短編 シリーズ
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中学校に入学して直ぐに気になる男の子が出来た
私達の関係は特に仲良くも無くて、小学校も別々だったから接点も無かった。不良の様な見た目をしているのに〇〇さん、と誰の事でも名前をさんづけにするんだ、とか。手芸部の友達に誘われて見学に行った時に
けっこう親切で丁寧な教え方だなとか
そんな小さな事で好きになっていった気がする
染められた彼の髪が綺麗だったから、ただそれだけで私も真似をする様に髪を染めて眉を整えて。メイクを勉強して彼にかわいいって言われてみたいなって想像する様になってから私はお洒落になっていったと思う
夏休みに駅ビルでスカートを買った帰り道にカフェでジュースを買って飲みながら歩いていると、道の真ん中で林田君が全然知らない男の子達と喧嘩をしていて地面に血を流しながら倒れているのが見えた
顔に怪我しちゃう、何て思った時には相手が2人とかも考えずに足がそちらに向かっていて林田君の顔に蹴りを入れようとしていた男のお尻を蹴っ飛ばしてからもう1人の股間をバッグで殴り付けてやった
「だ、大丈夫?林田君」
「……隣のクラスの子、あー……誰だっけ?」
白石さんだよ、パー。と呆れて笑いながら歩いて来たのは私服の三ツ谷君だった。休みの時に会えて嬉しい反面かなり強烈な所を見せてしまったなと、めちゃくちゃ内心動揺していた
「白石さん、怪我無い?俺が遅れたからごめんな。パーの事助けてくれてありがとうな」
「あ、そうだ。白石さん。マジありがとうな」
「あー、うん。怪我無いから大丈夫……だけど」
スカートなのに蹴り入れちゃった、パンツ見えたかもと恥ずかしそうに言った私に三ツ谷君と林田君は吹き出して、多分誰も見えなかったよ。うんうんと励ますように肩を摩ってくれて内心の動揺は消えていってトキメキでいっぱいになった
危ないから送っていくと三ツ谷君に言われて、仲良くなるチャンスと思い笑顔でいいの?と聞くと凄く柔らかい笑みで頷いてくれた三ツ谷君に私の恋心はヒートアップした
手を繋ぎたいな。何て思いながらありきたりな話をして帰路についていると、白石さんちって三ツ谷んちに近ぇな。と林田君に言われてそうなの?と聞くと路地を曲がってちょっと行った所と言われてギリギリ小学校の学区外だったんだなとちょっと悔しくなった
もう少しそちらに寄っていれば素敵な小学校ライフだったのかなぁ。何て思いながら2人に送って貰い家に無事に到着した
2人に待っててと言って冷凍庫からアイスをもって来て2人に渡せば嬉しそうに笑っていた
特にそこから話す事も無く接点も無く、毎日を送っている私の耳に入って来たのは三ツ谷君が手芸部の部長になったって事だった
私も手芸部に入ろうかと考えたが、自分は夜遅くまで働いているお母さんの分も家事をしなくちゃいけないし。部活はちょっとなぁと思って他に出来る事を考えた
「林田君、話があるんだけど」
「 あー白石さんだよな、何?」
「…ここじゃ話せないから…ちょっと来て貰えないかな?」
まぁ、いいけど。と言った林田君は席を立った
一緒に居た三ツ谷君と林君にちょっと林田君借りるねと謝ると2人はこくりと頷いただけで特に何も言われなかったので安心した
林田君と屋上に続く階段まで来ると、白石さんどしたの?とイカつい顔で言われてちょっと心臓がドキドキしたけれど、この間の感じからしてこの人は多分優しい人だしと思い込みながら勇気を出して口を開いた
「……あのさ、ちょっとお願いがあるの」
「いいよ、別に」
「……まだ内容何も言ってないんだけど」
「んで?何?」
「……聞きたい事があってさ。三ツ谷君て好きな女の子とかいる?」
「……三ツ谷からそうゆう話は聞かねーな」
てか聞きたい事って三ツ谷の事か、とニンマリした林田君は好きなら協力してやるよとさわやかに笑う
見る目あるな、白石さんは。と言ってくれた彼に紙袋の中に詰まったお菓子を渡してお願いしますと頭を下げると律儀~とゲラゲラ笑っていた
パーで良いよと言われてLINEを交換して、これで1歩近付けたとご満悦な私はルンルン気分で席に戻り授業を受けた
今日の帰りにまたゲーセンでお菓子の詰め合わせを取ってこようとニヤニヤしていると、先生に急に名指しされて問題を全く聞いてなかったのでクラスの皆に笑われてしまった
パーちゃんとLINEをする様になってから三ツ谷君の情報はどんどん増えていった。妹が2人居る事や、裁縫以外に料理や掃除も得意な事、機械系が不得意な事や好きなお菓子など
小さなかわいい情報だけど、以外にマメなパーちゃんは何かあると必ず送ってくれる様になった
梅雨に入り、送られてきたLINEには12日は三ツ谷の誕生日と書かれていて私は1日中唸っていた。三ツ谷君の好きなお菓子を焼いて渡したら気持ち悪いかなとか、チームを作ったから親衛隊の腕章をプレゼントしたら三ツ谷喜ぶぞと言われたのでそれも渡そうかなとか。何個も渡さたら変かなとか。色々1人で考えて疲れてきてパーちゃんにやっぱり相談する事にした
実際会って色々思ってた事全部相談すると、女の子が自分の為にプレゼントしてくれてるのに三ツ谷なら気持ち悪いとか言わないし思うような男じゃない
と言われて私は何だか感動してしまい残りの12日間の暇な時間をパーちゃんにたまに見て貰いながら腕章作りと家ではパウンドケーキ作りの練習に励んだ
学校の自身の机の上に突っ伏して出来たと息を吐くと優しく頭をヨシヨシしてくれるパーちゃんは私の中で何だかもう友人みたいに感じでいた。キラキラな目で親衛隊長と刺繍された金文字の部分を指でなぞりながら、俺にも作ってくれと言われて白目を剥きながら頷いた
パウンドケーキは2つ大きめのを作り、生きていて1番頑張ったくらいのラッピングをした。同様に腕章も綺麗にラッピングをして手紙を添えた
三ツ谷君誕生日おめでとう
