歩くような速さで
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中学生の時に付き合った男の子がいた
初めて男の子とお付き合いした私にとって、何もかもが初体験で嬉しかったり苦しかったり悲しかったり
事細かに思い出せない所もあるけれど、沢山の思い出をくれた人だった
妹想いでいつも冷静なイメージがあったけど、付き合ってみるとイメージ通りでは無かったり。でも、優しくて大事に大事にしてくれるのが伝わって来る様な人だった
初めてのキスは夏祭りの帰り道、いつも通りの徒歩で家まで送ってくれた彼に頬にキスをしてありがとうと告げると、少しだけビックリした顔をしてから直ぐに真面目な顔に戻り唇に少し長めの熱い口付けをされたのを今でもたまに思い出す。
身長があまり高くないのに手が大きくて、何回も手を繋いで色んな所に連れて行ってくれた。バイクを乗り回してるくせに私の事は危ないからと後ろにあまり乗せてくれず、デートの時は電車か徒歩だった
何で別れたのかも深く覚えていない
確か、喧嘩してそれきりお互い連絡しなかったの様な覚えがある
もう10年も昔の事だ
…そうだ、でも…何がきっかけでそうなって別れたんだっけ
窓から差し込む光が眩しくて1度起き上がりカーテンを閉めた。枕元に置かれたケータイのLINE通知を開くとそこにあった名前に目を見開いた
三ツ谷隆
その名前に目がハッキリと覚めて昨日の事を思い出す
梱包した荷物と財布を鞄にいれて、部屋着のキャミワンピでサンダルを引っ掛けて家から5分のコンビニに向かった。ポストに荷物をいれてからコンビニに入り、ビールをカゴに入れていた私に声を掛けてきたのは大人になった三ツ谷だった
すげぇ久しぶりと言って少しだけ微笑んだ三ツ谷は坊主では無く、黒髪で少しえり足が長めなお洒落な髪型をして高級ブランドのスーツを着て高そうなバッグを持ち私を見ていた。目を見開いたまま「久しぶり…」と返した私のカゴの中身を見て、ビール買いに来たの?と笑う。その表情は昔の三ツ谷の面影を残していた
ちょっと離れた所に住んでたんだけど、また最近この近くに引っ越してきたんだと言った三ツ谷は世間話をしながら買い物を済ませた私を昔の様に家まで送ってくれた
まだここに住んでるんだなと言って笑う三ツ谷は高そうなスーツのポケットから携帯を取り出すと、今度飲みに行こうぜと言って電話番号を聞いてくる。その言葉に自然と頷いてしまっている自分がいて、番号を彼に教えると連絡する、じゃあなと言って去っていく彼の背中を見送ってから家に帰った
そんな昨日の出来事を思い出しながら熱々の珈琲をいれたマグカップをテーブルに置いてもう1度LINEを開く。三ツ谷隆の表示ををタップすれば、飯いつ行ける?と一言だけ入っていた
その文字を見て嬉しい様な、何だか行きたいような行きたくない様な不思議な気持ちが自分にはあった。私の彼に対する気持ちはとても複雑だった、再会する前から二人で撮った写真を見ては思い出して胸が張り裂けそうになる時があった。また戻れると思っていたけど戻れなくてそのままになった過去の恋。凄い好きだけど色んな障害があった様な気がする
ご飯に行ったらどうなるんだろう。また始まるのだろうか
まだ予定が分からないからまた連絡するね。と一言返せば、了解の文字が直ぐに返ってきて
私はこの何だか臆病な気持ちに向き合わないまま珈琲を啜った
あれから1週間たっても雪那からの連絡は無かった
あいつに再会したあの日、たけみっちと千冬と食事をしながらいつも通り汚い仕事の愚痴や報告をチラホラと話し、東卍で用意した新居の高層マンションに帰宅する途中に歩く雪那を見つけた。大人になった彼女は背も伸びて髪も伸び、大分雰囲気が変わっていたけれど1目見て雪那だと直ぐに分かった
車をUターンさせてまで彼女が経った今入っていったコンビニに車を入れて偶然を装って声をかける事に決めていた
まぁ、本当に見つけたのは偶然なのだからそれはそれでいいのだが
勢いで車をコンビニに停めたものの、声を掛けるまでに躊躇しなかったかといえば嘘になるかもしれない。雪那 は俺がデザイナーになりたいと言っていた自分を良く知る人物だからだ
血で汚れきったこの手で、なりたいものにもなれずに未だに内心あがいている自分が彼女に声をかけて良いのか
隆、デザイナーにはなれた?と聞かれるんじゃないかと一瞬頭に過ぎった
だけど、コンビニのビールコーナーで真面目な顔でビールを選ぶあどけない彼女の横顔を見ていたら
何だか懐かしくて気付いたら久しぶり、と口から言葉が出てしまっていた
当たり障りの無い会話をしながら雪那を家まで送り、連絡先を聞いて次の日に直ぐに食事に誘った。何故かもう躊躇する様な考えは出てこなくて、返信が少し待ち遠しく思えていた
シャワーを浴びてから携帯を見ればまた連絡すると返信が来ていて、それに対して了解とだけ入れれば、当たり前かとも感じた。俺が東京卍會の幹部をやっている事も、車や服装から気付いたかもしれない。そこから気付いていなくても、この街にずっと住んでいたら元同級生が何をしているか何て耳に入っているだろう
少し話をしたかったな。そんな事を考えながらゴロリとソファに横になりテレビを付ける
ニュースには〇〇市の海から若い男の亡骸が見つかったとアナウンサーが現場から中継している所だった
グワッと顔が熱くなる様な怒りが体中を駆け巡ってきて、その感情に身を任せてテレビにリモコンを投げ付けた
クソッ、そう呟いた途端に震える携帯。そこには稀咲の名前が表示されていた
「…はい」
「三ツ谷??ニュース見た?」
「…ああ」
「…俺が何て言ったか覚えてる??」
「…絶対に見つからない様に捨てろよ」
「当たりだ」
「…悪かった」
「…いや、お前を責める気は無いよ。三ツ谷は的確なやり方をアイツらに教えてた。絶対に浮いてこないやり方をね。それを守らなかったのはアイツらだ」
「…すまねぇ、アイツらの処分は俺に任せて貰えないか?」
「…嫌、駄目だ。」
「…殺すのか?」
