人でポカンとしながらリビングに移動した
ソファに座ってパーとハーゲンダッツを食べていると、何故か一緒にハーゲンダッツを食べる九井とワンコにパーは俺が買って来たのに勝手に食うなとも言わずに普通にテレビを見ていた。変な組み合わせだなと思いながら食べ終わったカップとスプーンを置いてから脇腹を押さえつつ九井の隣に座った
「……えっ?何?近いんだけど」
そう言って気まずそうに笑った九井の頭を素早く掴んでから腕を回して首を絞めあげるとグゥとマヌケな声が出た九井に顔を近付けた。「メールの事許してねぇから」と少しだけ巻舌で言い放った私に声が出ないのか隣に居るワンコの太腿をバシバシと叩く九井。10秒だけ本気で締め上げると顔色が悪くなったので離してやる事にした
「……死ぬ……かと思った」
そんな九井を見てゲラゲラ笑うパーと、今回は助けないと決めて居たのか知らん顔をしてアイスを食べるワンコ。最後に九井の頭をペシリと叩いてから立ち上がると急に脇腹に激痛が走りぐわぁぁ痛いぃぃと間抜けな声を出して床に転がる
呆れた顔をしながら、そんな体でやるからと言った九井とは逆に直ぐに私を抱き上げてベッドにそそくさと運んでくれたワンコとその後ろからテクテク着いてきたパーに申し訳無くなるが、痛くてそれ所では無いので必死に脇腹を押さえて唸っていた
降ろされて直ぐに服をまくり傷口を確認すると、薄らと包帯テープに血が滲んでいた。2人に見られない様に大丈夫大丈夫と言いながら服で隠しつつ苦笑いをすると、パーは首を傾げたがワンコは怪訝な顔をしてから私に近寄ると急に手を掴んできてパーが止めるのも聞かずに服を捲りあげた
「……やっぱり血が滲んでる。痛くない?」
「……ちょっと痛いかな」
強引だけど顔から心配しているのが分かったので素直にごめんなさいと言って謝ると、消毒して新しい包帯に変えるからと言われて素直に頷いた。パー前で傷口を見せたく無かったけれど仕方ないかと思い服を捲ると、扉から見ていた九井が私に「イヌピーにやらせない方が良い」と真顔で言ってきて私は首を傾げた
「…ぎゃあ!痛ぁぁぁい!ワンコちょっと痛いよ」
「……あれ?おかしいな」
「……イヌピー、俺がやるから代わって」
「 雪那、大丈夫か?」
ハアハアと痛すぎて肩で息をする私を見てククっと楽しそうに笑った九井は首を傾げるワンコと場所代わると、手慣れた様に消毒をしてから傷が痛まない様に優しく包帯を巻いてくれる
「……上手いね」
「イヌピーは力入れすぎ」
「そうなのか。ごめんな」
「雪那さん、これとさっきのヘッドロックでメールの件チャラにしてくんね?」
「……仕方ないな」
ニイと歯を見せて笑った九井に思う所はあったけど仕方無しに頷いた。パーが水を持って来てくれたのでそのまま薬を飲むと眠くなって来たので3人の事は放置して眠る事にして目を瞑るとベッドの周りで3人は何か会話をしていたけれどその会話が段々と遠くなって来た
ゆっくりと目を開けるとベッドの横の椅子に座りイビキをかいて眠るパーが居て、その可愛らしい姿を見てフフっと思わず笑うと「起きたか?」と小さな声が聞こえて反対に体を向ければ下のラグに座っているのは制服姿のドラちゃんと隆だった
「……あれ?ワンコと九井は?」
「帰った」
「……喧嘩しなかった?」
「……九井の首の痣見たら怒りが消えてったわ」
そう言って苦笑いした隆に、ドラちゃんは少しだけ私に怪訝な顔をして「もうちょっと体の事考えろよ」と厳しい口調で言い放った
「……ドラケンあんま怒んなよ」
「三ツ谷は甘やかしすぎなんだよ」
「ごめんなしゃーい」
「ほら、謝ってんだろ。雪那 傷は大丈夫か?」
「うん、さっき傷が開いちゃったから九井が消毒してくれた」
「はっ?何で開いたの?」
「……九井にヘッドロックかましたら開いた」
「…………」
「な、三ツ谷。叱らなきゃ駄目だろ?」
「ああ。悪ぃ」
ベッドに座って来た隆に両頬を優しく抓られてから反省しろと言われ、痛かった事もあって素直に頷いたけど「メールの件はやり方が汚いから許せなかったんだもん」と拗ねた様に言うと「分かるけど傷が開くとか考えろ」とドラちゃんの鋭い突っ込みが飛んできたので、それ九井にも言われたと言うと隆は盛大に溜息を吐いた
「あ、そう言えば冷凍庫にハーゲンダッツが沢山あるよ。パーが買って来てくれたの」
「まじかよ、ラッキー」
「隆イチゴ持って来て」
「ドラケンは?」
「俺バニラ」
隆がそれを聞いてキッチンに向かって行ったので私も脇腹を抑えながらゆっくり立ち上がると、それを見たドラちゃんは直ぐに立ち上がりスっと腕を支えてくれた
「ありがと」
「どこ行くんだよ」
「顔洗って歯磨いてくる」
「アイス食うのに?」
「うん」
変な奴だなと言いながら洗面所まで支えてくれたドラちゃんに昔を思い出した。確か中学1年の頃、私と圭介が高校生にボコボコにされた時に肋にヒビが入ってしまい学校に行けずに家で療養していた。その時も確かドラちゃんが支えてくれたのを思い出して私はクスリと笑う
「昔も洗面所まで支えてもらったよね」
「あー、あん時は肋な」
「良く覚えてんね」
「当たり前だろ、いつもヒヤヒヤさせてくれるぜ。なぁ三ツ谷」
「本当だよ」
会話に急に入って来た隆はアイスを3つと同じ数のスプーンを持ちながら頷いていた。すみませんねぇと軽口を叩きながら顔を洗って歯を磨いているとアイスを受け取ったドラちゃんは「俺はお前が最初から心配だった」と言ってアイスの蓋を開け、美味しそうに頬張っている。そんな優しい彼に「知ってるよ」と言って私は少しだけ微笑んだ
あのメンバーで喧嘩に行けば、私を女だからと1番に狙う相手を片っ端から殴り飛ばしていたドラちゃんと怪我をしてもお構い無しで考えずに突っ走ってしまう私の前になるべく立つようにしていてくれたのは隆だったから
「……皆けっこう今考えたら気を使ってくれてたね」
「マイキーはお前を女だからって絶対言わなかったし、甘やかさなかったからな。だから俺もそうしようと思ったんだけどよ……やっぱり俺の性格だと難しいわ」
「……凄ぇ分かる、ドラケン」
「……三ツ谷は初めて会った時から雪那の事女として見てただろ?」
「…………何で分かんだよ」
「……そうなの?」
「……ああ。まぁ普通は……見るだろ」
「三ツ谷のが大変だったよな。平気で皆の前で着替えるし」
ぶはっと吹き出したドラちゃんに私もケラケラと笑うと全然笑えねぇと呟いてアイスを口に入れる隆の肩を抱いて笑いながら「ごめんね」と謝った