パーちゃんからチームをやり出したと聞いたから刺繍は練習中だけど、作ってみました。良かったら使って下さいと簡単に説明入りのメッセージカードを入れてシンプルな紙袋に全部しまった
放課後の教室でドキドキしながらLINEを待っていると、パーちゃんからOKとLINEが入る音が私の心臓を高鳴らせた
17時を過ぎた家庭科室でミシンを1人使う三ツ谷君の姿を確認して中に入った
ガラガラと開いたドアに三ツ谷君がこちらを向いたので、少しぎこち無い笑顔でお疲れ様と声を掛ける。仲良くないのに本当に大丈夫かなと内心思いながら、 白石さん?と首を傾げる三ツ谷君の横に立った
「……ミシン中にごめんね、えーっと。……良かったらこれ受け取って下さい」
何だか変に緊張しちゃって、カクカクしながら頭を下げると手が少し震えている私を見て口をポカンと開けている三ツ谷君は、俺に?と言って受け取ってくれた
頑張ったから中身を見て欲しいなと思う気持ちと、ミシンの邪魔だから帰らないとって気持ちがゴチャゴチャになってきて黙っていると
中見ていいの?と首を傾げた三ツ谷君に私はこくこくと首を縦に振った
メッセージカードを見てギョッとした顔をして目を見開いた三ツ谷君に、ヤバい全然喜んでくれてないと感じて
仲良くも無いのに誕生日プレゼント何て渡してごめんねと小さく呟くと、いやいやビックリしただけと言ってちょっと笑う
笑顔が見れたので安心してしまって、バレない様に深呼吸していると腕章の入ったラッピングを開けた三ツ谷君は目を見開いてから凄ぇ……と呟いてずっとそれに釘付けになっている
あぁ、本当にこの顔が見れるなら頑張って良かったと私は内心嬉しくて嬉しくて気付いたら彼の横顔をうっとりと眺めてしまっていた
「……三ツ谷君は刺繍上手だから渡すの恥ずかしかったんだけど、今私もミシンとか裁縫とか練習しててさ。もし、使える様なら使ってくれると嬉しい」
「… …この親衛隊長ってパーに聞いたの?」
「うん、誕生日なのも教えてもらったんだ。腕章は三ツ谷君が1番喜ぶよって聞いたからさ」
「……白石さん、このケーキも手作り?」
「あ、妹さんいるって聞いたから良かったら妹さんと食べて。見て分かると思うけどちょっとパサパサになっちゃったてごめん。てか謝ってばっかり私」
どうして、ここまでしてくれんの?と真顔で聞かれてぐっと黙った私に三ツ谷君は何秒か経ってからフッと笑うとありがとう、大切にすると言ってくれた
何だかそれを聞いて全部力を使い果たした気がして、良かったと呟いて胸を撫で下ろしながら急に座りこんだ私にゲラゲラと三ツ谷君は大笑いした
そろそろ帰ろうかと言われて、私も一緒に帰っていいのかな?と思いながら笑顔で頷き二人で昇降口に着いた途端傘立てから傘が無くなっている事に気付きショックを受けていると、三ツ谷君は優しい顔で入りなよと傘を広げた
「……これ、作るの大変だったろ」
「……うーん、パー監督にたまに見てもらって楽しく出来たから大変では無かったかな。今それとお揃いのをもう1つ作ってるの」
「……もしかしてパーのも作ってくれてんの?」
「三ツ谷の見てたら俺も欲しいって言われて。そういえばさ、何のチームなの?腕章喜ぶって聞いて何のチーム作ったの?って聞いても教えてくれないの。パーちゃん」
「……あー、うん。内緒かな」
「じゃあ、応援団て事にしておくね」
「応援団……」
「親衛隊ってよく分からないけど、頑張ってね」
「あ……うん。そういや、ケーキもありがとうな。妹がケーキとかお菓子とか好きでさ」
「ふふ、今お菓子作りも勉強してるんだ。今度から良かったら妹さんにプレゼントしていいかな?」
「喜ぶよ、サンキュ」
「練習したお菓子とかパーちゃんに食べて貰ったりしてたんだけど、女の子にも食べて貰いたいな」
「ふーん、今までパーに食べて貰ってたの?」
「…ああ、報酬ね。お礼で」
「……報酬??」
「……あ、ちが、えっと……ちょっと困ってる時に相談に乗ってもらってさ。自分で解決出来なくて……。そんな時に支えて貰ったお礼をあげたくて渡したの」
「ふーん。何か白石さんずっとハラハラしてるっつーか、何か動揺してね?」
「……そう、だね。うん……」
「…… 白石さんて俺の事怖い?苦手?」
「いやいやいや、怖かったり苦手なのにプレゼントしないよ」
「じゃあ好きなの?」
「うんうん、そ、、…………あ、うん。普通に」
「ぷッ、普通にって何?」
「ちょ、本当にお願いだからいじめないでぇ」
私がそう言って吹き出して笑うと、三ツ谷君は変な奴だなと笑う。恥ずかしくてとっさに普通にとか言っちゃったけど普通ってなんやねんと自分で思って自分で呆れた
それから、傘が小さくて二人共腕は雨に濡れていたけれどLINEを交換したり刺繍の話をしたりしながらゆっくりと帰路についた
送って貰ってから直ぐにお風呂に入りお湯に浸かりながらLINEを開いてメッセージは送らないけれど、ずっと三ツ谷隆の名前を見ていた。何だか頑張って良かったなって思うとお風呂で涙が出てきて汗なんだか涙何だか分からなくて、嬉しい感情に浸っているとのぼせてしまい肩で息をしながらお風呂を出て脱衣所にでるとそのまま意識を失った
馬鹿なんじゃないの!と怒鳴られてごめんよマミーと縮こまる。お母さん寿命が縮んだわよと言われてゲンコツを頭に食らったのは目が覚めた次の日の昼だった
携帯の充電も切れていて、充電器に差し込んでからまだプンプンのお母さんの背中を見送る
今日は1日家にいるから、と言われて心配かけてごめんねと呟いた。まさか娘がお風呂で裸で倒れてたなんてビックリするに決まっているし、その理由が三ツ谷君の名前を見つめていたらとか言えないし。内心本当にすみませんと思いながら携帯を開いた
LINEを開くと、クラスの友達やパーちゃん、それに三ツ谷君からも何で休み?風邪?と心配する様なLINEが入っていて皆ごめんよとしこたま反省した
上から順番にお風呂でのぼせて倒れましたと返信入れていくと、三ツ谷君から直ぐに変事がきた
倒れたの?頭打ったりしなかった?