「……今の所な」
「……佐々木を自主させる。あいつは口が堅い」
「分かるだろ、三ツ谷。東京卍會がやったって事を今はバレたくない」
「…………」
「今は大事な時期だ。ちょっとデカイのは避けたい、俺に殺させたく無いのなら三ツ谷、お前が片付けろ」
「…わかった」
はぁと溜息が出て、携帯を投げつける
いつからこんな風になっちまったんだろうなと溜息をもう1度吐きながら目を瞑った
ピンポンとインターホンが鳴り、仕事をしていた手を止めて1度伸びをする。パタパタとスリッパを鳴らしながら玄関に向かい、はーいと声をドアに向かってかけると私だよーと聞き慣れた学生時代からの友人の声に笑顔でドアを開けた
お土産にと頂いたフワフワのシフォンケーキを二人でつつきながら、珈琲を啜ると私達は声を合わせて幸せ~と笑顔になった
「麗奈のチョイスは毎回毎回本当に美味しいわぁ、これどこのケーキ?」
「最近出来た駅前の~、ほら前に私が通ってた塾の近く」
「ああ、懐かしい。あの通り?」
「そうそう、けっこう人気でさ毎日混んでるんだけど美味しいんだよね」
「味がチョコなのがいい」
「 雪那は昔からチョコ好きよね」
「ねー、そういえばさ、三ツ谷隆覚えてる?」
「三ツ谷って、あんたが付き合ってた三ツ谷?」
「うん」
「覚えてるに決まってんじゃん」
「この間、バッタリ会ってさ。何か連絡先交換してさ」
「マジか。アイツ良い奴だったよね。一途だし優しいし。カッコよくなってた??」
「うん。昔より大人の男になっててさ…。まあ、当たり前なんだけど、……凄くカッコよくもなってた。でも何か感じ変わってた」
「あぁ…。林も三ツ谷も今反社らしいよ」
「……反社」
「あんまり知らないけど、何か前に誰かに聞いた」
誰から聞いたんだっけかなー?と首を傾げる麗奈に、何だかあの身なりと今の話が合致してしまう
「反社って、ヤクザみたいな感じ?」
「うーん、あんまり良くは分からないけど裏で悪い事してるんじゃないかな?」
「…うーん。隆がねぇ。不良だったけどそうゆう感じでは無かったのにな」
「雪那 、気をつけなね。三ツ谷があんたに悪い事はしないと思うけど…。巻き込まれたりしないようにね」
「うん、ありがと。」
それから、麗奈と色々な話題で盛り上がったけど私の頭の片隅には隆がいて、結局麗奈が帰った後も私の頭の中は隆でいっぱいだった
デザイナーの夢は叶わなかったのかなとか、何でマイキーやドラちゃん達と居て反社になるのかとか良く分からなくて、ボンヤリしながら珈琲カップとお皿を洗っていると隆と話がしたくなった
時計を見れば夕方の6時半。麗奈の話が本当で反社ならいつが忙しいのか暇なのかも分からない
そもそも何をしているのかさえ分からないのにこんなに考えてモヤモヤしていても仕方ないんじゃないだろうかと思う
携帯を手に取り、LINEの三ツ谷隆の名前から電話のマークをタップする。勢いで押してしまった事を2コール目まで後悔していたが、何コールしても通話にならずに何だか安心してそのまま電話を切った。
何やってるんだ自分は、とふぅと溜息をついて夕飯の準備にとりかかった
しじみの味噌汁と、だし巻き作って、余っている野菜をバターで焼いてしまおうか……
後この間お取り寄せした牛肉でも焼いちゃおうかな何て思いながらテレビを付けて、かけてあったエプロンをして髪を結った。
テレビから聞こえてくる物騒なニュースを聴きながら溶いて味を付けた卵を卵焼き用の小さなフライパンに流し込むとテーブルに置いてある携帯が振動する音が聞こえてくる。片手にフライパンを持ったまま、携帯を取り通話ボタンを押した
「もしもし」
「 雪那?電話くれた?」
「……隆」
「うん。何かあった?」
「隆さ、今仕事中?」
「今終わった所。お前は?」
「…あれ?…何か疲れてない?…平気?」
「……平気」
「……その声の時は平気じゃなかった気がするんだけど、大丈夫?」
「へぇ。……やっぱお前は凄いな」
「……関心してないで。大丈夫なの?」
「平気だよ。ちょっとトラブルがあってさ。…後輩がやってる飲み屋で喧嘩があって、それ解決するのが面倒でさ。まあ、何とかなって今帰り」
「運転中?」
「うん。雪那は?今何してんの?」
「今はー、卵焼き焼いてる」
「そっか。出来る様になったんだな」
「ふふ、まぁね。」
「……ハァ、疲れたな。食いてぇな。卵焼き」
「…あのさ、良かったら…食べに来る?」
「……本当に言ってる?…彼氏とか居ないの?」
「居たら言わないでしょ。ちなみに連絡先も交換しないと思う」
「……まあ、そうか。部屋番号302だっけ?おばさんは??」
「良く覚えてんね、お母さんは今は彼氏と横浜に住んでるよ」
「……そっか」
「今どこ?」
「もう家の近くだから車停めたら歩いて行くわ、何か欲しい物ある?」
「ビールくらいかな」
「昨日買ってただろ」
「もう無いよ」
「ハハッ、分かった。買ってから行くよ」
「宜しくね」
電話を切って、フライパンを投げ捨てる勢いで置き、直ぐに鏡で顔をチェックする。朝にしたメイクは剥がれ、鼻の頭がテカテカとしていてその上に綺麗にファンデーションを塗り直してからリップも塗り直した
麗奈が来ていたからトイレや部屋は綺麗にしてある
そこでふと、軽々しく誘っちゃったなと今になって思ったけど普通に話せば良いかと肩の力を抜いた
常温に戻した牛肉に塩をふっていると、ピンポンとインターフォンが鳴った。玄関に続く廊下に顔を出して空いてるーと叫べば、ドアから顔を出した隆は呆れたような顔をしていた
「無防備すぎ。せめて誰か確認してからにしろ」
「だって直ぐ来るって言ってたじゃん」
「はぁ、今度から絶対チェックしてから開けろよ」
「はいはい」
お邪魔しますと小さく呟いた三ツ谷は綺麗に靴を揃えてから上がると私にビールが沢山入ったコンビニ袋を渡してくる
「こんなに??」
「ま、ご馳走になるからな」
すっと差し出された腕からは昔から変わらない隆の香りがした様な気がした。その腕はビニールから1本ビールを取り出すと、これは俺の分と言ってプシュりと良い音を立てて飲み口を開けた