「……俺はお前に初めて会った時、すげぇタイプだったけど男みたいに振る舞うし俺より強いから戸惑ったんだよ」
「三ツ谷それ顔に全部出てた」
「へぇ、全然知らなかった。」
「……だけど、マイキーも場地もパーも一虎も皆お前を男みたいに扱うからさ」
「場地と三ツ谷喧嘩になったしな」
「……懐かしいな」
「……えっ?なんで?」
詳しく聞いてみると、圭介は隆に中途半端な事をするなら異性としては近寄るなと警告したらしい。そんな事は全く知らなかったし隆と付き合うとかそんな話になった時も誰からも何も言われなかったから正直2人の話が信じられなくて首を傾げながら歯ブラシを終えて口をゆすいだ。部屋に戻って3人でアイスを食べながら昔話に花を咲かせていると、懐かしいあの頃が蘇ってきて悲しい事も沢山あったけど良い事も倍あったなって思えていた
「……私は今考えるとら捻くれてたのかなぁ」
「捻くれてるってゆうよりは、悲しい事が沢山あってそんな時考えた目標に子供ながら真っ直ぐだったって感じだろ」
「……良くお分かりで」
「まぁ、ずっと傍にいるからなぁ」
「……三ツ谷は元々世話が上手いし、グレてる訳じゃねーしな。雪那にとっては親代わりで恋人で良いじゃねーか」
「…ドラちゃんはお兄ちゃんだしね、あとは皆弟ね」
「皆お前の事妹だと思ってるぜ」
「えぇー私お姉ちゃんだと思ってた」
そう悔しそうに言った私に吹き出した2人の声で飛び起きたパーが、寝ぼけながら「俺もハーゲンダッツ」と叫んで私達はまた大笑いした
それから何日かして抜糸を済ませて買い物をしていると、ずっと寝たきりだったからか足が痛くなって来てしまい疲れきって家に帰宅した。ヘトヘトになりながらポストの下に隠してある鍵を手探りで探すが見当たらずにキーケースを取り出して鍵を開けた。また誰か来てるのかと玄関を開けると男物の靴が2足並んでいて、自分も靴を脱いで玄関に入りリビングに顔を出せば「おかえりなさい」と柔らかい口調で微笑むちーと、金髪の可愛らしい男の子がソファに座っていた
「ちー、久しぶりだねぇ」
「姉さん怪我どうですか?痛みは?」
「もうかなり良いよ。今抜糸してきたし」
「あ、初めまして。花垣武道と言います」
見た事がある様な顔をしていた男の子に軽く会釈をすると、ちーが東卍に新しく入ったんですと言って彼の背中を叩いた。あまり不良に感じない彼に少しだけ大丈夫かなと心配になったけれど、二番隊に入りましたと聞いて少し安心した
「そうか、二番隊なら安心かな」
「あの、雪那さん。」
「……ん?」
「いきなりですみません、芭流覇羅ってチーム分かりますか?」
「……うーん。聞いた事はあるけどあんまり詳しくは知らないなぁ。何かあったの?」
「……この間エマちゃんが狙われたの聞いてませんか?」
「……はっ?」
それを聞いて額に血が上ってしまうのが分かって、拳を握りしめてから息を吐いてゆっくり首を横に降った。怪我をしている私に言わなかったのはきっと皆の優しさって分かってはいるけれど気に入らないと思ってしまったのは仕方が無いと自分に言い聞かせた
「……一昨日学校帰りに狙われて、たまたま通行人のサラリーマンが助けてくれたんですけど。マイキー君にエマちゃんが芭流覇羅って書いたステッカーを貼ってたのを見たって言ってて」
「……エマは大丈夫なの?」
「はい、擦り傷くらいです」
それを聞いてホッとしたら薬が効いてきたのか少し眠くなってしまって、ちーに「ごめん、ちょっと休む」と言えばこちらこそ急にすみませんと言われてソファに横になった。花垣君に心配そうに顔を覗き込まれて「久しぶりに沢山歩いたからヘトヘト」と笑いながらクッションを抱きしめると少しだけ休憩しようと思い目を瞑った
眠いのに頭の中でエマが狙われた事が気になってウトウトするだけで熟睡は出来ず、意識を手放して直ぐに起きてを繰り返しているとキッチンにあるテーブルの方から2人の小さな声の会話が聞こえてきて自然と耳に入ってくる
「……タケミッチ、やっぱり雪那さんだったか?」
「……うん。」
「そっか」
「……でも、感じが全然違う。もっと怖かった」
「三ツ谷君が殺されたらそうなるだろうよ」
「うーん、何だろう。それも勿論あるんだけど…何か違うんだ…上手く言えないけどさ。」
「……姉さんがマイキー君を殺してから自分で死んじゃう何てさ……。悲しすぎるよな」
「……お腹に子供も居たんだよ。俺に色々昔の事とかも最後に……話してくれたんだ」
嘆く様に話す2人の会話は演技だとは思えず私の思考は停止した。目を開いて瞬きを何度かして夢では無い事を確認したけれど何だか起き上がれなかった
三ツ谷君が殺されたら。マイキー君を殺しての物騒な言葉に戸惑いながらそのまま動かずにジッとしていると足音が聞こえたのでゆっくり目を瞑った。私にプランケットを掛けたちーと花垣君が玄関から出て行って鍵を掛けたのを確認してから起きあがると今の全てが夢だったのか?と一人で首を傾げてしまった
その次の日、東卍のロングコートを着てから髪を縛りマスクをしてフードを被ると本当に久しぶりに単車に乗り神社に向かった。運転しながら昨日のあの2人の会話を思い出して久しぶりに煙草に火を付けた。吐き出された煙は漂わずに夜風に乗り流れていく
吸って吐いてを繰り返していると、思っていたよりも早く到着した神社からは排気音とコールで溢れていて私は何だか懐かしくて少しだけ微笑んでしまった
神社に入る手前でエンジンを切り、そのまま走っていた勢いで中に入ると見知った顔は余り居なくてこんなに人数が増えたんだと少し驚いた。単車を隆のインパルスの横に止めてキーを抜いてから振り返ると睨みを効かせて囲んで来た子達にマスクの中で苦笑いしてしまった
「…テメェこのチビ。東卍のステッカーの単車何か乗りやがって。新入りか?」
「…………」
「口聞けねぇのか?」
内心どうしようかなと思っていると、脇腹が少しだけ痒くて疼いた。何も言わずに唸って考えている私に痺れを切らせたのか振り上げられた拳が風を切り寸前で避けると頭に来たのか顔が変わった男の子は私の胸倉を掴むと顔を寄せて怒鳴り散らしてくる
唾が凄い飛ぶなと思っていると、そのまま上に持ち上げられてちょっと驚く。明らかに年下の子なのに軽々と私を持ち上げる力に男を感じてしまった。「お疲れ様です」と周りに居た子達の声が聞こえてそちらを見れば、目を見開いて私を見て固まっているいつもの面子。胸倉を掴まれて上に持ち上げられている私を見て1番に吹き出したのはマンジロだった