頭打たなかったけど、何時間か床に寝てたみたいで体が痛い
風呂で寝ちゃったの?
ううん、今は理由言えないけどいつか言うねw
すげぇ理由気になるじゃねーか
そんなLINEをしながら私は幸せな気分に浸っていた
この前まで見ていて満足だった私が今は彼とLINEしている。そんな現実に嬉しくなって私は抱き枕を抱きしめながら目を閉じた
それから、手芸の練習をしていると言って腕章をプレゼントした事でたまにだけど三ツ谷君がミシンを教えてくれたりお菓子を妹さんにプレゼントしたりと2週間に1回は彼とゆっくり話せたりする時間が出来て
話せば話す程好きになっていく自分がいる。三ツ谷君がミシンをしていると後ろから抱き締めたくなる衝動に駆られてたまに自分で考えてて恥ずかしくなる事が増えてきたある日
パーちゃんと放課後に屋上でお菓子を食べていると
クッキーをむしゃむしゃと頬張りながら、そういえば三ツ谷が告白されてたと言って私を見つめたパーちゃんに返事は……?と返すとそこまで聞いてねぇと言われて私は固まった
「……そっか、彼女出来たのか」
「いや、告白されてたけど三ツ谷が何て返事したのかは知らねぇよ」
「もし……彼女出来て手とか繋いでるの見ちゃったら私死ぬかも」
「 雪那ちゃん死ぬな」
「その慰め方やめて」
三ツ谷君と彼女が仲良く手を繋いでいる想像をしたら涙が溢れてきてしまい、咄嗟に両手で顔を覆う。
そんな私を見て、うわぁと普段言わないような声を出したパーちゃんは
ハンカチがねぇと言ってアタフタと自分のポケットを漁ると、何故か襷を握らせてきた
襷を握り下を向いた私に、あっ。おいとパーちゃんの声が耳に聞こえたが今はそっとしておいて欲しい。パーちゃんを無視して流れてくる涙を襷で拭っていると
フワリと何かか背中に掛けられて背を摩られた
「……優しい、ありがと」
「……」
「私さ、三ツ谷君とLINE交換出来たんだ。その画面眺めてたらお風呂でのぼせて倒れるくらい幸せでさ。…だけど…もし三ツ谷君に彼女が出来ても頑張ってそっと応援する。あ、でも、三ツ谷君が彼女とキスしてたり手とか繋いでても絶対パーちゃん私に言わないでね。私多分死ぬから」
「……そういや倒れてたな。あーでもよ、まだ付き合ってるか分かんねーって言ってるじゃんかよ。どうなんだよ、三ツ谷」
「……付き合ってねーよ。それより泣いてる女の子に襷渡すんじゃねーよ、パー」
……斜め後ろから三ツ谷君の声が聞こえて、背中を摩る手が止まる。白石さん、こっち使ってと言われてハンカチを渡されてどうもと受け取ると自分がさっきパーちゃんに話していた事を思い出して三ツ谷君の顔を見ずに全速力でその場から走って逃げ出した
途中で多分何回か転けたけど、それより恥ずかしくて恥ずかしくて気付いたら鞄も持たずに自宅の前に到着していた
携帯はポケットに入っていたが、鞄はパーちゃんとお菓子を食べていた屋上だ。財布も入っているしどうしようと思ったが1時間くらいしてから取りに行けば誰も居ないかなととりあえず自宅に入り泣いた目を冷やす事にした。肩に掛けていたブレザーを脱いで椅子に掛けると男性物で、あれ?と思い名前を見れば三ツ谷と入っていて白目になった
そういえば泣いている時にフワリと肩に何か掛けてくれた記憶がある。パーちゃんが掛けてくれたのかと思っていたのであまり気にしていなかったのを思い出した
部屋着に着替えてから目にアイスノンを当てて、明日から合わす顔無いじゃんと途方に暮れているとピンポンとチャイムが鳴った。何だか嫌な予感がして、玄関を開けて半分だけ顔を覗かせると私の鞄を手に持った三ツ谷君が立っていて
私はその瞬間に血の気が引いた。咄嗟に迷惑掛けてごめんなさいと頭を下げると優しい声色で平気。と返ってきて恐る恐る顔を上げた
「 白石さん、目が腫れちゃってる。襷何かで拭くから」
「あ、あ、ううん。大丈夫、ありがとう」
鞄ありがとうと言ってもう一度頭を下げてから鞄を受け取ろうと手を伸ばすと、ヒョイと鞄を持つ手を上にあげた三ツ谷君は空振りして呆然とする私に少しだけ微笑んだ
「 白石さんさ、さっきのもう1回聞きたいんだけどいいかな?」
「……さっきのとは?」
「三ツ谷君が他の子とキスしてたら私死ぬってやつ」
「……今死にそう何で無理です」
「……何で?」
「……三ツ谷君がもし、私の立場なら恥ずかしくて死にそうじゃないですかね?気持ち分かってくれます?」
「俺が白石さんの立場なら……あんな事聞いたのに鞄をわざわざ家に持って来てくれたって事は私に気があるんだなって思って喜ぶかな」
「……」
「……今度からパーに聞かないで何でも俺に聞いてよ 雪那ちゃん」
「……そんな事言われたら泣いちゃう」
嬉しくてと言って涙を流した私を優しく抱き締めてくれた三ツ谷君は私が泣き止むまで背を撫でてくれていた。近くの電信柱の影からホッとした顔でこちらを見ているパーちゃんと林君がいて見た瞬間に少しだけ笑ってしまった
そこから私達の交際は始まり、迷惑かな?と思う気持は少しづつ無くなってきて遠慮なく話が出来る様になっていった。ビックリしたのは三ツ谷君は以外に彼女になると凄く触れてくる人何だなって知った
付き合った日に手を繋いで頬に口付けされて、その日の夜は眠れなかった。次の週にうちでミシンを教えて貰っていると、後ろから抱き締められて唇に口付けされてちょっとビックリして口を開けると、優しくだけど舌を舐めるようなキスをされて首筋にも口付けられて初めてのキスに硬直してしまった