「私も飲んじゃお。頂きます」
「おう、久しぶりに乾杯」
缶を合わせて乾杯とお互い笑い合うと、何だか知ってる三ツ谷隆だなって確信が持てた気がして安堵した。黒いシャツにスラックスの三ツ谷はデザイナーと言われれば頷けるし、反社と言われれば反社な気がしてしまう
「美味そう」
「今焼くから座ってて」
「何か手伝う?」
「うーん、顔色悪いから座ってな」
「……悪い?」
「うん、少しね」
そう言った私に少し困った様に笑う三ツ谷は、食生活が悪ぃのかなー何て言いながら大人しく椅子に座った。ビールを飲みながらテレビを見つめる三ツ谷を見ながら牛肉を焼いていると、何だか昔に戻った様な錯覚に陥った
色んな思い出が込み上げてきて、今目の前にいる顔色が悪い三ツ谷を見て涙が出てきそうになって必死に堪える
「…… 雪那?」
「……ん?」
「……何で泣いてんだよ」
「何でもない。……今は聞かないで」
そう言った私を見て困った顔をしてから三ツ谷は分かったと言って何か言いたそうな口を閉じた
何事も無かった様にテーブルに食事を並べて二人で笑いながらご飯を食べる。頂きますと言って卵焼きを口に入れた隆は凄く幸せそうに笑った。その顔を見て、ああ。今日会えて良かったのかもしれないと私も笑う
「めちゃめちゃ美味い」
「良かった」
「中学の時のお前の卵焼きはインパクトあったよな、全部黒かったし。今じゃこんなに美味いのか」
「多分、今でも隆のが絶対上手だよ」
「あー、最近料理してないから」
「忙しいんだね。」
「ああ、まぁな。」
「……ビールおかわりする?」
「……お前の減るけど良いの?」
「買って来てくれたの隆じゃん」
「んじゃ、貰う」
はいはい、そう言って立ち上がり新しいビールを持って来るとサンキュと言って二口、三口でビールを飲み干してしまう
そんな勢い良く飲むの?!とビックリしている私に今日は酔いたい気分だと言って疲れた様に笑った
携帯をふと見れば麗奈から今日はありがとうとLINEが来ていたので、隆にお願いして2ショットを撮ってそれを送った。三ツ谷、あんまり中身変わって無くて安心したよとメッセージも添えておいた
お酒のおかわりを冷蔵庫から出して隆に渡す
何だか楽しい話題にしなきゃと思って、昔に一緒に出掛けた話何かを話題に出していると隆は最初は笑っていたが、段々と笑わなくなった
「……隆?」
「……ん?」
「さっきから喋らないけど、眠い?」
「あー、いや。懐かしいなって思ってたらぼーっとしてた」
「そっか、でももう11時だもんね。疲れてるから眠いのもあるんじゃない?」
「ああ。そうかもな…そろそろ帰るよ…」
あんだけ飲んだのに隆はしっかりとした足取りで、鞄を持ち立ち上がると、見送りしようと立ち上がる私を止めた
「 雪那、危ないからここで大丈夫。送らなくていいから」
「コンビニまで一緒行くよ」
「駄目。俺と歩かない方が良い」
「……なんで?」
「……分かってんだろ」
「……」
真っ直ぐと見つめられると何も言えず、嘘も付けず
今日はありがとうなと言った隆は私に背中を向けた
その背中を見ていると、何だか悲しくて苦しくていつの間にかシャツの裾を掴んでる自分が居た
隆が振り返る前に顔を押し付けるようにして背中を抱きしめる。本の少しだけ隆がビクリとした様に感じたのは私の気のせいだろうか
お腹に優しく、恐る恐る手を回す。ドキドキとしていた心臓は彼に拒絶されなかったので安心した様に静かになった。それから、どのくらい時間が経ったか分からない。恥ずかしくて暖かくて、離したくなくてギュッとキツく抱きしめる
「… 雪那…」
「……」
何も言わない私に隆はゆっくりと身体ごと振り返る
彼の表情を何だか見たくなくて、下を向く。涙が零れてくるのと同時に隆の顔が近付いてきて泣いている私の涙にそっとキスをしてから両手を顔に添えて深く口付けて来た
最初は凄く優しいキスだったけれど、ゆっくりと深く角度を変えて深く深く口付けされる。そのキスからは好きだよって凄く伝わってくる感じがする
少し苦しくて、ふっ、と息が口から漏れるとゆっくりと隆は唇を離した。顔を見れば困った様な顔で優しく髪を撫でられる
何だか離れたくないと心から感じて隆の胸に顔を埋めて背中に手を回した
「…なぁ…、これ以上すると我慢出来なくなる。お前本当にいいのか?」
「もう、…離れたく無いの。もし……少しでもあの時別れなかったら良かったのにって私と同じ思いがあるならもう少しだけこうしてて欲しい」
「……お前も、しててくれたんだな。後悔」
お互い何も言わずに見つめ合えば、どちらからとかでは無く唇を合わせた。隆の舌が唇の隙間から入り優しく舌を舐められる感覚に頭が溶けそうな頬が熱いような気がしてそのままされるがまま、ただ求められるのが嬉しくて。出て来そうな涙を堪えて彼の首に手をまわした
シャツの中に入って来た手が腰を撫で、胸を下着の上から優しく触られる。途端に、ヒョイと軽々持ち上げられて思わずキャっと声をだせばベッドどこ?変わってない?と真面目な顔で言われてうんと頷いた
「……綺麗になったな」
「……やめてよ、そんなにジッと見ないで」
「嫌、マジで綺麗だよ」
服を脱がされてマジマジと全部見つめられ、髪を優しく撫でながら口を開いた隆に少し照れてしまう。
シャツを脱ぎ捨てた隆は昔よりもずっと筋肉質になっていて内心カッコよく大人になったなとドキドキしてしまう
首筋に唇が這って、肌が吸われる様な感覚にんんっと思わず声が出ると内股を撫でていた手がそっと大事な部分に触れて敏感な箇所を撫でる
少し触られただけなのに、ビクビクと身体が反応してしまい恥ずかしくて泣きそうだ。割れ目から滴るヌルりとした感覚にこんなに濡れてると自分でもビックリしていると
濡れやすいんだなと、呟いた隆はちょっと悪ぃと続けて口にしてからスルりと濡れた秘部に指を入れてきた
「……んんっ、」
「……痛くない?よな、けっこう濡れてるし」
「……言わなくていいのに、ん、ぁ、ぁぁぁ」