「ぶはっ!お前何やってんの?絡まれてんの?」
「……やり返すと傷が開いちゃうから我慢してんの」
ブスってむくれたけれど、多分マスクで見えていない。マンジロが吹き出すと同時に走って来た隆が私の胸倉を掴んでいた男の子の手をギリっと音が聞こえるくらいに強く掴み手が直ぐに離れその拍子に地面に足がついた
「……お前、何してんの?」
「……す、すみません。お知り合いの方なんすね」
さっきまでの勢いは無くなり、私に向き直りすみませんと何回も言われ「大丈夫だよ」と小さい声で返すと隆が背中に蹴りを入れていたので、隆を見つめて首を横に降った。ずっと来ていないから顔は知らないだろうし、仲間扱いされないのは当然だと隆に寄って小さな声で言えば、「お前は裏から支えてくれてるだろ」と言ってくれて少しだけ微笑んだ。未だにゲラゲラと笑う一虎と圭介の頭をポカリと優しく叩くと、ここに来るのは珍しいなぁと言われて頷いた
「雪那、来るなら連絡しろよ。怪我してねぇ?」
「平気平気。エマの事聞いて心配だったからさ」
そう言った私に皆が笑うのを止めてシンとした。特に嫌味なつもりは無かったけど、1人だけ知らされていなくて後輩から聞いた事に内心少しだけ拗ねていた部分もあったのだろうか。言った後に困らせてしまったかな?と思い話を続けた
「……芭流覇羅ってチームの事知らないから情報収集だけでもしたいんだよね。そう思って今日来たの」
「ふーん、まぁ……今日はそれは置いといて皆で走りに行こうぜ」
エマがやられそうになったのに随分呑気だなと思ったけれど、マンジロはマンジロで何か考えてるんだろうなと思ったので分かったと言って頷くと「一緒に走るの久しぶりだな」と言われて私は微笑んだ
久しぶりに出る集会は楽しかったけど、新しい子達の大半は私の事を知らないので変なチビがいるとコソコソ言われ、途中でまた最初の揉め事を見ていない子達に信号待ちで絡まれて単車を蹴られて流石に大事な単車に傷がついたので黙っていられなかった。単車を停め、降りて走り出そうとした瞬間に一虎のバイクが目の前で急停車して「場地が注意しに言ったから戻れ」
と言われて渋々単車に乗り直した
美しいネオンの光と皆の姿を見ていると、小さなチームだったあの頃の面影は無い。皆体格が良くなって身体付きも違うし走っている台数も全然違う。何だか急に私だけ一人ぼっちみたいで少しだけ寂しくなり、吸っていた煙草をハンドルの横に設置してある灰皿に押し付ける
皆を追い抜かしてマンジロの隣を静かに走っていると、「最初から先頭にいろ」と言ってくっくっくと可笑しそうに笑うマンジロは楽しそうだった
「……見てたでしょ?」
「お前が一言言えば良い話だろ」
「……うーん。もう、私が馴染んでいた小さなチームじゃないし」
そう言った私に驚いた様な顔をすると「何を今更」と言われ確かにと頷いた。最初はチームとかも小さくて只皆で喧嘩して走るだけだったけど今の東卍は規模もでかくなった、私がいるとここの評判も落ちるのか何て思うとそんな事は口に出したくは無かったけど
色々思う事もあって集会中だけでも顔はマスクで隠してフードは外さない事にした
走り終わって解散前に私を皆の前で指さしてからあえてデカデカとした声で「創設メンバーだから。絡まないように、以上」と言ったマンジロに私は小さく吹き出してしまった。それが良かったのか皆の私を見る目は変わり、単車を蹴っ飛ばして来た子もすっ飛んできて謝ってくれたのでこれで良かったのかと思った
眠い目を擦りながら階段に座り隆と話をしていると、花垣君と千冬が歩いてきたので手を降ると「雪那さん、絡まれたんですか?」と少し心配そうな花垣君が可愛くて少し笑ってしまった。「女の子扱いしなくて大丈夫だよ、昔から頑丈だから平気」そう言った私の隣に腰掛けた花垣君は私の顔を至近距離でマジマジと見つめてくる
「……何?近くない?」
「おいおい、たけみっち流石に近ぇ」
10cmも無い距離まで詰められると、流石に隆が花垣君の額をパシリと優しく叩く。その瞬間に私を見つめていた真剣な眼差しから涙が溢れて私は目を見開いた
side hanagaki
闇みたいな人だなって思った。三ツ谷君が光みたいだったから尚更それが引き立ってしまったのかもしれない
棺桶の中で返事をしない三ツ谷君の顔をずっと撫でていた女の人と目が合った瞬間に、鳥肌が経つほど恐ろしいと思った。その恐怖は清政にいびられた時の恐怖やヒナを失う時の恐怖とはまた違っていた
花垣武道?と小さくか細い声で自分の名を呼んだ女性に頭を下げると、「私は雪那。最後の創設メンバー」と笑った彼女の瞳には狂気が滲み出ていた。「知ってます」とだけ言った俺の手を掴むとニコリと笑った彼女はお願いがあると言ってきた
マイキー君を探しに直人とフィリピンに向かう前に渡された連絡先から彼女に電話した。嬉しそうに「マンジロに会えるのね」と電話口から聞こえた優しい声に安心して当日に空港で待ち合わせをしてから一緒に飛行機に乗り込んだ。直人がアイマスクを着けて少し経ってから寝息が聞こえだすと、 雪那さんはお腹を擦りながら「子供がいるの。マンジロに報告したかった」と愛しそうにお腹を撫でながら口を開いた
瓦礫の山の様な場所でマイキー君と会えて、涙が溢れてきた。「 雪那さん、マイキー君居ましたよ」そう言って笑った俺の言葉に一瞬目を見開いたマイキー君は扉も無い入り口から入って来た雪那さんを見つめていた
「マンジロ、見つけた」
「…………」
「マイキー君、雪那さんのお腹に子供がいるんですよ」
「……たけみっち、雪那を連れてきてくれてありがとうな」
マイキー君が優しく微笑んだ瞬間に鈍い音がして振り返ると何故か直人が地面に倒れていた。えっ?と自然と声が出た時には彼女の手に握られていた拳銃から凄い音がして銃口から流れる白い煙が発砲した事を物語っていた。まだ理解出来ない頭でマイキー君の方に振り返れば、笑顔のまま力無く崩れ落ちてくるマイキー君を俺は何も出来ずに見ていた
「……えっ?……マイキーく、ん?」
「ありがとう、花垣君」
フワリと優しく笑った雪那さんは硬直する俺の横をすり抜けて血を流すマイキー君を抱き抱えた
「……マンジロ、さよならだね」
「…… 雪那。ありがとうな。後……ごめん」
「1人じゃないよ」