「……ごめん、ビックリした?」
「う、ううん。大丈夫だけど……」
「俺、多分雪那ちゃんが思ってるより大人じゃねーし。独占欲も強いと思う」
「そう、なんだ。何か以外だけど、嬉しいかも」
「……嬉しいの?嫌いにならねぇの?」
「……私は、ずっとずっと三ツ谷君だけを見ててミシンをしてる時も一緒に帰った時も三ツ谷君に触れたかったから」
「……煽んなよ」
「……?煽るって何?」
「なんでもねぇよ」
もう少し、我慢するけどと言った三ツ谷君は私にもう一度深く口付けしてくれる。ずっとずっと夢に見ていたこの感じに幸せ過ぎて時間も忘れてずっと彼と口付けをしていた
いつも時間を許す限りは学校でも一緒に居て、彼がチームで忙しい時は家で教えて貰ったミシンでルナちゃんやマナちゃんのぬいぐるみや服を作ったりして過ごしていた
私の生活は三ツ谷君と付き合ってからは三ツ谷君が全てになって、彼と居て彼に尽くせる事が私の幸せになっていった
中2の冬休み、二人で初詣に行くとお友だちを紹介されて頭を下げた。皆少し不良っぽかったけどヨメちゃん可愛いじゃん三ツ谷と言ってくれたので全力で皆好きになった
隆がトイレに行っている間、場地君と一虎君て人に隆との馴れ初めを聞かれて照れながら話していると戻って来た隆は誰も気づかなかったけどちょっとだけ雰囲気が違った
家に帰ると後ろからキツく抱き締められて、何でさっきあんな顔してたんだよと言われてどんな顔?と聞くと場地と一虎に囲まれて嬉しそうに照れてただろと言った隆の顔はちょっと怖かったけど、私が吹き出して隆と付き合った時の話してたから照れてたんだよと言うと素直に怒って悪ぃと恥ずかしそうに言ってくれた
「屋上で私がパーちゃんと間違えて、隆に彼女出来たら死ぬかもって泣いて本人に言ってたって言ったら場地君と一虎君が大笑いしてた」
「……ああ、だから照れてたのか。アイツらがカッケーから照れてたのかと思ったわ」
「私は隆以外の男の人に興味無いよ」
「……俺も」
「もっと信じてよ」
「分かってるけど、…悪ぃ。なんでもねぇ。……雪那ちょっとこっち来て」
隆に手を取られて優しく抱き上げられると、ゆっくりとベットに押し倒されて私は息をのんだ。こんな日がいつか来るのかと思っていたけど、求められるのは嬉しいけれど少しだけ怖かった
でも、隆なら良いと思った。優しく服を脱がされてお互いが裸になって二人で触れたい所に触れてずっと口付けしあっていた
入ってくる感覚はやっぱり痛かったけど、隆が幸せそうに体も全部俺のものになったって言って幸せそうだったから私は満足だった
中学3年になってから皆に色っぽくなったねと言われ、隆からは男はパーとぺーやん以外と喋るなよと言われて頷いていた
週に2度は体を重ね、重たくなるような愛を惜しみなく与えられていた。私からしたら隆しかしらなくてそれが普通だったけど、たまにパーちゃんにお前苦しくないの?と聞かれた事があった
中学3年の秋から、隆が手芸部の女の子を特別扱いし出してから私達の関係は変わっていった
私を普通に抱くのに学校ではずっとその女の子の傍にいて私は凄く不満だった。
その何倍も不満だったのは、言うと関係が壊れると思って何も聞けない自分に対してだったのかもしれない
パーちゃんやぺーちゃんも最初は私の味方をしていてくれたけど何かがあったのか、隆が何か言ったのかその事には2人共段々とその話題にはふれなくなった
卒業式の日、いつもと変わらず学校が終わり私の手を取って当たり前にうちに来て私を抱こうとする
抱きしめられて、イライラして目の前にあった隆の首筋に噛み付くと私の八重歯が刺さって血が出た
いってぇと言った隆の顔、やってしまったと内心少し焦ったけど私の方がずっとずっと心が痛いと言って泣いて家から追い出して鍵を掛けて泣いた
唇に残る血の味。好きで好きで堪らないからこそ、彼女を特別扱いしてる隆が許せなかった
隆からその後一切連絡が無かったのも苦しくて苦しくて許せなくて意地をはって私からはしないと決めた
本当にいいのか?とパーちゃんから来たLINE
高校も違うし、隆は彼女が好きなんだから私はもう知らない。新しい幸せを見つけると返信した
高校に入って、彼がどれだけ私の生活に入り込んで居たのかが良く分かった。最初の2ヶ月は毎日毎日泣いていたけれどデートに誘ってくれる人や新しい友達が出来て少しづつ少しづつ私は変わっていった
隆の為に作った服、隆の為に考えたデザイン画。新しく買ったルナとマナの為の服の布。全部ダンボールに詰めてクローゼットに押し込んだ
今はまだ捨てられないけど、いつか私が幸せな結婚をしたらこの箱は捨てようと固く誓った
私達の関係は特に仲良くも無くて、小学校も別々だったから接点も無かった。不良の様な見た目をしているのに〇〇さん、と誰の事でも名前をさんづけにするんだ、とか。手芸部の友達に誘われて見学に行った時に
けっこう親切で丁寧な教え方だなとか
そんな小さな事で好きになっていった気がする
染められた彼の髪が綺麗だったから、ただそれだけで私も真似をする様に髪を染めて眉を整えて。メイクを勉強して彼にかわいいって言われてみたいなって想像する様になってから私はお洒落になっていったと思う
夏休みに駅ビルでスカートを買った帰り道にカフェでジュースを買って飲みながら歩いていると、道の真ん中で林田君が全然知らない男の子達と喧嘩をしていて地面に血を流しながら倒れているのが見えた