最後まで話せなくて指が気持ち良い所に当たる度に腰がビクビクとしてしまい口から出てしまう声に必死に歯を食いしばる
そんな私を見て、フッと笑った隆は私のそんな唇に舌を入れて来ると奥を掻き混ぜる様に動く指を激しく動かしてくる
声が我慢出来ず、ヤダヤダと言いながら身を震わせて達してしまうと耳元でたまんねぇと色っぽく囁かれて熱くなっている顔が更に熱くなった
「んもぉ、イジワル…」
ハァハァと息を切らせながら頬を膨らませた私に、複雑そうな顔をした隆は慣れた手つきで避妊具をつけ
敏感になっている最奥に躊躇無く激しく付いてくる
「ぁ、ぁぁ、たっ、たかし、ら、め」
ビクビクと中が痙攣している様な気がして、気持ちよさで涙が出てくる
「……わりぃ雪那 。優しく出来そうもねーや」
その一言を言い終わると、激しく唇にキスをされながらひたすら奥を突かれる。彼の熱の籠った様な瞳で見つめられながら快楽の波にのまれ、耳元で愛してると呟かれて。ひたすら喘ぐ事しか出来ずにそのまま何度も果てた
行為が終わっても隆はずっと私を抱き締めて離さなかった。胸に擦り寄れば額にキスを落とされて、何だか昔の様に満たされた気持ちになっている自分に気付いた
彼が居てくれるだけで良かったし、他には何も要らなかった昔の自分心が今またココにある気がした
「……昔さ、私は隆が居てくれるだけで良かったんだ。中学生でまだ子供だったけど、隆が私の全てだった。それなのに何で別れたのかも覚えて無くてさ。今その気持ちを思い出した」
「……俺も、そうだったな」
少し経ってから静かに口を開いた隆は本当にそう思うとだけ言ってから私を抱いていた腕に力を込めた
「ずっと、お前と別れた事を後悔してた。他にどんな女を抱いても満たされないのを知ったよ」
「私も何回か付き合ったけど、何かうまくいかなくてさ」
「……俺、久しぶりに今幸せかもしれねぇ」
「……私もだよ」
垂れ目な隆の目元にキスをしてから彼の腕に抱き着いて目を閉じる。幸せで満たされたハートが暖かくて身体も暖かい
「なぁ、来週時間作るからさ、また何か作ってくれね?」
「うん、隆とルナ達が好きだったハンバーグにするね」
「スゲー嬉しい。…ちょっと今ゴタゴタしててさ。早くその件終わらせて来週必ず連絡するから」
「……分かった。待ってる」
1時間くらいだったけど、隆は今の自分の事や別れてから何をしていたかとか色々話してくれた。内容に多少ビックリした事もあったがその時間はあっとゆう間で私にとってはとても良い時間に感じた
まだ聞いていたいのに少し眠くなって来てしまって、ウトウトしていると、少し微笑んでおやすみと言い額にキスをくれた隆の穏やかな顔を見て、私はゆっくり目を閉じた
朝起きると隣に隆は居なくて
リビングに書き置きされたメモには、連絡する、ポストに鍵入れとくとだけ書いてあった
私も仕事頑張ろと思えてきて自然と笑顔になる
放り出してあった材料の片付けから取り掛かろうと気合いを入れるといつものかったるいって気持ちが出てこなくて、好きな人がいるって凄いなと思った
その日からLINEを見るのが楽しくなって、早く会いたいなと1度だけ連絡すると可愛い事言うなよと返信が来ていて何だか中学生に戻った気分だった
それから2日が経ち、その日はスーパーで買い物を済ませて家に帰り、テレビを付けてから冷蔵庫に野菜をしまっている時だった
テレビから聞こえてくるアナウンサーの言葉に私の思考は一気にフリーズして持っていた野菜が床に転がった
放心した状態でテレビに釘付けになる
殺害されたのは東京卍會幹部 三ツ谷隆さん
心臓と頭を撃ち抜かれ失血死
何かの間違いなんじゃないかと瞬きもせずに隆のテレビの中の写真を見つめた
現場の映像にはコンクリートに黒ずんだ大量の血があちこちに散らばり、黄色のテープがその場を覆っている。野次馬の中に見えたのは大勢の警察官と隆みたいなスーツを着た柄の悪そうな男性達
頭が呆然として、足に力が入らないのに
テーブルに置いたバッグを持ちそのまま外に出た
タクシーに乗り込み、直ぐにテレビに出ていた搬送されたであろうを病院の場所を運転手に告げる
何分か走った所で、お客さん大丈夫かい?と運転手が心配そうにポケットティッシュを差し出してきた
涙がとまらなかった
病院に着いて、運転手に感謝を言ってお金を渡すと早足で病院に入り近くに居たナースに三ツ谷隆さんの病室は?と聞けばハッとした様な顔をしてからこちらですと言って案内される。心臓がドキドキと煩くて、ナースの背中のみを見て歩いていた。
どうぞ、と通されたのは霊安室で布を顔に置かれた隆を見て膝から崩れ落ちた
自分の事しか考えられなくて、感情のままここが何処だかも考えずにイャアアアアと泣き叫んだ私の両肩を誰かが抱き締めてくれる
それは涙で顔をぐちゃぐちゃにしたルナとマナで、私はその顔を見てまた声を上げて泣いてしまった
「…… 雪那ちゃん久しぶり」
「……うん。綺麗になったね。2人共」
息が整ってきた私の背中を撫でながらルナが口を開く
マナが私の目元にそっとハンカチを添えてくれて、感謝を伝えながら立ち上がり隆であろう人の前に立つ
ゆっくりと震える手で布を取りこの間見たままの隆だと確認してから布をまた顔に優しく被せた
ボンヤリとした頭で、銃創の穴が空いている額は私がこの間キスをした所だとか
もう開いてくれない瞳は私を見ないだとか、グチャグチャな悲しい考えが頭をいっぱいにしてくる
何分そこに居たのかすら分からなくなって来た頃
スっと私の横に立った男性は、小さな声で話しかけてきた
「……三ツ谷がよぉ、昨日言ってたんだよ。お前に会って幸せだったって。またお前とこれからやってくんだって言ってた」
鼻を啜りながら口を開くこの声には聞き覚えがあった
「……林?」
「久しぶりだな……」
「……うん。久しぶり。それ、今の……聞けて凄く嬉しい」
「……」
それだけ言った林は零れ落ちる涙を拭かずにそのまま部屋を去った
誰も居なくなった霊安室。そっと隆の手を取りギュッと握る
冷たくてゴツゴツしていて、生きてないなって実感して心から何かが溢れてくるのを感じた