そう言って笑った雪那さんは銃口を自分の頭に付けてから一言だけ「……隆、ずっと一緒だよ」と呟くと何の躊躇も無く軽々とその引き金を引いた。ゆっくりと倒れていく体がマイキー君に重なって、そのやつれた体をギュっと最後の力を振り絞った様に抱き締めたマイキー君は直ぐに息をしなくなった
今、現実目の前にいる幼さが残る美しい彼女からは闇を感じなかった。未来で一緒に居た時間は少ないのに彼女を見ているだけで胸が張り裂けそうで苦しくて悲しかった
溢れる涙が止まらなくて、雪那さんも三ツ谷君も俺を見て目を見開いて驚いている。それが分かっていても裾で目を擦っても涙が止まらなくてあの時の悲しみが心を埋めつくしてしまっていた
「...花垣君、大丈夫?何かあった?話してごらん」
優しい声がして、ふと我に返り雪那さんの目を真っ直ぐに見た。飛行機の中で彼女が言っていた言葉
「……私は大事な時期に彼等と向き合えなかった。いつの間にか女が口を出さない方が良い何て考え方になっていってしまっていた。……あの時に戻りたい。やり直したい」
虚ろな目をしながら話してくれた彼女の悲痛な台詞が頭を駆け巡り自然に口から言葉が出てきてしまう
「…… 雪那さん、この先何があってもマイキー君と三ツ谷君の傍に居て下さい」
「……?う、うん」
「女性だって事を理由に遠慮したりしないで、女性として彼等の傍に居て貴女にしか出来ない事をして貴女にしかあげられない言葉を渡して下さい」
「……花垣君?」
「雪那さんは皆に愛されているって事忘れないで下さい」
「…………うん。ありがと」
マスクを取った 雪那さんは「泣かないで」と言って優しく溢れる涙を拭ってくれた。その表情は飛行機でお腹を摩って居た時の表情と同じ慈愛に満ちた優しいものを感じた。俺の後ろで静かに泣き出した千冬の声に何だかまた悲しくなって困っている2人を前にまた涙を零してしまった
side takashi
集会が終わり、家に帰って来て風呂を出てから3個目のアイスに手を伸ばした雪那に流石にやめとけと言えば表情が無い顔でこっくりと頷いた
帰り道もぼんやりとしている雪那といつ仲良くなったのか話をした所を見た事も無いのに、いきなり雪那に熱く語ったたけみっちに俺は動揺を隠せずに千冬を見れば、静かに泣いていた千冬の涙も嘘じゃない気がした
雪那の何を知ってるのか。俺以上にこいつを知っている奴なんていないのにと内心思ったが、たけみっちの言葉には確信をつくものがあったのと聞いてるこちらまで微笑んでしまう様な優しい気持ちを感じたので何も言えなかった。ぼんやりとテレビを上の空で見ている彼女の柔らかな肌に優しく触れて、頭を自分の胸に閉じ込める
何も言わない雪那の髪からは自分と同じシャンプーの香りがして俺は目を瞑り軽く唇を押し付けてから離すと少しだけ微笑んでいる雪那の脇腹を優しく撫でる
「……まだ色々考えてんのか?」
「……うん」
怪我の事もあったし、ずっと河合さんも一緒に居たので中々触れる事が出来なかった。ヤリたい盛りの思春期で風呂上がりにキャミソールと短パンの彼女を目の前にして我慢も限界に来ていた時に温かな手が俺の頬を包み、急に唇をペロリと舐めてきた雪那に我慢するのを止める事にした
「……お前ワザとだろ」
「……えっ??アイス付いてたんだよ」
「…………ちょっと倒すぞ」
えっ?と間の抜けた声を出した雪那をゆっくりと倒して後ろから抱きしめる。首筋を甘噛みしながら口付けしていると「んん」と小さく甘い声が彼女の口から出てきた。キャミソールの中に入れた手が滑らかな肌に指を這わせ膨らみを触ると、自身の下半身の中心に熱が集まって来て「はぁ」と自分の口から吐息が思わず漏れてしまう
「……勃ってる……」
「……当たり前だろ」
ふふふと顔が見えない雪那が小さく笑った声がして、その声に応えるように項に舌を這わすと手を回して来た雪那が服の上から反り勃ったものを優しく撫でてきて一瞬腰が引けた
「……触られるの嫌?」
「嫌な訳ねぇだろ」
「逃げるんだもん……」
「びっくりしただけだ」
そんな会話をしていると、体ごとこちらを向いた雪那の手がハーフパンツの中に入って来て柔らかい唇が俺の首筋に触れた。ちゅっちゅと音を立てながら首筋を愛撫され反り勃ったものが優しい滑らかな指で撫でられると「……くっ」と小さく声が出てしまった自分が少しだけ恥ずかしくなった
「気持ちぃ?」
「……あぁ」
雪那の唇に深く口付けをしながら短パンとショーツを脱がせると少し上下に撫でただけでトロリと濡れた秘部にゆっくり指を入れて好きな所を撫でてやると可愛い声を出した。初めてした時に比べたら簡単に受け入れてくれる様になった中を、指を増やしてかき混ぜる様に撫でていると俺の胸に顔を埋めながらビクビクと果ててしまう彼女が堪らなく可愛くてポケットにいれておいた避妊具を着けてからなるべく優しく彼女の秘部に腰を埋めた
脇腹に負担がかからない様にゆっくりと動くと柔らかい指が優しく俺の髪に差し込まれて、瞳がぶつかり合う。雪那の好きな所を攻める様に腰を動かせば「あ、んァァァァ」と欲を掻き立てる様な顔で喘ぐ彼女に堪らなくなった
「……もうもたねぇ」
「……ん?……いいよ」
「でももうちょいしたい」
そう言った俺にふふっと笑う彼女の唇に舌をいれて優しく絡ませる。好きで好きで堪らなくて優しくしたいと思う反面、激しく壊れるくらい強く抱きたいと思うのはおかしいんだろうか。透き通る様な白い肌に舌を這わせながらそんな事を考えていた
時刻は昼の12時で皆お昼だろうなと思い、隆が作っておいてくれたしょっぱい味噌汁にご飯を入れて食べているとチャイムが鳴ったので脇腹を抑えながらゆっくりと玄関まで移動した。チェーンを掛けていたので入って来れなかったのか、スコープ越しに見えたのは制服姿のパーだった
そのままチェーンを取りドアを開けると、パーの両手には大きなスーパーの袋がぶら下がっている
「パー、学校は?」
「サボった。ハーゲンダッツと菓子買って来たぞ」
「やりぃぃ」
暇だった事もあり嬉しくて勢い良く万歳すると、ズキンと痛んだ脇腹にぎゃあと間抜けな声を出してその場に座り込む「痛いなら万歳何かすんな」と少し呆れた様に口を開いたパーはスーパーの袋をその場に置いてから私の腕に手を入れて抱えてくれた
「無理すんなよ、雪那。まだ退院したばっかなんだからよ」
「ハーゲンダッツって聞いたらつい」