顔に怪我しちゃう、何て思った時には相手が2人とかも考えずに足がそちらに向かっていて林田君の顔に蹴りを入れようとしていた男のお尻を蹴っ飛ばしてからもう1人の股間をバッグで殴り付けてやった
「だ、大丈夫?林田君」
「……隣のクラスの子、あー……誰だっけ?」
白石さんだよ、パー。と呆れて笑いながら歩いて来たのは私服の三ツ谷君だった。休みの時に会えて嬉しい反面かなり強烈な所を見せてしまったなと、めちゃくちゃ内心動揺していた
「白石さん、怪我無い?俺が遅れたからごめんな。パーの事助けてくれてありがとうな」
「あ、そうだ。白石さん。マジありがとうな」
「あー、うん。怪我無いから大丈夫……だけど」
スカートなのに蹴り入れちゃった、パンツ見えたかもと恥ずかしそうに言った私に三ツ谷君と林田君は吹き出して、多分誰も見えなかったよ。うんうんと励ますように肩を摩ってくれて内心の動揺は消えていってトキメキでいっぱいになった
危ないから送っていくと三ツ谷君に言われて、仲良くなるチャンスと思い笑顔でいいの?と聞くと凄く柔らかい笑みで頷いてくれた三ツ谷君に私の恋心はヒートアップした
手を繋ぎたいな。何て思いながらありきたりな話をして帰路についていると、白石さんちって三ツ谷んちに近ぇな。と林田君に言われてそうなの?と聞くと路地を曲がってちょっと行った所と言われてギリギリ小学校の学区外だったんだなとちょっと悔しくなった
もう少しそちらに寄っていれば素敵な小学校ライフだったのかなぁ。何て思いながら2人に送って貰い家に無事に到着した
2人に待っててと言って冷凍庫からアイスをもって来て2人に渡せば嬉しそうに笑っていた
特にそこから話す事も無く接点も無く、毎日を送っている私の耳に入って来たのは三ツ谷君が手芸部の部長になったって事だった
私も手芸部に入ろうかと考えたが、自分は夜遅くまで働いているお母さんの分も家事をしなくちゃいけないし。部活はちょっとなぁと思って他に出来る事を考えた
「林田君、話があるんだけど」
「 あー白石さんだよな、何?」
「…ここじゃ話せないから…ちょっと来て貰えないかな?」
まぁ、いいけど。と言った林田君は席を立った
一緒に居た三ツ谷君と林君にちょっと林田君借りるねと謝ると2人はこくりと頷いただけで特に何も言われなかったので安心した
林田君と屋上に続く階段まで来ると、白石さんどしたの?とイカつい顔で言われてちょっと心臓がドキドキしたけれど、この間の感じからしてこの人は多分優しい人だしと思い込みながら勇気を出して口を開いた
「……あのさ、ちょっとお願いがあるの」
「いいよ、別に」
「……まだ内容何も言ってないんだけど」
「んで?何?」
「……聞きたい事があってさ。三ツ谷君て好きな女の子とかいる?」
「……三ツ谷からそうゆう話は聞かねーな」
てか聞きたい事って三ツ谷の事か、とニンマリした林田君は好きなら協力してやるよとさわやかに笑う
見る目あるな、白石さんは。と言ってくれた彼に紙袋の中に詰まったお菓子を渡してお願いしますと頭を下げると律儀~とゲラゲラ笑っていた
パーで良いよと言われてLINEを交換して、これで1歩近付けたとご満悦な私はルンルン気分で席に戻り授業を受けた
今日の帰りにまたゲーセンでお菓子の詰め合わせを取ってこようとニヤニヤしていると、先生に急に名指しされて問題を全く聞いてなかったのでクラスの皆に笑われてしまった
パーちゃんとLINEをする様になってから三ツ谷君の情報はどんどん増えていった。妹が2人居る事や、裁縫以外に料理や掃除も得意な事、機械系が不得意な事や好きなお菓子など
小さなかわいい情報だけど、以外にマメなパーちゃんは何かあると必ず送ってくれる様になった
梅雨に入り、送られてきたLINEには12日は三ツ谷の誕生日と書かれていて私は1日中唸っていた。三ツ谷君の好きなお菓子を焼いて渡したら気持ち悪いかなとか、チームを作ったから親衛隊の腕章をプレゼントしたら三ツ谷喜ぶぞと言われたのでそれも渡そうかなとか。何個も渡さたら変かなとか。色々1人で考えて疲れてきてパーちゃんにやっぱり相談する事にした
実際会って色々思ってた事全部相談すると、女の子が自分の為にプレゼントしてくれてるのに三ツ谷なら気持ち悪いとか言わないし思うような男じゃない
と言われて私は何だか感動してしまい残りの12日間の暇な時間をパーちゃんにたまに見て貰いながら腕章作りと家ではパウンドケーキ作りの練習に励んだ
学校の自身の机の上に突っ伏して出来たと息を吐くと優しく頭をヨシヨシしてくれるパーちゃんは私の中で何だかもう友人みたいに感じでいた。キラキラな目で親衛隊長と刺繍された金文字の部分を指でなぞりながら、俺にも作ってくれと言われて白目を剥きながら頷いた
パウンドケーキは2つ大きめのを作り、生きていて1番頑張ったくらいのラッピングをした。同様に腕章も綺麗にラッピングをして手紙を添えた
三ツ谷君誕生日おめでとう
パーちゃんからチームをやり出したと聞いたから刺繍は練習中だけど、作ってみました。良かったら使って下さいと簡単に説明入りのメッセージカードを入れてシンプルな紙袋に全部しまった
放課後の教室でドキドキしながらLINEを待っていると、パーちゃんからOKとLINEが入る音が私の心臓を高鳴らせた
17時を過ぎた家庭科室でミシンを1人使う三ツ谷君の姿を確認して中に入った
ガラガラと開いたドアに三ツ谷君がこちらを向いたので、少しぎこち無い笑顔でお疲れ様と声を掛ける。仲良くないのに本当に大丈夫かなと内心思いながら、 白石さん?と首を傾げる三ツ谷君の横に立った