初めて男の子とお付き合いした私にとって、何もかもが初体験で嬉しかったり苦しかったり悲しかったり
事細かに思い出せない所もあるけれど、沢山の思い出をくれた人だった
妹想いでいつも冷静なイメージがあったけど、付き合ってみるとイメージ通りでは無かったり。でも、優しくて大事に大事にしてくれるのが伝わって来る様な人だった
初めてのキスは夏祭りの帰り道、いつも通りの徒歩で家まで送ってくれた彼に頬にキスをしてありがとうと告げると、少しだけビックリした顔をしてから直ぐに真面目な顔に戻り唇に少し長めの熱い口付けをされたのを今でもたまに思い出す。
身長があまり高くないのに手が大きくて、何回も手を繋いで色んな所に連れて行ってくれた。バイクを乗り回してるくせに私の事は危ないからと後ろにあまり乗せてくれず、デートの時は電車か徒歩だった
何で別れたのかも深く覚えていない
確か、喧嘩してそれきりお互い連絡しなかったの様な覚えがある
もう10年も昔の事だ
…そうだ、でも…何がきっかけでそうなって別れたんだっけ
窓から差し込む光が眩しくて1度起き上がりカーテンを閉めた。枕元に置かれたケータイのLINE通知を開くとそこにあった名前に目を見開いた
三ツ谷隆
その名前に目がハッキリと覚めて昨日の事を思い出す
梱包した荷物と財布を鞄にいれて、部屋着のキャミワンピでサンダルを引っ掛けて家から5分のコンビニに向かった。ポストに荷物をいれてからコンビニに入り、ビールをカゴに入れていた私に声を掛けてきたのは大人になった三ツ谷だった
すげぇ久しぶりと言って少しだけ微笑んだ三ツ谷は坊主では無く、黒髪で少しえり足が長めなお洒落な髪型をして高級ブランドのスーツを着て高そうなバッグを持ち私を見ていた。目を見開いたまま「久しぶり…」と返した私のカゴの中身を見て、ビール買いに来たの?と笑う。その表情は昔の三ツ谷の面影を残していた
ちょっと離れた所に住んでたんだけど、また最近この近くに引っ越してきたんだと言った三ツ谷は世間話をしながら買い物を済ませた私を昔の様に家まで送ってくれた
まだここに住んでるんだなと言って笑う三ツ谷は高そうなスーツのポケットから携帯を取り出すと、今度飲みに行こうぜと言って電話番号を聞いてくる。その言葉に自然と頷いてしまっている自分がいて、番号を彼に教えると連絡する、じゃあなと言って去っていく彼の背中を見送ってから家に帰った
そんな昨日の出来事を思い出しながら熱々の珈琲をいれたマグカップをテーブルに置いてもう1度LINEを開く。三ツ谷隆の表示ををタップすれば、飯いつ行ける?と一言だけ入っていた
その文字を見て嬉しい様な、何だか行きたいような行きたくない様な不思議な気持ちが自分にはあった。私の彼に対する気持ちはとても複雑だった、再会する前から二人で撮った写真を見ては思い出して胸が張り裂けそうになる時があった。また戻れると思っていたけど戻れなくてそのままになった過去の恋。凄い好きだけど色んな障害があった様な気がする
ご飯に行ったらどうなるんだろう。また始まるのだろうか
まだ予定が分からないからまた連絡するね。と一言返せば、了解の文字が直ぐに返ってきて
私はこの何だか臆病な気持ちに向き合わないまま珈琲を啜った
あれから1週間たっても雪那からの連絡は無かった
あいつに再会したあの日、たけみっちと千冬と食事をしながらいつも通り汚い仕事の愚痴や報告をチラホラと話し、東卍で用意した新居の高層マンションに帰宅する途中に歩く雪那を見つけた。大人になった彼女は背も伸びて髪も伸び、大分雰囲気が変わっていたけれど1目見て雪那だと直ぐに分かった
車をUターンさせてまで彼女が経った今入っていったコンビニに車を入れて偶然を装って声をかける事に決めていた
まぁ、本当に見つけたのは偶然なのだからそれはそれでいいのだが
勢いで車をコンビニに停めたものの、声を掛けるまでに躊躇しなかったかといえば嘘になるかもしれない。雪那 は俺がデザイナーになりたいと言っていた自分を良く知る人物だからだ
血で汚れきったこの手で、なりたいものにもなれずに未だに内心あがいている自分が彼女に声をかけて良いのか
隆、デザイナーにはなれた?と聞かれるんじゃないかと一瞬頭に過ぎった
だけど、コンビニのビールコーナーで真面目な顔でビールを選ぶあどけない彼女の横顔を見ていたら
何だか懐かしくて気付いたら久しぶり、と口から言葉が出てしまっていた
当たり障りの無い会話をしながら雪那を家まで送り、連絡先を聞いて次の日に直ぐに食事に誘った。何故かもう躊躇する様な考えは出てこなくて、返信が少し待ち遠しく思えていた
シャワーを浴びてから携帯を見ればまた連絡すると返信が来ていて、それに対して了解とだけ入れれば、当たり前かとも感じた。俺が東京卍會の幹部をやっている事も、車や服装から気付いたかもしれない。そこから気付いていなくても、この街にずっと住んでいたら元同級生が何をしているか何て耳に入っているだろう
少し話をしたかったな。そんな事を考えながらゴロリとソファに横になりテレビを付ける
ニュースには〇〇市の海から若い男の亡骸が見つかったとアナウンサーが現場から中継している所だった
グワッと顔が熱くなる様な怒りが体中を駆け巡ってきて、その感情に身を任せてテレビにリモコンを投げ付けた
クソッ、そう呟いた途端に震える携帯。そこには稀咲の名前が表示されていた
「…はい」
「三ツ谷??ニュース見た?」
「…ああ」
「…俺が何て言ったか覚えてる??」
「…絶対に見つからない様に捨てろよ」
「当たりだ」
「…悪かった」
「…いや、お前を責める気は無いよ。三ツ谷は的確なやり方をアイツらに教えてた。絶対に浮いてこないやり方をね。それを守らなかったのはアイツらだ」
「…すまねぇ、アイツらの処分は俺に任せて貰えないか?」
「…嫌、駄目だ。」
「…殺すのか?」
「……今の所な」
「……佐々木を自主させる。あいつは口が堅い」
「分かるだろ、三ツ谷。東京卍會がやったって事を今はバレたくない」