えへへと笑った私を抱えてゆっくりとリビングに移動していると、背後からガチャリと聞こえた音に私達は目を1度合わせてから振り返った。そこに居たのは花束を抱えたワンコと舌を出してこちらに手を振る九井だった
「退院おめでとう」
「 雪那、まだ痛い?手貸そうか?」
「…… 雪那、誰あいつら」
首を傾げるパーの耳元で「黒髪じゃない方が乾だよ」と小さな声で話すと「乾って誰だ?」と聞かれたので、もう忘れたのかよと呆れて何も言わなかった。入っていいよと言っていないのに普通にお邪魔しますと言って入って来た2人はズカズカと靴を脱いで家に上がりだした。玄関に置いてあったスーパーの袋中身を覗いた九井は「これ溶けるべ、冷凍庫入れとく」と言って我が物顔でキッチンに歩いて行ってしまう。その様子をポカンとした顔で見ている私達にワンコは「花瓶ある?」といつも通りの無表情で聞いて来たので「洗面所の下の棚」と答えると彼もスタスタと歩いて行ってしまい、パーと二人でポカンとしながらリビングに移動した
ソファに座ってパーとハーゲンダッツを食べていると、何故か一緒にハーゲンダッツを食べる九井とワンコにパーは俺が買って来たのに勝手に食うなとも言わずに普通にテレビを見ていた。変な組み合わせだなと思いながら食べ終わったカップとスプーンを置いてから脇腹を押さえつつ九井の隣に座った
「……えっ?何?近いんだけど」
そう言って気まずそうに笑った九井の頭を素早く掴んでから腕を回して首を絞めあげるとグゥとマヌケな声が出た九井に顔を近付けた。「メールの事許してねぇから」と少しだけ巻舌で言い放った私に声が出ないのか隣に居るワンコの太腿をバシバシと叩く九井。10秒だけ本気で締め上げると顔色が悪くなったので離してやる事にした
「……死ぬ……かと思った」
そんな九井を見てゲラゲラ笑うパーと、今回は助けないと決めて居たのか知らん顔をしてアイスを食べるワンコ。最後に九井の頭をペシリと叩いてから立ち上がると急に脇腹に激痛が走りぐわぁぁ痛いぃぃと間抜けな声を出して床に転がる
呆れた顔をしながら、そんな体でやるからと言った九井とは逆に直ぐに私を抱き上げてベッドにそそくさと運んでくれたワンコとその後ろからテクテク着いてきたパーに申し訳無くなるが、痛くてそれ所では無いので必死に脇腹を押さえて唸っていた
降ろされて直ぐに服をまくり傷口を確認すると、薄らと包帯テープに血が滲んでいた。2人に見られない様に大丈夫大丈夫と言いながら服で隠しつつ苦笑いをすると、パーは首を傾げたがワンコは怪訝な顔をしてから私に近寄ると急に手を掴んできてパーが止めるのも聞かずに服を捲りあげた
「……やっぱり血が滲んでる。痛くない?」
「……ちょっと痛いかな」
強引だけど顔から心配しているのが分かったので素直にごめんなさいと言って謝ると、消毒して新しい包帯に変えるからと言われて素直に頷いた。パー前で傷口を見せたく無かったけれど仕方ないかと思い服を捲ると、扉から見ていた九井が私に「イヌピーにやらせない方が良い」と真顔で言ってきて私は首を傾げた
「…ぎゃあ!痛ぁぁぁい!ワンコちょっと痛いよ」
「……あれ?おかしいな」
「……イヌピー、俺がやるから代わって」
「 雪那、大丈夫か?」
ハアハアと痛すぎて肩で息をする私を見てククっと楽しそうに笑った九井は首を傾げるワンコと場所代わると、手慣れた様に消毒をしてから傷が痛まない様に優しく包帯を巻いてくれる
「……上手いね」
「イヌピーは力入れすぎ」
「そうなのか。ごめんな」
「雪那さん、これとさっきのヘッドロックでメールの件チャラにしてくんね?」
「……仕方ないな」
ニイと歯を見せて笑った九井に思う所はあったけど仕方無しに頷いた。パーが水を持って来てくれたのでそのまま薬を飲むと眠くなって来たので3人の事は放置して眠る事にして目を瞑るとベッドの周りで3人は何か会話をしていたけれどその会話が段々と遠くなって来た
ゆっくりと目を開けるとベッドの横の椅子に座りイビキをかいて眠るパーが居て、その可愛らしい姿を見てフフっと思わず笑うと「起きたか?」と小さな声が聞こえて反対に体を向ければ下のラグに座っているのは制服姿のドラちゃんと隆だった
「……あれ?ワンコと九井は?」
「帰った」
「……喧嘩しなかった?」
「……九井の首の痣見たら怒りが消えてったわ」
そう言って苦笑いした隆に、ドラちゃんは少しだけ私に怪訝な顔をして「もうちょっと体の事考えろよ」と厳しい口調で言い放った
「……ドラケンあんま怒んなよ」
「三ツ谷は甘やかしすぎなんだよ」
「ごめんなしゃーい」
「ほら、謝ってんだろ。雪那 傷は大丈夫か?」
「うん、さっき傷が開いちゃったから九井が消毒してくれた」
「はっ?何で開いたの?」
「……九井にヘッドロックかましたら開いた」
「…………」
「な、三ツ谷。叱らなきゃ駄目だろ?」
「ああ。悪ぃ」
ベッドに座って来た隆に両頬を優しく抓られてから反省しろと言われ、痛かった事もあって素直に頷いたけど「メールの件はやり方が汚いから許せなかったんだもん」と拗ねた様に言うと「分かるけど傷が開くとか考えろ」とドラちゃんの鋭い突っ込みが飛んできたので、それ九井にも言われたと言うと隆は盛大に溜息を吐いた
「あ、そう言えば冷凍庫にハーゲンダッツが沢山あるよ。パーが買って来てくれたの」
「まじかよ、ラッキー」
「隆イチゴ持って来て」
「ドラケンは?」
「俺バニラ」
隆がそれを聞いてキッチンに向かって行ったので私も脇腹を抑えながらゆっくり立ち上がると、それを見たドラちゃんは直ぐに立ち上がりスっと腕を支えてくれた
「ありがと」
「どこ行くんだよ」
「顔洗って歯磨いてくる」
「アイス食うのに?」
「うん」
変な奴だなと言いながら洗面所まで支えてくれたドラちゃんに昔を思い出した。確か中学1年の頃、私と圭介が高校生にボコボコにされた時に肋にヒビが入ってしまい学校に行けずに家で療養していた。その時も確かドラちゃんが支えてくれたのを思い出して私はクスリと笑う
「昔も洗面所まで支えてもらったよね」
「あー、あん時は肋な」
「良く覚えてんね」
「当たり前だろ、いつもヒヤヒヤさせてくれるぜ。なぁ三ツ谷」
「本当だよ」
会話に急に入って来た隆はアイスを3つと同じ数のスプーンを持ちながら頷いていた。すみませんねぇと軽口を叩きながら顔を洗って歯を磨いているとアイスを受け取ったドラちゃんは「俺はお前が最初から心配だった」と言ってアイスの蓋を開け、美味しそうに頬張っている。そんな優しい彼に「知ってるよ」と言って私は少しだけ微笑んだ