「……ミシン中にごめんね、えーっと。……良かったらこれ受け取って下さい」
何だか変に緊張しちゃって、カクカクしながら頭を下げると手が少し震えている私を見て口をポカンと開けている三ツ谷君は、俺に?と言って受け取ってくれた
頑張ったから中身を見て欲しいなと思う気持ちと、ミシンの邪魔だから帰らないとって気持ちがゴチャゴチャになってきて黙っていると
中見ていいの?と首を傾げた三ツ谷君に私はこくこくと首を縦に振った
メッセージカードを見てギョッとした顔をして目を見開いた三ツ谷君に、ヤバい全然喜んでくれてないと感じて
仲良くも無いのに誕生日プレゼント何て渡してごめんねと小さく呟くと、いやいやビックリしただけと言ってちょっと笑う
笑顔が見れたので安心してしまって、バレない様に深呼吸していると腕章の入ったラッピングを開けた三ツ谷君は目を見開いてから凄ぇ……と呟いてずっとそれに釘付けになっている
あぁ、本当にこの顔が見れるなら頑張って良かったと私は内心嬉しくて嬉しくて気付いたら彼の横顔をうっとりと眺めてしまっていた
「……三ツ谷君は刺繍上手だから渡すの恥ずかしかったんだけど、今私もミシンとか裁縫とか練習しててさ。もし、使える様なら使ってくれると嬉しい」
「… …この親衛隊長ってパーに聞いたの?」
「うん、誕生日なのも教えてもらったんだ。腕章は三ツ谷君が1番喜ぶよって聞いたからさ」
「……白石さん、このケーキも手作り?」
「あ、妹さんいるって聞いたから良かったら妹さんと食べて。見て分かると思うけどちょっとパサパサになっちゃったてごめん。てか謝ってばっかり私」
どうして、ここまでしてくれんの?と真顔で聞かれてぐっと黙った私に三ツ谷君は何秒か経ってからフッと笑うとありがとう、大切にすると言ってくれた
何だかそれを聞いて全部力を使い果たした気がして、良かったと呟いて胸を撫で下ろしながら急に座りこんだ私にゲラゲラと三ツ谷君は大笑いした
そろそろ帰ろうかと言われて、私も一緒に帰っていいのかな?と思いながら笑顔で頷き二人で昇降口に着いた途端傘立てから傘が無くなっている事に気付きショックを受けていると、三ツ谷君は優しい顔で入りなよと傘を広げた
「……これ、作るの大変だったろ」
「……うーん、パー監督にたまに見てもらって楽しく出来たから大変では無かったかな。今それとお揃いのをもう1つ作ってるの」
「……もしかしてパーのも作ってくれてんの?」
「三ツ谷の見てたら俺も欲しいって言われて。そういえばさ、何のチームなの?腕章喜ぶって聞いて何のチーム作ったの?って聞いても教えてくれないの。パーちゃん」
「……あー、うん。内緒かな」
「じゃあ、応援団て事にしておくね」
「応援団……」
「親衛隊ってよく分からないけど、頑張ってね」
「あ……うん。そういや、ケーキもありがとうな。妹がケーキとかお菓子とか好きでさ」
「ふふ、今お菓子作りも勉強してるんだ。今度から良かったら妹さんにプレゼントしていいかな?」
「喜ぶよ、サンキュ」
「練習したお菓子とかパーちゃんに食べて貰ったりしてたんだけど、女の子にも食べて貰いたいな」
「ふーん、今までパーに食べて貰ってたの?」
「…ああ、報酬ね。お礼で」
「……報酬??」
「……あ、ちが、えっと……ちょっと困ってる時に相談に乗ってもらってさ。自分で解決出来なくて……。そんな時に支えて貰ったお礼をあげたくて渡したの」
「ふーん。何か白石さんずっとハラハラしてるっつーか、何か動揺してね?」
「……そう、だね。うん……」
「…… 白石さんて俺の事怖い?苦手?」
「いやいやいや、怖かったり苦手なのにプレゼントしないよ」
「じゃあ好きなの?」
「うんうん、そ、、…………あ、うん。普通に」
「ぷッ、普通にって何?」
「ちょ、本当にお願いだからいじめないでぇ」
私がそう言って吹き出して笑うと、三ツ谷君は変な奴だなと笑う。恥ずかしくてとっさに普通にとか言っちゃったけど普通ってなんやねんと自分で思って自分で呆れた
それから、傘が小さくて二人共腕は雨に濡れていたけれどLINEを交換したり刺繍の話をしたりしながらゆっくりと帰路についた
送って貰ってから直ぐにお風呂に入りお湯に浸かりながらLINEを開いてメッセージは送らないけれど、ずっと三ツ谷隆の名前を見ていた。何だか頑張って良かったなって思うとお風呂で涙が出てきて汗なんだか涙何だか分からなくて、嬉しい感情に浸っているとのぼせてしまい肩で息をしながらお風呂を出て脱衣所にでるとそのまま意識を失った
馬鹿なんじゃないの!と怒鳴られてごめんよマミーと縮こまる。お母さん寿命が縮んだわよと言われてゲンコツを頭に食らったのは目が覚めた次の日の昼だった
携帯の充電も切れていて、充電器に差し込んでからまだプンプンのお母さんの背中を見送る
今日は1日家にいるから、と言われて心配かけてごめんねと呟いた。まさか娘がお風呂で裸で倒れてたなんてビックリするに決まっているし、その理由が三ツ谷君の名前を見つめていたらとか言えないし。内心本当にすみませんと思いながら携帯を開いた
LINEを開くと、クラスの友達やパーちゃん、それに三ツ谷君からも何で休み?風邪?と心配する様なLINEが入っていて皆ごめんよとしこたま反省した
上から順番にお風呂でのぼせて倒れましたと返信入れていくと、三ツ谷君から直ぐに変事がきた
倒れたの?頭打ったりしなかった?