「…………」
「今は大事な時期だ。ちょっとデカイのは避けたい、俺に殺させたく無いのなら三ツ谷、お前が片付けろ」
「…わかった」
はぁと溜息が出て、携帯を投げつける
いつからこんな風になっちまったんだろうなと溜息をもう1度吐きながら目を瞑った
ピンポンとインターホンが鳴り、仕事をしていた手を止めて1度伸びをする。パタパタとスリッパを鳴らしながら玄関に向かい、はーいと声をドアに向かってかけると私だよーと聞き慣れた学生時代からの友人の声に笑顔でドアを開けた
お土産にと頂いたフワフワのシフォンケーキを二人でつつきながら、珈琲を啜ると私達は声を合わせて幸せ~と笑顔になった
「麗奈のチョイスは毎回毎回本当に美味しいわぁ、これどこのケーキ?」
「最近出来た駅前の~、ほら前に私が通ってた塾の近く」
「ああ、懐かしい。あの通り?」
「そうそう、けっこう人気でさ毎日混んでるんだけど美味しいんだよね」
「味がチョコなのがいい」
「 雪那は昔からチョコ好きよね」
「ねー、そういえばさ、三ツ谷隆覚えてる?」
「三ツ谷って、あんたが付き合ってた三ツ谷?」
「うん」
「覚えてるに決まってんじゃん」
「この間、バッタリ会ってさ。何か連絡先交換してさ」
「マジか。アイツ良い奴だったよね。一途だし優しいし。カッコよくなってた??」
「うん。昔より大人の男になっててさ…。まあ、当たり前なんだけど、……凄くカッコよくもなってた。でも何か感じ変わってた」
「あぁ…。林も三ツ谷も今反社らしいよ」
「……反社」
「あんまり知らないけど、何か前に誰かに聞いた」
誰から聞いたんだっけかなー?と首を傾げる麗奈に、何だかあの身なりと今の話が合致してしまう
「反社って、ヤクザみたいな感じ?」
「うーん、あんまり良くは分からないけど裏で悪い事してるんじゃないかな?」
「…うーん。隆がねぇ。不良だったけどそうゆう感じでは無かったのにな」
「雪那 、気をつけなね。三ツ谷があんたに悪い事はしないと思うけど…。巻き込まれたりしないようにね」
「うん、ありがと。」
それから、麗奈と色々な話題で盛り上がったけど私の頭の片隅には隆がいて、結局麗奈が帰った後も私の頭の中は隆でいっぱいだった
デザイナーの夢は叶わなかったのかなとか、何でマイキーやドラちゃん達と居て反社になるのかとか良く分からなくて、ボンヤリしながら珈琲カップとお皿を洗っていると隆と話がしたくなった
時計を見れば夕方の6時半。麗奈の話が本当で反社ならいつが忙しいのか暇なのかも分からない
そもそも何をしているのかさえ分からないのにこんなに考えてモヤモヤしていても仕方ないんじゃないだろうかと思う
携帯を手に取り、LINEの三ツ谷隆の名前から電話のマークをタップする。勢いで押してしまった事を2コール目まで後悔していたが、何コールしても通話にならずに何だか安心してそのまま電話を切った。
何やってるんだ自分は、とふぅと溜息をついて夕飯の準備にとりかかった
しじみの味噌汁と、だし巻き作って、余っている野菜をバターで焼いてしまおうか……
後この間お取り寄せした牛肉でも焼いちゃおうかな何て思いながらテレビを付けて、かけてあったエプロンをして髪を結った。
テレビから聞こえてくる物騒なニュースを聴きながら溶いて味を付けた卵を卵焼き用の小さなフライパンに流し込むとテーブルに置いてある携帯が振動する音が聞こえてくる。片手にフライパンを持ったまま、携帯を取り通話ボタンを押した
「もしもし」
「 雪那?電話くれた?」
「……隆」
「うん。何かあった?」
「隆さ、今仕事中?」
「今終わった所。お前は?」
「…あれ?…何か疲れてない?…平気?」
「……平気」
「……その声の時は平気じゃなかった気がするんだけど、大丈夫?」
「へぇ。……やっぱお前は凄いな」
「……関心してないで。大丈夫なの?」
「平気だよ。ちょっとトラブルがあってさ。…後輩がやってる飲み屋で喧嘩があって、それ解決するのが面倒でさ。まあ、何とかなって今帰り」
「運転中?」
「うん。雪那は?今何してんの?」
「今はー、卵焼き焼いてる」
「そっか。出来る様になったんだな」
「ふふ、まぁね。」
「……ハァ、疲れたな。食いてぇな。卵焼き」
「…あのさ、良かったら…食べに来る?」
「……本当に言ってる?…彼氏とか居ないの?」
「居たら言わないでしょ。ちなみに連絡先も交換しないと思う」
「……まあ、そうか。部屋番号302だっけ?おばさんは??」
「良く覚えてんね、お母さんは今は彼氏と横浜に住んでるよ」
「……そっか」
「今どこ?」
「もう家の近くだから車停めたら歩いて行くわ、何か欲しい物ある?」
「ビールくらいかな」
「昨日買ってただろ」
「もう無いよ」
「ハハッ、分かった。買ってから行くよ」
「宜しくね」
電話を切って、フライパンを投げ捨てる勢いで置き、直ぐに鏡で顔をチェックする。朝にしたメイクは剥がれ、鼻の頭がテカテカとしていてその上に綺麗にファンデーションを塗り直してからリップも塗り直した
麗奈が来ていたからトイレや部屋は綺麗にしてある
そこでふと、軽々しく誘っちゃったなと今になって思ったけど普通に話せば良いかと肩の力を抜いた
常温に戻した牛肉に塩をふっていると、ピンポンとインターフォンが鳴った。玄関に続く廊下に顔を出して空いてるーと叫べば、ドアから顔を出した隆は呆れたような顔をしていた
「無防備すぎ。せめて誰か確認してからにしろ」
「だって直ぐ来るって言ってたじゃん」
「はぁ、今度から絶対チェックしてから開けろよ」
「はいはい」
お邪魔しますと小さく呟いた三ツ谷は綺麗に靴を揃えてから上がると私にビールが沢山入ったコンビニ袋を渡してくる
「こんなに??」
「ま、ご馳走になるからな」
すっと差し出された腕からは昔から変わらない隆の香りがした様な気がした。その腕はビニールから1本ビールを取り出すと、これは俺の分と言ってプシュりと良い音を立てて飲み口を開けた
「私も飲んじゃお。頂きます」
「おう、久しぶりに乾杯」