あのメンバーで喧嘩に行けば、私を女だからと1番に狙う相手を片っ端から殴り飛ばしていたドラちゃんと怪我をしてもお構い無しで考えずに突っ走ってしまう私の前になるべく立つようにしていてくれたのは隆だったから
「……皆けっこう今考えたら気を使ってくれてたね」
「マイキーはお前を女だからって絶対言わなかったし、甘やかさなかったからな。だから俺もそうしようと思ったんだけどよ……やっぱり俺の性格だと難しいわ」
「……凄ぇ分かる、ドラケン」
「……三ツ谷は初めて会った時から雪那の事女として見てただろ?」
「…………何で分かんだよ」
「……そうなの?」
「……ああ。まぁ普通は……見るだろ」
「三ツ谷のが大変だったよな。平気で皆の前で着替えるし」
ぶはっと吹き出したドラちゃんに私もケラケラと笑うと全然笑えねぇと呟いてアイスを口に入れる隆の肩を抱いて笑いながら「ごめんね」と謝った
「……俺はお前に初めて会った時、すげぇタイプだったけど男みたいに振る舞うし俺より強いから戸惑ったんだよ」
「三ツ谷それ顔に全部出てた」
「へぇ、全然知らなかった。」
「……だけど、マイキーも場地もパーも一虎も皆お前を男みたいに扱うからさ」
「場地と三ツ谷喧嘩になったしな」
「……懐かしいな」
「……えっ?なんで?」
詳しく聞いてみると、圭介は隆に中途半端な事をするなら異性としては近寄るなと警告したらしい。そんな事は全く知らなかったし隆と付き合うとかそんな話になった時も誰からも何も言われなかったから正直2人の話が信じられなくて首を傾げながら歯ブラシを終えて口をゆすいだ。部屋に戻って3人でアイスを食べながら昔話に花を咲かせていると、懐かしいあの頃が蘇ってきて悲しい事も沢山あったけど良い事も倍あったなって思えていた
「……私は今考えるとら捻くれてたのかなぁ」
「捻くれてるってゆうよりは、悲しい事が沢山あってそんな時考えた目標に子供ながら真っ直ぐだったって感じだろ」
「……良くお分かりで」
「まぁ、ずっと傍にいるからなぁ」
「……三ツ谷は元々世話が上手いし、グレてる訳じゃねーしな。雪那にとっては親代わりで恋人で良いじゃねーか」
「…ドラちゃんはお兄ちゃんだしね、あとは皆弟ね」
「皆お前の事妹だと思ってるぜ」
「えぇー私お姉ちゃんだと思ってた」
そう悔しそうに言った私に吹き出した2人の声で飛び起きたパーが、寝ぼけながら「俺もハーゲンダッツ」と叫んで私達はまた大笑いした
それから何日かして抜糸を済ませて買い物をしていると、ずっと寝たきりだったからか足が痛くなって来てしまい疲れきって家に帰宅した。ヘトヘトになりながらポストの下に隠してある鍵を手探りで探すが見当たらずにキーケースを取り出して鍵を開けた。また誰か来てるのかと玄関を開けると男物の靴が2足並んでいて、自分も靴を脱いで玄関に入りリビングに顔を出せば「おかえりなさい」と柔らかい口調で微笑むちーと、金髪の可愛らしい男の子がソファに座っていた
「ちー、久しぶりだねぇ」
「姉さん怪我どうですか?痛みは?」
「もうかなり良いよ。今抜糸してきたし」
「あ、初めまして。花垣武道と言います」
見た事がある様な顔をしていた男の子に軽く会釈をすると、ちーが東卍に新しく入ったんですと言って彼の背中を叩いた。あまり不良に感じない彼に少しだけ大丈夫かなと心配になったけれど、二番隊に入りましたと聞いて少し安心した
「そうか、二番隊なら安心かな」
「あの、雪那さん。」
「……ん?」
「いきなりですみません、芭流覇羅ってチーム分かりますか?」
「……うーん。聞いた事はあるけどあんまり詳しくは知らないなぁ。何かあったの?」
「……この間エマちゃんが狙われたの聞いてませんか?」
「……はっ?」
それを聞いて額に血が上ってしまうのが分かって、拳を握りしめてから息を吐いてゆっくり首を横に降った。怪我をしている私に言わなかったのはきっと皆の優しさって分かってはいるけれど気に入らないと思ってしまったのは仕方が無いと自分に言い聞かせた
「……一昨日学校帰りに狙われて、たまたま通行人のサラリーマンが助けてくれたんですけど。マイキー君にエマちゃんが芭流覇羅って書いたステッカーを貼ってたのを見たって言ってて」
「……エマは大丈夫なの?」
「はい、擦り傷くらいです」
それを聞いてホッとしたら薬が効いてきたのか少し眠くなってしまって、ちーに「ごめん、ちょっと休む」と言えばこちらこそ急にすみませんと言われてソファに横になった。花垣君に心配そうに顔を覗き込まれて「久しぶりに沢山歩いたからヘトヘト」と笑いながらクッションを抱きしめると少しだけ休憩しようと思い目を瞑った
眠いのに頭の中でエマが狙われた事が気になってウトウトするだけで熟睡は出来ず、意識を手放して直ぐに起きてを繰り返しているとキッチンにあるテーブルの方から2人の小さな声の会話が聞こえてきて自然と耳に入ってくる
「……タケミッチ、やっぱり雪那さんだったか?」
「……うん。」
「そっか」
「……でも、感じが全然違う。もっと怖かった」
「三ツ谷君が殺されたらそうなるだろうよ」
「うーん、何だろう。それも勿論あるんだけど…何か違うんだ…上手く言えないけどさ。」
「……姉さんがマイキー君を殺してから自分で死んじゃう何てさ……。悲しすぎるよな」
「……お腹に子供も居たんだよ。俺に色々昔の事とかも最後に……話してくれたんだ」
嘆く様に話す2人の会話は演技だとは思えず私の思考は停止した。目を開いて瞬きを何度かして夢では無い事を確認したけれど何だか起き上がれなかった
三ツ谷君が殺されたら。マイキー君を殺しての物騒な言葉に戸惑いながらそのまま動かずにジッとしていると足音が聞こえたのでゆっくり目を瞑った。私にプランケットを掛けたちーと花垣君が玄関から出て行って鍵を掛けたのを確認してから起きあがると今の全てが夢だったのか?と一人で首を傾げてしまった
その次の日、東卍のロングコートを着てから髪を縛りマスクをしてフードを被ると本当に久しぶりに単車に乗り神社に向かった。運転しながら昨日のあの2人の会話を思い出して久しぶりに煙草に火を付けた。吐き出された煙は漂わずに夜風に乗り流れていく
吸って吐いてを繰り返していると、思っていたよりも早く到着した神社からは排気音とコールで溢れていて私は何だか懐かしくて少しだけ微笑んでしまった