頭打たなかったけど、何時間か床に寝てたみたいで体が痛い
風呂で寝ちゃったの?
ううん、今は理由言えないけどいつか言うねw
すげぇ理由気になるじゃねーか
そんなLINEをしながら私は幸せな気分に浸っていた
この前まで見ていて満足だった私が今は彼とLINEしている。そんな現実に嬉しくなって私は抱き枕を抱きしめながら目を閉じた
それから、手芸の練習をしていると言って腕章をプレゼントした事でたまにだけど三ツ谷君がミシンを教えてくれたりお菓子を妹さんにプレゼントしたりと2週間に1回は彼とゆっくり話せたりする時間が出来て
話せば話す程好きになっていく自分がいる。三ツ谷君がミシンをしていると後ろから抱き締めたくなる衝動に駆られてたまに自分で考えてて恥ずかしくなる事が増えてきたある日
パーちゃんと放課後に屋上でお菓子を食べていると
クッキーをむしゃむしゃと頬張りながら、そういえば三ツ谷が告白されてたと言って私を見つめたパーちゃんに返事は……?と返すとそこまで聞いてねぇと言われて私は固まった
「……そっか、彼女出来たのか」
「いや、告白されてたけど三ツ谷が何て返事したのかは知らねぇよ」
「もし……彼女出来て手とか繋いでるの見ちゃったら私死ぬかも」
「 雪那ちゃん死ぬな」
「その慰め方やめて」
三ツ谷君と彼女が仲良く手を繋いでいる想像をしたら涙が溢れてきてしまい、咄嗟に両手で顔を覆う。
そんな私を見て、うわぁと普段言わないような声を出したパーちゃんは
ハンカチがねぇと言ってアタフタと自分のポケットを漁ると、何故か襷を握らせてきた
襷を握り下を向いた私に、あっ。おいとパーちゃんの声が耳に聞こえたが今はそっとしておいて欲しい。パーちゃんを無視して流れてくる涙を襷で拭っていると
フワリと何かか背中に掛けられて背を摩られた
「……優しい、ありがと」
「……」
「私さ、三ツ谷君とLINE交換出来たんだ。その画面眺めてたらお風呂でのぼせて倒れるくらい幸せでさ。…だけど…もし三ツ谷君に彼女が出来ても頑張ってそっと応援する。あ、でも、三ツ谷君が彼女とキスしてたり手とか繋いでても絶対パーちゃん私に言わないでね。私多分死ぬから」
「……そういや倒れてたな。あーでもよ、まだ付き合ってるか分かんねーって言ってるじゃんかよ。どうなんだよ、三ツ谷」
「……付き合ってねーよ。それより泣いてる女の子に襷渡すんじゃねーよ、パー」
……斜め後ろから三ツ谷君の声が聞こえて、背中を摩る手が止まる。白石さん、こっち使ってと言われてハンカチを渡されてどうもと受け取ると自分がさっきパーちゃんに話していた事を思い出して三ツ谷君の顔を見ずに全速力でその場から走って逃げ出した
途中で多分何回か転けたけど、それより恥ずかしくて恥ずかしくて気付いたら鞄も持たずに自宅の前に到着していた
携帯はポケットに入っていたが、鞄はパーちゃんとお菓子を食べていた屋上だ。財布も入っているしどうしようと思ったが1時間くらいしてから取りに行けば誰も居ないかなととりあえず自宅に入り泣いた目を冷やす事にした。肩に掛けていたブレザーを脱いで椅子に掛けると男性物で、あれ?と思い名前を見れば三ツ谷と入っていて白目になった
そういえば泣いている時にフワリと肩に何か掛けてくれた記憶がある。パーちゃんが掛けてくれたのかと思っていたのであまり気にしていなかったのを思い出した
部屋着に着替えてから目にアイスノンを当てて、明日から合わす顔無いじゃんと途方に暮れているとピンポンとチャイムが鳴った。何だか嫌な予感がして、玄関を開けて半分だけ顔を覗かせると私の鞄を手に持った三ツ谷君が立っていて
私はその瞬間に血の気が引いた。咄嗟に迷惑掛けてごめんなさいと頭を下げると優しい声色で平気。と返ってきて恐る恐る顔を上げた
「 白石さん、目が腫れちゃってる。襷何かで拭くから」
「あ、あ、ううん。大丈夫、ありがとう」
鞄ありがとうと言ってもう一度頭を下げてから鞄を受け取ろうと手を伸ばすと、ヒョイと鞄を持つ手を上にあげた三ツ谷君は空振りして呆然とする私に少しだけ微笑んだ
「 白石さんさ、さっきのもう1回聞きたいんだけどいいかな?」
「……さっきのとは?」
「三ツ谷君が他の子とキスしてたら私死ぬってやつ」
「……今死にそう何で無理です」
「……何で?」
「……三ツ谷君がもし、私の立場なら恥ずかしくて死にそうじゃないですかね?気持ち分かってくれます?」
「俺が白石さんの立場なら……あんな事聞いたのに鞄をわざわざ家に持って来てくれたって事は私に気があるんだなって思って喜ぶかな」
「……」
「……今度からパーに聞かないで何でも俺に聞いてよ 雪那ちゃん」
「……そんな事言われたら泣いちゃう」
嬉しくてと言って涙を流した私を優しく抱き締めてくれた三ツ谷君は私が泣き止むまで背を撫でてくれていた。近くの電信柱の影からホッとした顔でこちらを見ているパーちゃんと林君がいて見た瞬間に少しだけ笑ってしまった
そこから私達の交際は始まり、迷惑かな?と思う気持は少しづつ無くなってきて遠慮なく話が出来る様になっていった。ビックリしたのは三ツ谷君は以外に彼女になると凄く触れてくる人何だなって知った