缶を合わせて乾杯とお互い笑い合うと、何だか知ってる三ツ谷隆だなって確信が持てた気がして安堵した。黒いシャツにスラックスの三ツ谷はデザイナーと言われれば頷けるし、反社と言われれば反社な気がしてしまう
「美味そう」
「今焼くから座ってて」
「何か手伝う?」
「うーん、顔色悪いから座ってな」
「……悪い?」
「うん、少しね」
そう言った私に少し困った様に笑う三ツ谷は、食生活が悪ぃのかなー何て言いながら大人しく椅子に座った。ビールを飲みながらテレビを見つめる三ツ谷を見ながら牛肉を焼いていると、何だか昔に戻った様な錯覚に陥った
色んな思い出が込み上げてきて、今目の前にいる顔色が悪い三ツ谷を見て涙が出てきそうになって必死に堪える
「…… 雪那?」
「……ん?」
「……何で泣いてんだよ」
「何でもない。……今は聞かないで」
そう言った私を見て困った顔をしてから三ツ谷は分かったと言って何か言いたそうな口を閉じた
何事も無かった様にテーブルに食事を並べて二人で笑いながらご飯を食べる。頂きますと言って卵焼きを口に入れた隆は凄く幸せそうに笑った。その顔を見て、ああ。今日会えて良かったのかもしれないと私も笑う
「めちゃめちゃ美味い」
「良かった」
「中学の時のお前の卵焼きはインパクトあったよな、全部黒かったし。今じゃこんなに美味いのか」
「多分、今でも隆のが絶対上手だよ」
「あー、最近料理してないから」
「忙しいんだね。」
「ああ、まぁな。」
「……ビールおかわりする?」
「……お前の減るけど良いの?」
「買って来てくれたの隆じゃん」
「んじゃ、貰う」
はいはい、そう言って立ち上がり新しいビールを持って来るとサンキュと言って二口、三口でビールを飲み干してしまう
そんな勢い良く飲むの?!とビックリしている私に今日は酔いたい気分だと言って疲れた様に笑った
携帯をふと見れば麗奈から今日はありがとうとLINEが来ていたので、隆にお願いして2ショットを撮ってそれを送った。三ツ谷、あんまり中身変わって無くて安心したよとメッセージも添えておいた
お酒のおかわりを冷蔵庫から出して隆に渡す
何だか楽しい話題にしなきゃと思って、昔に一緒に出掛けた話何かを話題に出していると隆は最初は笑っていたが、段々と笑わなくなった
「……隆?」
「……ん?」
「さっきから喋らないけど、眠い?」
「あー、いや。懐かしいなって思ってたらぼーっとしてた」
「そっか、でももう11時だもんね。疲れてるから眠いのもあるんじゃない?」
「ああ。そうかもな…そろそろ帰るよ…」
あんだけ飲んだのに隆はしっかりとした足取りで、鞄を持ち立ち上がると、見送りしようと立ち上がる私を止めた
「 雪那、危ないからここで大丈夫。送らなくていいから」
「コンビニまで一緒行くよ」
「駄目。俺と歩かない方が良い」
「……なんで?」
「……分かってんだろ」
「……」
真っ直ぐと見つめられると何も言えず、嘘も付けず
今日はありがとうなと言った隆は私に背中を向けた
その背中を見ていると、何だか悲しくて苦しくていつの間にかシャツの裾を掴んでる自分が居た
隆が振り返る前に顔を押し付けるようにして背中を抱きしめる。本の少しだけ隆がビクリとした様に感じたのは私の気のせいだろうか
お腹に優しく、恐る恐る手を回す。ドキドキとしていた心臓は彼に拒絶されなかったので安心した様に静かになった。それから、どのくらい時間が経ったか分からない。恥ずかしくて暖かくて、離したくなくてギュッとキツく抱きしめる
「… 雪那…」
「……」
何も言わない私に隆はゆっくりと身体ごと振り返る
彼の表情を何だか見たくなくて、下を向く。涙が零れてくるのと同時に隆の顔が近付いてきて泣いている私の涙にそっとキスをしてから両手を顔に添えて深く口付けて来た
最初は凄く優しいキスだったけれど、ゆっくりと深く角度を変えて深く深く口付けされる。そのキスからは好きだよって凄く伝わってくる感じがする
少し苦しくて、ふっ、と息が口から漏れるとゆっくりと隆は唇を離した。顔を見れば困った様な顔で優しく髪を撫でられる
何だか離れたくないと心から感じて隆の胸に顔を埋めて背中に手を回した
「…なぁ…、これ以上すると我慢出来なくなる。お前本当にいいのか?」
「もう、…離れたく無いの。もし……少しでもあの時別れなかったら良かったのにって私と同じ思いがあるならもう少しだけこうしてて欲しい」
「……お前も、しててくれたんだな。後悔」
お互い何も言わずに見つめ合えば、どちらからとかでは無く唇を合わせた。隆の舌が唇の隙間から入り優しく舌を舐められる感覚に頭が溶けそうな頬が熱いような気がしてそのままされるがまま、ただ求められるのが嬉しくて。出て来そうな涙を堪えて彼の首に手をまわした
シャツの中に入って来た手が腰を撫で、胸を下着の上から優しく触られる。途端に、ヒョイと軽々持ち上げられて思わずキャっと声をだせばベッドどこ?変わってない?と真面目な顔で言われてうんと頷いた
「……綺麗になったな」
「……やめてよ、そんなにジッと見ないで」
「嫌、マジで綺麗だよ」
服を脱がされてマジマジと全部見つめられ、髪を優しく撫でながら口を開いた隆に少し照れてしまう。
シャツを脱ぎ捨てた隆は昔よりもずっと筋肉質になっていて内心カッコよく大人になったなとドキドキしてしまう
首筋に唇が這って、肌が吸われる様な感覚にんんっと思わず声が出ると内股を撫でていた手がそっと大事な部分に触れて敏感な箇所を撫でる
少し触られただけなのに、ビクビクと身体が反応してしまい恥ずかしくて泣きそうだ。割れ目から滴るヌルりとした感覚にこんなに濡れてると自分でもビックリしていると
濡れやすいんだなと、呟いた隆はちょっと悪ぃと続けて口にしてからスルりと濡れた秘部に指を入れてきた
「……んんっ、」
「……痛くない?よな、けっこう濡れてるし」
「……言わなくていいのに、ん、ぁ、ぁぁぁ」
最後まで話せなくて指が気持ち良い所に当たる度に腰がビクビクとしてしまい口から出てしまう声に必死に歯を食いしばる