神社に入る手前でエンジンを切り、そのまま走っていた勢いで中に入ると見知った顔は余り居なくてこんなに人数が増えたんだと少し驚いた。単車を隆のインパルスの横に止めてキーを抜いてから振り返ると睨みを効かせて囲んで来た子達にマスクの中で苦笑いしてしまった
「…テメェこのチビ。東卍のステッカーの単車何か乗りやがって。新入りか?」
「…………」
「口聞けねぇのか?」
内心どうしようかなと思っていると、脇腹が少しだけ痒くて疼いた。何も言わずに唸って考えている私に痺れを切らせたのか振り上げられた拳が風を切り寸前で避けると頭に来たのか顔が変わった男の子は私の胸倉を掴むと顔を寄せて怒鳴り散らしてくる
唾が凄い飛ぶなと思っていると、そのまま上に持ち上げられてちょっと驚く。明らかに年下の子なのに軽々と私を持ち上げる力に男を感じてしまった。「お疲れ様です」と周りに居た子達の声が聞こえてそちらを見れば、目を見開いて私を見て固まっているいつもの面子。胸倉を掴まれて上に持ち上げられている私を見て1番に吹き出したのはマンジロだった
「ぶはっ!お前何やってんの?絡まれてんの?」
「……やり返すと傷が開いちゃうから我慢してんの」
ブスってむくれたけれど、多分マスクで見えていない。マンジロが吹き出すと同時に走って来た隆が私の胸倉を掴んでいた男の子の手をギリっと音が聞こえるくらいに強く掴み手が直ぐに離れその拍子に地面に足がついた
「……お前、何してんの?」
「……す、すみません。お知り合いの方なんすね」
さっきまでの勢いは無くなり、私に向き直りすみませんと何回も言われ「大丈夫だよ」と小さい声で返すと隆が背中に蹴りを入れていたので、隆を見つめて首を横に降った。ずっと来ていないから顔は知らないだろうし、仲間扱いされないのは当然だと隆に寄って小さな声で言えば、「お前は裏から支えてくれてるだろ」と言ってくれて少しだけ微笑んだ。未だにゲラゲラと笑う一虎と圭介の頭をポカリと優しく叩くと、ここに来るのは珍しいなぁと言われて頷いた
「雪那、来るなら連絡しろよ。怪我してねぇ?」
「平気平気。エマの事聞いて心配だったからさ」
そう言った私に皆が笑うのを止めてシンとした。特に嫌味なつもりは無かったけど、1人だけ知らされていなくて後輩から聞いた事に内心少しだけ拗ねていた部分もあったのだろうか。言った後に困らせてしまったかな?と思い話を続けた
「……芭流覇羅ってチームの事知らないから情報収集だけでもしたいんだよね。そう思って今日来たの」
「ふーん、まぁ……今日はそれは置いといて皆で走りに行こうぜ」
エマがやられそうになったのに随分呑気だなと思ったけれど、マンジロはマンジロで何か考えてるんだろうなと思ったので分かったと言って頷くと「一緒に走るの久しぶりだな」と言われて私は微笑んだ
久しぶりに出る集会は楽しかったけど、新しい子達の大半は私の事を知らないので変なチビがいるとコソコソ言われ、途中でまた最初の揉め事を見ていない子達に信号待ちで絡まれて単車を蹴られて流石に大事な単車に傷がついたので黙っていられなかった。単車を停め、降りて走り出そうとした瞬間に一虎のバイクが目の前で急停車して「場地が注意しに言ったから戻れ」
と言われて渋々単車に乗り直した
美しいネオンの光と皆の姿を見ていると、小さなチームだったあの頃の面影は無い。皆体格が良くなって身体付きも違うし走っている台数も全然違う。何だか急に私だけ一人ぼっちみたいで少しだけ寂しくなり、吸っていた煙草をハンドルの横に設置してある灰皿に押し付ける
皆を追い抜かしてマンジロの隣を静かに走っていると、「最初から先頭にいろ」と言ってくっくっくと可笑しそうに笑うマンジロは楽しそうだった
「……見てたでしょ?」
「お前が一言言えば良い話だろ」
「……うーん。もう、私が馴染んでいた小さなチームじゃないし」
そう言った私に驚いた様な顔をすると「何を今更」と言われ確かにと頷いた。最初はチームとかも小さくて只皆で喧嘩して走るだけだったけど今の東卍は規模もでかくなった、私がいるとここの評判も落ちるのか何て思うとそんな事は口に出したくは無かったけど
色々思う事もあって集会中だけでも顔はマスクで隠してフードは外さない事にした
走り終わって解散前に私を皆の前で指さしてからあえてデカデカとした声で「創設メンバーだから。絡まないように、以上」と言ったマンジロに私は小さく吹き出してしまった。それが良かったのか皆の私を見る目は変わり、単車を蹴っ飛ばして来た子もすっ飛んできて謝ってくれたのでこれで良かったのかと思った
眠い目を擦りながら階段に座り隆と話をしていると、花垣君と千冬が歩いてきたので手を降ると「雪那さん、絡まれたんですか?」と少し心配そうな花垣君が可愛くて少し笑ってしまった。「女の子扱いしなくて大丈夫だよ、昔から頑丈だから平気」そう言った私の隣に腰掛けた花垣君は私の顔を至近距離でマジマジと見つめてくる
「……何?近くない?」
「おいおい、たけみっち流石に近ぇ」
10cmも無い距離まで詰められると、流石に隆が花垣君の額をパシリと優しく叩く。その瞬間に私を見つめていた真剣な眼差しから涙が溢れて私は目を見開いた
side hanagaki
闇みたいな人だなって思った。三ツ谷君が光みたいだったから尚更それが引き立ってしまったのかもしれない
棺桶の中で返事をしない三ツ谷君の顔をずっと撫でていた女の人と目が合った瞬間に、鳥肌が経つほど恐ろしいと思った。その恐怖は清政にいびられた時の恐怖やヒナを失う時の恐怖とはまた違っていた
花垣武道?と小さくか細い声で自分の名を呼んだ女性に頭を下げると、「私は雪那。最後の創設メンバー」と笑った彼女の瞳には狂気が滲み出ていた。「知ってます」とだけ言った俺の手を掴むとニコリと笑った彼女はお願いがあると言ってきた
マイキー君を探しに直人とフィリピンに向かう前に渡された連絡先から彼女に電話した。嬉しそうに「マンジロに会えるのね」と電話口から聞こえた優しい声に安心して当日に空港で待ち合わせをしてから一緒に飛行機に乗り込んだ。直人がアイマスクを着けて少し経ってから寝息が聞こえだすと、 雪那さんはお腹を擦りながら「子供がいるの。マンジロに報告したかった」と愛しそうにお腹を撫でながら口を開いた
瓦礫の山の様な場所でマイキー君と会えて、涙が溢れてきた。「 雪那さん、マイキー君居ましたよ」そう言って笑った俺の言葉に一瞬目を見開いたマイキー君は扉も無い入り口から入って来た雪那さんを見つめていた