付き合った日に手を繋いで頬に口付けされて、その日の夜は眠れなかった。次の週にうちでミシンを教えて貰っていると、後ろから抱き締められて唇に口付けされてちょっとビックリして口を開けると、優しくだけど舌を舐めるようなキスをされて首筋にも口付けられて初めてのキスに硬直してしまった
「……ごめん、ビックリした?」
「う、ううん。大丈夫だけど……」
「俺、多分雪那ちゃんが思ってるより大人じゃねーし。独占欲も強いと思う」
「そう、なんだ。何か以外だけど、嬉しいかも」
「……嬉しいの?嫌いにならねぇの?」
「……私は、ずっとずっと三ツ谷君だけを見ててミシンをしてる時も一緒に帰った時も三ツ谷君に触れたかったから」
「……煽んなよ」
「……?煽るって何?」
「なんでもねぇよ」
もう少し、我慢するけどと言った三ツ谷君は私にもう一度深く口付けしてくれる。ずっとずっと夢に見ていたこの感じに幸せ過ぎて時間も忘れてずっと彼と口付けをしていた
いつも時間を許す限りは学校でも一緒に居て、彼がチームで忙しい時は家で教えて貰ったミシンでルナちゃんやマナちゃんのぬいぐるみや服を作ったりして過ごしていた
私の生活は三ツ谷君と付き合ってからは三ツ谷君が全てになって、彼と居て彼に尽くせる事が私の幸せになっていった
中2の冬休み、二人で初詣に行くとお友だちを紹介されて頭を下げた。皆少し不良っぽかったけどヨメちゃん可愛いじゃん三ツ谷と言ってくれたので全力で皆好きになった
隆がトイレに行っている間、場地君と一虎君て人に隆との馴れ初めを聞かれて照れながら話していると戻って来た隆は誰も気づかなかったけどちょっとだけ雰囲気が違った
家に帰ると後ろからキツく抱き締められて、何でさっきあんな顔してたんだよと言われてどんな顔?と聞くと場地と一虎に囲まれて嬉しそうに照れてただろと言った隆の顔はちょっと怖かったけど、私が吹き出して隆と付き合った時の話してたから照れてたんだよと言うと素直に怒って悪ぃと恥ずかしそうに言ってくれた
「屋上で私がパーちゃんと間違えて、隆に彼女出来たら死ぬかもって泣いて本人に言ってたって言ったら場地君と一虎君が大笑いしてた」
「……ああ、だから照れてたのか。アイツらがカッケーから照れてたのかと思ったわ」
「私は隆以外の男の人に興味無いよ」
「……俺も」
「もっと信じてよ」
「分かってるけど、…悪ぃ。なんでもねぇ。……雪那ちょっとこっち来て」
隆に手を取られて優しく抱き上げられると、ゆっくりとベットに押し倒されて私は息をのんだ。こんな日がいつか来るのかと思っていたけど、求められるのは嬉しいけれど少しだけ怖かった
でも、隆なら良いと思った。優しく服を脱がされてお互いが裸になって二人で触れたい所に触れてずっと口付けしあっていた
入ってくる感覚はやっぱり痛かったけど、隆が幸せそうに体も全部俺のものになったって言って幸せそうだったから私は満足だった
中学3年になってから皆に色っぽくなったねと言われ、隆からは男はパーとぺーやん以外と喋るなよと言われて頷いていた
週に2度は体を重ね、重たくなるような愛を惜しみなく与えられていた。私からしたら隆しかしらなくてそれが普通だったけど、たまにパーちゃんにお前苦しくないの?と聞かれた事があった
中学3年の秋から、隆が手芸部の女の子を特別扱いし出してから私達の関係は変わっていった
私を普通に抱くのに学校ではずっとその女の子の傍にいて私は凄く不満だった。
その何倍も不満だったのは、言うと関係が壊れると思って何も聞けない自分に対してだったのかもしれない
パーちゃんやぺーちゃんも最初は私の味方をしていてくれたけど何かがあったのか、隆が何か言ったのかその事には2人共段々とその話題にはふれなくなった
卒業式の日、いつもと変わらず学校が終わり私の手を取って当たり前にうちに来て私を抱こうとする
抱きしめられて、イライラして目の前にあった隆の首筋に噛み付くと私の八重歯が刺さって血が出た
いってぇと言った隆の顔、やってしまったと内心少し焦ったけど私の方がずっとずっと心が痛いと言って泣いて家から追い出して鍵を掛けて泣いた
唇に残る血の味。好きで好きで堪らないからこそ、彼女を特別扱いしてる隆が許せなかった
隆からその後一切連絡が無かったのも苦しくて苦しくて許せなくて意地をはって私からはしないと決めた
本当にいいのか?とパーちゃんから来たLINE
高校も違うし、隆は彼女が好きなんだから私はもう知らない。新しい幸せを見つけると返信した
高校に入って、彼がどれだけ私の生活に入り込んで居たのかが良く分かった。最初の2ヶ月は毎日毎日泣いていたけれどデートに誘ってくれる人や新しい友達が出来て少しづつ少しづつ私は変わっていった
隆の為に作った服、隆の為に考えたデザイン画。新しく買ったルナとマナの為の服の布。全部ダンボールに詰めてクローゼットに押し込んだ
今はまだ捨てられないけど、いつか私が幸せな結婚をしたらこの箱は捨てようと固く誓った