そんな私を見て、フッと笑った隆は私のそんな唇に舌を入れて来ると奥を掻き混ぜる様に動く指を激しく動かしてくる
声が我慢出来ず、ヤダヤダと言いながら身を震わせて達してしまうと耳元でたまんねぇと色っぽく囁かれて熱くなっている顔が更に熱くなった
「んもぉ、イジワル…」
ハァハァと息を切らせながら頬を膨らませた私に、複雑そうな顔をした隆は慣れた手つきで避妊具をつけ
敏感になっている最奥に躊躇無く激しく付いてくる
「ぁ、ぁぁ、たっ、たかし、ら、め」
ビクビクと中が痙攣している様な気がして、気持ちよさで涙が出てくる
「……わりぃ雪那 。優しく出来そうもねーや」
その一言を言い終わると、激しく唇にキスをされながらひたすら奥を突かれる。彼の熱の籠った様な瞳で見つめられながら快楽の波にのまれ、耳元で愛してると呟かれて。ひたすら喘ぐ事しか出来ずにそのまま何度も果てた
行為が終わっても隆はずっと私を抱き締めて離さなかった。胸に擦り寄れば額にキスを落とされて、何だか昔の様に満たされた気持ちになっている自分に気付いた
彼が居てくれるだけで良かったし、他には何も要らなかった昔の自分心が今またココにある気がした
「……昔さ、私は隆が居てくれるだけで良かったんだ。中学生でまだ子供だったけど、隆が私の全てだった。それなのに何で別れたのかも覚えて無くてさ。今その気持ちを思い出した」
「……俺も、そうだったな」
少し経ってから静かに口を開いた隆は本当にそう思うとだけ言ってから私を抱いていた腕に力を込めた
「ずっと、お前と別れた事を後悔してた。他にどんな女を抱いても満たされないのを知ったよ」
「私も何回か付き合ったけど、何かうまくいかなくてさ」
「……俺、久しぶりに今幸せかもしれねぇ」
「……私もだよ」
垂れ目な隆の目元にキスをしてから彼の腕に抱き着いて目を閉じる。幸せで満たされたハートが暖かくて身体も暖かい
「なぁ、来週時間作るからさ、また何か作ってくれね?」
「うん、隆とルナ達が好きだったハンバーグにするね」
「スゲー嬉しい。…ちょっと今ゴタゴタしててさ。早くその件終わらせて来週必ず連絡するから」
「……分かった。待ってる」
1時間くらいだったけど、隆は今の自分の事や別れてから何をしていたかとか色々話してくれた。内容に多少ビックリした事もあったがその時間はあっとゆう間で私にとってはとても良い時間に感じた
まだ聞いていたいのに少し眠くなって来てしまって、ウトウトしていると、少し微笑んでおやすみと言い額にキスをくれた隆の穏やかな顔を見て、私はゆっくり目を閉じた
朝起きると隣に隆は居なくて
リビングに書き置きされたメモには、連絡する、ポストに鍵入れとくとだけ書いてあった
私も仕事頑張ろと思えてきて自然と笑顔になる
放り出してあった材料の片付けから取り掛かろうと気合いを入れるといつものかったるいって気持ちが出てこなくて、好きな人がいるって凄いなと思った
その日からLINEを見るのが楽しくなって、早く会いたいなと1度だけ連絡すると可愛い事言うなよと返信が来ていて何だか中学生に戻った気分だった
それから2日が経ち、その日はスーパーで買い物を済ませて家に帰り、テレビを付けてから冷蔵庫に野菜をしまっている時だった
テレビから聞こえてくるアナウンサーの言葉に私の思考は一気にフリーズして持っていた野菜が床に転がった
放心した状態でテレビに釘付けになる
殺害されたのは東京卍會幹部 三ツ谷隆さん
心臓と頭を撃ち抜かれ失血死
何かの間違いなんじゃないかと瞬きもせずに隆のテレビの中の写真を見つめた
現場の映像にはコンクリートに黒ずんだ大量の血があちこちに散らばり、黄色のテープがその場を覆っている。野次馬の中に見えたのは大勢の警察官と隆みたいなスーツを着た柄の悪そうな男性達
頭が呆然として、足に力が入らないのに
テーブルに置いたバッグを持ちそのまま外に出た
タクシーに乗り込み、直ぐにテレビに出ていた搬送されたであろうを病院の場所を運転手に告げる
何分か走った所で、お客さん大丈夫かい?と運転手が心配そうにポケットティッシュを差し出してきた
涙がとまらなかった
病院に着いて、運転手に感謝を言ってお金を渡すと早足で病院に入り近くに居たナースに三ツ谷隆さんの病室は?と聞けばハッとした様な顔をしてからこちらですと言って案内される。心臓がドキドキと煩くて、ナースの背中のみを見て歩いていた。
どうぞ、と通されたのは霊安室で布を顔に置かれた隆を見て膝から崩れ落ちた
自分の事しか考えられなくて、感情のままここが何処だかも考えずにイャアアアアと泣き叫んだ私の両肩を誰かが抱き締めてくれる
それは涙で顔をぐちゃぐちゃにしたルナとマナで、私はその顔を見てまた声を上げて泣いてしまった
「…… 雪那ちゃん久しぶり」
「……うん。綺麗になったね。2人共」
息が整ってきた私の背中を撫でながらルナが口を開く
マナが私の目元にそっとハンカチを添えてくれて、感謝を伝えながら立ち上がり隆であろう人の前に立つ
ゆっくりと震える手で布を取りこの間見たままの隆だと確認してから布をまた顔に優しく被せた
ボンヤリとした頭で、銃創の穴が空いている額は私がこの間キスをした所だとか
もう開いてくれない瞳は私を見ないだとか、グチャグチャな悲しい考えが頭をいっぱいにしてくる
何分そこに居たのかすら分からなくなって来た頃
スっと私の横に立った男性は、小さな声で話しかけてきた
「……三ツ谷がよぉ、昨日言ってたんだよ。お前に会って幸せだったって。またお前とこれからやってくんだって言ってた」
鼻を啜りながら口を開くこの声には聞き覚えがあった
「……林?」
「久しぶりだな……」
「……うん。久しぶり。それ、今の……聞けて凄く嬉しい」
「……」
それだけ言った林は零れ落ちる涙を拭かずにそのまま部屋を去った
誰も居なくなった霊安室。そっと隆の手を取りギュッと握る
冷たくてゴツゴツしていて、生きてないなって実感して心から何かが溢れてくるのを感じた
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