「マンジロ、見つけた」
「…………」
「マイキー君、雪那さんのお腹に子供がいるんですよ」
「……たけみっち、雪那を連れてきてくれてありがとうな」
マイキー君が優しく微笑んだ瞬間に鈍い音がして振り返ると何故か直人が地面に倒れていた。えっ?と自然と声が出た時には彼女の手に握られていた拳銃から凄い音がして銃口から流れる白い煙が発砲した事を物語っていた。まだ理解出来ない頭でマイキー君の方に振り返れば、笑顔のまま力無く崩れ落ちてくるマイキー君を俺は何も出来ずに見ていた
「……えっ?……マイキーく、ん?」
「ありがとう、花垣君」
フワリと優しく笑った雪那さんは硬直する俺の横をすり抜けて血を流すマイキー君を抱き抱えた
「……マンジロ、さよならだね」
「…… 雪那。ありがとうな。後……ごめん」
「1人じゃないよ」
そう言って笑った雪那さんは銃口を自分の頭に付けてから一言だけ「……隆、ずっと一緒だよ」と呟くと何の躊躇も無く軽々とその引き金を引いた。ゆっくりと倒れていく体がマイキー君に重なって、そのやつれた体をギュっと最後の力を振り絞った様に抱き締めたマイキー君は直ぐに息をしなくなった
今、現実目の前にいる幼さが残る美しい彼女からは闇を感じなかった。未来で一緒に居た時間は少ないのに彼女を見ているだけで胸が張り裂けそうで苦しくて悲しかった
溢れる涙が止まらなくて、雪那さんも三ツ谷君も俺を見て目を見開いて驚いている。それが分かっていても裾で目を擦っても涙が止まらなくてあの時の悲しみが心を埋めつくしてしまっていた
「...花垣君、大丈夫?何かあった?話してごらん」
優しい声がして、ふと我に返り雪那さんの目を真っ直ぐに見た。飛行機の中で彼女が言っていた言葉
「……私は大事な時期に彼等と向き合えなかった。いつの間にか女が口を出さない方が良い何て考え方になっていってしまっていた。……あの時に戻りたい。やり直したい」
虚ろな目をしながら話してくれた彼女の悲痛な台詞が頭を駆け巡り自然に口から言葉が出てきてしまう
「…… 雪那さん、この先何があってもマイキー君と三ツ谷君の傍に居て下さい」
「……?う、うん」
「女性だって事を理由に遠慮したりしないで、女性として彼等の傍に居て貴女にしか出来ない事をして貴女にしかあげられない言葉を渡して下さい」
「……花垣君?」
「雪那さんは皆に愛されているって事忘れないで下さい」
「…………うん。ありがと」
マスクを取った 雪那さんは「泣かないで」と言って優しく溢れる涙を拭ってくれた。その表情は飛行機でお腹を摩って居た時の表情と同じ慈愛に満ちた優しいものを感じた。俺の後ろで静かに泣き出した千冬の声に何だかまた悲しくなって困っている2人を前にまた涙を零してしまった
side takashi
集会が終わり、家に帰って来て風呂を出てから3個目のアイスに手を伸ばした雪那に流石にやめとけと言えば表情が無い顔でこっくりと頷いた
帰り道もぼんやりとしている雪那といつ仲良くなったのか話をした所を見た事も無いのに、いきなり雪那に熱く語ったたけみっちに俺は動揺を隠せずに千冬を見れば、静かに泣いていた千冬の涙も嘘じゃない気がした
雪那の何を知ってるのか。俺以上にこいつを知っている奴なんていないのにと内心思ったが、たけみっちの言葉には確信をつくものがあったのと聞いてるこちらまで微笑んでしまう様な優しい気持ちを感じたので何も言えなかった。ぼんやりとテレビを上の空で見ている彼女の柔らかな肌に優しく触れて、頭を自分の胸に閉じ込める
何も言わない雪那の髪からは自分と同じシャンプーの香りがして俺は目を瞑り軽く唇を押し付けてから離すと少しだけ微笑んでいる雪那の脇腹を優しく撫でる
「……まだ色々考えてんのか?」
「……うん」
怪我の事もあったし、ずっと河合さんも一緒に居たので中々触れる事が出来なかった。ヤリたい盛りの思春期で風呂上がりにキャミソールと短パンの彼女を目の前にして我慢も限界に来ていた時に温かな手が俺の頬を包み、急に唇をペロリと舐めてきた雪那に我慢するのを止める事にした
「……お前ワザとだろ」
「……えっ??アイス付いてたんだよ」
「…………ちょっと倒すぞ」
えっ?と間の抜けた声を出した雪那をゆっくりと倒して後ろから抱きしめる。首筋を甘噛みしながら口付けしていると「んん」と小さく甘い声が彼女の口から出てきた。キャミソールの中に入れた手が滑らかな肌に指を這わせ膨らみを触ると、自身の下半身の中心に熱が集まって来て「はぁ」と自分の口から吐息が思わず漏れてしまう
「……勃ってる……」
「……当たり前だろ」
ふふふと顔が見えない雪那が小さく笑った声がして、その声に応えるように項に舌を這わすと手を回して来た雪那が服の上から反り勃ったものを優しく撫でてきて一瞬腰が引けた
「……触られるの嫌?」
「嫌な訳ねぇだろ」
「逃げるんだもん……」
「びっくりしただけだ」
そんな会話をしていると、体ごとこちらを向いた雪那の手がハーフパンツの中に入って来て柔らかい唇が俺の首筋に触れた。ちゅっちゅと音を立てながら首筋を愛撫され反り勃ったものが優しい滑らかな指で撫でられると「……くっ」と小さく声が出てしまった自分が少しだけ恥ずかしくなった
「気持ちぃ?」
「……あぁ」
雪那の唇に深く口付けをしながら短パンとショーツを脱がせると少し上下に撫でただけでトロリと濡れた秘部にゆっくり指を入れて好きな所を撫でてやると可愛い声を出した。初めてした時に比べたら簡単に受け入れてくれる様になった中を、指を増やしてかき混ぜる様に撫でていると俺の胸に顔を埋めながらビクビクと果ててしまう彼女が堪らなく可愛くてポケットにいれておいた避妊具を着けてからなるべく優しく彼女の秘部に腰を埋めた
脇腹に負担がかからない様にゆっくりと動くと柔らかい指が優しく俺の髪に差し込まれて、瞳がぶつかり合う。雪那の好きな所を攻める様に腰を動かせば「あ、んァァァァ」と欲を掻き立てる様な顔で喘ぐ彼女に堪らなくなった
「……もうもたねぇ」
「……ん?……いいよ」
「でももうちょいしたい」
そう言った俺にふふっと笑う彼女の唇に舌をいれて優しく絡ませる。好きで好きで堪らなくて優しくしたいと思う反面、激しく壊れるくらい強く抱きたいと思うのはおかしいんだろうか。透き通る様な白い肌に舌を這わせながらそんな事を考えていた
